Fate/Machina order   作:修司

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三話目です。小説を書くのって難しい・・・


天才と天災

「キュー、キャーウ!」

 

何かが顔を舐めてる感じがする。

眠い目を少し開けるとそこにはいつもの謎生物こと(フォウさん)がいた。

最近の朝は必ずフォウさんの顔を見る事が習慣になってきている。

 

「おはようございます。よく眠れましたか、先輩?」

 

少し間を置いて後輩のマシュが話しかけてくる。

その問いに対して自分はぐっすりと、と答えると

 

「よかった。十分な休息がとれた事は喜ばしい事です」

 

と返してくれた。

「フォーウ、フォーウ!」

 

「この通りフォウさんもやる気に満ち溢れています。睡眠も朝食もバッチリと思われます」

 

「レイシフト先の環境は未知数です。いつ、どれだけ休息の機会があるかわかりません。ですから成るべくきちんと眠ってくださいね。」

 

「大丈夫だよマシュ。ベットがいいものなのかいつもぐっすり眠れるから」

 

そうして顔を洗いマシュに言われてロマンの元へ向かう。

これが特異点、邪竜百年戦争を終えて藤丸立華の最初の朝である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後我々は仲間となったルーラー(ジャンヌダルク)と複数のサーヴァントと共にオルレアン城に向かい、そこでジャンヌオルタ陣営と激突する。 各サーヴァントが足止めをしてくれている間自分たちはこの特異点の首謀者であるジャンヌオルタとキャスターのサーヴァント、ジル・ド・レェと戦った。

 

 

 

途中ジル・ド・レェは使い魔である巨大海魔をワイバーンと聖杯の魔力で呼び出したが、Zの前には攻撃は通らず結局こちらは無傷で特異点を攻略する事ができた。

 

 

後悔が無かったと思えば嘘になる。もう少し早く動いていれば特異点での犠牲ももう少し少なかったのではないかと。

マジンガーZがあるとはいえ神になれる、と考えたわけではない。どんな存在であってもすべてを救うことは出来ないという事も理解している。

 

 

 

 

だからこそ手の届く人間は成るべく助けたい、と思った。

だってそれこそ、おじいちゃんの作ってくれたマジンガーZの使命だと思うから。

 

 

 

 

それといい事もあった。

 

 

「旦那さま♡おはようございます」

 

「あ、おはよう清姫」

 

「おはようございます、清姫さん」

 

 

特異点から帰る時、バーサーカー(清姫)が自分たちに付いてきてくれた。最初に出会った時はもう1人のサーヴァントであるランサー(エリザベート)と共に襲いかかってきたが、最後の戦いでは一緒に敵のサーヴァントと戦ってくれた。

 

 

 

 

時々大胆な事をする子だが、自分のために色々世話を焼いてくれるいい子である。

 

「旦那さま?どうしました?」

「いや、ちょっと考え事だよ」

 

「まぁ♡私の事を考えておられたのですか?私も安珍様の事をいつもいつも考えておりますよ♡」

 

「・・・・」

 

・・・いい子である。

 

「清姫さん、私たちは今からドクターの所に行く所ですよ」

 

「それなら私もお伴します。夫の後ろについて行くのは妻の務めですから♡」

 

なんだろう・・・・後ろの〜の辺りで変な寒気がした。

とはいえ清姫はここに来たばかりだし、案内も込みで一緒に行くのもありだろう。

 

「じ、じゃあ一緒に行こうか」

 

「はい、安珍様♡」

 

マシュとフォウさんのジト目が背中に刺さりながらも自分たちはドクターのいる管制室に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、おはよう諸君。と言ってもここにいるのは君たち3人と、」

 

「ふわあぁぁあ・・・・・・や、おはよう〜。回収した聖杯は技術部で解析ちゅうだよ〜」

 

「僕と、そこで寝惚けている天才様だけだけどね」

 

清姫と途中で別れた後(朝食の準備をして来るとのこと)俺達は少し遅れて管制室についた。

 

 

 

管制室にはドクターと一緒にサーヴァントキャスター、「レオナルドダヴィンチ」ことダヴィンチちゃんが待って居た。

ダヴィンチちゃんはカルデアの技術担当者であり蘇った天才である。 なぜモナリザの姿なのかは本人曰く思い込みによってその姿で召喚されたらしい。

 

 

 

