Fate/Machina order   作:修司

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今日の分です。
どうぞ!


海賊達の島(後編)

 

「それじゃあ野郎ども!新たに仲間になった立華達にーーー」

 

「あれ?逆だ。新たに仲間になったあたし達にーーー乾杯だ!!」

 

 

 

 

「「「「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」」」

 

 

 

 

カルデア一行は今、海賊達に囲まれ宴会をしていた。

 

「かんぱーい・・・」

「マシュ、無理やりノリを合わせなくてもいいんだよ?」

 

「旦那様♡あーん・・・」

 

「お、お前なかなか飲めるじゃねえか!飲み比べすんぞ!」

 

「余の歌が聴きたい?よかろう!今宵は存分に聴かせてやろう!」

 

なぜこんな事になっているのかは今から一時間前にさかのぼるーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩?!!お怪我はありませんか?!!」

 

『立華くん!大丈夫かい?!』

 

呆然としていたマシュが心配そうに立華に近づき、ロマンの声が響く。

周りの海賊達はドレイクが投げ飛ばされた所を信じられないと言った様に見ていた。

 

「ま・・・マシュ、ドクター。俺は大丈夫だよ。銃を向けられた時はかなり焦ったけど・・・・」

「申し訳ありません。シールダーである私が付いていながら・・・」

 

マシュは申し訳なさそうに立華に頭を下げる。

それに立華はあの場面じゃ仕方ないよ、と答えるとゆっくりと地面に座った。

どうやら今ので力が抜けたらしい。

 

「あのお方・・・・燃やし尽くして差し上げましょうか・・・・」

 

「清姫、大丈夫だから落ち着いて・・・」

 

マシュの後ろから清姫が現れてその口から青い炎をチラつかせている。

立華はそれを見て止めに入っているとクー・フーリンとネロが近づいてきた。

 

「おぅ、坊主やるじゃねえか!あの場面で咄嗟に投げ飛ばすなんざ

なかなか出来るもんじゃねぇぜ。」

 

「立華よ!大丈夫であったか?!何処かに穴でも開いておらぬだろうな?!!」

 

その言葉に立華はゆっくりと立ち上がることで無事を答えると改めてドレイクに目を向けた。

 

 

「ほんとうに強かったね。この人生身だよね・・・・?」

 

『いや、それを咄嗟に投げ飛ばす立華くんもだいぶおかしいよ・・・・?でもなんだろう、彼女から魔力の反応がある』

 

 

 

「かぁ〜っ!効いた効いた。ラム酒なんざ問題にならないレベルだねぇ」

 

「あ、姐御!大丈夫っスか!」

 

「アッハッハ、何言ってんだい!大丈夫に決まってんだろ!」

 

ドレイクは部下に心配されながら改めて立華たちを見やる。

 

「それはともかく、ボウヤなかなかやるじゃないか!このアタシが投げ飛ばされるなんざガキの頃くらいだ。文句なしに、アタシの敗北さね」

 

「煮るなり焼くなり、抱くなり、好きにしな!」

 

その言葉に立華はご遠慮申し上げておきます、と答える。

ドレイクは立ち上がり息を整えると答える。

 

「とにかく負けは負けだ。あんたらの話を聞こうじゃないか。でもまぁあれだろ?見た感じ足が欲しいってことじゃないかい?」

 

「あんたらは探し物があるがこの海には不慣れだ。なんで、海賊だろうがあたし達に頼るしかないってわけだ。」

そうだろ?とドレイクが聞いてくる。

確かに自分たちはこの海を移動するための手段がなく、海賊船はその為に必要になってくる。

マジンガーは海に入るとその重さで沈んでしまう上に、パイルダーは全員を乗せて飛ぶ事は出来ない。

ならばこの海に慣れているドレイク達に乗せてもらったほうが効率がいい。

 

「で、具体的には何をしろって言うんだい?あたしらは負けたんだ、命以外なら差し出すよ?」

 

「まずは状況が知りたいんだ。ここは具体的にどこなんだ?太平洋、またはインド洋?それとも日本海?」

 

「・・・・先輩、ちょっと具体的すぎます。そもそもドレイクさんの時代にはその概念がありません」

 

そう言ってドレイクの答えを待つ。

しかしやはりと言うべきか

 

「あー、悪いね。そういやわかんないわ、アタシら。てか太平洋ってなんだい?」

 

「はい、太平洋というのはですねーーーーーって状況わからないでどんちゃん騒ぎしてたんですか?!」

 

「そうだよ?だって食料や酒にはこまらないしねえ。よし、じゃあ降伏もした事だし。アタシたちは今からアンタの仲間だ!!」

 

 

「さぁ、とりあえず乾杯だ!!」

 

ドレイクは手にジョッキを持ちマシュの背中を押す。

 

「え、ちょ、待っ・・・・!」

 

「宴会か。まぁいいじゃねえか嬢ちゃん、こいつらもわかんねぇっていうしよ」

 

「良くないですよ?!え、ダメ、待って、先輩助けてください・・・・!」

 

クー・フーリンもドレイクに便乗してマシュの背中を押す。

しかしマシュはその勢いに流されてあっという間に連れて行かれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

