ろりこん ~提督とおかしな建造マシーン~   作:TS百合好きの名無し

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ろりこん ~提督とおかしな建造マシーン~

 

 

 

 俺の名は島崎修一。25歳独身で大企業の機械科の職についている。朝から晩まで自社の製品の部品を作ったり、仲間と部長に内緒で改造製品を作ってみたりと楽しく過ごしていた。そんな俺の夜の楽しみはーーー

 

 

「よおっし!艦これの時間だ!」

 

 

 誰もが知っているブラウザゲーム「艦これ」。今最も人気のあるブラウザゲームゲームで、かつての帝国海軍の軍艦たちが擬人化した艦娘というキャラクターを育成、集めながら深海棲艦という敵に支配されてしまった海域を攻略していくというものである。俺はすぐにこのゲームにハマり、今では元帥という地位の一人となっていた。

 

 

「さて、嫁の金剛に会うとするか……」

 

 

 マンションの自室にあるパソコンの電源を入れ、起動を待つ。

 

 

「最近あの子の改二が実装されたしレベリングするかな。…………ん?」

 

 

 突然パソコンの画面が真っ暗になり反応がなくなる。

 

 

「え……まさか壊れたのか?まだ買って一年だぞ?」

 

 

 焦る俺の目の前で突然パソコンが激しい光を放つ。

 

 

「なーーー!?」

 

 

 光がみるみる大きくなり、視界の全てが白で塗りつぶされた。

 

 

 

 

 

 

「何処だここ……」

 

 

 気がつくと俺は白い建物の前に立っていた。周りには赤煉瓦の建物があってすぐ近くには海があり、潮の香りが漂ってくる。

 

 

「提督が鎮守府に着任しました(笑)」

 

 

 返事はない。

 

 

「え、これリアルな鎮守府ってやつじゃねえの?おっかしいなー俺はマンションにいたはずなのに……」

 

 

 ちょっとわけが分からない。

 

 

「……まあ夢だろう。せっかくだし中へ入るとするかな」

 

 

 建物の中へ入ったが人気がまったくない。

 

 

「建物はけっこうきれいなんだが……なんで誰もいないんだ?」

 

 

 とりあえず一旦外へ出て、周りを探索しているうちに俺は工廠へとたどり着いた。

 

 

「お、ここは工廠か?ちょっと機械を拝見するかな」

 

 

 建造マシーンと書かれた機械に近付くと、何かにズボンを引っ張られた。見てみるとそこにはなんと艦これでおなじみの妖精さんたちがいた。

 

 

『テートクガ着任シマシター!』

 

 

『待ッテタデスー!』

 

 

『ドンナ御用デスカー?』

 

 

「うお……妖精さんってこんなに可愛いのか。手のひらぐらいの大きさしかないじゃん」

 

 

 妖精さんたちはジッと俺を見つめている。

 

 

「建造マシーンって書いてあるし、建造してみよっかな?」

 

 

 側にあった端末機械でレシピを打ち込む。

 

 

「燃料400、弾薬100、鋼材600、ボーキサイト30でいいかな……ん?なんだこの追加資材って?」

 

 

 「追加資材」と表示された項目をタッチする。

 

 

「ランドセル?リコーダー?布団?まんじゅう?なんだこのわけのわからないラインナップは」

 

 

 端末にとんでもない数の品が表示された。

 

 

「100以上あるなこれ……面白そうだしこのランドセルを入れてみるかな」

 

 

『『『了解デース!!』』』

 

 

「あ!バーナー使ってくれ!」

 

 

『『『ガッテン!!』』』

 

 

 資材が機械に投入され、赤い例の物体も投入されていった。俺はそれを眺めながら一体何が起こるのかと予想していた。

 

 

「出てくる艦娘がランドセルを背負っているのだろうか……それともランドセルが本体という可能性も……」

 

 

 そうこうしているうちに建造が終了したらしい。建造マシーンに付いている大きな扉が開き、中から艦娘が出てきた。

 

 

「えいこくでうまれたきこくしじょのこんごうデース!よろしくおねがいシマース!」

 

 

「……は?」

 

 

 運の良い事に建造されたのは俺の愛する艦娘の金剛だった。しかしーーー

 

