ガンダム0082鉄黒の狼   作:木乃 薺

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久しぶりの投稿のため半分リハビリのような駄文になっていますが、それでも温かい目で見てくださる方がいるなら幸いです


絶対防衛線

作戦開始まであと一時間、このジャブローの奥地で自由を勝ち取るための作戦が今まさに、開始されようとしていた。

 

 

 

作戦外出撃、新型MSの勝手な利用、これだけで軍から逮捕命令が下って当たり前だというのに、隊長は無理を承知で、この出撃を最後にしようとしていた

 

 

 

ゲリラ軍のMS隊と、トーチカ隊にも緊張が走り、刻々と時間は過ぎていった。

 

 

 

「あんたほどお人好しな軍人を見たことがないよ、俺は、それともコロニー生まれのコロニー育ちは皆、こうなのかい?」

 

緊張しているナキにレインが話しかけた、緊張を解すために話しかけたのかもしれないが、いつもの口調で嫌みっぽくなってしまいながら

 

「いや…ここまでお人好しなのは俺だけだよ、隊長も巻き込んでしまったし、俺も除隊を受ける覚悟だよ…」

 

ナキは、やはり気にしていたのだった、サニー隊長を自分の勝手なお人好しに巻き込んで軍を抜けさせてしまうことを

 

すると、レインはナキの頭をポカッと軽く叩いて

 

「バカ、聞いてねぇのかよ、隊長はずいぶんと前から軍を抜ける事を考えてたんだよ、良い口実が出来たって言ってたぜ?」

 

レインはそう言って苦そうに笑い、あの人の腹の内は結局、あんまり理解できなかったとぼやきながら続けて

 

「あんたが、今、集中すべきは目の前のお人好しな軍人のお人好しな戦いだ、間違っても死ぬなよ、お前は俺がいつか殺すんだからな」

 

そう言ってナキにコップに入った飲みかけの水をかけて、自分の陸戦ジムのコックピットに入って行った

 

 

 

「お人好しな戦いか……」

 

ナキはレインに言われた言葉を繰り返して、濡れた髪を掻き上げて、自分の機体に走って行った

 

 

 

 

 

『こちら、指令部、皆さん、聞こえますか?』

 

通信機からアンリの声が聞こえた、マイクで聞こえてると返す

 

『これから、私が皆の指揮を執る、サニーだ、全員、ここまで来たなら後には退けない、最初から出す命令は一つだけだ、絶対に死ぬな、それだけだ、健闘を祈る』

 

隊長機からの通信が入り、全員に緊張が走り、死ぬなという言葉をあんなに重く感じたことはない

 

 

 

そして、絶対防衛戦線はトーチカの発砲音と共に始まった

 

『敵の数は10機!ザクとジムの複合部隊だ!』

 

トーチカに居た兵士が叫び、トーチカによる攻撃を終了し、トーチカから脱出、その一分後、山の反対側からトーチカに砲撃が加えられ、隊長の指揮通りに物事が進んでいく

 

『次!モビルスーツ部隊、スタンバイ!』

 

そう言って隊長率いるMS射撃部隊が、シールドを構えながら一斉放射の構えをとる

 

そして、敵のモビルスーツ部隊だ上半身を見せた瞬間に一斉放射をかけて、進軍していく

 

『ビームを持った奴らは俺たちで叩く!行くぞ!ナキ!』

 

そう言ってレインの陸戦ジムとナキの実戦型ジムが敵の頭上を飛びながら、ビームを持つ敵のジムを3機潰して、ビームサーベルを下に向けて構えながら敵のジムにビームサーベルで穴を開けて、怯む敵にビームサーベルを構えて差し込む

 

 

 

『ジム隊、撃破した、第二波が来る前に一気に肩を付けるよ!』

 

レインが通信に向かってそう叫び、敵の後方で待機していた遠距離支援型MSもどきを破壊しに特攻隊として、レイン専用陸戦ジムとナキの高機動ジムが先行していく

 

 

 

ヴェンデッタMS母艦 司令部

 

 

 

「えぇい!早くモビルスーツを出して出して出しまくれ!相手はたった二機ではないか!」

 

ヴェンデッタ地上指揮官であるアダマス・ワーカーは焦っていた、目の前でMSをばったばったと斬り倒していく二機の見たことのない高性能機に追い詰められているという現実に、精神的に追い詰められていた

 

 

 

これ以上のMSの損失を出せば本部からのお叱りが来る、最悪、打ち首だ、なんとしてでもそれだけは回避しなくてはならない…と頭の中で考えて全力で指揮を出す

 

しかし、指揮官が元連邦だろうと、操作する人間が作業用すらまともに動かすのがおぼつかないジャンク屋達でとても敵うはずがないのだった

 

「ちぃ!ならば巡洋艦による殲滅戦を開始する!全員!戦闘配備!」

 