「ああ、こんなことをしている場合ではないのに・・・・」

「マシュ、この海老美味しいぞ。食べてみ?」

 

「あっさり順応しないでください・・・・!一刻も早く船を出して海域の様子を調べないと・・・・あ、美味しい」

そう言ってマシュは近くにあった海老を口にする。

なんだかんだ言ってマシュも楽しんでないだろうか。

 

「なぁにしけたツラしてんだい!そんなんじゃお宝は逃げちまうよ!」

 

「そういうことではなく・・・・協力していただけるのならこちらの事情をーーー」

「あぁ、知ってるよ。この海は異常なんだろ?少なくとも、砲弾の直撃を受けてピンピンしてるやつがウヨウヨいるんだからね!」

 

その言葉に立華とマシュは反応する。

船の大砲を正面から受けて平気な存在となると

 

「サーヴァント・・・・!」

 

「おそらくそうだろうな」

 

「この海域は異常だよ。ジャングルがあったかと思えば、地中海の温暖な海に出たり・・・・海流もしっちゃかめっちゃかだ。とてもじゃないがまっとうに海に出るのも難しい」

 

「・・・・・・そもそもこの海域には大陸がない。ついでにイングランドもね」

 

どうやらドレイクはある程度この海の事情を把握していたらしい。そして明日にでも街の一つ見つけてそこを拠点とする予定だったらしく、今やっている宴会はその前夜祭とするつもりだったらしい。

 

「なるほどな、それはすまんことをしてしまったな」

やがて歌を歌い終えたネロがこちらの話に入ってきた。

ちなみにネロの歌を聴いた海賊は絶賛気絶している。

 

「なぁに!こちらとしてはアンタらみたいなのが仲間になってくれたんだったらありがたい!見た所ボウヤも大砲の一発や二発なんとかなるんだろ?」

 

「いや俺は普通の人間だから」

 

「そうなのかい?まぁどっちでもいいよ、なんたってアタシを投げ飛ばすような奴さ。心強いには変わりない!」

 

そぅら飲みな!そう言って立華の口にラム酒を流し込むドレイク。

口の中に辛い味わいが広がり思わずむせてしまう。

 

「ぶふぅッ?!!」

 

「なんだ坊主下戸か?男なら今のうち飲めるように鍛錬しときな」

 

「お水です安珍さま・・・」

 

「あ、ありがとう・・・」

清姫から受け取った水を流し込み一息つく。

すると隣のマシュとフォウくんが大きく口を開けたままこちらを見てきていた。

 

「あ・・・あの、先輩?」

 

「どうしたのマシュ?」

 

「その手に持っている物って・・・・」

 

「あぁ、清姫からもらったみzーーー」

そこで立華ときずいた。

なんかこのジョッキ見たことある・・・・

 

 

「なんか聖杯に似てるねこのジョッキ」

 

 

 

 

「しっかりしてください!先輩の!それは!本物です!」

 

その一言で立華は隣に座っていた清姫に目を向ける。

 

 

 

 

「清姫これどこに?!」

 

「この器ですか?それなら私の目の前においてありましたが?」

 

「おっとこいつに目をつけるとはお目が高い。金でできたジョッキなんて悪趣味だがこいつは別さ。汲めども汲めども尽きない酒だけじゃない。机におけばあら不思議、肉と魚がドガドガ盛られていきやがる」

 

ドレイクは聖杯を受け取ると湧き出たラム酒を煽る。

それを見てマシュは慌てて質問をした。

 

「あ、あのドレイク船長?!その聖杯どこで?!!」

 

「あぁ、たまたま拾った」

 

「拾った?!」

 

まさかの回答にマシュが驚愕する。

自分たちが命を燃やして手に入れてきた聖杯をまるでコイン拾ったみたいな感じで言われれば誰だって驚愕する。

てゆうかそんな事あってたまるか。

 

「何言ってんですか姐さん、たまたまじゃねぇ、とんでもない大冒険だったっスよ!」

その答えにドレイクの部下が声を上げる。

 

「いつまでも明けない夜、海という海に現れた大渦!そしてメイルシュトロムの中から現れた崩れかけの神殿!」

 

「''時は来た。異界の神なき今再び神話の時代に帰る時・・・・!!"」

 

「とか言っていたデカブツを相手に大立ち回りして、そのお宝を奪い取った姐さんはなんと言うかこう・・・・・なんかの間違いにちげえねえんですけど、サクッと世界を救った英雄だったんじゃないですかね!」

「え?!じゃあ何?この特異点もう解決?!!」

 

頭に手をおいてそんなバカな?!と叫ぶ立華。

そこにドクターの通信が入る。

 

『ごめん通信できなくて・・・何か君達の近くに聖杯の反応があったからさ、メンテナンスがなかなか終わらなくて』

 

「ドクター、その反応は間違っていません・・・・!聖杯はドレイク船長が持っていました!」

 

 

『はいい?!』

 

 

ボーゼンとしながら目を合わせる立華とマシュをおいて、ドレイクとその海賊達とうちのサーヴァントはどんちゃん騒ぎを繰り返している。

 

 

そんな中机の上の聖杯が夕暮れの光を浴びて鈍く輝いていた。




まだまだオケアノス編は終わりませんよ!

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