「おい!ナキ!ナキ少尉!大丈夫か!」
隊長の声がする……ここは…どこだ?
ナキ少尉はうっすらとある意識を覚醒させ、目を開けると、救護室の天井が見えた
ナキ少尉は一、二回程、訓練でへまをして入って同じ天井を見ているので覚えがあるが、今回はいままでの二回とは違う天井に見えた、それは重力下で初めて入るから、そんな感じがするのかもしれないが
敗北したという事実が救護室の天井を見ると強く感じてしまった
「ナキ少尉、大丈夫か?どこか痛む場所はないのか?」
横を見るとサニー隊長が心配しながらこちらに話しかけて来ている、その隣の椅子では壁に寄りかかりながらコクンコクンと寝ているフライ中尉が見えた
どうやら、高機動ゲルググとの交戦後、意識が途絶えてしまったようで、救護室に運ばれたようだ
「自分は大丈夫です、隊長たちは大丈夫でしたか?」
あのドム三機を二人で相手したのだから隊長とは言え苦戦を強いられたのではないだろうか、と思い聞いてみる
「あぁ、砂嵐を巻き起こしながら我々の攻撃を避けて我々を的確に狙う射撃、恐ろしい相手だった……」
先程のドム三機の強さについて端的ではあるが的確に伝えてくれた、彼らはエースの中のエースと呼ばれるパイロット、アムロ・レイやシャア・アズナブルと呼ばれるパイロットに匹敵する強さを持つパイロットだろうと推測する
「こら、フライ中尉、起きないか」
ナキ少尉が推測しているうちにフライ中尉が寝ている事に気がついた隊長が頭を軽く叩いてフライ中尉を起こすと
「はいぃっ!私は寝てなど………って隊長さんかよ、びっくりさせんなよな」
いきなり椅子を倒しながらフライ中尉が起きて立ち上がり敬礼をしたが、隊長だと分かると敬礼を解き、ぐったりしながら、ナキ少尉の方に近づいて
「やっと目が覚めたか、コックピットの中で気絶して見つかった時は死んじまったのかと思ってひやひやしたぜ」
まるで、冗談を言うようにヘラヘラとしながらいつもの調子でナキ少尉に言う、彼なりの励ましのようだが、その瞬間、あのゲルググの最後にコックピットを切ろうとした姿がフラッシュバックする
「どうした、ナキ少尉、顔色が悪いぞ」
隊長が心配してそう聞いてくる、どうやらフラッシュバックした恐怖感で顔が青ざめていたようだ
「な、なんでもありません……大丈夫です」
そう言うと
「なんだよ、あんな旧式の機体でトラウマ植え付けられるなんて、コロニーから来た連邦兵はあまちゃんしかいないのか?」
自分の視界から入っていない位置から自分がゲルググにやられる直前に聞こえた若々しく男の声ながら少し幼い高さを残す少年の声が聞こえた
少し長い赤い髪を紐で一まとめにして括ってる軍帽を被った少年がこちらに近づいてきた
帽子の影のせいでか、よく顔は見えないが青色の瞳が自分を見下しているように見えた
「自分を助けてくださり感謝します、ナキ・ナズナ少尉です」
体を起こして、敬礼をしながら感謝の意をそのパイロットに伝えると
「別に助けた訳じゃない、ジオンの前にたまたまあんたがいただけ、それにあんたみたいな雑魚に感謝されても全然誇れねぇし」
見下しながら、そう答えられて、ナキ少尉は自分の弱さを実感する
「おいおいおい、坊主、てめぇ、敵さんが撤退する直前に来て倒せなかったわりには偉そうに言うじゃねぇかよ?」
フライ中尉はナキ少尉に対して偉そうな態度をとる少年に対して喧嘩をふっかける不良のように少年を煽る
「うるさい、なんにも出来なかったおっさんは黙ってろよ」
フライ中尉より身長が小さいが睨みながら強気な態度をとる
「んだと、このガキっ……」
反論をしようとすると
「やめろ、フライ中尉、それに君も、病室では静かにしたまえ」
サニー隊長が両者を止めて
「もとより、うるさくするつもりないよ、雑魚に雑魚って言ったら勝手に反論してうるさくなっただけだし」
フライ中尉を睨みながら、嫌みのようにそう言って病室を退室しようとする
「待ってくれ、君の名前は何て言うんだ」
ナキ少尉は無意識のうちに退室しようとする少年に対して聞くと
「………レイン・リスキー少尉、二度と俺の前に来るな、目障りだ」
それだけ言ってドアを閉めた
「なんなんだよ、あの坊主は、まともに戦ってもねぇのに偉そうに、気にすることねぇぜ、あいつ連邦軍の内からもあんまり気に入られてねぇって有名なんだぜ?」
フライ中尉はナキ少尉を励ますためにフォローするが陰口のようになっていて
「やめないか、フライ中尉、レイン少尉はうちの部隊に配属になるんだ、そう言う陰口のようなものは控えたまえ」
隊長が言った言葉に対して、フライ中尉は嫌な顔をすると
「上からの命令だ、仕方あるまい」
隊長はそう言って会話は終了した
2000文字に近いくらい書いた、そろそろガンダム本編とかのキャラ出してみたいと思ってます
あと、三人もお気に入りに追加してもらってることを知ってすごい嬉しかったです、頑張ります