三隻の巡洋艦が砲撃を開始、MSもそれを援護するように射撃戦を開始したのだった

 

 

 

クラカディール船内

 

『アンリ!現れたぞ!第二波モビルスーツ十二機、巡洋艦三隻!』

 

ナキの声が外の銃声を聞かせながらクラカディールの司令部に響いた

 

「クラカディールの出撃準備を開始!彼らにこの森の恐怖の遺産の力を知らしめるのです!」

 

アンリがそう言って兵士の士気を高めながら、クラカディールが、眠っていたワニが今、目を覚まそうとしているのだ

 

「ジェネレータ出力安定、主力兵器装填完了!敵艦を捕捉!いつでも!」

 

味方の副司令のその言葉にサニーは頷いて、アンリに合図を出し、そしてアンリは息を吸い込んで

 

「主砲!放て!」

 

と叫ぶ、その声を合図に無数の対艦ミサイルが放たれて、突然のミサイルに襲われて、三隻の敵巡洋艦は予期せぬ攻撃を受けて撃沈、アダマスを乗せたMS母艦も中破、そしてヴェンデッタ軍勢のMSは先のミサイル放射とナキとレインのMSにより大半が撃破され、ゲリラの圧勝と言うに相応しい戦況となっていた

 

 

 

ヴェンデッタMS母艦 司令部

 

 

 

ヴェンデッタ地上部隊指揮官、いや、アダマス・ワーカーという男は大きな決断を強いられていた

 

兵力を持たない無力な戦争難民をMSや戦艦などで脅し、捕獲をして月で売買をする、これが彼のするべき仕事である、そのためこのような事態は想定されているものではなく圧倒的な敗北を前にしてこのまま月に撤退するというのは中間管理職である彼にとって立場をかなり危うくされるものである、しかし、自分がMSを使い前線に出た所で今の損害は全く変化しない

 

しかし、しかし、ここで退いても、攻めても状況が変わらないならば

 

「私のザクⅠ改は出撃できるな」

 

低い声で俯いたままアダマスは部下にそう問うた

 

「出せますが、まさか艦長、出撃なさるおつもりですか」

 

部下は俯くアダマスに対してそう聞くが、数秒間の沈黙が続き

 

「この被害を月まで持ち帰れば、あの方は私を必ず殺すだろう、私が時間を稼ぐ間に残ったMS部隊と君らで月に戻りたまえ」

 

部下は、「しかしっ」と何かを言いかけたが今回の被害を招き、責任を取るとなるとこの組織であまり表立っては聞かないが命による償いが強制される、艦長は失態で処刑され死ぬような哀れな最期よりも仲間のために美しく散ろうと、男として、散ろうとしているのだ

 

部下はその男に「分かりました、ご武運を」とだけ言い、戦場に残る僅かなMSや艦内の部下に指示を出して撤退の準備を急がせた

 

そして、アダマスは自分の愛機にコックピットに入り、一年戦争以来乗っていなかった機体の操縦を握り

 

「アダマス・ワーカー、ザクⅠ改、出撃する」

 

そう言って、戦場に赴いた

 

 

 

ナキ視点

 

 

 

敵のほとんどをクラカディールのミサイルが破壊し、戦況はこちらの圧勝を言うに相応しい状況となった、敵残党も逃しても良いくらいに減少しているが、レインは陸戦ジムを起こして、残党狩りを始めようとしていた

 

「レイン、深追いの必要はない、彼らに抵抗できる戦力は残されていないんだ」

 

それにこれ以上接近し、残ったMS母艦が防御網を張り巡らせば、最悪の場合被弾し必要の必要のない被害を出す可能性もある

 

「うるせぇ!敵が弱った今こそ攻め落とす絶好のチャンスじゃねぇか、いまさら怖気づいてんじゃねぇよ!」

 

レインは出撃の時になると血の気が強くなるようだと、ナキは思っていたその時だった

 

「!敵MSの反応あり!レイン!目の前だ!」

 

その瞬間に砂煙の中からジオンのザクⅠにそっくりな機体がレインの機体に突っ込んで来て、レインの陸戦ジムを吹き飛ばした

 

「くっ!死に損ないが!」

 

レインは上半身を起こして、マシンガンを撃つが避けられ、レインの陸戦ジムにワイヤーを射出し、電気系統をショートさせた

 

このパイロットはいままでのMSパイロットとは違う、明らかに戦い慣れしていると実戦経験の少ないナキにも一瞬で理解し、レインの陸戦ジムに接近するザクⅠの前に出てビームサーベルで貫こうとするが、ヒートサーベルによって逸らされ、切り上げが来ると予想したナキはバルカンで敵を一度怯ませ、レインの陸戦ジムを抱えて後ろに一度退いた

 

そして、再び目の前の敵を見る

 

ナキは一年戦争の初期に使われていた機体の後ろに恐ろしい死神の姿を見て、あの少年とは違う強さを前に息を呑んだ


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