Fate/Machina order   作:修司

15 / 42
と言うわけで後編へマジーン!ゴー!


狭間の物語「強き者よ」後編 バトルシーン追加

(貴方はなぜ神なのにそんなにも優しいの?)

 

(何も私は優しい訳ではない。私はただ自分自身の我が儘を押し付けているだけにすぎん。そう言う意味ではこの世界の神々と変わらん)

 

(でも貴方の戦いで私達姉妹は救われた。神々は今後人と関わることもなくなるでしょう)

 

(・・・・・)

 

(誇らないの?貴方は新しい時代を切り拓いたのよ?)

(・・・・私は、ただ彼らに解って欲しかったのだ)

 

(?)

 

(良いか?あの者達はただ己の快楽の為だけに他者を傷つけ踏み躙った。もしもあれを繰り返していたらいつの日か幼き人類は神々を見習って(悪魔)となるだろう)

 

(・・・・・)

 

(私は外の世界から来たよそ者だ。だが神として、人々を悪魔にしようとする者達を見過ごすことは出来ん・・・・)

 

(神となるのも、悪魔となるのも、最後は人の心を加えてこそだ。ならば幼き人類に、少しでも他者を思いやる心を育んで欲しい。私はそう思った)

 

(貴方は・・・・)

 

(お前達もそうだ。たとえ神であろうとも、そこには人と同じ心がある。ならば守るさ。命をかけてね・・・)

 

(・・・・・・・・ホント、変わった神ね貴方は。私たちを人だなんて。異界の神ってみんな貴方のようなのかしら?)

 

(さぁな・・・・まぁ私自身変わっているとは思うがね。そろそろ戻ろう。お前の妹が呼んでいるぞ)

 

そして彼は立ち上がる。

岩しかない島で、その黄金の身体が夕焼けの光を浴び輝く。

遠くで自分と彼を呼ぶ妹と「私」の声が聞こえる。

自分も立ち上がると妹の元へ歩いて行き、それに気付いて妹も側に近づいてくる。

そして神殿へと4神で歩いて帰る。

陽が沈んで夜が来た。

さぁ、今夜は彼からどんな面白い話を聞けるのだろう・・・・

 

ー 遠い昔、まだ穏やかで、幸せだった日々の記憶ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ・・・これ」

 

立華達はその存在に圧倒していた。

それはとても巨大な剣だ。

剣は自ら強く輝いており、暗闇の中でも周りの鉱物に反射して辺りを明るく照らしている。

「こ・・・・!この剣が俺たちに渡したかったものなのか⁉︎」

 

「す、すごいです先輩・・・・あの剣・・・物凄い神秘を放っています!」

 

「なんと言う・・・こんな物が我がローマの島にあろうとは・・・」

 

『なんだこれ?!こんな物まさに神々の権能レベルの代物じゃないか?!!』

 

4人は各々の反応を見せるが、みんなに共通するのは(驚き)という感情を抱いていると言うことだ。

しかしそんなに中にステンノの声が響く。

 

「いえ、違うわよ?」

 

「「「「違うの?!」」」」

 

その言葉に4人は呆然とする。

やはりこの女神、人をおちょくるのが好きなのかもしれない。

いや、素でやっているのか?

 

「この剣は神の忘れ物よ。貴方達に渡したかったものはこれ」

そう言うとステンノは近くに生えていた結晶を抜き取る。

 

「この結晶には異界からやって来た神の力が宿っているの。この結晶こそ貴方達に託された力よ」

 

それを聞いて立華は近くに生えていた結晶を手に持って見る。

美しい宝石だ。

緑がかった色をしていながら奥の方から金色の光を放っている。

ネロは大喜びでその宝石を眺めている。

そこにロマンの声が響く。

『立華くん!気をつけてくれ!近くにサーヴァントのような反応がある!』

 

その言葉にネロとマシュは身構える。

立華もマジンガーを呼び出そうとロマンに声をかけようとして

 

「ダメよ」

 

ステンノに止められた。

 

「⁉︎」

 

「これからやってくる試練に、貴方の力を使わせる訳には行かないの・・・」

 

「どう言うことだ?」

 

そして岩の陰から現れたのは、蛇を頭にいくつもつけたようなシャドウサーヴァントだった。

 

「あれは人を傷つけすぎて心を壊してしまった私の妹。この場所を守るために死んでもその思念でここを守っている怨念よ・・・」

 

『女神ステンノの妹って、あのゴルゴーンかい?!とんでもないビックネームじゃないか⁉︎』

 

「ええ、でもあれは本物ではない。このくらいの試練を力を使わずに超えて貰わないと私も妹に示しがつかないから・・・・」

 

そう言ってステンノは黒い陰に目を向ける。

その目に映るシャドウサーヴァントは一体どのように見えているのだろう。

ネロとマシュが剣と盾を構える。

それと共にシャドウサーヴァントも戦闘態勢になる。

 

「さぁ、貴方達の力でこの試練を乗り越えて。そしてどうか、あの哀れな子を自由にしてあげて・・・」

 

 

 

 

