Fate/Machina order   作:修司

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新社会人となって1ヶ月。

日に日にささくれて行く財布。


そしてトドメの一撃

new!マジンガー Z hg発売!


「バンダイもっと加減しろ!」









はい、すんません、遅くなりました。



世界の終わり

マーーーーーマーーーシュ・・・・マシュ

 

 

 

「マシュ!」

 

 

「ひやいッ?!」

 

耳元で聞こえた大きな声に私は思わず悲鳴を上げてしまった。そして身体を起こすと同時に目を開くと、そこには先輩が心配そうな目をして見つめていました。

 

 

「よかった〜!痛いところはないか?結構長く気を失ってたけど・・・・」

 

「は・・・・い?えと・・・先輩///?」

 

 

すぐ目の前の立華の顔にマシュは思わず赤面してしまう。

「あの・・・どうしてここに先輩が?私と清姫さんは先ほどまで・・・」

 

そういうと頭をあげ周りを見渡す。そこは見覚えのある最初の拠点、少し向こうにジキルと知らない誰かが話をしているのが見える。

自分はソファーの上で横になっておりその周りには立華と清姫、クーフーリンが見下ろしていた。

 

 

「あれから大体4時間くらいは経ったよ。清姫は先に目が覚めたんだけどマシュはずっと目覚めなかったから心配だったんだよ」

 

『一応バイタルを確認してるけど異常は特に見当たらない。強いて言うのなら少し体温が低いかな?』

 

 

ロマンのその台詞を聞いてマシュはため息を吐く。それは先程までの恐怖と来てくれたことによる安心感からくるものであった。

 

 

「マシュさん、ありがとうございました。・・・貴方のお陰で生き延びることができました」

 

「清姫さんそんな・・・私はただ自分の強みを活かして戦っただけです」

 

「それでもどうかお礼を受け取ってください。あの時は・・・ほとんど貴方一人に任せてしまいました・・・」

 

 

清姫は再び頭を下げると紅茶の入ったカップを差し出してきた。中の紅茶は少し冷たい部屋の中で温かな湯気を立ち上らせており、香ばしい茶葉と蜂蜜のような香りを漂わせていた。

 

「取り敢えず飲んでください。身体が冷えるといけません」

 

「あ、ありがとうございます」

 

受け取って中を観ると鮮やかな朱色が灯りを反射して輝いている。じんわりと指に伝わる温もりを楽しみながら口に運ぶと優しい甘みと生姜のような辛味を感じさせた。

思わずホッと息が漏れる

 

 

「おい坊主、話し合いが終わったそうだ。俺は紅いの二人を呼んでくるから先行っとけ」

 

「あ、うんわかった。マシュ、もう立てる?」

 

「はい、大丈夫です。・・・ところで、あそこで話されている方は一体・・・・?」

 

「それについても説明するからさ、よいしょっと」

 

 

立華は立ち上がるとマシュに手を差し出す。その手を掴むとマシュはゆっくりと立ち上がり立華と清姫の背中を追った。

 

 

(先輩の手・・・意外と硬いのですね・・・)

 

 

 

「・・・旦那様、少しよろしいでしょうか?」

「いや清姫・・・ちょっと手を貸しただけだから。そんな怖い顔しないで・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きたようだね。気分の方はどうだい?」

 

「はい、もう大丈夫です。それでその・・・そちらの方は?」

 

マシュはジキルの前にいる男に目を向ける。

 

「怪我とかないようでなによりだ。俺の名は不動アキラ、アキラと呼んでくれ」

 

「えと、アキラさんですね。もしかしてあの時来てくれたのは・・・」

 

「あぁ、彼だよ。あの広場を通りかかった時にね」

 

 

「別に目に入っただけだから気にするな」

 

 

「・・・なるほど。アキラさん、ありがとうございます。貴方が来てくれなければ私たちはおそらく飲み込まれていました」

 

ぺこりと頭を下げるマシュにアキラはそっぽをむく。それと同時に後ろから今来たであろうモードレッドの声が聞こえて来た。

 

「大体!てめぇはなんでそんなに馴れ馴れしいんだよ!俺たちはそもそも初対面だろうが!」

 

「いいじゃん別に減るもんじゃないんだし。それに君はなんだかほっといたら一人突っ走りそうな気がするし気になるんだよ」

 

