佐藤和真はKOOLになった。   作:サルタナ
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今回からある程度正気を取り戻します。
あと魔銃うんたらかんたらと表記するのは中身は別物なので違うかなと思い拳銃とか銃と言った感じで表記させていただきます。


KOOLな冒険者に異世界の辛さを

討伐クエストを受け、ジャイアントトードがいるらしい草原に俺は足を運んだ。

「マジでカエルかよ」

そしてジャイアントトードは名前の通り巨大なカエルだった。初心者向けの敵と言うだけあって基本的にはじっとしていて動かない。これならいい的だと俺は100m程距離を空けてホルスターから銃を抜き、両手でしっかりと構える。威力の把握が目的な為もう1丁はホルスターのままだ。

「狙いをつけて……ッ!」

拳銃の引き金を引いた瞬間、目の前でボケーッとしていたカエルの腹にオシャレな風穴が出来た。少し手が痺れたが狙い通りの場所に当てれたし想像より反動は少なかった。ただ音がやっぱ大きいな、これじゃあ他のモンスターを刺激するし、よく考えると銃弾一発で動物が即死するかも怪しい。何かで読んだが確か虫とかは頭が潰れても生きていられるとかなんとか……

「ゲゴォ!」

ほらやっぱり生きてる、でも今鳴いたと同時に吐血したぞこのカエル?なら何発で死ぬのか試すのもアリだな、なに、銃弾は無限だ。気にすることは無い。

「という訳で2発目ぇえ!!」

問答用無用で2発目を撃って見るが意外と反動が少い、まぁコイツ自体架空の銃だし本当はもっと跳ねるのかも知らんがどうでもいい。それよりも2発目によりカエルは最初と比べもう動くのも辛そうだ。これならあと1、2発撃てば倒れる感じかな、という訳で

「もう1発おかわりじゃオラァ!」

3発目でピクリとも動かなくなったカエル、試しに倒した相手が表示されるらしい冒険者カードを見ると討伐履歴には確かにジャイアントトードの名前が刻まれていた。絶命の確認にも使えるとかほんと便利だなこのカード。

「じゃあこの調子でどんど…ん……」

カードをジャージのポッケにしまい顔を上げるとあら不思議、周辺には1、2匹しかいなかったジャイアントトードさんが私めを10匹ほどで囲っていらっしゃるじゃあありませんか、そうだよね、俺自分で銃声で他のモンスター刺激しちゃうって分析してたよねぇ!?

「こうなったらやってやらァ!」

俺の武器はこの拳銃のみ、なら追加で呼ぶの覚悟で離脱、いや、これはレベリングだ!銃でカエルを殺す→銃声を聞きつけてカエルの増援が来る→銃でカエルを殺すの無限ループ、あぁ、序盤のレベリングは当たり前だよなぁ?

「それにこの数なら狙いが甘くても当たる!」

もう1丁の方も抜き、2丁拳銃のスタイルになる俺、そうだ、何かのマンガで見た銃の反動で別の相手に銃を向ける戦法を練習出来るしガンカタ……あれ?アルカタだっけ?も実戦で学べる。つまり今の俺はシェルター内で周りをバブルに囲まれた冒険者がただひたすらにバブルを殴り続けて武器スキルを上げるのと変わらない、easygameだぜカズマ!

「俺の傍に近寄るなああーーッ」

跳びかかろうとして来るカエルに向かい銃を撃ち、跳んでしまったカエルに銃身を叩き付ける。前言撤回、俺にリアル廃人プレイは無理です。という訳で無理やり突破口を開き俺が飛び出してきたアクセルの街まで走る作戦に移行しようそうしよう。

「うぉおおお!!」

雄叫びを上げ、周りの敵をガン無視し街の方角に立っているカエルに向かいダッシュ&銃撃、だが誤算があった、カエルはその場で倒れるのだ。つまり何が言いたいのかというと今の俺の現状は災害時に逃げようとしているのに非常階段には酔っ払ったオッサンが寝ていて踏み越えなければならないそんな状況、もしくは非常階段に荷物があって邪魔でも可。

