Fate/Machina order   作:修司

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あれですね。きれいに纏めるってとても難しいですね。












遅れてすいませんでした!m(__)m


エピローグ

 

 

 

 

 

 

「なんなんだよこの渦は?!!」

 

 

 

 

揺れ動くアルゴノーツの上で柱に捕まったイアソンが叫ぶ。

先ほどまで甲板を埋め尽くすほどいたシャドウサーヴァント達はその揺れによって今も吹き飛ばされている。

 

 

「せっかくもう少しで奴らを始末できると思ったのに!!」

 

「イアソンさま!おつかまりください!!!」

 

そんな中でもメディアはイアソンに防御魔術をかけようと必死になっている。

しかし暗唱をうまく唱えることができずに空回りしてばかりだ。

「・・・・・・」

 

船の淵に手を置きヘクトールは渦の中心を眺めていた。中心を眺めるその表情は、無表情か。それとも懐かしむ表情か。

 

「おい、ヘクトール!!なにぼーっとしてるんだ!早く奴らを追うんだ!」

 

「・・・・・・・・」

 

イアソンがヘクトールに向かって怒声を浴びせる。

そんな時でもヘクトールは中心を眺めたまま動かない。

それが気に障ったのかイアソンは再び叫んだ。

「ヘクトール!おま「ちょっくら黙ってくださいやキャプテン」はぁ?!」

 

不意にヘクトールが言葉を重ねる。イアソンは苛立ち口を開けようとしたが、彼の表情を見て再び口を閉じた。

 

「・・・・・」

 

「お・・・・・おい。何だよ、その顔は?」

 

慈悲。

 

ただひたすらに慈悲。

 

哀れむように、それでいて子供に物を教えるかのように彼は言葉を重ねる。

 

「なあ?確かアンタってさ、王様になりたいとか言ってたよな?」

 

「あ、ああ!その通りさ!それが一体なんだって「あんたはさ」」

 

「あの時人々の為に命を張った勇者を見て、それに並べるような王様を、人々の笑顔で包まれてるような国を作るって言ってたよな?」

 

イアソンはそれを聞き心の中で思い浮かべる。

かつて人々の為に命をかけて戦った黄金の勇者を。

子供の頃に憧れ、手を伸ばしたくて届かなかった神のことを。

 

「だからそれが何だって言うんだ?!!今は関係ないだろう?!!」

 

「それとも何か?!今更僕に間違いがあると言いたいのか?!」

「・・・・・・さあな」

 

ヘクトールは再び目線を渦の中心に向ける。

それを見てイアソン、メディアも彼の視線の先を辿った。

 

 

そして見てしまった。

 

 

 

「・・・・・・は?」

 

「・・・・・・・・え?」

 

疑問符をあげたのは同時だった。

 

この渦の中心、ヘクトールの視線の先にいたのはかつての黄金の神と同じ姿を持つもの。

 

マジンガーZがいた。

 

 

「俺たちが戦ってたのはさ、最初からあの神さんだったんだ。」

 

「神さんに誇れるような事をしようとしたが、あんたは何か間違っていたんだよ」

 

ヘクトールはそう言うと腰を下ろし足元に転がってきた瓶を煽る。

イアソンは信じられない。認めたくない物を突きつけられたかのごとく言葉を吐き出す。

 

「そんな・・・!あのお方が、俺の憧れたあの方が敵のはずはない!だってそれじゃあ・・・・!それじゃあまるで・・・・!」

 

 

 

 

 

『僕達こそが悪の軍団じゃないか?!』

 

 

ヘクトールは頰を掻きながら困った表情を浮かべる。

そして不意に船の上に大きな影が現れる。

 

(酷だね・・・・。ま、しかし今回は仕方ないっか・・・)

 

(俺もキャプテン達も、人の心を弄びすぎた。なら当然の報いってやつだろう)

 

 

「嘘だ!嘘だ!嘘だ!!!僕が一番見下していた悪と同じだなんて!そんなのうそ」

 

直後に轟音が鳴り響く。

アルゴノーツは、マジンガーの振り回した人魚(特大の神秘の塊)の直撃をくらいバラバラに吹き飛ぶ。

イアソンは結局最後まで現実を認められないまま、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱の本流にかき消された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エピローグ

