砂漠の夜は冷える、だが町の光がないから星がよく見える、少年は星に手がとどきそうで伸ばしてみるが
そんなことはない、とどきそうでとどかないこの距離を実感するだけだ
…………なんだろう、この感覚……
「どうしたんだ、クロウ、こんな時間に起きて、地上から見る星が綺麗だったか?」
隊長と部隊員から慕われる男、アモン・ヒイラギは星を見てい少年に話しかける、手にはココアの入ったマグカップを握っていて
「………別に…、俺にそんな感情は備わっていない」
クロウと呼ばれる黒髪の少年は静かに静かに答えて、自分の真っ赤な目に星を映しながら
「………綺麗だな……昔、仲間と見た戦線下で見た星とは大違いだ……」
そう言いながら、アモン隊長はココアの入ったマグカップをクロウに渡して座りながら空を見る
たくさんの小さな星が集まっている場所や赤く光る星、青白く光る星、そして他の星とは離れた位置にある青白い星、さまざまな星が空を埋め尽くしている
すると、そんな星の海の中に一筋の光が走る、流れ星だった
「お、クロウ、流れ星だな、地球でしか見れないもんなんだぜ?」
後ろからデザートドムのパイロットの一人、マージ・ホプキンスはクロウに流れ星を指さしながら後ろから話しかける
「地球圏に入ろうとして連邦軍に倒された機体の残骸や連邦軍の機体の残骸が引き寄せられて燃える、パイロットたちの命の炎……」
クロウは流れ星を見ながら、静かにそう呟く
「そんな悲観的に言うなよな、ほら、流れ星は三回お願い事言えると願いが叶うっていうんだしよ」
マージはクロウを盛り上げようと頑張っているが一向に笑う気配はなかった
しかし、次の流れ星が流れた時だった
クロウは下を向きなにかを三回唱えるようにお願いをしたのだ
「お、クロウ、なに頼んだんだ?」
するとさぞ当たり前かのようにクロウはマージの方を向き
「博士の盾になれますようにと願ったんだ、俺は寝る……」
クロウはそれだけ言ってテントの方へ戻って行った
「仕事熱心だなぁ、クロウは」
マージがそんな事をぼやくとアモン隊長は砂の上に置かれてもう冷たくなったクロウに渡したココアのマグカップがあるのを見つけた、中身は一滴も飲んでいなかった
「クロウにとって唯一の家族いや、命をかけてでも守らなくてはならない生みの親なのだから…ジオン初の強化人間開発計画が生んだ新しい可能性なんて、綺麗事を並べただけの理想でしかない……」
隊長はそう言って立ち上がり、他の連中も起きているのか?とマージに聞くと
「アッシュは火を見てる、セロントはその火でチーズ溶かしてる、一緒に食うかって誘ってこいって言われたけど、逃げられちまったな」
マージは笑いながら、隊長を誘い、そのままテントを建てている中央で火を焚いていてスープや焼けるパンのいい匂いが立ち込めている
「遅かったなマージ、なんだ、結局クロウ、誘えなかったのか……しょうがない、アッシュ、食うか?」
茶髪に深い緑色の目を持つ男セロント・マッシーは料理を作りながら隣で火を見てる黒髪で肌の色が褐色の男アッシュ・ロベルトに問いかける
「俺、そんな腹減ってねぇからスープ一杯でいいって言わなかったか?」
アッシュは火を見ながら料理の出来具合に合わせて火の強さを調節しながら答える
「あぁ、大丈夫大丈夫、俺が食うから腹減ってるって言ったの俺だしな、あぁ、酒飲みてぇな」
マージがそう言いながらぼやいて空を見上げる、火の光によって煙が天へと上がって行くのが見える
「次の作戦が終われば基地に帰還できる、そのときにみんなで祝杯をしようじゃないか」
隊長はそんなことをぼやくマージにそう言うと、四人の話は次の作戦について話は動いた
「地球にまだ残っているジオン残党がいるジャブロー付近の森林に向かい、地上部隊を脱出させるか……上手くいくもんかねぇ?」
マージがそう言いながら首をかしげて焼き上がったパンを取りチーズを溶かしてパンの上に乗せて食べる
「それは、俺たちの手にかかっている、やり遂げなければ、多くのジオン残党を見殺しにすることになる」
アッシュは出来たスープを入れ物にいれ飲みながら答え
「なんにせよ、俺たちで必ずやり遂げなくちゃダメなんだ、必ずやり遂げよう」
隊長が最後にそう言って、全員が深く頷く
「それで、なんだ………セロント、頼みがあるんだが……」
隊長は真剣な顔でセロントを見て、アイコンタクトをしながら
「俺にもパンとチーズをくれ」
隊長がそう言って、セロントから受け取り旨そうに食べながら
星空の下で四人の狼と呼ばれる男たちの夜はふけていった
今回はジオン側のキャラクター紹介みたいな話です
一話から機体に乗って活躍してるのに会話シーンなんかが少ないなぁと思い、書いてみましたが難しいですね、しばらくは連邦側でストーリーを進めていきたいです