ナキ少尉が目が覚めた夕方に退院して、サニー隊長の指示でナキ少尉とレイン少尉でしばらく行動を共にするように命じた
表面上ではナキ少尉の身体の状態が悪化してもすぐに救護室に連れていけるように、しばらくの間、レイン少尉は付き添うというとのことだが、実際は少尉同士から仲良くなってもらいたいというのが狙いである
「言っとくけど、これは命令だからやるだけでお前が倒れても引きずりながら連れていくから優しさなんざ期待すんなよ」
隊長……さすがに無理があるんじゃないだろうか……
ナキ少尉は頭の中でそう思いながらレイン少尉と一緒に基地内を歩いている
「とりあえず、連れって行ってくれるだけでも感謝するよ」
ナキ少尉は力なく笑いながら、それに対して受け答えをする
「ふん、ヘラヘラしやがって、俺はお前が何で少尉になれたのか、わかない、実力もないし、指示する力もない、戦場で必要なものひとつも備えてないやつがなんで、俺と同じ階級なんだよ」
その質問に答えられないというか、答えが見つけられない、確かに戦場で役立つような力はナキ少尉は持ち合わせていない
「それは…………」
「ふん、自分でも分からないなんてとても連邦軍の人間とは思えないな」
しばらく考えているとそう言って吐き捨てる
しかし、ナキ少尉は連邦軍、連邦軍と連邦軍兵の事をいい続ける彼の言い方にふとした疑問を覚えた
「レイン・リスキー……過激派連邦所属少尉……」
なぜか、ナキ少尉はそう言ってしまった、その瞬間、 いままで見下すようにしている少年は身に付けていた軍服から巧みに隠しナイフを握りナキ少尉の肩を掴み物陰の床に押し倒して逃げられないようにし、ナイフの刃を首に当てている
「どこから聞いた!言え!言わなければお前の首を飛ばすぞ!」
その表情は先程のとは違い、焦りと知られた人間を消すために放つ殺意に満ちていた、押し倒して首の肌にナイフの刃が当たり切れて血が一筋流れる
「お前が…援護に来たときに乗っていた機体にあった…マーク……連邦軍の十字の後ろにばつ印のあるマークだ……」
自分が見たものをそのままナキ少尉が話すとレイン少尉はナイフをしまい
「そうか…あの時か……他の連中に言ってみろ、首を飛ばすからな……」
レイン少尉の軍服は先程押し倒した衝撃で少し乱れていて被っていた帽子が取れて落ち、ナキ少尉に見えたのは女のように長く透き通るような綺麗な赤髪に、レインの軍服の中には男にはないはずの小さく膨らんだ胸元が見えた
「!貴様!見たなぁ!知ってはいけないものを見たな!」
レイン少尉はその視線の先に気付き叫びながら目を潰そうとしてくるのを、ナキ少尉は必死の思いで掴んで止めながら
「消せ!お前の脳内からさっきの俺の姿を、俺の胸を消せ!」
目を潰そうとする手にレイン少尉が力をいれながら
「ちょっ、目を潰しても記憶は消えないよ!落ち着け!」
頑張って潰されないようにナキ少尉はレイン少尉からの理不尽な暴力行為に抵抗している
「うるさい!なら、脳を消滅させる!」
レイン少尉とナキ少尉がそんなこんなをしているとどちらも力尽きて、ナキ少尉が立ち上がり押し倒していたレイン少尉が転がって
「あ、すまない…立てるか?」
転がったレイン少尉に手をさしのべて立ち上がらせるとまだ顔が赤いレインは
「…………過激派連邦軍の事も………俺の秘密も………口外したら首を飛ばす………」
そう言って服を着直している
「わかったよ、二人だけの秘密にしよう、俺はそんな口軽くないし」
力なく笑いながら、そう答えて落ちていたレインの帽子を取り渡すと、レインはぼそっとありがとうと呟いた
二人だけの秘密というものがナキとレインの人間的な二人の距離を縮めたのも、また事実なのであった
レインが女の子っていうのは、自分の趣味です
あ、更新ペースは一週間に一回から二回くらいです、短い文章しか書けないので、もっと長くしてみようかなと思う日々です