 

「テートク?どうシタのー?」

 

 

「こ、金剛?」

 

 

「こんごうだヨー!えっへん!」

 

 

 目の前にいるのは電探カチューシャに改造巫女服、黒のミニスカートという格好の俺の知っている艦娘の金剛そっくりの少女だった。だったのだがーーー

 

 

「ちっせぇ!!」

 

 

「ふぇっ!?」

 

 

 彼女の身長は小柄な中学一年生ぐらいのサイズだった!小さい!これは憲兵待ったなしだ!ちゃんと艤装背負っているけれども全体的にロリっ子になっている!まさに「ろりこん」である。

 

 

「なんとここは天国だったのか……」

 

 

 俺は両手を握り締めて天井を見上げる。今すぐコロンビアしたい。

 

 

「……こんごうちいさいの?」

 

 

「いや、気にしなくてもいい!むしろウェルカムだ。こんごう、ちょっと艤装の展開を解除とか出来るか?」

 

 

「できるヨー」スウッ

 

 

 こんごうはそう言うと自身の艤装を消した。どうやら艤装は消したり出来るらしい。

 

 

「おお、すごいな」

 

 

「こんごうすごい?」

 

 

「ああ」

 

 

「ほめてほしいデース!」

 

 

「おいで」

 

 

「バーニングラーブ!」タタタタッ ドンッ

 

 

「ぐふっ!痛いけど最高です」ダキッ

 

 

 まさか夢とはいえ金剛と触れ合える日が来るとは……金剛じゃなくてこんごうちゃんだけど……イエスロリータノータッチ?向こうからタッチしてくるので問題ないはず。

 

 

「めをはなしちゃNoなんだからネ!」

 

 

「そしてこの微妙にロリっぽくなっている金剛ボイスが最高なんだよなあ……」

 

 

「これからおしごとがんばるデス!」

 

 

「覚めないでほしいなこの夢」

 

 

「さっきからなにいってるのー?」

 

 

「なんでもないよ。さてさっそく出撃とかしてみようか」

 

 

「わたしのじつりょくみせてあげるネー!」フンス

 

 

「ぐっ!鼻血が……!」

 

 

「テ、テートクだいじょうぶ!?」

 

 

「大丈夫だ問題ない」キリッ

 

 

「しんぱいだヨ……」

 

 

 

 

 

 

 

「テートクのハートをつかむのはワタシデース!」

 

 

 鎮守府正面海域を航行する小さな影が一つ。その身に大きな艤装を背負い、自慢の長い茶髪を風にたなびかせるこんごうである。

 

 

『絶っっっ対に無茶だけはしちゃダメだぞ?』

 

 

「テートクのこえがきこえたデス!」

 

 

『執務室の機械をちょっといじったら出来たんでな。誰もいないんだし使っても怒られんだろう。どうやら俺がここの提督らしいし』

 

 

「……敵艦発見デス!」

 

 

『(今さらだけど不安になってきた……)』

 

 

「ぜんほうもんFire!」

 

 

 通信を繋げたまま、こんごうは眼前に見える黒い魚雷のような体をもつ駆逐イ級に向けて砲撃を開始した。

 

 

「なかなかあたらないデス……もっと近付くデス!」

 

 

 接近し、再び砲撃。だが、イ級も黙ってはいない。すぐに口から砲身を突き出して砲撃をしてきた。

 

 

「きゃっ!?」ドンッ

 

 

『こんごぉーーー!?』

 

 

「やってくれたデスネ!」ドオオン

 

 

 今度こそこんごうの砲撃がイ級に命中した。イ級は静かに沈んでいく。

 

 

『大丈夫か!?怪我してないか!?ちょっとバケツ用意しとくから!!』

 

 

「テートクおちついてー!」

 

 

 ふとこんごうが気付くとイ級の沈んだ辺りの海面が光っている。

 

 

「うみがひかってるデース!」

 

 

『ドックは準備万ぜ……何だって?』

 

 

 やがて光が人の形を取りはじける。

 

 

「What!?」

 

 

「あれ……ここ何処?」

 

 

