ろりこん ~提督とおかしな建造マシーン~ 作:TS百合好きの名無し
「あー!今日も働いた働いた!!」
今日も会社が終わってすぐにパソコンで艦これを起動。
『テートクが鎮守府に着任したネー!!』
『したネー!』
「んーと、確かまだ演習やってなかったよな……」
金剛を旗艦としてメンバーは加賀、瑞鶴、大井、北上、暁に決定。
「演習開始っと」
演習相手をクリックし、陣形を選択する。画面に表示される「戦闘開始」の文字。
「……」
普通、この後は演習時のあのBGMが流れてきて戦闘が始まるのだが俺の艦隊には例のスピーカー&マイク装備の加賀がいる。別に艦載機もきちんと載せているので戦闘については問題ない……が、
『今日はこの曲ね……最後まで歌い終えられるのかしら』
突然流れ出す超○磁砲のOP。俺が彼女に以前CDを貸した事があるのだが、どうやら気に入ったらしい。演歌の上手い加賀だがなんとアニソンもかなり上手い、この超○磁砲OPも歌にかなりの力強さがこもっており迫力満点なのだ。画面が艦これだからめっちゃシュールだけど。
まずは航空戦……烈風を積みまくっているので制空権は優勢であった。続いて開幕魚雷を撃つハイパーズが相手の艦娘を2人中破に追い込む。
『……うふふ、あの娘なかなかいいパンツ穿いてますね』
『絶景だねえ……見るだけなら私は何も言わないよ』
ちなみに中破したのは駆逐艦であった。大井はこの時でも頭に例のこんごうのパンツを被ったままのグラフィックで絵的に完全にアウトだし、発言もアレだ。
(そしてうすうす感じていたが北上もロリコンの可能性ありだ……初めて大井を懲らしめた時に駆逐艦は愛でるものとか言ってたし)
「というか意図的に駆逐艦を狙って撃ってたりして……」
……まあ、ハイパーズは置いといて砲撃戦を見守る。
『バーニングラァァブ!!』
『ラァァブ!!』
うん、こいつらもおかしいわ。金剛と一緒にこんごうも砲撃してるから実質7対6の演習だよこれ。
『アウトレンジで決めたいわね!』
ずっと思っていたんだが砲撃戦が始まってる時点でアウトレンジもくそもない気がするとツッコミたくなるのは俺だけなのだろうか。
『鎧袖一触よ』
『加賀さん素敵!』
1ターンキルの完全勝利である。結局加賀が曲を歌い終える前に戦闘終了だ。サビの良いところだったんだけどなあ……
『私、一発も撃ってないんだけど……』
くじけるなレディ。
『ワタシがMVPデース!!』
『デース!!』
もう俺の艦これは絶対に自室以外でプレイ出来ないな……バグりすぎだ。こんなの友人が見たらなんと言うのだろうか。
「それにしてももうすぐ夏か……イベントも近いが貯蓄が心もとない」
こいつらでイベントに参加したら面白い事になりそうだ。
(そろそろ新しい艦を建造してみるかな?)