「クソぉ、俺は生きる!生きてまだ見ぬバインバインな美女と添い遂げる!」

でも結局は乗り越えて逃げなければいけないわけで、俺はハリのないバランスボールみたいな弾力をしたカエルを踏み越え、涙と鼻水と唾液を混ぜながら必死に走る。ただこの酷い状況でもいい事はあった。俺の拳銃、注文通りどんなものでもぶち抜くようで縦に並んでいたカエル3匹をいとも容易く撃ち抜いたのだ。最初の1発はカエルの体内で止まっていた気がしたが、もしかしたらこの銃の貫通力は俺の意思によって決まるのかもしれない。これはいい情報だ、そうだこの俺佐藤和真は転んでもただでは起きないのだァ!

「あ、待って飲み込まないで俺美味しくないからァ!?」

飲み込んできたカエル蜂の巣にして脱出しました。

「はぁ、はぁ……」

傍から見たらギャグじみた逃走劇を勝利で収めた俺はベタベタな状態のままギルドへ戻ってきた。中へ入ると案の定と腹を抱えて笑う居酒屋の客とこちらもやっぱりかと苦笑しながら見ているギルド職員たちの視線に晒される。

「ギャハハハハ、やっぱり尻尾巻いて戻ってきたか、この賭けは俺の勝ちだな!」
「チッ、もしかしたらと思ったが実力の伴わない方だったか」

居酒屋の方からそんな声が聞こえるが安心しろ、確かに逃亡はしたが目的は達成したんだ。俺でギャンブルをしていたヤツらに顔を向けてニヤリと笑いかけてやりたいくらいだが我慢だ。まずは報告をせねば。

「すみません、確認お願いします」
「え、逃げ帰ってきたんじゃ……いえ、何でもないです。では確認しますね」

おいこの受付嬢逃げ帰ってきたんじゃって言ったぞ、美女からの罵りを喜ぶ趣味は多分無いぞ俺、まぁいいや、これで受付嬢や周りの認識を変えてやろうと俺は意気揚々と冒険者カードを提出する。

「ジャイアントトード討伐が……8匹、ノルマ以上じゃないですか!どなたかとパーティを組まれたんですか?」

まぁ誰かに助けてもらったのかと疑われるよな、そんなのはお見通しだぜ!

「え、ソロですけど……?」

だから敢えてそんな選択肢あったの?もしくはこれくらい1人で当然でしょ?と言った態度を取る、これで周りから期待の新人として持て囃されるはずだ。そうすれば少なからず話の種になりそこからコミニティが広がり俺は無償でスキルを学び放題、完璧な作戦だ!

「冒険者がソロで……凄いことですよこれは、死体の回収と確認はギルド側が後ほど行いますので先に達成報酬をどうぞ、トードの売値は後日お渡ししますね!」
「しゃあああああ!!これで10万エリスは俺の物だぁああああ!!」
「キース待ってくれ!今月はこれ以上金がなくなるとマジでヤバイんだよなぁパーティメンバーの好だろ許してくれぇえええ!」

受付嬢は興奮気味に報酬金を手渡し、それに伴い周りもガヤガヤと騒ぎ出す。価値観はまだ分からんが10万も賭けたのかアイツら……、とか思って眺めていると掛けに負けた男が俺を睨みつけながらズカズカと歩いてくる。くすんだ金髪に赤い服。瞳は赤色で、左目に泣き黒子とワイルドなイケメンだが今の感じ中身はクズな気がする。待って、やな予感すんだけど、ねぇ、こっち来ないでくださいお願いします。

「テメェのせいで今週は酒が飲めねぇじゃねぇかド畜生がぁあああああ!」
「なんで俺につっかかってくんだよ!?」

案の定、この金髪は俺に絡んできた。いやほんと、勝手に俺で賭けて負けたの言われても困るんですが……、まぁ適当に励ませば何とかなるか?

