Fate/Machina order   作:修司

2 / 42
物語が一気に飛びます。


鉄の城編
鋼の城


人類は滅んだ。

 

 

 

 

 

 

2015年8月、100年後の文明の光を観測することにより人類社会の在続を保証する人理継続機関フィニス・カルデアは、2016年に何の前触れもなく人類が滅亡する事を証明した。

そしてその未来を修正するために、本来存在しないはずの過去の特異点事象を発見することにより未来を修正するための作戦を始動した。

だが人理焼却を目論む者の使いであるレフ・ライノールによってカルデアのマスター候補は瀕死の重傷を負い、たった1人を残してコールドスリープすることとなった。

 

マスター適正を持つ彼は1人の少女とともに七つの特異点をめぐり、運命と戦う事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしこの物語を眺めているあなた達の中にはこう考える方もいるのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

たった1人の力で未来を取り戻す戦いを生き残れるものなのだろうか?彼はこの先百鬼夜行の化け物に、一騎当千の英雄を相手に、戦うことができるのだろうか・・・・・・?と。

 

 

 

無理もない、何せ彼はつい最近まで青春を謳歌していただけの一般人なのだ。

決して一流の魔術師や英雄の子孫というわけでもない。 そう、どこにでもいるような普通の人間なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

だが安心してほしい・・・

何と言っても彼には

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無敵の力があるのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

邪竜百年戦争 オルレアン

 

西暦1431年のフランス、ジャンヌダルクが火刑に処されてからさほど日が立っていない時代。

 

ひと時の平和であるはずのフランスは地獄と化していた。

その地獄を作ったのはジャンヌダルク・オルタ。

己を見捨てた祖国、国民、そしてこの世の全てに憎悪し、復讐を誓った「竜の魔女」。

彼女はフランスを沈黙する死者の国に作り変えるために竜の群れと召喚したバーサーク・サーヴァントを率い殺戮の限りを尽くしていた。

 

「ざまぁないわね・・・」

 

邪竜ファヴニールの上で口元を歪ませ、人が焼かれる様を眺める。

そして焼けた死体をワイバーンがたかり、辺りにはむせ返るような血の匂いが漂っている。

右手を上げ彼女は命ずる。

 

「おいでなさい飛竜たち、この空をお前たちの影で埋め尽くすのよ」

 

空を埋め尽くす飛竜の群れを見て人々は嘆きの声を上げる。

あんな化け物達にかなう筈がない。

ある者は逃げ惑い、ある者はこの子だけはと自分の子供を抱きしめる。

しかし竜の魔女は無慈悲にその手を振り下ろした。

 

 

「人を喰らい地を焼き払っておいで!さぁ行きなさい!!」

 

 

そうして竜の群れは彼女の指示通り地獄を作ろうと人々に襲いかかる。

これでまた自分の復讐が前に進む。

ジャンヌ・オルタは次に現れる惨劇を想像し口元を歪ませた。

 

だが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ロケットパアァァンチッ‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その光景は現れることはなかった。

「っ⁈」

自分の横を巨大な何かが通り過ぎる。

だが離れたことでその全貌が明らかとなった。

巨大な手だ。

黒鉄色をした巨大な腕。

その腕は飛竜の群れへと飛んで闇を払い、放った持ち主の元へと戻っていく。

そこにいたのは

 

 

 

 

 

「なに・・・・あれ・・・・?」

 

 

 

 

それを呟いたのは果たして彼女だったか、それとも町の人々の誰かだったか。

そこにいたのはその腕と同じような黒鉄の巨人だった。

全長は大体20から30m程あり、全身を硬そうな鋼に身を包んでいる。

胸には赤い板が付いており耳に当たる部分には黄金色のツノが伸びる。

そして輝く二つの眼光はまっすぐにこちらを見つめていた。

 

 

 

いち早く正気に戻ったジャンヌ・オルタはファヴニールに指示を飛ばす。

 

 

あれが何なのかはわからない、しかし飛竜達を蹴散らし自分の前に現れた時点で私の敵だ!

