良ければお楽しみください。
それは、ローマでの特異点からしばらく経った時の事、
「またローマに特異点?」
「あぁ」
藤丸とマシュはロマンに呼び出されて管制室にいた。
ロマンによると一度修復したはずのローマにまた再び特異点らしきものが現れたと言う。
「とは言っても本当に僅かな誤差程度のものなんだけどね。だけど用心に越したことはないし何よりその場所がね・・・・」
「場所?ローマの何処にその特異点はあるんですか?」
「うん、これを見て欲しい」
そう言ってロマンはモニターを映すその特異点となっている場所とはーーー
「ここって・・・・・形のある島?」
「そう、君達が女神【ステンノ】に試練と称した嫌がらせをうけた場所だ・・・・・」
(女神ステンノ)
ローマにてネロ達と共に向かった形のある島、そこで出会った女神がステンノだ。
彼女は自分達に気まぐれかつ理不尽な一面を見せて翻弄するも、島に侵入して来た招かれざる客を倒した自分たちに連合ローマの本拠地の情報提供という形で報いた。
「・・・・ドクター、なんか俺すげー嫌な予感がするんだけど?」
「ぼくも同意見だけど・・・・一応レイシフトして来てくれないか?」
「なんだ?出かけるのか?」
そこへこの間召喚したセイバーのサーヴァント、【ネロ・クラウディウス】が入ってくる。
「ネロ、実はあの時行った形のある島で特異点が確認されてさ・・・・」
「おお!あの女神がおる島か。なら余も連れて行け!ようやくマジンガーに乗れるかもしれんしな!」
彼女はあの特異点でマジンガーを見て以降、よく藤丸に乗せてくれと頼むようになった。
しかし形のある島までの船の操縦を任せた際、まさに洗濯機の中にでも入ったかのような乗り心地であった為「次の特異点でね」とやんわり断り続けていた。
下手したらマジンガーが悪魔になってしまうし・・・・・
「う、うん・・・・・じゃあネロも一緒に来るということで・・・」
(先輩、大丈夫なんですか・・・・?下手したら形のある島が粉々になってしまうなんてことも・・・・)
(いざとなったらなんとかするよ・・・・たぶん)
「お主ら何をこそこそやっておる。早く行くぞ!」
その言葉に自分たちはぎこちない動きで頷くとレイシフトのコフィンに入った。
「それじゃあみんな、気をつけて行って来てくれ」
ロマンはそういうとレイシフトのシステムを起動した。
『アンサモンプログラムスタート、量子変換を開始します。マスターは指定のコフィンに入ってください』
『レイシフト 3 2 1・・・レイシフトスタート』
そして藤丸たちは、再びローマの形のない島へと向かった。
気がついた立華たちは形のある島の砂浜に立っていた。
「先輩、無事レイシフト完了です。ここは・・・・あの時の砂浜ですね」
「うぅ・・・・このれいしふとというもの、余はあまり好きになれそうにない・・・・」
「何事もな慣れだよ、慣れ」
そう言って立華は辺りを見回す。
あの時からあまり変わってないところを見るにマシュの言う通り無事特異点の時代についたらしい。
しかし
「特に何か起こった様子はないね」
「はい・・・・あの時と特に変わっていません」
見た所特異点の原因と思わしき物はない。
ドクターによれば誤差程度、と言っていたのでやはりあの女神様が気になる。
「ドクター、あの女神様の反応は近くにある?」
『ちょっと待っててくれ・・・あ、君達の後ろの方から来ていないかい?』
それを聞き藤丸たちは後ろを見る。
すると少し遠くの方からステンノが歩いて来ていた。
「やっと来たのね・・・・」
ステンノは自分たちを見るなりそう呟いた。
しかしその顔は以前の悪巧みを考えているような笑みではなく、とても真剣な表情をしていた。
「ステンノさん、お久しぶりです。実はこの島で特異点・・・異変の反応を確認したのですけれど何か知りませんか?」
マシュはそうステンノに聞く。
しかし帰って来た答えはある意味予想通りの答えだった。
「貴方たちを呼んだのはこの私よ」
「「な?!」」
「なんだと?!やはり貴様か!今度は一体何を企んでおる!」
その言葉に立華とマシュはそう洩らし、ネロはまたかとでも言うように怒っている。
あの後筋肉痛でひどい目にあったのだぞ?!ネロは言うがそれを見てもステンノの表情は崩れない。
立華がステンノに質問する。
「なんで俺たちを呼んだんだ?何もないんだったらこのまま帰るんだが」
「慌てないで・・・今回貴方達を呼んだのはとある物を受け取って貰いに来て欲しかったからよ」
そう言って立華達に背を向けるとひとりでに歩き出す。
ついてこい・・・・と言うことだろうか?
しばらくの間迷ったが藤丸たちは結局ついて行く事にした。
「立華よ・・・・余はもうつかれたぞ・・・・いつまでついて行くのだ?」
「もうちょっと頑張ってください・・・」
「ネロさん、良ければ私が背負って行きましょうか?」
立華達は洞窟の中にいた。
あれからしばらく歩いて、ステンノは洞窟の中に入って行った。
最初罠でも仕掛けてあるのかと心配したが、特に変わった様子もなく続いている。
ふと立華がステンノに聞いて見る。
「なぁ、俺達に渡したいものって結局なんなんだ?」
「・・・・・」
しばらく口を閉ざしていたステンノだが、しばらくして話し始めた。
「私が貴方達に渡すのはある神の忘れ物よ」
「神の忘れ物?」
以外な言葉に立華は聞き返す。
神の忘れ物?何故それを我々に渡すのだろうか。
「この間の光の柱・・・あれは貴方達のやった事でしょう?」
そうステンノに言われ立華はあの時のことを思い出す。
レフの召喚したサーヴァントに光子力ビームを放った時この島にも光の柱が見えていたらしい。
「あの力はね、はるか昔の神が人間を守るためにふるった力よ。その力は地を裂き、海を割り、全てを生み出すと言われていたわ・・・・」
そうしてステンノはある石壁にたどり着く。
その石壁には複雑な壁画が記されており、ステンノがその石壁に指を振ると扉のように開いた。
「私達ゴルゴン三姉妹はこの壁の中のものをあるべきもの達に渡すためにずっと守り続けていたわ。悪しき者に渡らないように人を傷つけて行くうちに、妹はだんだん壊れていった・・・・」
そうして扉の中へと入るステンノ。
立華達もそのあとをついて行く。
「どうしてそこまでして守って来たものを渡すんだ?あるべきもの達ってのは俺達なのか?」
「ええ、これを受け取る際同じ力を使うもの達に渡せとその神に言われたの。出会ったあの時は分からなかったけど貴方達のことよきっと」
そしてまた道を進むと急に明かりが見え始める。
「何故この島に多くの勇者たちが来ていたのか、何故我々はこの島で戦い続けたのか、その答えがこれよ」
その明かりに向かって進んで行くとそこにあったのはーーー
「?!!」
「これは?!!」
「これこそ・・・・我らゴルゴン三姉妹が守り続けた物。はるか昔の約束を守るために、貴方達に託すために我々が「命」をかけて守ると誓った物よ・・・・」
たくさんの輝く結晶の中で一際強い輝きを放っていた「巨大な剣」だった。
ー続く〜
次回少し過去の物語が出て来ます。