Fate/Machina order   作:修司

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待たせたな(`・ω・´)


プロローグ

暗い空間。

 

そこに自分は立っている。

 

いや、意識のみ漂っていると言うべきか。

ほとんど先は見えず自分の姿もわからない。

 

 

 

なんだここは・・・・・

 

 

 

口に出して呟いてみる。しかしそれは誰に聞かれるまでもなく反響するだけ。そんな不可思議な状態で彼は思う。

 

 

 

夢?だとすると変な夢だな・・・

 

 

 

夢ならせめて面白可笑しいのが見たいよな・・・。そう考えた矢先、急に視界が光を捉えた。

 

 

 

??

 

 

 

光は最初火花のようにポツリとあるだけだった。だがそれは時間とともにどんどん増えて行き、しまいには暗い空間を埋め尽くした。

 

 

 

おぉ・・・・。

 

 

 

その光景に思わず声を上げる。先ほどまで真っ暗だった空間はまるで星空のように光の粒をちりばめ輝いていた。手を伸ばすと届きそうなそれに彼は目を向ける。するとまるで導かれるように光の一つに向けて自分の意識が動いていった。

だんだんとはっきりして来た光。そこにあったのはーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・テレビ?」

 

そこには古いテレビがあった。しかもだいぶ古いタイプ、ブラウン管によって光を灯す正方形のテレビだ。

彼は不思議に思いながらテレビの前まで近づく。よく見渡すと光の一つ一つはテレビから漏れている光でそれが空間一面に広がっていたのだ。

彼はそんな一つのテレビに近づいて画面を覗きこんだ。しかし画面は砂嵐で何も写っていない。

 

 

 

なんなんだ?

 

 

 

そう思い辺りを再び見渡す。

そして気付く。無限に漂うテレビの一つの前に人影が座っていることに。

彼は人影に向かって近づいて行った。

この場所についてわかるかも知れない。そんな思いを抱きながら視線を向け続けーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前は・・・・・まだ早い。

 

 

 

 

 

 

 

 

突如襲い来る激痛に止められた。

 

??!!!?ッ

 

何が起こっている?わからない。突如訪れた苦しみは身動きの取れない彼に襲いかかる。

 

誰か・・・!

 

わずかに残った思考の中で彼はない腕を白い影に伸ばした。

そんな激痛の中、視界に入ったテレビの画面に変化があることに気付く。

 

 

段々とテレビに映る人の影。

 

 

ある者は拳を。

ある者はハーケンを。

ある者は斧を。

ある者は螺旋の刃を。

ある者は弓を。

ある者は電磁を。

ある者は月の輝きを。

ある者は日輪の力を。

ある者は技を。

ある者は銃を。

 

無限

時空

黒渦

天使

破壊神

進化

狩人

 

ありとあらゆる人の形。

 

 

 

 

 

先ほどまで砂嵐だったテレビの画面に段々と色がつき始めたのだ。

 

いや、違う。これは・・・これは、ーーーーー自分が見えてなかtt

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレビの前の白い影は映っていた画面を消すと先ほどまで彼がいた場所に振り向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

素晴らしいな・・・・・彼らは・・・。

 

そして美しい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ・・・・!!」

 

「あ、おはようございます先輩。……顔色が、今朝はあまり優れないようですね」

 

気づけばベットの上。

立華は全身に汗を掻きながらマシュを視界に入れた。

そこはマイルーム。カルデアのマスター達にあてがわれる部屋の一つだ。

 

「マシュ・・・?」

 

「眠れなかったのですか? いけませんカルデアにいるうちはきちんと眠っておかないと。休息も作戦行動に含まれます。以前も言った通り、わたしたちはー」

 

マシュが心配そうな目で注意する。しばし惚けていた立華は安心させようと思ったことを伝える。

 

「夢を・・・・見たような・・・」

 

「 夢を見たんですね。どういった夢、でしたか?もしかしてですが……それは、わたしの、その……」

 

立華はそう言われて考える。

先ほどの夢、それは一体どんな夢だったか。なかなか内容は思い出せないが覚えていた感情を伝えた。

 

「確か・・・なんかクトゥルフっぽい?」

 

「そうですか・・・良かった」

 

そう言うとマシュは溜息をついて安心したように呟く。立華は渋い顔をしながら思わず突っ込みを入れた。

 

「いや、全然良くないよマシュ。せっかくの朝だったのに見た夢が悪夢なんて幸先悪いだろ?」

 

「あ、いえ。そう言うわけではなくてですね・・・その、何というか・・・」

 

どうやら言葉に詰まっている様子のマシュは下を向いてゴニョゴニョ呟いている。心なしか顔も紅くなっているので再び声をかけようとして、何かを思いついた様にマシュが答えた。

 

「いいえ、何でもありません。ミーティングが始まりますから管制室へ行きましょう。ドクターが待っています」

 

 

そして早足にマイルームを出る後ろ姿に立華はぽかんとした後自分もと考えて観戦室に向けて歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういや、結局どんな夢だったっけ?・・・まぁいいか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう、諸君。良いタイミングだ。丁度、準備も整ったところだよ」

 

観戦室ではいつもの様にロマンが立っていた。しかし側に同じくいつもいるはずの天才の姿が見当たらず立華はまたかというような顔で言う。

 

「ダヴィンチちゃんはその・・・・また?」

 

「いや、今回は少し違うよ。」

 

また、というのは祖父の研究資料についての事だ。というのもあの天才はかつて持って帰って来た研究資料を読みに読み漁り自分の工房に篭っているのだ。

最近など廊下で見かけたときは顔色を悪そうにしながらとても気分がいいなどと呟き続けていたのだ。それを見たスタッフやサーヴァントたちはドン引きした目を向けてそっと廊下の端に行き道を開けていた。

