「・・・・・なるほどねえ。大まかな事情は分かったよ」
立華達はひとしきり驚いた後現れたサーヴァント「オリオン」「アルテミス」と情報交換をしていた。
「しっかし驚きだな。まさかオリオンがさぁ・・・・」
「俺としても召喚されたらこんな事になるなんて思ってなかったよ。まさかさ、召喚されたらさ・・・・こんな・・・・・こんな・・・・・」
「生きろ」
クマのぬいぐるみのような姿で四つん這いになるオリオン。
そんな様子を見て立華は肩に手をやり同情する。
「・・・・・・・」
「こっちもこっちで驚きだな。まさか女神が直接召喚されるなんて」
クー・フーリンはそう言ってアルテミスを見る。
本人はいまだにマジンガーが恐ろしいらしく、チラチラ横目でみている。
「そんなにマジンガーが気になるのですか?」
「う、うん・・・・気になると言うか、落ち着かないというか・・・・」
「マシュ、マジンガーしまっていいよ。多分このドラゴンくらいの脅威はもうないと思うし」
それを聞くとマシュは魔法陣を展開してマジンガーをカルデアに戻す。
その様子を見て安心したアルテミスはようやく普通に顔を合わせる。
「ああ〜、怖かった〜。あのお方のお説教怖いのよね・・・・」
「落ち着いた?」
「うん。なんとかね。ところであなた達はどなた?見た所人間・・・・みたいだけど?」
「お前聞いてなかったのかよ・・・・。此奴はようやく見つけたマスターだよ。そんでもって今回の召喚は聖杯戦争じゃないんだと」
オリオンは再びアルテミスに事情を説明する。
その間立華はマシュ達にこっそり耳打ちする。
「なあマシュ?なんか俺この一人と一頭の関係がなんか釈然としないんだが・・・・・?」
「ええ・・・たしかにそうですね・・・・」
「うむ、第三者から見たら人形に語りかけるまずい者達であるからな・・・・・」
「旦那様を束縛するなどあってはなりません」
「ん?ちょっと何言ってるかわかんないな?」
しばらくすると話し終えたのか、オリオン達はこちらを向く。
「ん〜む。ねえ、ダーリン?協力してあげたいんだけどいい?」
「なんだ?お前が協力的なのは珍しいな」
「ええ。だってそこのリツカちゃん?に協力しないと後が怖そうだし・・・・・」
「え?協力していただけるのですか?」
その問いに首を振る二人。
ドレイクはオリオンを指で突き「フォウのほうが可愛いな。あっちのが上品な見た目してるよ」とぶつぶつ呟いている。
アルテミスはいじめないで!とオリオンを胸元に隠す。
「・・・・・・・ざまぁ」
「エウリュアレ?」
「なんでもないわ、行きましょう」
エウリュアレは一瞬アルテミスを見て黒い顔をし、立華達の元に近づいていった。
「へー、たしかに船に使うのは名案だな」
立華達はドラゴンの鱗を剥ぎながら、その素材を船に持っていっていた。
マジンガーで本体ごと運ぼうと思ったのだがアルテミスが怖がるため、結局解体してから持っていく事になった。
しかし
「え?もう充分?」
「ああ、小さいやつらだけで足りたんだとさ」
どうやら補修と強化に使う素材は足りていたらしく、立華が倒したドラゴンはかなり余分になってしまった。
「どうする?せっかくだし焼いてたべてみる?」
「いや、鱗とか甲羅を剥ぎ取るのにまた手間がかかっちまう。こいつは完全に大きすぎだな」
鍛治の海賊はそう言うと右手でドラゴンを叩く。
せっかく倒してきたのに骨折りとなった事で、立華達は腰を落とす。
「もったいないなぁ・・・。こんなに大きいのに」
「はい。どうにか使い道があればいいんですが・・・」
「兄貴どうにか出来ない?」
「無茶言うな。こんな代物あの大砲でも傷つくかどうか・・・」
そう言って頭を掲げる立華達。
元の場所に置いてこようにもそんな事をすれば強い力に魔物が寄って来て再び戦闘となってしまう。
すると不意に、立華の耳にクー・フーリンの言葉が耳に残った。
「無茶か・・・、大砲・・・・、傷・・・!」
「先輩?どうしました?」
立華はマシュの言葉に頷きドラゴンを指差した。
「いい事思いついた!」
「ウッヒッヘッヘッヒッヘッヒ・・・・。フッヒュッヒュッフッヒョッ・・・・・・はっ!おお、夢から覚めてしまえばハーレムははるか彼方」