 光がはじけた場所に立っていたのは紺の軍帽をかぶり同じく紺の長い髪をもち、セーラー服を着た駆逐艦の少女だ。キョロキョロと辺りを見回してこんごうに気付く。

 

 

「あなたは?」

 

 

「こうそくせんかんのこんごうデス!」

 

 

「……戦艦ってこんなに小さかったかしら。私とそこまで変わらないじゃない……」

 

 

『ドロップ……?』

 

 

 駆逐艦の暁がドロップした。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「ご苦労様だこんごう!よく頑張ったな!」ナデナデ

 

 

「えへへー」ナデラレナデラレ

 

 

「あなたが司令官?」

 

 

「そうらしいな。お前は……暁だよな?」

 

 

「そうよ。一人前のレディーとして扱ってよね!」

 

 

 俺は2人を港で迎え入れた後、3人で執務室に来ていた。

 

 

「2人並ぶとまだ暁の方ががこんごうよりも少し大人に見える……これはどういうことだ?」

 

 

「失礼ね!」

 

 

「すまんすまん。とりあえず俺は風呂に行って来るから2人ともゆっくりしていてくれ」

 

 

「お風呂?」

 

 

「俺は夕食前に入るのが好きなんだ」

 

 

「わかりマシタ!」

 

 

「妖精さん、俺を風呂場まで頼むよ」

 

 

『任セテ!』

 

 

 

 

 

 

「はー極楽極楽……なかなか広い風呂場だな」

 

 

 妖精さんに案内されてやってきた風呂場はかなりの大きさだった。ちょっと1人で入るには大きすぎではなかろうか……湯船に浸かりながらそう思う。

 

 

「にしてもなかなかリアルな夢だなこれ。かなり長いこと俺は眠っているらしい……」

 

 

「テ、テートクのおちんちんおっきいデス……」

 

 

「そうか?普通だろ」

 

 

「おとこのひとのをみるのはじめてデス」

 

 

「ふーん」

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

「テートク?」

 

 

「……ふぁっ!?」

 

 

「」ビクッ

 

 

(ななな何故こんごうが入って来ているんだ?!!?)

 

 

 いつの間にか目の前には一糸纏わぬ姿のろりこんごうが!

 

 

「意外に胸が大き……じゃなかった!ふ、服を着なさい!」

 

 

「?おふろはふくをぬいではいるんじゃないんデスか?」

 

 

「そうだけども!と、とにかく色々と隠せ!」

 

 

 俺はタオルすら持たない彼女の白い絹のような肌を直視というか意外と膨らんだきれいな丘やらピンクのつぼみやら微妙に生えかけのあそことかとにかく彼女の裸身をあますところなく見てしまった。

 

 

(ヤバい鼻血が!!)

 

 

「……ダメデスか?」ジワッ

 

 

(ああああ!!マズいぞ泣く!!耐えろ俺!!耐えるんだ!!素数だ!2,3,5,7,11,13,17……)

 

 

 必死で鼻を抑えながらこんごうに向き直る。

 

 

「ダ、ダメじゃないぞ?ただな、俺は男の子でこんごうは女の子だ。女の子がむやみに肌を見せるのは良くないぞ?」

 

 

「テートクならへいきだヨー?」

 

 

 何言ってるの?みたいな顔をされた。

 

 

「信頼されていると思うべきか、はたまたまったく男として見られてないと思うべきか……」

 

 

「テートクにこんごうのかみをあらってほしいデス!」

 

 

「……上手く出来るか分からんぞ?」

 

 

「テートクにあらってほしいんデス!」

 

 

 仕方ないので出来るだけ彼女の体を見ないようにしながら湯船から出る。

 

 

「テートクのがおっきくなってるデス……」ジー

 

 

「せ、生理現象だ!!というか見ちゃいけません!!」

 

 

 俺は慌てて股間を隠しながらこんごうとともにシャワーの前へ。こんごうを風呂場の台に座らせて髪をシャンプーで洗い始めた。

 

 

「ふわああああ~~」

 

 

「かゆいところは~……ってめっちゃ気持ち良さそうだな」ワシャワシャ

 

 

「テートクじょうずデス!」キャッキャッ

 

 

「……」

 

 

 サラサラなこんごうの髪を丁寧に洗う。

 

 