 

 

「あんたが何なのかはわからないけど私のファヴニールに敵うはずも無いわ!」

 

ファヴニールは指示された通りその口から炎を溢れ出した。

あらゆるものを焼き尽くす地獄の業火は鉄の塊すらドロドロに溶かしてしまうだろう。

しかし

 

「うそ⁈効いてない⁈」

 

しかし巨人はそれを物ともせずに立ち向かってくる。

そしてファヴニールの前までたどり着くと、その大きな腕を振りかざした。

 

 

 

 

 

 

 

辺りに轟音が鳴り響く。

 

 

ファヴニールの自慢の牙はその顎門ごと吹き飛ばされていた。

 

その衝撃の余波を喰らいファヴニールの頭にいた彼女は思わず悲鳴を上げ吹き飛んだ。

しかしそこは英霊、何とかその身を回転させワイバーンへと飛び移った。

 

 

 

そして彼女は見た。

黒鉄の巨人の頭、その上に乗っていた人物を。

 

「私のファヴニールを・・・・!よくも・・・・・・‼︎」

「あんた・・・!あの白い方のマスターね!」

 

 

 

辺りに静寂が包む。

その静寂を最初に破ったのは

 

 

 

『その通りだ!』

 

黒鉄の巨人の方だった。

 

 

「俺の名は藤丸立華!そしてこれこそおじいちゃんの作り上げた!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー史上最強のスーパーロボット!マジンガーZだ!!ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、転生者藤丸十蔵こそ光子力理論を確立し光子力エネルギーの開発を成し遂げた現代の天災である。

転生者である十蔵は未来の自分の孫のことを考え、特異点と化した冬木にて光子力理論を元に世界最強のロボットを遺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤丸十蔵の最後にして最強の遺作、それがマジンガーZである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー特異点冬木にてー

 

 

「す・・・すごいです・・・20m・・・いえ30mはありそう・・・こんな巨大な物を先輩のお爺さんが建造していたなんて・・・・・・」

 

巨人を前にして巨大な盾を持った少女、マシュキリエライトが呟く。

オペレーターDr.ロマンの指示により特異点冬木の山の中からカルデアに連絡が届いたらしく、マスターである藤丸立華と共に調査に来たのである。

 

「あぁ、俺も訳がわからない。小さい頃に急に居なくなったおじいちゃんから連絡が入ったって言うだけでも混乱してるのに・・・」

カルデアは現在人理焼却から免れ異空間を漂っている状態である。

外の方から連絡は来ないことを知らされて居た立華は最初自分の祖父が、しかも特異点から届いたと聞いて混乱した。

 

『僕も驚いたよ・・・本来過去や未来への介入なんて出来るはずも無いのに・・・しかも特異点からなんて』

 

とロマ二アーキマンことDr.ロマンが言う。

医師であると同時に科学者でもある彼はモニターに映ったその巨人を見てそう呟いた。

ちなみにその後ろでとある天才が巨人を見て大興奮しているのはここだけの話である。

呆然としている所に壮年の男性の声が響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

立華!これが!!これこそがお前の力だ!

 

 

 

 

 

 

 

黒鉄の巨人、マジンガーZの頭部に幼き日に行方不明となった祖父・・・藤丸十蔵が立っていた。

 

「おじいちゃん・・・」

 

「あの方が先輩の・・・」

 

大好きだった祖父である十蔵を前にし混乱する立華をよそに十蔵は続ける。

 

「久しぶりだな我が孫よ!やはり私の予想通り、奇妙な運命に巻き込まれたか!」

 

 

「だが安心せい!天才のわしだからこそ!この日のために準備したのじゃから!」

 

 

「見よ!これこそ藤丸立華の力!マジンガーZだ‼︎」

 

「マジンガーZ⁈」

 

そう驚愕しながら巨人の名前を呼んだ立華に十蔵は満足気にニヤけると

 

 

 

その体を横に倒した。

 

 

「きゃあ!?」

 

「おじいちゃん⁈おじいちゃん⁈」

 