「あ、テートクおかえりなさい」
「おう、ただいま。実はここにそろそろ新しい艦をまた迎えようと思うんだが一緒に行くか?」
「もちろんデース!」
こんごうと一緒に例の建造マシーンのもとへ。
「んーと、今回は最低値レシピでも回してみるかな」
「ということはくちくかんねらいデスか?」
「ああ、追加資材は……ギャルゲーもあるのか……本当になんなんだこのラインナップ」
「ギャルゲー?」
「主人公がヒロインの女の子たちとキャッキャウフフするゲームだ」
「……テートクもやったことあるのー?」
「基本的にやった事がないが、ノ○シスとかいうヤンデレ系ゲーならやった事があるな。スマホゲーだけど」
「フーン……」
「キャラが可愛いし意外となかなかストーリーが面白くて……って、なんだ、妬いてるのか?」
「べつに」プイッ
「今はこんごうが一番だから安心しろって」
「……ん」
結局、追加資材をギャルゲーで設定した。
「あれ?ギャルゲーのタイトルまで選ぶ必要があるのかよ」
端末にタイトルが表示される。
〈ドキッ!真夏の水泳大会~ポロリもあるよ~〉
〈人妻団地~僕はこの人に弱みを握られている~〉
〈ロリっ子パラダイス~集まれロリコンたち~〉
〈恋は戦争~君は最後まで貞操を守れるか~〉
〈言えない本音~気付いて私の気持ち~〉
(うーん……どうすんだよこれ)
一番最後のヤツが無難な気がする。
「よし」ピッ
『建造開始スルデスー!』
『ガッテンダ!』
『ア、私ノ大好キナギャルゲーダコレ』
ゴウウウン……
『資材投入!』
『少ナイカラ早イデスー』
『ギャルゲー投入!』
『『『ヨシ、バーナーダ!!』』』
建造が終了しドックの扉が開く。
「お?」
「……おー?」
中から出てきたのは長い紫髪のサイドテールにセーラー服、こちらをにらむ鋭い眼光を持つ少女。
「駆逐艦曙よ。って、こっち見んなこのクソ提督!!」
「ぼのたんだ」
「あけぼのデース……」
「あんたが提督よね」
「ああ、ちなみにお前も俺の事を知ってる感じ?」
「……まあね」
「ようこそ?」
「あーあ、鬱だわ。あんたと実際に会う事になるなんてね」
〈嬉しい嬉しい嬉しい!!〉
「……ん?」
「あけぼの!テートクにむかってなんてことをいうのデスか!!」
「……あんたもしかして金剛さん?」
〈なんか幼いなあ……〉
「Yes!ちっちゃくなっちゃったケド、テートクのおヨメさんのこんごうデース!!」
「ふーん、やっぱりそうなんだ」
〈……あたしだってケッコンカッコカリしてるもん〉
(え……何だアレ?)
先ほどから曙の頭上に謎の文章が浮かび上がっている。ギャルゲーの画面下の会話文の表示のようなものが曙の頭上に浮かんでいるといった感じだ。
「おいこんごう、お前も曙の頭上のアレが見えるか?」
曙に聞こえないよう、小さい声で隣のこんごうに尋ねてみた。
「ずじょう?……なんデスかアレ」
「お前にも見えるのか」
「アレってもしかして……」
(入れたギャルゲーのタイトルは確か……)
「ちょっと!さっきから何無視してくれてんのよ!」
〈金剛さんばっかり……あたしにも構って欲しいのに〉
「……」
「……」
(曙の頭上に見える文章はもしかして……)
「……よしよし」ナデナデ
「……テートク?とつぜんどうしたデスか?」ナデラレナデラレ
「あ……」
〈うう、あたしの事もなでてくれないかなクソ提督……〉
「どうかしたか曙?」
「別に!金剛さんとずっとイチャイチャしてればいいんじゃない?」
〈ああもう!なんでこんな事しか言えないのよ……〉
「……こんごう」
「……ハイ」
こんごうと一緒に曙へと近付く。
「な、何よあんたたち!?」
「曙は可愛いなあ!」ナデナデ
「可愛いデス!」ナデナデ
「え?ちょっ!?なんでなでるのよ!!」ナデラレナデラレ
〈あ、気持ちいい……〉
((可愛い))
「昼は歓迎会を開こうかな」
「さんせいデス」
「い、いいわよ、そんなの開かなくても」
〈恥ずかしいじゃない〉
(やっぱり曙の頭上の文章は……)
(どうやら曙の本音が文章となって頭上に表示されているようデスネ)
本音だだ漏れの曙が誕生した。
ーーーーーー
「それじゃ、曙の着任を祝して乾杯だ!!」
《かんぱーい!!》
「ほら、曙も遠慮しないでどんどん食え」
「や、やらなくてもいいって言ったじゃない!」