「そんなにやけっぱちにならなくても、次回で倍取り返せばいいじゃないか、誰にでも辛い時期のあとは幸福がある筈だ!」
「じゃあテメェが俺の損した分の倍寄越せやァ!」

ダメみたいですね。頭に血が上りすぎてるようで金髪は俺の胸倉を掴み揺らしてくる。ヤメテ!俺のジャージ伸びちゃうからぁ!あとその右後方に待機している拳は何なんですか辞めろこっちに突き出そうとするんじゃない!

「ダスト止めろ、ソイツは何も悪いことはしてないだろ」
「そうよ、どう考えても自業自得じゃない」
「うるせぇ、俺を止めたきゃ身体をふん縛るか止まるような脅しをして見やがれ!」

と言いながらその拳で俺を殴る金髪の男、どうやらダストというらしいこいつはぶっ倒れた俺に馬乗りになり再び拳を振り上げる。クソッタレ、この世界に来てからいいことなんて一度もないな、俺は訪れる痛みに耐えるため歯を食いしばり目を瞑る、やるなら一撃で気絶するようにお願いしますこの野郎。そう思っていた時だった。周りの冒険者がダストを止める中、突然パンパンと手を叩く音が聞こえた。

「じゃあダスト君、これを見てもまだそんな放漫でいられるかな?」

人ごみを掻き分け現れたのは銀髪と頬の傷が特徴的な女性だった。俺じゃなかったら男と間違えちまうくらいスレンダーで美形だがほんの僅かな胸の膨らみが申し訳程度に女性であることを主張している。そんな彼女は手に持っていたものをダストに見せつけ声を張り上げる。

「どうしても止めないのなら今日はこの財布の中身を使ってみんなで宴会をするよ?」
「すみませんでしとぉあぁあああああ!!」

どうやら手に持っていたのはダストの財布らしく、目にも止まらぬ速さでダストは銀髪の女性の前で土下座をし許しを乞う。彼女は割とえげつないなとかこの世界にも土下座はあるのかとかそんなどうでもいいことを考えながら、ふと俺が助かったことに気がつき、殴られた箇所を擦りながら立ち上がり片手を差し出す。

「俺はカズマ、ありがとうな、助かったぜ、えっと…」
「私はクリス、同じ冒険者なんだから、困った時はお互い様だよ。それに今回は運良く財布を1回でスティール出来ただけだからね」

こちらが握手と名前を求めているのに気が付き、彼女はそれに応える。いいなぁこういう会話、なんか心に来るわ。

「それでも助けてもらったんだから礼を言うのは当然だ。ありがとう、クリス」
「アハハ、そう言われるとちょっと照れちゃうな」

俺の感謝の言葉に少し頬を染めるクリスに一瞬でも男と思ったことを心の中で謝罪しつつ、俺はそういえばクリスが面白そうなことを言っていたなと思い出す。

「なぁ、ところでスティールってなんだ?」
「ん?ああ、スティールは盗賊のスキルで成功するとランダムで相手の持ち物を奪うんだ。そういえばカズマの職業は冒険者なんだっけ、丁度いいから実演してあげるよ」

ランダムで持ち物を奪うスキル、さっきはそれでダストの財布を奪ったのか、戦闘には使えなさそうだけど何かに使えるかもしれないと思い、掌をこちらに向けているクリスを凝視する。別に他意は無い。あったとしても向こうが気づいていないのでセーフだ。