 

 

 

 

「せんぱああああああああああああああああ!!!!」

 

「だんなさまああああああああああああ!!!!」

 

 

 

「まって、落ち着いて、揺らさないで、傷開く・・・」

 

海から上がった立華は一直線に飛んで来た涙目のマシュと清姫に抱きつかれた。

それもそのはずである。一度はパスが消えた事で最悪の事まで考えたのだ。心配しないはずがない。

しかし二人は泣きながら胸板に頭をグリグリするので、立華は今にも気絶しそうだ。

 

「先輩・・・!一度ラインが切れた時はどうなったかと・・・・!どうなったかと・・・・・!!」

 

 

『立華くん無事だったんだね!一体海の中で何があったんだ

い?!!』

 

「ドクター、その話は後で。それよりも早くカルデア制服を送ってくれ」

 

立華は一旦二人を離すとボロボロになったネロの手を掴む。

 

「おお・・・・りつ、かよ・・・おそいでは・・ないか」

 

「すまんネロ、もっと早く駆けつけていたら・・・」

 

「よい・・・」

 

ネロはボロボロの体を少し起こして立華に笑顔を向ける。

あの異形を見たらわかる。彼自身も大変な思いをした事が。そんな状況の中自分達を先ず最初に逃がしてくれた。

それだけで充分。

 

「・・・・・大儀である」

 

立華はその言葉を聞いて頷くとカルデア制服を起動してネロを回復する。それで少し楽になったのかネロは体を倒しゆっくりと意識を手放した。

 

「・・・・・みんな、遅れて本当にごめん」

「なあに、暗い事は言いっこなしだ。お前さんは充分よくやったよ」

 

クー・フーリンは立華の肩に手を置き励ました。

実際の所謝りたいのは彼らのほうだ。いくら立華がマジンガーZを動かせようともやはり普通の人間。守るべき者に戦わせ、しかも満足に役割を果たせなかった事にクー・フーリンは唇を噛む。

 

(・・・・・やはり槍が欲しいな。俺自身キャスターのままじゃ奴らに対抗し続けんのは難しい)

 

帰ったらダヴィンチのオッさんに頼むか。

彼は心の中でそう呟くとオリオン達の方を見た。

そこには

 

 

「ゴメンナサイゴメンナサオゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサオゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」

 

「オヤジ・・・・・・・・・・飛んでったなあ・・・」

 

そこはカオスだった。

仮にも女神のアルテミスは頭を抱えてガタガタ震えており 、オリオンはあの人魚の消えた方を延々と眺め続けていた。

 

「・・・・・あいつらは一体どうしたんだ?」

 

「それがリツカを見たときからずっとこんなんでねぇ。こっちが話そうにも聞きゃしない」

 

ドレイクが肩をすくめながら困った顔を浮かべる。

それに心当たりのあるロマンは立華に聞いた。

 

『彼らはあの人魚を見たときからあんな感じだったよ。結局あれはなんだったんだい立華くん?モニターに映りはしたけどレーダーにはなんの反応がなくて・・・』

 

「それについては私が説明するわ」

 

すると先ほどまでアステリオスのそばにいたエウリュアレが立華達に言う。

彼女はどうやらあの人魚について知っているようで、近くの岩場に腰を下ろすと語り出した。

 

「あれはとある神霊の分霊みたいなものよ。この場所に漂っていた懐かしい気配に当てられて寄ってきたみたいね」

 

『神の分霊?しかしそれにしては神霊の波動を観測できなかったけど?』

 

「ええ、かつて私達の神話の神々は異界の神に寄って封じられた。それ自体は彼が帰った後に解けたのだけれど、それ以来彼らは人に関わる事をやめた。俗にいうとトラウマってやつね」

「だけどそんな中でもわずかに闘志を燃やしている神霊も存在してね。懐かしい気配を感じた瞬間本体と別れてここに来たのよ。ただあの負けようからするともう最後の闘志も燃え尽きただろうけど」

 

 

