俺はモンスターと会話が出来るユニークスキル 〈会話術〉を獲得し、〈ジャイアント・トライド〉と話し合いをすることを決意したのだった。
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〈ジャイアント・トライド〉はその場に座り込んでいる。
本当に敵対したい訳じゃないらしい。
ならば、なぜ、初心者の冒険者の巣窟である1〜5階層まで下りてきたのかを聞く必要があった。
一体、どうしてなのだろうか。
「はじめまして、タケルって言います」
俺は手始めに自己紹介をしてみた。
本当にモンスターとできるのか、未だに半信半疑だった。
「私ハ、〈ジャイアント・トライド〉ト言イマス」
やはり、会話が出来る。
はっきりとその声が聞こえた。
ーーそれにしても丁寧な自己紹介だな。
普通は偉そうに、語尾に〜ダ、とか言いそうだけど。
まぁ、そんなのはどうでもいいか。
その光景を見ていたエマとアリスは不思議に思ったのだろう。俺に、
「なに、独り言してるんですか」
と聞いてきた。
それもそうだろう。
普通はモンスターとの会話は出来るはずがない。
エマとアリスには独り言に見えているようだった。
・・・モンスターと会話している、なんて言ったらどう思われるのだろうか。信じて・・・くれるはずはないか。
まぁ、言っとくだけ言っとこう。
「・・・独り言じゃなくてモンスターと会話してるんだよ」
エマとアリスは「えっ?」みたいな表情をしている。
やはり、信じてくれな・・・、
「す、すごいじゃないですか!」
えっ?
「そうですよ。すごいです!」
えっ?えっ?
「信じてくれるのか?」
「もちろんですよ!」
2人は口を揃えて言った。
どうやら、信じてくれたらしい。
「本でモンスターと会話している人はいたって聞いたことあるけど、本当に存在するんですね!」
その後もこの話で盛り上がり、何十分経過した。
俺たちはなにか忘れてるようだったけど気にしなかった。
・・・すると、
「・・・アノー」
俺は振り向いた。
こちらを〈ジャイアント・トライド〉が困った表情で見つめている。
俺ははっとした。
そして、〈ジャイアント・トライド〉との話し合いに戻った。
「そ、それで、〈ジャイアント・トライド〉さんはなぜ、この階層に下りてきたんですか?」
〈ジャイアント・トライド〉は語り始めた。
「私ハ、普段、モット上ノ階層ニ住ンデイルノデスガ、誰モソノ階層ニ来ナクテ、寂シクテツイココマデ来テシマイマシタ」
〈ジャイアント・トライド〉は寂しがり屋さんだった。
みんなが思うような凶悪なモンスターではなかった。
だが、その大きな身体に鎧のような肌のせいで我々、冒険者に恐れられてしまったようだ。
外見で人を判断してはいけない。
まさにこのことを言っているかのようだった。
「でも、冒険者たちが怯えてますよ」
「ソンナコト分カッテマス、デモ、冒険者タチト触レ合イダケナンデス」
あ、そうか。
〈ジャイアント・トライド〉は冒険者たちのことが好きなのか。
そうなると、なんだか可哀想だな。
・・・よし!
俺はあることを決意する。
これはどちらにもプラスになる解決策とも言えるだろう。
それは・・・、
「〈ジャイアント・トライド〉さん!」
「ハイ」
「俺たちと友達になりましょう!!!」
という簡単な解決法だった。
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