おじいちゃんといいダヴィンチちゃんといい、天才と言うのは変わった人が多いのかもしれない。

 

「さて、取りあえず特異点攻略お疲れ様。改めて礼を言わせてくれ」

 

「いや、気にしないでよドクター。今回のこの事件は俺自身にも関係することだし・・・」

 

「それでもだ、僕達は君とマシュ達だけにこんな重荷を背負わせてしまった。大人として僕自身も戦えればよかったのに・・・」

 

「俺とマシュだけじゃありませんよ」

 

「え?」

 

そう、決して俺とマシュだけではない。

夜トイレに起きた時にドクターが寝ずに新たな特異点の解析を行って居たのを知っている。

 

他にもスタッフの人たちや技術部門の人達も、自分たちが最高の状態で送り出せるように気にかけてくれる。

 

決して俺とマシュだけではない。

 

「ドクターやスタッフの人たちが、俺たちをいつでも最高の状態で送り出せるように頑張ってくれているのを知ってるよ。だから俺とマシュだけじゃない、ここのみんなと一緒に戦ってるんだ」

 

「そうですよドクター。だからまた次の特異点も攻略しちゃいましょう。カルデアのみんなで」

 

「藤丸君・・・・・・・君がそう言ってくれるのならありがたいよ。僕達も報われる」

なんだか少しこしょばゆい気持ちになったがこれは俺自身の本音でもあるので伝えておきたいと思った。

 

「少し湿っぽくなってしまったね。それじゃあ早速だが本題に入ろう」

 

「そうそう!これこそが本題だよ藤丸君‼︎あのロマンを詰め込んだロボットは何なんだい⁉︎まさか現代に、しかも藤丸君のおじいさんが

あれほどの物を作り出せるなんて!」

 

ダヴィンチちゃんが興奮して詰め寄ってくる。

その目は新しいおもちゃを買って来てもらったかのごとくキラキラしていた。

「い・・・・いや、俺自身もおじいちゃんとは子供の頃にいきなり失踪してそれっきりだったし、何よりマジンガーの存在もあの時初めて見たものだし・・・」

 

 

 

「そうなのかい?しかしこれ程の物を仕上げるとなるととんでもないほどの時間をかけたはずだ。内蔵されているエンジンはカルデアの原子力発電を大きく上回る電力を生み出せるし使われている装甲や内部フレームなんかの素材も見たことがない!しかもこの私自身を持ってしても解析不可能なブラックボックスにが7つ、ヒンドゥー教の教えでいうチャクラの位置に備えてある‼︎ここまでワクワクしたのはこのカルデアに来てから初めてだよ!!まるで科学の芸術品だ!!!私が天才だとすると彼はまさに天災だね!!!」

 

 

 

ドン引きである。

 

 

あまりのテンションにマシュやフォウさんですら少し引いている。

芸術家である前に科学者であるダヴィンチちゃんからすれば、Zはまるで丁寧に仕上げられたペンダントのように感じるのかもしれない。

 

「僕はそれよりも気になることがあるな・・・」

 

「気になること?」

 

 

ドクターが疑問符を掲げる。

マジンガーについては俺自身もよくわかってないところは多いのだが。

 

「一応その事ではあるんだけどね。あのロボット・・・・マジンガーZはどうしてファヴニールや海魔に攻撃を通すことができたのだろう?」

なんでってそりゃあ

 

「Zのすごい力で殴り倒したからじゃないの?」

 

 

「あ、そういえば先輩は一般候補だったので知りませんでしたね」

 

そう言うとマシュとドクターが説明してくれた。

 

 

 

英霊や幻想種というものは本来何の力も篭ってない攻撃では傷つけることが出来ないらしい。神秘というものはより多く時間を積み重ねることによってその力を強いものへと変わっていくものらしく、本来最新技術の塊であるマジンガーの攻撃じゃあその神秘を崩すことが出来ないはずなのだ。

 

 

 

「しかしあの時マジンガーは英霊やファヴニールに大きなダメージを与えていた。ファヴニールのような幻想種は本来特大の神秘の塊で、ダメージを与えるにはジークフリードのバルムンクのように定着した弱点を突くかより特大の神秘による力押しでしかダメージを通せないはずなんだ」

 

「なるほど。つまり神秘の通ってない棒で英霊とかを殴っても効かないように、あの時のロケットパンチも通らないはずなんだね」

 