「此処に居るのは我らが先生二人と、二人の世界を築き上げている百合ップルだけでござる」
現在黒髭達はドレイクの船を探して島々を移動していた。
あの後聖杯の力により船を直した彼らは、船が消えた方向を頼りに進んでいた。
「・・・・・いやまあ、拙者百合もイケる口ですが。いかんせん、独り寝は寂しいですなぁ(ちら」
そう言って黒髭はアンとメアリーを見る。
それに気づいた二人は黒髭をゴミのを見るような目で見つめて言った。
「凄い、アン。この船長同衾を求めてるよ」
「好感度がゼロというよりマイナスの分際で、素晴らしい発想だと思いますわ。ていうか、夢に私達出てませんよね?出てたらあなたが夢を忘れるまで銃床で殴り続けますが」
「マフー。出て来たヒロインが多すぎて覚えてないですなあ」
「・・・・・この船長、僕たちを有象無象のモブヒロインにしたよ」
「うん♪やっぱり殺しましょう♪」
そういうとアンは黒髭に向けてためらいなく引き金を引く。
キモい声を上げながら避ける黒髭を見ながらエイリークはため息を吐き出す。
「せっかく自由な時間を得ることが出来たのに・・・。まさかこんな役割とは」
「まあまあそう言いなさんな。あれはあれで切れ者なんだ。そんなに悪いもんでもないさ」
船の端でヘクトールはワインの瓶を片手に語る。
もともとエイリークはバーサーカーのクラスで呼ばれるサーヴァントであったのだが、とある事がきっかけでランサー、またはライダーのクラスでも召喚が可能となった。
なのに召喚された理由がサーヴァントとはいえ少女を追いかけ回す事とは・・・。
エイリークはなかなか参って来ていた
それからしばらくすると新たな島が見えて来たのでヘクトールは黒髭に伝える。
「船長!次の島が見えてきたぜ!」
「エウリュアレちゃん見える?!聖杯は?!」
「今んとこは見えねぇなあ・・・・・・・ん?」
島を眺めていたヘクトールは島から謎の煙が上がっているのに気づいた。
「どうしました?」
「イヤな、なんか島から煙が上がってんのが見えてよ。多分奴らだと思うんだが・・・・」
「?そんな露骨にばれるような真似するかしら?」
「まぁでもいることには変わらねぇと思うし・・・」
ヘクトールは煙に違和感を感じ始めていた。
あの煙、なんか燃焼による煙というより土かなんかをばら撒いた見たいな煙じゃないか?
「エウリュアレちゃんは結局あの島にいるのでござろう?ならば真っ直ぐ進むのが礼儀でござる!」
「アン。あの船長礼儀を語ってるよ」
「あらあら、無礼の塊のような方ですのによく口にできましたね」
それになんか音が聞こえる。
何かでかいものがだんだんこっちに近づいてるかのような音だ。
そこまで考えたヘクトールは船長に忠告する。
「なあ、船長?一旦あの島から----
すると次の瞬間
島の森の中から首のないドラゴンが船を目掛けて飛んできた。
「「「「「は?」」」」」
「これ相手の船に投げつけられないかな?」
「こいつさ、大砲の攻撃にも耐えうるんだろ?ならば途中で攻撃されて吹き飛ぶこともないしさ、船の上までたどり着いたらあとは落ちるだけだろ?」
「サーヴァントの中にはアーサー王みたいにビームを撃つ奴もいるけどさ、あの中にはそんな高火力の奴はいなさそうだったし。この質量を叩き込めば一網打尽に出来る」
「一発で勝負を決められる」
「坊主!見えてきたぜ!」
クー・フーリンが合図を送る。
それと共にマジンガーがドラゴンを掴み、船の方向に足を踏み出す。
それと共に少しずつ森の魔物を巻き込みながら走るスピードを上げて行く。
ちなみにマジンガーの走るスピードは軽く断熱圧縮を発生させるほどの健脚である。
そんなスピードのままドラゴンを船に向けて放ったらどうなるか?
「行っくぞオオオオオオオオオオオッ!!!」
岸までたどり着いたマジンガーはそこでドラゴンを手放す。
ドラゴンはその身を熱で真っ赤に染めながら黒髭の船に向かっていく。
船から大砲を数発放っているのが見えるがもう遅い。
ドラゴンはそのまま威力を変えることなく進み
黒髭の船を砕きながら破裂した。
-続く-
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