その言葉と共に立華達は、シャドウサーヴァントを迎え撃った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネロとマシュはシャドウサーヴァントの蛇の様な髪が動くのを確認すると、すぐさまその場所から動いた。

 

「危ない!」

 

「なんの!」

 

先ほどまで立っていた場所に髪が牙を立てている。

それを好機と見た二人はサーヴァントに突進していった。

しかしサーヴァントは他の髪を動かすとその顎門からいくつもの熱線を吐き出した。

 

「ネロさんわたしの後ろに!」

 

「もう来ておる!」

 

ネロはマシュの盾に隠れ熱線をやり過ごす。

そしてサーヴァントの近くまで寄るとネロはジャンプして、上から斬りかかる。

 

「・・・・・!」

 

「やはり一筋縄では行かんか・・・・!」

 

「そんな・・・」

 

その攻撃はサーヴァントの鋭い爪によって受け止められた。

サーヴァントはネロを片腕で支えている。

マシュはその様子を見て嫌な予感を感じ、サーヴァントにシールドバッシュを喰らわせる。

 

「・・・・?!」

 

「すまんマシュ!助かった!」

 

「ネロ!大丈夫か?!」

 

立華はその様子を見て二人に駆け寄る。

サーヴァントはマシュの攻撃をもろに受けてしまい、しばらくは動けないだろう。

 

『!マズい!今ので洞窟内が崩れかけている!また大きな衝撃を起こすと君達は生き埋めになってしまう!」

 

「「「!」」」

 

 

ロマンの忠告に立華達は危機感を覚える。

ただでさえサーヴァントは大きくダメージを通す事が難しいのに

その上これ以上動く事が出来ないと言う。

そんな中立華は考える。

 

 

(ステンノはあのゴルゴーンが心の病んだ状態だと言っていた・・・・。つまり今の状態は怨霊みたいなものという事)

(ならば、この方法ならあるいは・・・・)

 

 

「先輩!離れてください!」

 

瞬間サーヴァントの突進がこちらに向かって来る。

立華達はその様子を見て避けようとするが、立華は途中で足を止めた。

 

「先輩?!」

 

「リツカ!危ない!」

 

彼はなぜか突進して来るサーヴァントのそばに走る。

その先にいたのは・・・・・

 

「!」

 

「急げ!」

 

ステンノが立華に抱えられ驚きの表情を浮かべる。

立華は迫り来るサーヴァントをなんと近くの岩壁を蹴る事により跳び越えて避けたのだ。

そんな危険な行動にステンノは声を荒げる。

 

「何考えているの?!私はすでに死んだ身。そんな身を案じて貴方が死んだら!」

 

「うるさい!ならばもっと離れてろ!」

 

立華はステンノをそっと降ろすと再びサーヴァントに目を向ける。

マシュとネロは立華に近づくと早口に言葉を紡いだ。

 

「先輩無茶しすぎです!」

 

「リツカよ怪我はないか?!」

 

「ああ、大丈夫だ。心配かけた・・・・・」

 

立華はマシュとネロに頭を下げると近くに生えていた結晶を引き抜く。

そんな様子を見てステンノは立華に問いかける。

 

「なぜ助けたの?さっきも言った通りわたしはサーヴァント。もし貴方が死んだら文字通り全てが終わったのよ?」

 

ステンノは目の前の少年がなぜ自分を助けたのか本当にわからなかった。

これが親しいものならまだ理解する事ができた。

しかし自分が彼らに関わったのは本当に短い間だけ。

何が彼を動かしたのか。

 

 

女としての自分の体?

 

この剣を譲り受けるため?

 

それとも・・・

 

しかし立華の答えはそんな自分の予想通りでも、予想外でもなく、自分の望んでいた答えだった。

 

 

「なんだよ、神様とか言ってもやっぱりあんたは人なんだな」

 

「え?」

 

「俺が助けた理由?そんなもん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見過ごす事が出来なかったからに決まってんだろ」

 

 

その瞬間ステンノの脳裏にいつの日か誰かと語り合った一言がよぎった。

 

「たとえ怨霊だったとしても、同じ物を守って、同じ想いを背負って、生きてきた妹に殺されるなんて事があってたまるかよ。だから守るぜ・・・」

 

(たとえ神であろうとも、そこには人と同じ心がある。ならば守るさ。・・・)

 

 

 

 

「(命をかけてな!)」

 

 

あの日の光景と重なる。

立華は言い終わると再びサーヴァントに向かっていく。

「マシュ!ネロ!なんとか動きを止めてくれ!俺に考えがある!!」

 

 

(この光の結晶は聖なるもののはず、これを体内に押し込めばもしかしたら浄化も可能かもしれない・・・!)

