お母様と英雄王?であるギルガメッシュさんによって、私と兄と彼で風間大尉の基地を訪れていた。防衛陸軍兵器開発部の真田さんが基地を案内してくれるそうで、案内を下士官に任せなかったのは兄に期待しているからだという。
真田さんに案内されたのは天井の高い体育館だった。ビルの五階建てくらいの高さの天井から、何本もロープがぶら下がっていて、兵隊さん達が大勢、ロープを登っては天井近くから飛び降りていた。...普通なら骨折くらい当たり前の高さでしょうに。
兵隊さん達は五十人前後で、全員魔法師だ。例の不良兵士の桧垣上等兵の姿も見える。あの人、魔法師だったのね。
風間大尉は私たちではなく、兄を待ち受けていたとそう思った。
「早速来てくれたとは、軍に興味を持ってもらっていると解釈をしてもいいのかな?」
と風間大尉は兄に厳つい顔に不気味な笑みを浮かべて話しかけた。
「興味はあります。しかし、軍人になるかは...」
兄は彼を見つめている。
「あの様な雑種供と共に訓練するなど、我が許さんぞ、達也よ」
相変わらず歯に衣着せない発言ですね...
風間さんは顔をしかめていた。そりゃ怒りますよね。
「貴方は?...それより私の部下にそのような呼び方はやめて欲しいのだが。」
と彼に向けて威圧感?をかけながら言うのだが、彼は当然その威圧にビビるらなかった
「たわけ、敵の浸入を許す軍の者を雑種と呼ばずになんと呼ぶ?」
彼は風間大尉を睨んでいた。私でもあんなに強く睨まれたことはない...
「それは...本当にすまなかった...」
風間大尉が、怯えてる?
「...まぁ良い、我の寛大な器をもってして特別に雑種呼ばわりは控えようではないか、これで満足か?道化よ」
貴方絶対許してないでしょう...
その後、私は兄が何故魔法師である事がわかったかを聞いてしまい、不審を持たれてしまったが、兄が助けてくれました。彼は焦っている私を見て大笑いしてました...。
でも何故、普通の兄妹のように、私のことをかばってくれたんだろう?
☆
ロープの訓練が終わり、兵隊さん達は組手の訓練になった。空手と拳法の区別もつかない私は退屈してしまった。
「司波くん、見ているだけではつまらないだろう?組手に参加してまないか?」
と風間大尉が兄に向けていった。
「達也よ、我もこの光景に退屈しておったところよ。貴様の格闘術が道化らに何処まで通じるか見てみたいぞ。」
と彼も兄に向けていった。彼も、退屈していましたのね...
「そうですね、せっかくですからお願いします。」
と言うと兄は私の方をチラリと見た。もしかして、退屈していたのを、完全に見透かされた?
カーッっと顔に血がのぼる。
に、兄さんなんて、滅茶苦茶にやられてしまえばいいのよ!
と心の中で叫んでいた。だけど『兄さん』と呼び方に対する違和感を消し去れず、自分の心が、良く分からなくなっていた。
☆☆
兄の相手はもちろん大人の軍人でしたが次々と相手を余裕を持って倒していた。最後の相手であった南風原伍長と兄が握手を交わし、その周りに人垣が出来ている。風間大尉曰く南風原伍長はこの隊でも指折りの実力者らしい。風間大尉は、何か特殊な訓練を受けているのかと尋ね、兄は稽古をつけてもらったと返し、風間大尉は深く詮索しない代わりに、もう一手お付き合い願いませんかと言われていた。私は申し出をやんわりと断ろうとしたが、
「自分にやらせてください!」
と最近聞いたばかりの声に遮られた。
一歩遅かった。
「桧垣上等兵、報復のつもりなら、認めることはできないぞ」
「報復ではありません、雪辱で...す」
桧垣上等兵の顔色が悪くなっている。多分、いや、十中八九彼のせいだろう
「フハハハハ!誰かと思えばあの時の雑種ではないか!達也に、いや、中学生とやらに軍人が雪辱とは!貴様は道化の才能があるぞ、ここをやめて道化として生きる方が良いのではないか?」
凄い。軍人にそんなこと言えるの貴方ぐらいですよ。
「達也よ、我は満足したから帰る。深雪、貴様はどうする?」
本当なら帰りたいけれど...
「私は、兄と居ます。兄の組手を見てみたいので...」
私は残ることを選択した。
「そうか。達也よ、深雪を任せたぞ」
「わかりました」
彼は私を見て笑うと基地を後にした。
何故私を見て笑ったのだろうか?
その後兄は桧垣上等兵と相手をし、見事に兄が勝ち、途中で桧垣上等兵の魔法を解除した、いわゆる術式解体を発動させた事について聞かれ、CADについても軍人さん達と兄が話しているのを私はずっと見ていた。
「ところで、一緒に居た金髪の人は誰かね?」
金髪っていうとおそらく彼のことだろう
「あの人ですか...申し訳ありませんが回答を拒否します。」
「それは何故かね?」
「ここの人に名前を教えるな、と彼に言われましたので」
「そうか、ならば彼は魔法師なのかね?」
「魔術師の真似ごとはしたことがあるとは言っていますが、魔法師ではないと本人は言っています。」
「ほう。しかしあの様な言動はなんだ?立派な魔法師ならともかく魔法師でない彼は我々にキツくはないかね?」
「言動がキツイ理由は彼より弱いからでしょう。」
「...我々が弱いのか?」
「彼が強すぎると言うのもあります。自分でも勝てる気がしません。」
「...彼は何者なのかね?」
「自分の師匠であり家族です。」
「そうか。」
二人はまた違う会話をはじめた。
映画、最高でした。