そう言ってエウリュアレは悪い顔をする。

とても女神とは思えないそれに周りの者達はドン引きした。

 

「じゃあオリオン達があんななのは昔のトラウマなのか?」

 

「わたしの中の信仰が・・・」

 

アタランテ膝をついて暗い雰囲気を纏う。自分の信仰する神のあんな姿を見るのはやはりきついのだろう。

 

「ま、何はともあれこれにて一件落着だな」

 

「風が止んだ・・・・ああ、こりゃ終わりだね。この海は終わる。大渦のような破滅じゃあない」

 

「アタシたちの海が帰ってくる!」

 

世界が輝き始める。聖杯が回収されこの特異点が光とともに崩れて

いく。ドレイクは海の向こうを眺めながら、みんなに聞かせるようにそう叫んだ。

 

「オオーーーイ!これでこのトンチキな海ともお別れだーー!」

 

「やったなヤロウども、でもちょっと寂しいぜ!こっちの海はロマンに満ち溢れてたからな!」

 

「じゃあなマシュちゃん、立華!船長を助けてくれてありがとうよ!」

 

ドレイクの部下たちが言葉を言い残しながら消えてゆく。おそらく一足先に元の世界へと戻っているのだろう。

 

「おい、サッサと正気にもどれ。そろそろ帰るぞ〜」

 

「・・・・・!ええ、帰りましょう!もう怖いのはたくさん!!」

 

「ああもう、なんか疲れた・・・」

 

そう言ってオリオン達もサッサと消えてゆく。

アルテミスはよっぽど怖かったのだろう、消えてゆく瞬間は今までで一番の笑顔を見せていた。

 

「・・・・・これから先アルテミスさまをどう敬えば良いのだろう・・・・・」

 

「まああれだ。お疲れさん」

 

アタランテがため息を吐きながら消えていく。

彼女は彼女で色々思うことがあるのか、悟ったような顔を浮かべていた。

 

「や、そろそろお別れだね。そちらは色々大変そうだけどくじけず頑張ってくれ」

 

「なんというか災難だったな。来て早々狙われるなんて・・・」

 

「全くだね。できることなら次は女の子に追いかけ回されたいね」

 

そう言ってダビデも消える。

それを見送った立華達も、足元から粒子を出しながらこの時代から消えてゆく。

 

「お、俺たちもそろそろだな」

 

「はい、皆さん。今回は我々に協力してくださりありがとうございました」

 

『僕からも言っておくよ。今回は特例ばかりで何もできなかった。おかげでこの歴史も修復できそうだ』

 

それを聞いたドレイクはハットを被りなおし立華達を見る。

今回の特異点は彼女のおかげで本当に助かった。マジンガーだけでは決して攻略することは出来なかっただろう。

 

「ああ、こっちこそ楽しかったよ。アタシへの報酬はそうだねぇ・・・・アタシらとの旅は楽しかったって思い出してくれればそれで良いさ!!」

 

「あーあ、これで私達の役割もお終いか。でも・・・・・・つまらなくはなかったわ」

 

そう言ってドレイクの横に来たエウリュアレが言う。

彼女は座っていたアステリオスの頭を撫でると立華達に微笑み手を振った。

それに立華は手を振って答えると唐突にあることを思い出した

 

 

「あ!そういや聞いてなかった!結局あんた達の言う神様ってなんなんだよ?!」

 

そう、立華は約束していた。

この特異点が終わったら彼女にとある神の話を聞くことを。

しかし

 

「ああ、もう時間がない!」

 

「残念。仕方ないからまたの機会にしなさい。それに私達の思い出をそう簡単に聞けると思わないことね」

 

エウリュアレはいつの日か見たような悪どい顔を浮かべた。

せっかくここまで頑張ったにもかかわらず情報の収穫なしに立華はへこんだ。

だんだんと特異点から消えてゆく。もうじきいつも見慣れたコフィンに戻ってくるだろう。

するとエウリュアレは唐突に口を開きーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「覚えておきなさい。Zマジンガー、それが私達の救い主の真名よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




来週はテストあるのでおやすみします!

次回予告通りおじいちゃんの屋敷に行きます!

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