どうやら立華ともめているようだ。

とはいえ仕方ない。そもそもモードレッドは英霊、偉業を成し遂げた者たちの魂だ。現代知識があろうが力と共に生きてきた彼らにはそれぞれ誇りがある。

つまり馴れ馴れしい立華がおかしいのだ。

 

 

「何というかあれよな。反抗期の兄と妹といったところか。妙に手慣れておる」

 

「そういや坊主には妹がいたな。屋敷で写真を見たが勝気そうな娘だった」

 

『知らず重ねているのかもね・・・」

 

しかし彼らはそのことについて触れない。

 

何故なら彼は子供、17歳の少年である。家族の温もりに手を無意識に伸ばしているのかもしれない。

だから言わない。

 

 

 

まぁ翻弄されるモードレッドが面白いというのも否定はしない。

 

 

 

「さて、全員揃ったところで話を始めよう。何から知りたい?」

 

最初に口を開いた彼は全員を見渡して問いかけた。それに立華は手を挙げるとジキルを見て質問する。

 

「まずはこの街の現状について新しい情報だな。何しろあんな化け物みたいな蟲が出て来たんだ、街の人たちも心配だ」

 

「・・・あれは出来損ないのデーモンだ」

 

その問いにアキラは腕を組みながら答えた。そして立華はその言葉の意味に疑問符を浮かべた。

 

 

デーモンとはアニメ、漫画「デビルマン」に登場する敵のキャラクターの名前だ。

はるか古代の力が物を言う時代、その時代の生物たちは厳しい環境や敵に対応するために有機物無機物関係なしに合体することで己の力とする能力があった。その力を有する存在こそデーモンである。

 

 

「デーモンってあの・・・デビルマンの敵の?それに出来損ないって・・・?」

 

「・・・・」

アキラは目をゆっくりと閉じるとやがて意を決したように語り出した。

 

「最初に言っておこう、俺の住んでいた世界・・・ここで言うとこの異世界だが、人間とデーモンの戦争によって滅んだ」

 

 

?!

 

今何と言ったか。

 

『ちょっと待ってくれ!じゃあ君はあれかい、違う世界から来たというのかい?!』

 

「違うドクターそうじゃない!アキラさんそれって・・・」

世界が滅んだ?なくなってしまったと言うのか。立華達はジキルを除いて絶句した。

こんな情報は、アニメにもなかった。

 

「奴らは人間を食うことでその人間と同じ姿に変わることができる。人間はその違いが分からず同士討ちを始め、やがてただ殺す事を目的とした悪鬼となって言った」

 

 

「俺もデビルマン・・・悪魔の身体を手に入れた人間として戦いはしたが、結局親玉には勝つことが出来ずに岩礁でただ一人絶望していた・・・」

 

 

「そんな時だ。奴らが現れたのは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤黒い空が広がっていた。

人、否生き物の気配一つしない世界。至る所から黒煙が舞い、人工物の残骸が辺りに散らばっている。

 

そんな世界の片隅に、淡く輝く人型が膝をついていた。

その人型・・・いや、ただの人型ではない。身につけているものは何もない。遠目から見たら女性に見えるシルエット、乳房があり、ウェーブのかかった金色の髪をしている。しかし股の間には女性にはないはずの男根がある。

そして何よりも、その背中には眩いばかりの多くの翼を生やしていた。

天使、とでも形容すべきか。

顔つきは中性的。その瞳いっぱいに涙を浮かべ、足元に横たわる何かに口を開いている。

 

その存在はしばらく話しかけ続けるとやがて後悔するかのような顔を浮かべ空を眺めた。

 

 

その時である。

 

 

 

 

 

「面白い。異なる世界の観測、かつてラウムの提唱した説もあながち間違ってはいなかったということか・・・。とはいえ、このサーヴァントの力無くしての観測は不可能だったのだが・・・。物語の結晶、実に興味深い。」

 

 

「それにこの生き物の生態、これを利用すれば我々は【半永久的なエネルギー】も可能だろう。ではロンドンにて行ってみようか。あそこなら、この生き物たちを有効利用することが出来る。」

 

 

何かが現れた。

 

 

 

 

 

 

 

『バカな!魔神柱が君たちの世界に現れたと言うのか?!』

 

途中でロマンが待ったをかけて質問した。

 

「マシュ、これって確か・・・魔法、何だよね」

 

「はい、宝石翁ことキシュア・ゼルリッチという人物にしか行うことが出来ない魔法、並行世界の運営に相当します」

 

「奴ら・・・それだけやばい存在なのか・・・」

 

