ガンダム0082鉄黒の狼   作:木乃 薺

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密林戦だけで10以上行きそうな勢い

マンネリだけは避けたいなぁと思う日々です


密林戦6

「ったく……なんであんな見張り兵程度に捕まるんだよ」

ナキの隣で歩く赤い髪のボーイッシュな女性兵はイラつきながらナキを睨んでいる

「それは、俺にもわからないよ、急に話を聞いてくれなかったんだから」

理不尽にイラつかれるのが嫌だったのかナキも反論をすると「言い訳するな」と切り捨てられた

「………にしても……一瞬、誰だか分からなかった…」

ナキがそう言うと赤い髪の女性兵は鼻で笑いながら

「いつもがこんなんじゃないから気色悪いか?」

するとナキは首を横に振りながら

「いや?普通に綺麗だなーって思っただけだよ?」

ナキの発言に赤い髪の女性兵は驚いたような表情を見せた後に俯いた

「やっぱ、あんた説教受けてきた方が良かったんじゃねーの」

しばらくしてニヤリと笑いながらナキをからかった

ナキは初めて彼女が、レイン・リスキーが笑った顔を見たような気がする

 

「上手く行きました?」

しばらく歩くと、ナキ達を待っていた変装したアンリが居て、話しかけてきた

「上手く行ってなかったらナキを連れてこれてるわけねぇだろ」

とレインは、呆れたように言っている、いつも通りの口調に戻ったようだ

「じゃ、俺、着替えてくるから、ちゃんと隊長と話つけてこいよ、ナキ少尉」

ナキを煽るようにそう言ってレインは自分の部屋へと戻って行くのだった

「さてと、とりあえず隊長に説明するから着いてきてよ」

そう言ってナキはアンリを隊長の部屋へと案内した

アンリはジャブロー基地の内装などが珍しいからか夢中になって辺りを見渡している

たまにナキに質問をして色々な知識を得ていた

「ここがサニー隊長の部屋だ、俺が話をつけるからアンリは詳しい説明を頼む」

ナキの顔には緊張が見られたが声は落ち着いていた

「はい、分かりました」

アンリはナキの質問に頷いてそう答えるとナキは隊長の部屋を開けた

「サニー隊長、失礼します、ナキ・ナズナ少尉であります、お話をしに参上しました」

ナキがそう言うとサニー隊長はナキの顔を見て

「……久しぶりだな、ナキ少尉、君が隊長に無断で単独行動とは、ずいぶんと私たちの隊を危険に陥れたいようだな」

サニー隊長がナキを睨む、かなりご乱心のようだ

それもそうだ、隊員の勝手な判断による単独行動は隊の壊滅も招きかねない

ナキが何か言おうと口を開けるとサニー隊長は「言い訳は言わなくても良い」と言って発言をさせない

「君に決断する自由を与えよう、チャンスは一回だ」

サニー隊長の重い口が開いてナキにそう言った、ナキは息をのみながらサニー隊長の言葉に聞き入っていた

「責任を取り、この隊を去るか、責任を取り、軍を抜けるかだ」

サニー隊長はナキを睨む、ナキを試しているのだ、軍人として、一人の男として

この二つの選択肢、ナキがあのゲルググの少年を追うのなら前者を選ぶべきだ、だが、本気で責任を取るなら後者を選ぶべきだ

アンリはナキの後ろでドキドキとナキの判断を待っていた

「…………自分は…この隊を出るつもりはありません」

ナキが選んだのは選択肢以外の選択だった

「……それは、お前が決められる事じゃない、なんなら宇宙のコロニー開発部に飛ばすことも出来るんだ」

ナキの判断にサニー隊長は睨みながらそう言ってくる、しかし、ナキは動じない

「サニー隊長は信念を持ち目標を目の前にしている隊員にそんな事をするような人じゃありません」

すると、サニー隊長はふんっと鼻で笑いながら

「何をもってそんな事が言える、根拠はなんだ」

そう聞かれるとナキは真っ直ぐにサニー隊長を見て

「信じているからです」

「信じる?青臭い若僧が言いそうな考え方だな」

サニー隊長はナキの回答を鼻で笑った、しかし、ナキはやはり真っ直ぐにサニー隊長を見ていた

「サニー隊長も青臭い若僧が言いそうな考え方を信じているから、自分はサニー隊長を信じているんです」

ナキがそう言うとサニー隊長とナキの間に一分程の沈黙が流れていく

「ナキ・ナズナ少尉、君は良い勘をしていた、無事に帰還したのを嬉しく思う、よって我が部隊での復帰を命ずる」

サニー隊長が沈黙の中、そう言って優しくおかえりとナキに言った

そこには、先程までの厳しそうな隊長の姿はなかった

「ところで、隊長、お話したいことは別にもう1つあるのですが良ろしいですか?」

そこからナキは今まで、アンリの村の話やヴェンデッタについても話した、アンリもナキが説明できない細かな事も伝えてくれた

「なるけどな……話はわかった、それで私は何をすれば良いんだ」

大体の事情を伝え終わり、サニー隊長はナキにそう聞いてきた

「敵の戦力は未知数です、それに敵は連邦のモビルスーツを保有しています、だから、隊長やレインやフライさんの力を借りたいんです」

ナキがそう言うとサニー隊長は少し考えた

「………わかった、だが、そんな大きな敵なら本部に応援をかけた方が良いんじゃないか?」

サニー隊長がナキにそう聞くとナキは暗い顔になりながら

「敵は連邦軍の深層部で繋がっている可能性があるんです」

サニー隊長はそれを聞いた時に一瞬、驚いたような顔を見せたが大きく頷いて「わかった」と力強く了承してくれた

「そういえば、ナキ少尉、君のジム試験機が改装されたというのはここに来るまでに聞いたかね」

ナキにとっては初耳の情報だった

「試験機から正規導入も可能な性能測定機としての改装が決まったらしい、更なる戦果を期待するよ」

ナキにそう言って、ナキのジムがある場所のカードキーを手渡した

「多分だが、そこにはそのジムの開発の第2責任者がいるが、変わった人だが、悪い人ではない、彼に機体の説明を聞いてくれ」

それを聞き終える前にナキはそのジムの場所へと走って行った

「やれやれ、私も若いと思っていたが、あれほどの若さはないな」

サニー隊長は優しそうに笑いながらナキの背中を見守っていた

 

 

 

 


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