 

足元の30センチはあるかという黄金の結晶を拾うと同時に立華は二人に声をかけた。

その言葉に二人は頷き自分の武器を掲げる。

そしてマシュがシールドでサーヴァントを押さえ込みネロが蛇の形をした髪を切り落とす。

 

「今ですよ!先輩!」

 

「しっかりやるのだぞ!」

 

「任せろ!」

 

ステンノは立華を眺めながら想いを馳せる。

いつの日か、あの方が願っていた言葉を・・・

 

(優しい心を育んでほしい・・・)

 

 

 

 

「ああ、ゼウス・・・・貴方の思いは・・・・」

 

そして立華の掲げた結晶をサーヴァントの胸に突き刺した時、結晶に宿っていた光がその身を覆っていた闇を裂き、サーヴァントをゆっくりとこの世から消滅していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・おとうさん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(行ってしまうのね)

 

(あぁ、私はただの通りすがり。とある魔神によってこの世界に行き着いたものに過ぎない・・・)

 

(・・・・)

 

(そんな顔をするな、別にお前達が嫌で離れるわけではない)

 

(なら!ここに居たって構わないでしょう!?妹だって貴方のことを父親のようにしたっているしそれに私自身も・・・・!)

(ステンノ・・・・)

 

(・・・・いいえ、それは我が儘なのでしょうね。私達は貴方に救われた。ならばこそ、貴方の邪魔をする訳には行かない・・・・)

 

(・・・・・)

 

(最後くらい、恩を返させてくれないかしら?)

 

(ふむ・・・・ならば)

 

彼は腰の剣を島の奥の洞窟に向かって投げつけた。

投げた剣はそのまま眩いばかりの光を放ち洞窟全体を照らす。そしてその姿をゆっくり溶けるかのごとく消していった。

 

(・・・・?)

 

(ならば、あの私の剣を守っていてくれないか?いつの日かこの島に私と同じ力を持った人間たちが来る。そのもの達に私の剣から溢れ出た力を渡して欲しいのだ・・・)

 

(!・・・・ええ。その願い聞き届けたわ・・・・)

 

(なに、いつの日か必ずまた会いにくる。それまで、頼んだぞ・・・)

 

 

 

彼はそう言って光と共に空へと消えていった。

私達はその約束を守るために、島に力を求めて来る悪しき人間たちから彼の物を守った。

 

そしてようやく、私達はその肩の荷を降ろしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあこれで大体全部かな」

 

立華達ははシャドウサーヴァントを倒し、洞窟の中にあった結晶を全てカルデアに転送した。

あの結晶はマジンガーの素材の元らしく、エネルギーにも装甲にも変わる新素材らしい。

これで万が一マジンガー故障した時にも直すことができる。

 

ダヴィンチちゃんはその結晶を使っておじいちゃんの残した設計図で、マジンガーの新装備を作ってくれるらしい。

通信の時物凄く喜んでいた。

 

「でも本当に良かったんですか?いくら剣本体でないからといってステンノさん達が守ってきた物なのでしょう?」

 

「ええ、良いのよ。もともとそう言う約束だったですものね」

 

そう言うとステンノは笑う。その顔はあの時みた悪巧みを考えている笑みに変わっていた。

 

「・・・・本当に大丈夫なのか?あとから酷い要求をしたりしないだろうな・・・?」

 

「案外疑り深いのね・・・・。それじゃあ貴方の持つ光の力、それを見せてくれないかしら?」

 

「そうだ!立華よ、この島なら動かしても問題あるまい!もともとその為に来たのだからな!」

 

「あの・・・ネロさん、特異点修復の為にきたんですよ?」

 

その言葉に立華は了承し、マシュにマジンガーの準備を始める。

そしてマジンガーがステンノの前に現れーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い約束だった。

確かに約束を守ろうとして私達は傷付き妹は影となったのかもしれない。

それでも今までのただ無意味に傷付けられてゆく日々と違って自分の意思で戦うことができた。

他の者からすれば酷く映るのかもしれないが、この約束を果たすことができたのは私達の中で誇りに思っている。

 

 

 

 

 

(でももう少しだけ我が儘を言うのなら・・・・)

 

いや、やめよう。

今は彼との約束を果たした事を喜ぼう。

あとは彼が私達の約束を守るだけ・・・・。

 

(彼の力を受け継ぐ者の力・・・・一体どんな物なのかしらね・・・・)

 

彼が大きな盾を持った少女に指示を送る。

そしてその盾から魔法陣が現れてーーーー

 

 

 

 

 

「ぁ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステンノはマジンガーを見た瞬間その大きな足に縋り付き静かに涙を流した。

状況がわからず立華達はただその様子を困惑して眺めている。

しかしステンノの流す涙は決して悲しみではない。

 

それはまるでーーー長いあいだ探し求めていた者に出会えたかのような、喜びの涙だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな形での再会でも、今の自分には嬉しくて仕方がなかった。

彼は人間たちに託すという形で約束を果たしてくれた。

「あなたのッ・・・・・!あなたの姿をまた見たくて・・・・・!私達は・・・・わたしは・・・・・!」

 

間も無く日が沈む。

辺りはすぐに暗くなるだろう。

しかしステンノにとってはこの瞬間、自分の目の前が輝いているかのように見えていた。

 

そう、 彼女の記憶の中はきっとーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの朝日の様な神と過ごした日々が・・・・

 

 

ー狭間の物語、完ー




題名を見て分かる通り今回は衝撃のエンディングテーマをモデルにしてるんですよね。
自分結構好きなんですよ。
まるでたった1人人々の為に戦ったゼウスの歌みたいで。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。