「話を続けるぞ。奴らは俺の世界に存在した全てのデーモン、デビルマンの死体を奪っていった。デーモンの王サタンはそれに対抗しようとせずただ奴らに身体を奪われてそのまま生き絶えた。俺は対抗しようにもその時は足はなく目も見えなくてな・・・。ただ感じる事出来なかった」

 

「何が目的なのかは後になってわかったが、その時の俺は奴らが真っ当ではないと言うことだけわかっていた。だが俺にはもう力も闘志もわかない、戦うなんてできはしない。そんな時だ」

 

 

 

 

 

 

世界が何かに飲み込まれて行く。

横たわっているアキラは自分の宝物だった街が、せっかく作ったみんなの墓が崩れ、飲み込まれ、奴らの一部にされて行くのを光のない瞳で覗いていた。

 

もう自分には関係ない。

 

 

疲れてしまった。

 

 

 

バトンを受け取ることなど出来るはずもない。

 

 

そこまで考えた彼は、ふと違和感を感じることに気づいた。

 

(落ちている・・・・?)

 

先ほどまで彼は岩礁に横たわっていたはず。そんな彼に突如として訪れたのは自身の身体の浮遊感だった。

頭の働かない彼はその違和感に気づくことはない。

 

 

 

 

(いったい(た・・・け・)⁈)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(かれ・・・を・・・)

 

 

すると次の瞬間、彼の思考を遮るかのように頭の中に声が聞こえてきた。

「俺以外の生き物は存在しないはずの世界だ、状況も相まって混乱したがそれ以上に混乱したのはーーーー

 

 

 

 

 

 

 

見えないはずの視界に光が溜まり始めた。その光はだんだんと人の形へと変化して行き、やがて女性の姿へと変化した。

その女性とは

 

 

「・・・・・!!!?」

 

 

姿を確認したアキラは目を見開きながらその女性へと手を伸ばした。

まさか?

 

そんなはずはない

 

 

だがそんな、

 

あれは

 

 

あれは

 

 

 

あれは!

 

 

 

(もしも、もしも貴方がまだ人を信じることができるのなら

 

 

どうかお願い。

 

 

 

 

 

あの人たちを、助けてあげて!)

 

 

 

 

美樹!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

 

「あの・・・アキラさん?」

 

急に口を閉じたアキラにマシュは思わず声をかける。するとアキラはいや、呟き再び語り出す。

 

「急に光が視界に広がったと思ったら気付けばこの街に倒れていた。不思議だったのは欠損したはずの身体が傷ひとつなく元どおりになっていたんだ」

 

 

「 ここからは僕も説明しよう。彼はその後頭の中にこの世界の状況や情報が流れてきたと言っていた。おそらくこれはサーヴァントにも付与される現代の知識のようなものだろう。聖杯のお陰なのか、それとアラヤによるものなのか、それはわからないが彼は僕たちに味方してくれた」

 

 

「だが彼はこんな姿だ。だから人目に付かないようにたった一人で戦ってきた、というのが事のすべてだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








「もういいのか?」


後ろから男の声が聞こえる。
女はゆっくりと後ろを振り向き柔らかな笑みを浮かべる。


「本当ならこんな卑怯で酷い手段、とるわけにはいかない。でも今回の特異点は彼の力が必要だ」

その言葉とともに女の姿が変化する。まるでテレビの砂嵐のようなものが写りやがて牧村美樹の姿は消える。


「あの人たちは私達ウィザード全員の、そしてあの子の恩人でもある。もちろん後で彼にも恩は返すけどね」


「おっそろしい女だなお前も。この世界の王様っつーのは全員そうなのか?」

「恐ろしい、という意味では貴方達も似たようなものだけどね」


そう言われると男はマフラーで隠れた口元に笑みを浮かべる。

豪胆な奴だ、とそう思った。

俺たちを顎で使うなんて相当心臓に毛が生えてるな、とこっそり呟き指先を前の空間に伸ばした。すると空中にホログラムが現れ何かの映像が流れる。




「ラ・グースとまではいかねぇが、なかなかにめんどくせぇ相手だな。未だに抵抗してるようだぜ」

「私達の世界の歴史を掘り起こすなんて事が出来る奴らよ。当然ね」





「しかしよ、お前もよくあんだけの奴らをさばけたよな。なんせ

・・・・世界7個分の文明人すべてを、どうにかするなんていうんだからな」



「当然よ。あの子風にいうのならそうね・・・











バッドエンドは大嫌いだもの」

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