 

「その通り。見た所あのロボットが生まれたのは特異点である2004年、つまり最近だ。だからこそあの時ファヴニールの顎門を砕いたのが不思議だったんだ」

 

「私は他にもあるね」

ここでダヴィンチちゃんが疑問符をあげる。

 

「私はやはり藤丸君のおじいさん、プロフェッサー十蔵が気になるかな」

「おじいちゃんが?」

 

「プロフェッサー十蔵はあの時の足元から消えていっていた。あの消え方はガイア、抑止力によって直接手を下されたものだ」

 

おじいちゃんの死んだ時のことを思い出し少し嫌な気持ちが上がったが、今考えると確かにあれは不自然な消え方だった。

 

 

「抑止力というのはこの世界を継続させようとする巨大な意思のようなもので、この世界が本来とはちがう結果が残りそうになったらその結果を覆そうと手を加える。人理焼却という大きな問題を放っておいてなぜ抑止力はプロフェッサー十蔵に直接手を出したのだろう・・・」

 

考えれば考えるほどおじいちゃんに対する疑問が増えていく。

思えばそもそもなぜおじいちゃんは平和だったはずの時代にあんな強力な兵器を作ったのだろう?

 

しかも特異点である冬木市・・・俺たちから見たら過去からどうやって未来であるはずのカルデアに通信を送ることが出来たのだろう?

「まぁそんなに難しく考える必要はないよ。おじいちゃんの作ってくれたマジンガーZのおかげで俺自身もマシュや清姫と肩を並べて戦えるんだ。今はとてもありがたいよ」

 

「それもそうかも知れないね・・・・。マジンガーZがあるおかげで君がむやみに傷つくことも無いだろうしね」

 

 

 

そういってドクターと笑うと隣でマシュがむくれているのに気づいた。

「む〜」

 

「ど、どうしたんだいマシュ?何か気に触るようなことを言ってしまったかい?」

 

「先輩を守るのはマジンガーZだけではありません!先輩のサーヴァントである私も先輩の無防備な時にいつでもお守り出来ます!」

 

「マシュ・・・・そうだな。マシュは俺のサーヴァントだもんな」

 

そう言うとマシュは元気よく「はい!」と答えた。

 

「はっはっは!ならマジンガーが鉄の城だとするとマシュは鉄の盾、と言ったところかな?」

 

なんだそれ、と言うと観測室に俺達の笑い声が響いた。

 

「旦那様をお守りするのは貴方だけではありませんよ・・・」

 

「うわっ⁈」

 

気がつくと後ろの方に清姫が立っていた。いつの間に来ていたのだろうか・・・。

 

「旦那様♡朝食の用意ができましたよ。冷めてしまわぬようお呼びに来ました♡」

 

「あ、ありがとう清姫。確かにお腹すいて来たね。それじゃあみんなで食べに行こうか」

 

「そうですね。先輩、清姫さん、ご一緒してもよろしいですか?」

 

その問いにもちろん、と答えるとドクターやダヴィンチちゃん達と共に食堂に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで一つなぜマジンガーが神秘に攻撃を通すことが出来るのかについて語ろうと思う。

マジンガーZとは藤丸十蔵の手によって作られたものだ。しかし本来はそうでは無い。この世界に転生して来た藤丸十蔵は謎の存在によって天才的な頭脳を与えられ、その知識を元に作られた。

 

つまり本来は別の「だれか」の手によって考え生み出されたものなのだ。

 

 

 

 

 

 

だがこの事が近い未来・・・幻想種や悪魔達との戦いで切り札となることとなるのは、まだ誰も知らないことである。

 

 

 

 

ーendー

 






番外予告〜

とある町の地下深く。
広い研究施設の中にそれはあった。
それは施設全体を覆うように設置されており、上から眺めると巨大なリングのようにも見える。
持ち主の居なくなったそれは決して動くはずはない。
だが・・・・・






ふと、それは光の粒子のような物を隙間から流した。
同じくして、誰も居ないその場所から声のような音が響く。


「・・・・・・z・・r・・・・o・・・」

その音は誰にも聞かれることのなく、暗い空間に流れて行く。
それと同時に施設の地面に散らばったタブレットの画面に、研究資料と共に文字が映し出された。








●●●●●、と。

番外予告-完-



仕上がったぞおおおおお!
感想が俺のやる気になる!


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