ボルドーの熱意により、村の人々の決意はこの小さな火種から、燃え上がる炎のように強くなり、ヴェンデッタと戦う覚悟が出来ていた
ケンイチさんを筆頭に、クラカディールという戦艦の修理作業を行う事になった、ジオンのMSも動くようで、操縦方法を村の人々が学ぶなどをしていた
そんな中、ナキはアンリに教えてもらい、ジャブローの連邦軍基地の本部へと向かっていた
サニー隊長ならきっと力を貸してくれると信じ、夜も近づくジャブローの森林を歩いていた
「……………大丈夫?」
アンリが歩きながら声をかけて来たのでナキは「何が?」と返した
「…………うぅん、なんでも…」
しばらく間を開けてアンリは口を開け、なんとも言えないような返答をした
「…………なんか、難しそうな顔してたから、どうしたのかなって思って……」
アンリはまたしばらくして、ナキにそう言った
「あー……ごめん、考え事してたからさ」
と、ナキは申し訳なさそうに笑いながら返すが、考えていた事は笑えるような話ではなかった
ナキが考えていたのは、この村に入る前から気になっていた事、そう、ヴェンデッタという組織に連邦軍が荷担している事だった
確かに、アナハイム社と連邦軍の繋がりは聞いてはいる
ファッブロはジャンクパーツを扱うアナハイム社の子会社の一つだが、アナハイム社の子会社が人身売買、さらにそれを軍事利用なんて許すわけがないし、連邦軍もそんな人間の軍事利用なんて考えられない……
だが、近年でて来た得体の知れない組織、それで説明すれば全てに納得がいく
「過激派連邦軍」
連邦軍の裏で暗躍する彼らなら、と
ナキは頭を働かせていながら、森林を歩いていると、周りが森林から徐々に開けてきて、最後に少し急な坂を登ると連邦軍基地ジャブローがナキの前に姿を表した
「わぁ……ここが…ジャブロー……」
と、その大きさについ、ナキは感嘆の声を上げてしまった
「ナキはジャブローに来たの、初めてなの?」
感嘆の声を上げたナキに対してアンリは首をかしげながら聞いた
「うん、俺、コロニー生まれだったからさ、本物見るの初めてなんだよ」
ちょっと子供っぽかったかとナキは思いながら、アンリに返答するが、連邦軍の兵でないアンリが入って良いものかと考えて
「ちょっと待ってて、アンリも入れないか聞いてくるから!」
アンリにナキはそう言ってジャブローに走って行った
なんとかアンリも入れないかと連邦軍に話をしたが、身元のわからない人間を入れる訳にはいかないと言われてしまったので途方にくれていると
「ナキ・ナズナ少尉?」
と後ろから懐かしい声が聞こえてきてナキが振り向くとそこには真っ赤な帽子をかぶったレイン・リスキーという知り合いが驚いたように立っていた