いきなり倒れた祖父の姿に立華は思わず声を上げた。特異点という特殊な事態であるとはいえ長年離れていた自分の祖父。

会いたくて、でもどこに行ったかもわからなくて。

そんな大切な家族が、やっと会えた家族がいきなり吐血したのだ。

 

血を滲ませながらも十蔵は孫の顔を眺めながら今までのことを振り返っていた。

 

【おのれアラヤとガイア共め・・・!ここまで誤魔化して来たものを今更になって動きだしよったか・・・!】

 

転生者である十蔵はこの世界の人間ではない。

本来消されるはずのその運命を今まで何とか誤魔化してきたがこの発明がきっかけで十蔵を消そうと動きだしたのである。

 

【アラヤやガイア・・・ましてや遊星すら無意味にするほどの新たな存在・・・こんな世界に来たからこそ私は生み出したのだ・・・立華・・・愛する我が孫よ】

 

こちらに飛び移ろうとして少女に抑えられている立華をその霞む目に焼き付けながら十蔵は言葉を紡ぐ。

意思ある者を蔑ろにする(この世界)に喧嘩を売るかのごとく。

自分のこれがこの世界最後の役割だと言うかのごとく。

 

「その力・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その力を立華!今お前が手にするのじゃ!!お前がマジンガーZを手に入れた瞬間から、人間を超えるのじゃ!」

 

足元からガイアの影響で消えていく十蔵は立華に叫ぶ。

 

「おじいちゃんもう喋るなっ!じっとしてるんだ!」

 

 

 

「先輩!このままだと落ちちゃいます!抱えて飛び移るので動かないでください⁈」

 

 

 

 

 

 

 

「そうじゃ!藤丸立華は

 

神にでも!

 

悪魔にでもなれる!

 

神となり人間を救うことも!

 

悪魔となり世界を滅ぼすことも!

 

お前の自由じゃ‼︎‼︎」

 

 

笑いながら自分に伝える祖父を見て立華そっと、おじいちゃん・・・とつぶやいた。

 

そして十蔵は思う。

これでわしの運命に意味を持たせられたと。

この世界に生きて来た証を刻んでやったと。

だからこそ・・・

 

 

 

 

「お前の好きなように世界を手玉に取るがいい! スーパーロボット!マジンガーZとなってな!!!」

 

 

そう言って十蔵はついに足が完全に消滅しマジンガーから落ちて行く。

自分に向かって涙を流しながら手を伸ばす孫を見て最後にこうつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

お前が決めろ・・・・。お前が選べる・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よくも私のファヴニールを!よくも私の復讐の邪魔をしてくれたわね!!!」

ジャンヌオルタがマジンガーZを前に叫んだ。

だが地に倒れ伏したファヴニールを前に立華はフランスの人々が観ている中叫んだ。

 

 

 

 

 

「うるせぇ!!」

 

「お前達が何を思って世界を滅ぼそうとしているのかはわからない!だがおじいちゃんは言った‼︎」

 

「神となり人間を救うことも!悪魔となり世界を滅ぼすこともお前の自由だと!」

 

 

「だがお前達が俺たちの!この時代を滅ぼそうとした瞬間に俺の選択は決まったぜ!!!」

 

そうして目の前のジャンヌオルタに、何処かに居るであろう人理焼却の主犯者に向かって聞かせるように叫んだ

 

 

 

 

 

俺は悪魔になどならない!お前達の野望は!俺とマシュと!!

 

マジンガーZが打ち砕く!!!

 

 

「いくぞマシュ!マジンガーZ!」

 

「はい!先輩!戦闘開始です!」

 

そうして立華はマジンガーの肩に乗ったマシュに叫び、彼女もその問いに力強く答える。

 

 

 

そしてそんな空を埋め尽くすほどの敵を前に立ち向かっていく彼らをフランスの人々は、まるで神を崇めるかのように眺めるのだった。

 

 

 

 

ーendー

 

 

 

 




マジンガーZ「死ね!」

ファヴニール「ひでぶ⁉︎」

何とか仕上げてみました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。