(なんか年の離れた兄妹とか親子みたいだなこの光景。実際は即憲兵の現場なんだけど)

 

 

「~♪~~♪」

 

 

「流すぞー、目を瞑ってろ」シャー

 

 

 洗い終わったこんごうの髪をシャワーで洗い流す。

 

 

「んーー!」

 

 

「つぎはーーー」

 

 

「体は自分で洗ってくださいお願いします」

 

 

「……わかったヨー」

 

 

「俺はもう少し湯船に浸かってるよ」

 

 

(無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心……)

 

 

 湯船に浸かりながら心を落ち着ける。5分くらい経った頃だろうか、

 

 

「うんしょ……」チャプン

 

 

「!?」

 

 

「えい」ストン

 

 

「……こんごう、何をしているのかな?」

 

 

「やっぱりテートクは大きいデス」

 

 

 いつの間にか俺の足の間にこんごうがこちらに背中を見せた状態で腰を下ろしていた。彼女の長い髪が湯船に広がる。

 

 

(無心無心ーーーって出来るかバカやろう!!なんなのこの娘!?俺を殺す気か!!)

 

 

「そ、そういえば暁はどうしたんだ?」

 

 

「あかつきはちゅーぼーでようせいさんといっしょによるごはんをつくってるデス」

 

 

「なん……だと?」

 

 

 おかしい。俺の知ってる暁はそんなんじゃなくてもっとこうレディ(笑)って感じの……

 

 

「あいつ料理出来るのか?」

 

 

「ようせいさんがおしえてマシタ」

 

 

「そうなのか……ていうか髪をあんまり湯船に入れない方がいいぞ?」

 

 

「べつにきにしないデス」モゾッ

 

 

 ふにっ

 

 

「そうゆう問題じゃっ……!?」ビクッ

 

 

 こんごうが小さく身じろぎしたとき、彼女の体が俺の足に一瞬に触れた。その時の感触を表現したものが先ほどの擬音である。

 

 

(柔らかっ!)

 

 

「こ、こんごう、あまり動くのは我慢してもらっていいか?」

 

 

「?」

 

 

「ほら、体がくっついちゃうだろ?」

 

 

「それがどうかしたデス?」

 

 

「俺が恥ずかしいんだよ!」

 

 

「……むふ」ニヤッ

 

 

「え」

 

 

 くるりと彼女が半分回転、俺は慌てて目を逸らした。

 

 

「バーニング……」

 

 

「ま、まさか」

 

 

(おい!今俺たち裸なんだけど!?よけなーーー)

 

 

「ラァァブ!!」ダキッ

 

 

 むにゅん ぷるん ぎゅー

 

 

「!?!?」ブーー

 

 

「……?テー……はなぢすごいデス!?」

 

 

「」

 

 

「テ、テートクおきて!しんじゃいやデス!」

 

 

 返事がないただの屍のようだ。

 

 

「ふ、ふええぇ……」

 

 

 島崎修一25歳、死因は幸福メーターの振り切れによる昇天。湯船に沈みながら彼は実に幸せそうな顔をしていたという(妖精さん談)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「……はっ!?」

 

 

「あ、起きたかしら?」

 

 

 ベッドに横たわる俺の顔を暁が覗き込んでいた。

 

 

「三途の川っていうのを見た」

 

 

「笑えないわよ……あなた本当にもう少しで溺死するところだったのよ?」ハア

 

 

 ため息を吐きながら暁がやれやれと首を振る。

 

 

「ここは?」

 

 

「一応提督の私室らしいわ。起きたことだし、夜ご飯を食べましょう?」

 

 

「こんごうは?」 

 

 

「泣き疲れて眠っているわ。あなたが起きたのならもう起こした方がいいかもね」

 

 

 暁の話ではあの後気絶した俺を見てこんごうが風呂場で大泣きし、暁と妖精さんたちが何事かと向かったところ真っ赤に染まった湯船の中に沈みかけている俺とガチ泣きのこんごうを見つけて救助したらしい。

 

 

「ホント何事かと思ったわよ。行ったら湯船が真っ赤だったしこんごうは泣いてるだけだったし……というかなんであなたはこんごうさんと一緒にお風呂に入ってたのかしら?」ジロッ