 

「今回色々成果が出たらしくてね、数時間前に叫びながら「寝るから起こすな! って言って僕のソファーを占領しちゃったんだよ・・・・・」

 

「うわぁ・・・」

 

その光景を想像して立華は顔をしかめる。

あの見た目完璧美人が発狂しながらソファーに横になる光景はさぞや酷いものだったのだろう。

あれで自分の仕事は終わらせているのだから余計にたちが悪い。

 

 

「とりあえずまずは前回得た情報の解析結果からいこうか。」

 

「七十二柱の魔神……そう呼ばれる召喚術を使ったという、ソロモン王の時代の観測、ですね?」

 

「そうだ。結論からいうと、ソロモン王の時代に異変はなかった。紀元前10世紀頃に特異点は発生していない。これがどういう事かと言うと、七十二柱の魔神を名乗るモノたちとソロモン王は無関係という事さ」

 

そう言って立体映像の解析画面を立華とマシュに見せる。

まったくの無関係。その言葉に立華は思わず尋ねる

 

「それはまたどうして?自分で名乗るくらいだし手がかりくらいあると思ったんだけど・・・」

 

「どうしてもこうしても、あれだよ。ミステリでいうなら不在証明が成立したという事だ。もしソロモンが七十二柱の魔神を使役しているのなら必ずその痕跡が観測される。紀元前10世紀から未来に向けて使い魔を放っている.という流れがね。でもソロモン王の時代には何の異常も見られないつまり彼の時代は“正しい人類史”のままだ。」

 

立体映像にはその時代の次元振が計測されている。

 

 

 

そしてその数値は・・・"0"

 

「だからレフ·ライノールや魔神を名乗る連中はまったく違う"何処かの時代”から現れている。なのでソロモン王と彼等は無関係だ。 」

 

立華はしばし考え顎に手をやる。すると何か思いついたかのように手を合わせた。

 

「そうだ。サーヴァントだ。ソロモンがサーヴァントになってしまっているというのはどうだ? 」

 

「そうです。先輩のように、自分の時代でソロモンを使い魔にすれば“七十二柱の魔神”も配下にできると思うのですが・・・」

 

その答えを予想していたかのようにロマンはすぐに答える。

 

「七十二柱の魔神なんて使い魔が本当に実在するのなら、の話だよそれは。だいたいソロモン王がそんな悪事に荷担するとはボクは思えない」

 

「お言葉ですがドクター。サーヴァントはマスターには従うものです。マスターが命令すればソロモン王も従うしかないのではないですか?」

 

「そんな悪人にソロモンは呼べないよ。冬木の聖杯戦争じゃあるまいし。カルデアの召喚システムはマスターと英霊、双方の合意があってはじめて成立するものだ」

 

 

 

カルデアにおけるサーヴァント召喚。

それは座にいる本体からの同意が確立して初めて成功される。

サーヴァントが座にて召喚者を気に入らなかったら決して応じることはないし召喚者が心のどこかで拒絶しても召喚出来ない。

 

「ダヴィンチちゃんもそうだったからこそ来たんだな」

 

「君の召喚したサーヴァントもそうだね。真っ直ぐな君だったからこそ彼らは答えてくれた。ならばこそソロモンの人柄を想像するに召喚される事は無いと考えたのさ」

 

そう言うとロマンは再び計測器に向き直り今回の特異点を表示する。

そんな中立華は考えた。

 

(ソロモンが召喚出来ないとなると別の犯人がいると言うことか・・・。となると一体どう言う事なんだろう。あいつらは自分のことを魔神と呼ぶしあれほどのもんを操るとすると・・・・いや、まて)

 

(操る・・・・なんか引っかかるな・・・。あいつらはそもそもとして操られてーーー)

 

 

「先輩?」

 

「そろそろレイシフトを始めるから準備いいかい?」

 

声をかけられて立華は顔を上げた。どうやら自分の思うよりだいぶ考え込んでいたようだ。

 

「悪い。ちょっと考えてて・・・」

 

「お、出発すんのか?」

 

すると管制室にネロと清姫とクーフーリンの三人が入って来た。クーフーリンは立華達をみてウォーミングアップを始めた。

 

「旦那様?朝ごはんを食べていないと思い用意しておきましたよ」

 

「あ、おにぎりだ。ありがとう清姫、ちょうどお腹空いてたんだ」

 

「なんだ?もう新しい所が見つかったのか。この前のからそう時間も経っていないではないか」

 

「そのことに着きましてはこれから説明する所でして・・・」

 

全員が静かになるのを見届けるとロマンは次の特異点の映像を表示した。

 

 

「……さて。どうあれ、残り四つの特異点。

このいずれかの時代に黒幕が潜んでいる可能性は高い。なにしろ他の時代に異常はないんだ。特異点を潰していけば必ず黒幕に遭遇するさ」

 

「では今回のオーダーの詳細を説明しよう

第四の特異点は十九世紀-」

 

「七つの中では最も現代に近い特異点と言えるだろう。けれど驚くに値しない。道理ではあるんだ」

 

そう言うと画面に蒸気を吐き出し続ける煙突群を表示する

 

「すなわち文明の発展と隆盛この時代に人類史は大きな飛躍を遂げることになる。-つまり、だ。」

 

 

 

 

 

 

 

産業革命さ!まさしく決定的な人類史のターニングポイントだ!

 

 








テレビとは一体誰が見るものでしょう?


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