「じゃあ行くよ、『スティール』!」

そう言った次の瞬間、クリスの手には俺の銃が1丁握りしめられていた。

「すげぇ、マジで気づかなかった…」

目に見える範囲のものが盗られるか盗られた物を使おうとした時でもなきゃ絶対に俺は気がつけない。こりゃ運が良ければ一発逆転にも使えるぞ。

「そのスキル、いや、お前の持ってる全部、俺に教えてくれクリス!」

覚めやらぬ興奮のあまりクリスの手を掴み懇願する俺、現実では親と近所の小学生以外とは久しく話していない俺だがこんなチャンスを吃って逃がすほどバカじゃない。今のを見て確信した、スキルが無ければこの世界では生きていけない。しかも俺は現状ソロ、一つでも多くのスキルを覚え、低い生存能力を高めなければいけない。 その熱意が伝わったのかクリスは楽しげに応じてくれる。

「私も今日はオフだからそれくらいお易い御用だよ、じゃあ今言ったスティールの説明からいこうか」

それから暫く、騒ぎも収まり流れ解散のようになったギルドでクリスによる俺へのスキル指南が行われた。

「これで盗賊スキルは一通り説明したけど、何か質問ある?」
「いや、これといったものは無いな、クリスの説明もわかり易かったし後で吟味しながらスキルを習得するよ」

スキルの説明と実演が全て終わり、俺は頭の中で現状必要であろうスキルをピックアップしてあるのであとは今言った通り、俺が現在カエル狩りで得たスキルポイントを考慮し更に吟味するだけだ。その旨を伝えた後、クリスはそっかと微笑んだ後、ニヤリと、これまでとは違う笑みを浮かべる。

「じゃあこいつは授業料で貰っていくよ」

そう言うとクリスは先程俺へ返却されたはずの銃とこの世界で手に入れた金を収めたばかりの財布が握られていた。まぁ確かにここまで美味しい話、怪しまない通りはないが俺も美女と異世界で頭が可笑しくなっていたようだ。ならここは冒険者らしくもっと自由にやらせてもらおう。なぁにここは日本じゃない、多少の無礼は許されるし俺はまだ捕まりたくないので正面から奪い返そうではないか。クールダウンし、ようやくまともにものを考えることが出来るようになった俺はクリスのしたり顔とは比較にならない、邪悪な表情をしているのだろう。

「あぁ、授業料ならしょうがない持って行けばいいさ」
「おや、素直だね以外と」

互いに笑を浮かべる俺とクリス、ちなみにその時ギルドにいた他の冒険者一同に聞くとクリスはイタズラが成功した子供のような笑みだったが俺のは悪魔みたいな笑みだったらしい。

「俺は先輩からの餞別をありがたく貰ってくから」
「へぇ、じゃあやってみなよ、こっちは2つ貰っちゃったし君にも私の物を2つあげるよ。まぁ何が手に入るかは君の運次第だけどね」

手早くカードを操作し、窃盗スキルを習得した俺はすぐさまそれを実行する。運任せとは実に俺向けだ。

「『スティール』」

まず一回目、確かな感触と共に握られていたのは俺の財布だ。出来れば向こうの財布か高そうな装備品を盗りに行くか

「『スティール』」

二回目の窃盗スキルを使用した時、俺は確信した。これは当たりを引いたと、触り心地は良く、上質な布だ。変に緊張しながら俺は手元に目をやるとそこには三角形の黒い布地……。

「ヒャッハー!当たりも当たり大当たりだァ!」
「わああああああああああああああ! ぱ、ぱんつ返してええええええええええええええええええええっ!」

クリスは自分の短パンを抑えながら、涙目で絶叫した。



と言った感じでクリス登場です。ダクネスは家の事情で居ないだけです。あとカズマさんのキャラがどんどん行方不明になりそうで怖いのでしばらくしたらキャラ崩壊注意のタグ付けときます。

追伸、作者はweb版の知識しかないです。書籍版はビジュアルしか知りません。まだハッキリと決めてはいませんが年齢なんかの描写は決まるまで皆さんのお好きな方に任せます。ただしクリスが短パンなのは譲りません。