 

 

「う……勝手に入って来られたんだよ」

 

 

「変な事してないわよね?」ジー

 

 

「し、してない!……タブン」

 

 

「はぁ……」

 

 

 暁が呆れたように俺を見て再びため息。

 

 

「なあ、ところでこんごうは何処で寝てるんだ?案内してくれ」

 

 

「そこで寝てるじゃない」

 

 

 そう言って俺のベッドを見てきた。

 

 

「え?」

 

 

 慌てて布団をめくるとこんごうが俺に寄り添って眠っていた。俺の服の裾を握る彼女の目尻には涙の跡が残っている。

 

 

「……やっぱり可愛いなこいつ」

 

 

「バカ言ってないで起こしてあげなさいよ」

 

 

「おーい、こんごう起きろー」ユサユサ

 

 

 俺は声をかけながらこんごうの体を揺する。

 

 

「んぅぅ……ゴメンナサイ……んにゅ」ジワッ

 

 

「おい、起きろって!怒ってないから」

 

 

 しばらく揺すってやっとこんごうが目を覚ました。

 

 

「……?……テートク!!」ガバッ

 

 

「うおっ!?」

 

 

 飛びつくように抱き付いてきたこんごうを受け止めると彼女はしがみついて泣き出した。

 

 

「ゴメンナサイ……ぐすっ……ゴメンナサイ!」ポロポロ

 

 

「別に怒ってねえよ。ちょっと俺には刺激が強すぎただけだ。夕食を食い行こうぜ?」

 

 

「デ、デモ……」

 

 

「あーもうホント可愛いなおい!」

 

 

「きゃっ!?」

 

 

 俺はまだ泣いているこんごうをお姫様抱っこでかかえると食堂を目指して歩き始めた。

 

 

「……食堂は逆方向よ」

 

 

「すみません……」

 

 

 

 

 

 

 食堂には暁と妖精さんたちが作った料理が席に置かれていた。

 

 

「カレーライスか」

 

 

「ええ、一番失敗せずにすみそうだったし」

 

 

「カレーライス!!」

 

 

「さ、いただきましょう」

 

 

「なんか今のお前ならレディって呼んでも違和感ないな」

 

 

「何よそれ!」

 

 

「ありがとな」

 

 

「別に。こんごうさんとあなたを見ていると暁がしっかりしなくちゃって思うのよ」

 

 

(……この暁は本当に頼もしいな)

 

 

「苦労をかけてすまん」

 

 

「ちゃんと後で労ってくれればいいわ。さ、いただきましょう」

 

 

 4人用のテーブルの角にそれぞれ座る。

 

 

「やっぱりこんごうさんはそこに座るのね」

 

 

「テートクの隣はワタシのものデス」

 

 

「んじゃ、いただきます!!」

 

 

「「いただきます!!」」

 

 

 まずは一口食べてみる。あまり辛くはないが林檎か蜂蜜あたりを使ったのだろう、非常にまろやかな味だった。

 

 

「辛くないカレーライスも意外と美味しいんだな」

 

 

「……辛いの苦手だし」

 

 

「こんごうもにがてデース……」

 

 

「子供はそれでいいんだよ」

 

 

「子供じゃないわ!」

 

 

「あかつきはこどもじゃないのデスか?」

 

 

 きょとんとするこんごう。

 

 

「子供だよな」

 

 

「カレーを返しなさいよあなたたち!!」

 

 

「「ごめんなさい」」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 食事を終えて時計を見ると11時だった。2人ともそろそろ寝る時間だろう。

 

 

「で、お前たちは何処で寝るんだ?」

 

 

「……」

 

 

「こんごうはテートクといっしょにねるデス!!」

 

 

「また泣かれても困るし……仕方ないな」

 

 

「……ね、ねえ、どうしてもって言うなら一緒に寝てあげてもいいわよ?」

 

 

「別に」

 

 

「う……」

 

 

「テートク、きがえてくるからまっててほしいデス!」

 

 

「おう」

 

 

 こんごうが妖精さんに案内されながら去っていくのを見送った俺は暁に向き直った。

 

 

「で?」

 

 

「わ、私も一緒に……」

 

 

