私/俺のヒーローアカデミア   作:真暇 日間

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わたおれヒロアカ9

 

 なんかいきなり授業内容が戦いとかこの人頭の中身が筋肉で出来上がってるんじゃないかなと思ってしまう。正義の味方だとかNo.1ヒーローだとかいろいろ言われているけれど、教育者としては間違いなく新人なんだなと思わされる。

 それに、どうやら個性ももう移し替えたらしいしね。鑑定解析にかけたらそう言う情報が入って来たから、とりあえず今度朝一で学校に来て教師も学生も全員鑑定解析にかけてみることにしようと思う。最低限、全員分のノートとそれに書き込むためのシャーペンの芯は用意しておこう。

 それと、名前と個性は全員分調べてあるけれど、直接鑑定解析にかけると情報量が格段に変わってくるからやれる時にやっておきたい。時間に余裕があるうちに対策できるだけ対策しておいた方が、実際に何かあったときに取れる選択の幅が広がる。例えそうして増えた選択肢が一つきりだったとしても、たった一つしかない選択肢を強制的に選ばされるのと二つあるうちから自分で選ぶのとでは大きく違ってくる。選ぶのと選ばされるのでは精神的な負担の大きさが遥かに変わり、精神的な負担が減れば心に余裕を持つことができる。

 

 それはそれとして厳正なるくじ引きの結果、こんな感じになった。

 

 A尾白猿夫  轟焦凍

 B切島鋭児郎 常闇踏影

 C上鳴電気 蛙吹梅雨

 D障子目蔵 爆豪勝己

 E砂藤力道 耳郎響香

 F八百万百 緑谷出久

 G口田甲司 峰田実

 H飯田天哉 葉隠透

 I青山優雅 芦戸三奈

 J瀬呂範太 麗日お茶子

 

 そしてどちらがヒーローでどちらが敵になるかと言う籤では、今度はBがヒーロー、Aが敵と言う組み合わせで一戦、次にEがヒーロー、Fが敵で一戦、Hがヒーロー、Cが敵で一戦、Gがヒーロー、Dが敵で一戦、Iがヒーロー、Jが敵で一戦と言う感じだ。

 ……私、敵役かぁ。まあ、確保証明付けるか時間切れまで迷わせればいいんだから難しくはないよね。確保証明だけだったらそれこそ全速力で付けちゃえば何の山も谷もなく終わっちゃうわけだし、確保証明はできるだけ使わない方向で行こうかな。あるいは、明らかに癖のある所で受ける感じに巻き付けるとか。

 

「緑谷さん、よろしくお願いしますわ」

「あ、うん、よろしく。えっと、八百万さん、だったよね?」

「ええ」

 

 それじゃあ挨拶も終わったところで、作戦を考えないといけないかな。色々取れる作戦はあるけれど、とりあえず意思統一が大切。敵となればおよそあらゆることをやって来ると思わなくちゃいけないからね。

 そうなると、私と組んでいるのが八百万さんって言うのはとてもありがたい。

 

「早速で悪いんだけど八百万さん。勝つ気ある?」

「当然ですわ!」

「作戦……と言うか、少なくとも相手の足止めにはなるだろう方法を思いついたんだけど、聞くだけ聞いてくれない?」

「お聞きしましょう」

 

 そう言われたから話したらすっごい顔をされた。これからヒーローが来るってわかり切っていて、しかも十五分だけ時間を稼げばいいって言われたら普通思い付くと思うんだけどね?

 

 

 

 

 

 デクの作戦がえぐすぎて笑えない件。

 どこから入ってくるかわからないから出入り口全部に鉄板貼って音を出させて居場所を確認させるとか、そのあたりは良いんだよ。鳴子とかそう言うのと変わらねぇと思うし、害がある訳でもねぇ。

 外させた鉄板が落ちるのに連動してカプサイシンの純粋結晶が混じった催涙ガスをスモークグレネードとして使うとか、床をくりぬいて落とし穴をいくつか用意して落下ダメージを狙うとか、普通に歩いているだけで催涙効果のあるスモークグレネードやらスタングレネードやらが爆発しまくるようにするとか最悪すぎる。

 その他にも階段の段を削って坂にしたところにヌルヌルの液体をぶちまけて登れなくしたり、カセットテープでなんかよくわからねえもの流し始めたと思ったら相手の女の方が悶え始めたり、別のをやったら相手の男の方が悶え始めたり、気を抜いた所で催涙ガスを顔面に直撃させたりと色々とえげつなさ過ぎることを実行した結果、ヒーロー役が二階に到達して三階に向かおうとしたあたりで時間切れになった。

 

 ……デクの相方がすげえ顔をしてたんだが、理由が分かった。確かにこれは酷すぎる。いくらでも罠の材料が用意できるからって、普通罠だけで時間稼ぎしようとか思わねえだろうに。

 ただ、どうもデクはヒーロー役の二人の個性について知っていたらしく、ヒーロー役二人が最短距離で上の階に向かってくることを予想して階段付近に集中して罠を仕掛けた挙句に本物の核は初めは上の階に設置しておいて一階からいなくなったあたりで窓の外から一階に移動させると言うふざけた方法を取っていた。

 ルール上、核を移動させることは禁止されていなかったが、だからってまさか過ぎる。考え付いたとしても普通やらねぇだろこんな事。

 

 ちなみに最後の手段として、屋上から核の張りぼての偽物を作って外に蹴り落してヒーロー役の奴に無理にでも取りに行かせて時間を稼ぎ直すってことをやろうとしていたらしい。しかも罠はもう一度張り直して、核の張りぼては今度は三階あたりにおいてから自分達は五階に移動すると言う方法で。

 思いつくことがあまりに効率的すぎる。敵でもここまで目的を達成るすためだけにあらゆる手を使って来ようとする奴は中々いないんじゃないかと思わされる。それほどにデクの使った手はえげつない。

 

「いや、かっちゃんに言われたくないんだけど。障子君に索敵任せて入ってこようとする場所を特定してそれを逐一伝えてもらいながら移動して開幕爆撃かましたくせに」

「普通相手が一番油断してるところでやるだろ?」

「やるけども。だからって大怪我させるのは良くないと思うんだよね。口田君なんて一部焦げてたじゃない」

「あれでも俺は抑えたんだ。模擬戦闘は始まってるのに油断してるやつが悪い」

 

 ヒーローは油断一つで死ぬような職業だ。今のうちに理解できただけまだよかっただろうよ。

 ……俺もめっちゃ怒られたがな。

 




 
 Q.出久ちゃんのコスチュームってどんなの?
 A.強度は当然として耐熱性と絶縁性を重視したジャージみたいなやつ。ちなみに『強度≧耐熱性=絶縁性>伸縮性>その他』の順に重視してもらい、『他にも対刃とか防弾とかも欲しいですけど無理ならいいです』と言った結果、カチンと来た技術屋さんたちによって大量に盛られている。

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