転生して気が付いたらIS学園で教師やってました。 作:逆立ちバナナテキーラ添え
オッス、オラ転生者。
はい。
皆さんはじめまして。私、石井と申します。
先程申し上げた通り、転生者と呼ばれる人種(?)です。前世でひょんな事からポックリ逝っちゃいまして、黒いシャツを着た男に転生させられました。
「鼻☆塩☆塩」
「はい」
「あれは今から36万・・・いや、1万4000年前だったか……」
「あくしろよ」
「ファッ!?」
と、まぁこんな感じでありがちな真っ白い空間でのお話が始まりまして
「お前死んだんだけど、転生出来るらしいよ?」
「へぇ」
「どんな所がいい?」
「AC6が出てる世界」
「ダメです」
何でや!?ACEは新作出たやろ!?何でや!?→身体は闘争を求める→ACの新作が出る。
「んじゃぁ、女の子がいっぱいぱいでおっぱいぱいな世界がいいな」
「おK」
「あ、それと……」
「何だ?」
「────」
この辺何て言ったか覚えてないんですよね。すっぽり抜け落ちてるというか、何というか。まぁ大したことは言ってないでしょ。
そんな感じで私は転生した訳でございます。
ん?質問?じゃあそこのセガ・サターン振り回してるアナタ……え?前世では何やってたんだって?
あぁ、傭兵やってました。フロム的な意味でも傭兵やってたけど、職業として傭兵やってました。陸自入って、仲良かった同僚とフランスの外人部隊行って、任期が終わってからはフランスで仲良くなったカナダ人とPMC入って傭兵やってたって訳です。
この際だから言っちゃうけど、死因はイラクで仕事してて気付いたら流れ弾に当たって死んじゃったていうね。これまで何人も殺してきたんだから、いつかはこんな日がくるんだろうなとは思ってたけど、案外死ぬときはあっさりしていたからびっくり。好き勝手してきた報いというやつだね。
まぁそんな訳で転生した訳で、ぼちぼち生きてます。
何事もなく小中高と出て、大学では工学部に入って将来はなんか研究の方でも進もうかなと思ってました。もう傭兵なんて血生臭い仕事はやだからね。まともな職に就こうとね、思ってたんだけどね……世の中そんなに上手くいかないようで。
教授の鞄持ちでついていった学会でとんでもない物が発表されました。
IS『インフィニット・ストラトス』。無限の成層圏の名を冠した宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツ。
教授も私も胸が踊った。こりゃあすげぇ、既存の宇宙服なんて目じゃないぞ石井。俺らも宇宙目指しましょう、教授。てな具合に。女性しか扱えないなんて細かいことはどうでも良かった。ロマン、大事なのはそれだ。
しかし学会の老醜どもはこれを一蹴した。ファンタジー、夢物語、戯れ言、他所でやってくれ。言葉は様々だったが、ロマンの塊をこてんぱんにこき下ろした。発表者──篠ノ之博士に拍手したのは私と教授だけ。形骸化し、腐りきった屑ども。金のなる木に群がる害虫。学会のゴミたちは篠ノ之博士の夢を踏みにじった。
その後起きた白騎士事件で世界の軍事史は転換点を迎えた。それまでISを机上の空論と嘲っていた連中はISの持つ軍事的価値を目にした途端に掌を返し、ISを世界最強の兵器として担ぎ上げた。
それに伴い、男を見下すような風潮が世間に広まった。女尊男卑社会。生き辛い世の中になってしまいました。
教授は実家の家業を継いで、私もそこに就職しようとしてました。
しかし、どうやら神様は私のことが相当に嫌いなのか……誰が私の二度目の人生をハードコアな物にしたのか……。
知り合いとイベントに行って、そこで展示されてISに触ったら、あらびっくり。何か装着されちゃったじゃないですか。
いやね、わざとじゃないんですよ。ちょろっと触れただけなんすよ、何なら事故なんすよ。躓いて、指先が装甲を掠めただけなんすよ。
周りはもう静まり返っちゃって、私をガン見するわけでございます。てめぇ、なに男の癖にIS動かしとんのじゃコラみたいな?そんなに見られたら……恥ずかしいよぅ……/////……なんて言う暇もなく、拘束→護送→監禁という三連コンボ。相手は死ぬ。
この後ナニカサレルんだろうなとか思ってたら篠ノ之束に拉致られ、保護され、助手やって、私兵やって、強化人間になって、それからも紆余曲折あり今に至ります。
前世がアレな感じだったからやっぱまともな人生は送れないのかね?
え?また質問?しょうがないなぁ……じゃあ、そこで醤油がぶ飲みしてる君。今現在は何してるんだって?
あぁ、そうですね。言ってませんでしたね。では、改めて……
私、IS学園で教師をしてます石井と申します。以後、お見知りおきを。