「……」

 

 

「ううう……!!」ジワッ

 

 

「泣くなよ」

 

 

「泣いてないわよ!!」ゲシッ

 

 

「痛っ!」

 

 

 蹴られて痛かったが「ああ、やっぱり暁だ」と安心した俺であった。

 

 

 

 

 

 

「むふふふ……」ギュー

 

 

「こ、こんごうさん!司令官に引っ付きすぎよ!」

 

 

「テートクあったかいデス……うにゅ」ギュウ

 

 

「狭いけど幸せすぎて死にそう」

 

 

 提督私室のベッドに3人も入っているので非常に狭い。しかしこんごうが右腕に抱き付いていたり、暁がさりげなく俺のパジャマを掴んでいるという状態は俺にとって天国以外の何物でもない。ちなみに2人ともありきたりな子供用パジャマを着ている。パジャマの色はこんごうが黄色、暁は黒色である。

 

 

(こんなに覚めて欲しくない夢は初めてだ……だが、そろそろ終わりが近い)

 

 

 風呂場で気絶した時とは違い、俺の頭にはまるで強引に眠りへ引きずりこもうとするような感覚があった。だんだんと意識保つのがやっとになり周りの景色が歪み始める。きっと現実世界の俺の体が目覚めようとしているのだろう。

 

 

(ちょっと普通じゃないけどお前に会えて幸せだったよ金剛……)

 

 

 

 

 俺の意識は闇に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗闇の中、寝息をたてる暁を起こさないように静かに彼女は身を起こした。どことなく今までとは違う雰囲気の彼女は視線を眠っている男に向ける。男の体は淡い光に包まれ、徐々に体が薄くなっていっている。

 

 

「……」

 

 

 彼女は男の顔を見下ろしながら呟く。

 

 

「もう時間デスネ……」

 

 

 寂しそうな顔で彼女は笑う。

 

 

「テートク、1日だけとはいえあなたと一緒に過ごせて幸せデシタ。本当に夢のような時間だったデス……テートクにとっては夢でしょうケド」

 

 

 そっと彼の手を握る。

 

 

「ずっとあなた触れていたいデス……」

 

 

 ほとんど存在を感じなくなった彼の額に優しくキスを落とす。

 

 

「大好きデステートク。明日からもまたよろしくお願いシマスネ?今まで通りあなたの着任をワタシはいつもの場所で待っていマスから……」

 

 

 

 穏やかな笑みを浮かべる彼女の目の前で男の体が完全に消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「……んぁ?」

 

 

 目が覚めるとそこは見慣れたマンションの自室だった。いつの間にかベッドで俺は寝ていたらしい。まだ弱い朝日が窓から差し込んでいる。

 

 

「やっぱり夢だったか」

 

 

 名残惜しくてパソコンに近付き、艦これをプレイすることにした。

 

 

(こんごう可愛かったよな……)

 

 

 ロード画面が映り、母港の画面に変わる前に艦娘の声が入る。

 

 

『テートクが鎮守府に着任シタヨー!!これより艦隊の指揮をとるデス!!』

 

 

「ぶっ!?」

 

 

(え?この時のランダムボイスに金剛verなんてあったっけ?)

 

 

 そしてさらにパソコンの画面に映った母校画面を見て俺は固まった。

 

 

『Hi!今日もいい天気ネー!!』

 

 

『いいてんきネー!!』

 

 

「は!?」

 

 

 そこには秘書艦の金剛に抱きかかえられたろりこんごうの姿があった。

 

 

「え?な、なんで……」

 

 

 イベントか何かで金剛のグラフィックが変わったのだろうか……いや、これはーーー

 

 

「と、とりあえずクリックしてみよう……」

 

 

『フフ、テートクびっくりシマシタかー?』

 

 

『シマシタかー?』

 

 

「は、ははは……」

 

 

 嬉しげな2人の金剛たちの声がパソコンから聞こえてくる。

 

 

「夢だけど……夢じゃなかった」

 

 

 

 俺の夢はどうやらまだ続くらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 





最後まで駄文にお付き合いありがとうございます。

連載小説に出来なくはないけど一応短編です。

……連載の方がいいのだろうか?そのあたりは未定です。

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