〈こんな料理まで作ってもらって申し訳なくなるじゃない……クソ提督の指にさっきまでなかった絆創膏があるし。あたしのために作ってくれたのよね……〉
(本音を見るとめっちゃ良い娘なんだよなあ……今回の建造はマジで大成功だろ)
曙は俺がゲームの艦これで初めて建造した駆逐艦だ。初対面でいきなり罵倒された時はかなり驚いたのを覚えている。
ーーー
『何?何か用?』
『なんで触るの?うざいなあ』
『気に入らないなら外せば?』
『ほら、電文よ。読めば?』
『か、改装とか言って、あたしの裸が見たいだけなんでしょっ!このクソ提督!!』
『艦隊が戻って来たって……ふんっ!』
(な、なんだこの娘……これが普通の駆逐艦娘なのか?い、いや他と比べるとかなり異色な艦娘だよな)
当初は困惑した。何故こんなにも態度が悪いのだろうと。だが、ネットで史実を調べて彼女の態度の理由を知った俺は彼女が大好きになり、積極的に艦隊で運用するようになった。今では俺の中で幸せにしてあげたい艦娘筆頭である。さらに……
『クソ提督、あけおめことよろ!……何よ、新年くらいシャキッとしてよ!』
『は?チョコレート?クソ提督、何言ってんの?……一応用意したけど、さっさと取ってってよね!ほらっ!』
『暑くなってきたから確かにこの格好は過ごしやすいけど……く、クソ提督、こっち見んな!』
『あ~~っ!もうクソ提督っ!寒いからって部屋の中でゴロゴロすんなっ!シャキッと働けよっ!マジで!』
『クソ提督、節分よ!何よ、この豆食べたり、投げたりすればいいの?楽勝じゃない!』
『はーあ?チョコレート?このクソ提督、何両目開けて夢見てんの?……用意、してるけど。ほら』
『ふーん?チョコレートのお返しくれるんだ?クソ提督の癖にナマイキ……(はむっ、もぐもぐ…)やだ、美味し…ふ、ふんだ!』
『ちっ、クソ提督……結局あたしたちのお花見に来るんだ。まあいいけど……これ、食べれば?』
『クソ提督、あたしたち、4周年だって!まあ、一応あたしも嬉しい……かなっ?ね……クソ提督っ♪』
(イベントボイスがデレデレなのばっかじゃん!!めちゃくちゃニヤニヤしちゃうんですけど……)
実は金剛の次に練度の高い艦娘だったりする。ケッコンカッコカリ?もちろんしました。
ーーー
「どうだ、美味しいか?」
「ふ、ふん!まあまあね!」
〈美味しいじゃない、クソ提督っ♪〉
口一杯に食べ物を頬張りながらそう言う曙。
「テートクテートク!あーんしてあげるデス!」
「ん?おお、ありがとな……」
「えへへ、これワタシがつくったんデスヨ?」
差し出されたのはカリっと揚げられた唐揚げ(チリソース付き)だ。
「暁と一緒に?」
「Yes!」
最近暁の料理スキルがどんどん上がってきている気がする。たまに失敗しているけれど努力を続けているようで微笑ましい。
「あーん」
「あーん……うん、美味いぞ」
「やりマシタ!……あけぼのもテートクにあーんシマスか?」
チラリとこんごうが曙に視線を向ける。
「ば、ばっかじゃないの!?なんであたしがクソ提督にそんな事しなきゃいけないのよ!!」
〈うー、恥ずかしいけどやってみたいかも……〉
「曙カモン!」
「ああもう!一回だけよクソ提督……」
(あ、やってくれるんだ)
「さっさと口を開けなさい」
曙が赤い顔でそっぽを向きつつ箸で唐揚げを差し出してくる。
「あむ……美味いぞ曙」
「ふん!」
〈く、クソ提督にあーんしちゃった……これは夢なのかな?〉
「今度曙が作った料理も食べてみたいな……」
「……」
〈ちゃんとしたのを作ってあげたいけど上手く料理が出来るかな……そもそも誰に教わればいいの?〉
「こんごう、後で曙を暁の料理教室に誘ってやれ」ボソッ
「りょーかいデース」
「楽しみにしてるからな曙!」
「なっ!?つ、作るとは一言も言ってないわよクソ提督!!」
〈が、頑張らないと……〉
「そんなに焦る事はない、気が向いたら作ってくれよ」ナデナデ
「なでんなクソ提督!」
〈ナデナデ……えへへ……〉
((可愛い))グハッ
曙の頭上の本音が可愛すぎて死にそうな俺たち。
まあとにかく、マイラブリーエンジェルぼのたんはやはり可愛いという事が再認識出来たのだった。
曙(本音だだ漏れ)着任の回でした。
ギャルゲーのタイトルは適当です。
使ってると分かるようになりますけど曙可愛いですよね。
今回は平和だったなあ……