Fate/Machina order   作:修司

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朝気が付けばカラーバーに色が付いてました。
・・・うおアアアアアアアアアアアア!!!
ありがとうございます!
そして気合い入れて書きました!


光子力の力

 

 

 

 

衝撃は凄まじいものだった。

七色の光は周りの岩を溶かし草木を蒸発させた。

マジンガーZとマシュの防御だけでは、生きている人間であるネロは耐えられなかっただろう。

その危機を救ったのはブリテンの勝利の女王、ライダーのサーヴァント【ブーディカ】だった。

 

「・・・・・死ぬかと思ったぞ。」

 

『ああ。あれを受けてもビクともしないとは本当に君のおじいさんが作ったマジンガーは何なんだい・・・?』

「俺にそんなこと言われても・・・」

 

ロマンの問いに立華は呆然と話す。

 

『だけどナイスタイミングだったよ立華くん。それにブーディカも。マジンガーでは衝撃は殺せても熱までは防げなかった』

 

「いや、マシュが踏ん張ってくれたからだよ」

 

 

「・・・・・正直ギリギリだった」

 

「王宮入り口から攻略して、駆けつけたと思ったらすごい魔力でさ。慌ててこっちも真名解放してさ」

 

「いえ、私の宝具だけでは防ぎ切れませんでした。ありがとうございます。ブーディカさん」

 

そう言ってマシュは頭を下げる。

それにブーディカはこっちこそ、と答えると。

 

「しっかしどうしたもんかね。」

 

「あぁ、あのどさくさに紛れちまったせいで奴さんを見失っちまった」

 

七色の光は目くらましとなって謎のサーヴァントの行方をくらませてしまった。

クー・フーリンもその行方をとっさに測ることが出来ずに辺りを見回している。

 

「ドクター、あのサーヴァントがどの方向に行ったか解る?」

 

『今調べてる・・・・これは・・・!おそらくサーヴァントは首都ローマに向かっている!』

謎のサーヴァントは動く。

自らの宣言通り、世界を破壊するために。

「なんだと!ではあれは余の都を灰燼と化すつもりか?!!」

 

『そうだろう、その力が彼女にはある!』

 

それを聞いてネロが焦る。

あの褐色の女は自分の国をこの荒野と同じ有様にするつもりらしい。

このままではせっかく連合帝国 から守り通した国が・・・

「一刻も早く奴を追わないと!」

 

「ドクター、奴の現在位置を送ってくれ!」

 

『わかった!今送る!』

 

そしてマジンガーのコックピットにサーヴァントの現在位置が送られる。

 

 

 

 

此処からそう遠くない。

今なら充分間に合う!

 

 

 

 

「みんな!急いでマジンガーの手に乗ってくれ!」

 

「はい!先輩、あれですね!」

 

サーヴァントはそれを聞くとマジンガーの手の上に乗っていく。

全員が乗ったのを確認すると藤丸はクー・フーリンに耐衝撃のルーンを掛けさせる。

そしてマジンガーは悠然と立ち上がると

 

「なんだ?何が始まるのだマシュよ?」

 

「ネロさん、しっかりつかまってくださいーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

走ります!!!!!!」

 

 

ネロ達を乗せて全力で走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何が私の中で蠢いている。

私を召喚したものが発した怨念のようなものが自分を遠くに見える文明へと動かす。

 

「私は・・・・・破壊する」

 

ひどく頭が痛い。

何かに靄がかかったような感じが頭の中でする。

思い出さないと。

何を?

 

「私は・・・・・破壊する・・・・」

そして明かりが見え始める。

国の、文明の光だ。

彼女ーーアルテラは右手に持った剣、軍神マルスの剣を天へと振りかざす。

 

「私は・・・・・・・・・・」

 

そして周囲にアルテラの魔力が漂い始める。

それにつられてワイバーンなどの獣も寄ってくる。

軍神の剣は輝きを大きなものへと変え始めーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は・・・・・命を壊したくない・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

凄まじい轟音と共にその輝きを納めた。

 

「間に合った!」

 

その轟音の正体はサーヴァントをその手に乗せたまま全力疾走してきたマジンガーZ、延いては藤丸立華率いるカルデアの者達だった。

 

 

 

 

 

 

「確かに乗ってみたいとは言った!そして乗せてもらったのも事実だ。だがこんな全力疾走で手のひらに乗るなど余は望んでおらんぞ?!!」

「旦那様に無茶苦茶にされる・・・・いい♡」

 

「嬢ちゃんどうしていつもこんなん耐えられんだよ・・・」

 

「え、それはこの上に立つのはコツがあってですね・・・」

 

「いや・・・みんな敵の前なんだから真剣にしようよ・・・」

 

サーヴァントは全員マジンガーの全力疾走で若干グロッキーになっていた。

いや、若干平気そうな人が一名いるが・・・・・

「・・・・・・・」

 

そんな彼らを見てアルテラは剣を構える。

そしてその様子を見てサーヴァント達も戦闘態勢に入る。

(今のところどんな攻撃手段なのかは分からない。だが俺にはこいつを相手にするのは難しいな・・・・)

相手を冷静に分析する立華。

いかにマジンガーZが強くても相手は人型。

体格差に大きく差のあるサーヴァント相手だと、ルストハリケーンやブレストファイヤーなどのマップ兵器出なければ捉えるのは難しい。

(だがそんなものを使えば近くの町にも被害が出てしまう。此処はサポートに回った方が良さそうだな・・・・)

 

 

最初に口を開いたのは、やはりアルテラだった。

 

「・・・・・いく手を阻むのか、私の」

 

「あぁ。この国の人たちが殺されるのを黙って見ているわけにはいかない・・・・」

「・・・・・・」

 

その言葉にアルテラは口を閉ざす。

次に口を開いたのはネロだ。

 

「うむ、立華の言う通りだ。貴様は言った。世界を滅ぼす、とな」

 

ネロは全く理解できないと言うように続ける。

 

「余には分からん。なぜ世界を滅ぼすなどと口にするのだ?この世界は美しいもので溢れている。花も良い。歌も良い。黄金も良い。愛も良い。」

 

「そうとも、何よりも、この世界は余の愛で満ちている!」

 

「それなのに貴様は滅ぼすのか?勿体無いと思わぬのか?」

 

 

アルテラはネロの言葉に答えられない。

美しいもの。

その心をどこかで感じた事がある。

それはいつだったか、まだ自分が白iーー

 

次の瞬間アルテラの頭に激痛が走る。

召喚者の怨念がアルテラの心を蝕んでいく。

そのことにアルテラは気づけない。

いや、そんな疑問さえももう消え去っていた。

「美しさなど、愛など。私は知らない。」

 

そう言ってネロ達を強く睨みつけた。

そんな中アルテラを解析していたロマンはアルテラの中にバグのようなものがある事を発見した。

 

『この反応はーーー何かがそのサーヴァントの中に蠢いている!

ダメだ!対話では収める事が出来ないぞ!』

『魔力反応増大中だ。またあれを撃たれる前に止めるしかない!』

 

ロマンはこれが最後の戦いだ!と言うとマシュと立華の名前を呼ぶ。

 

「対サーヴァント戦闘!先輩、指示をお願いします!」

 

その言葉と共にマシュ達はアルテラに立ち向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マシュとネロは同時にお互いの得物をアルテラにぶつけた。

しかしアルテラはその攻撃をかわすと七色の剣を鞭の様にしならせた。

「な?!」

 

「・・・・・ッ⁉︎」

マシュはネロをその大盾でネロを庇う。

おかしい。

盾で受けた感じはまさに剣の様な感覚だ。

しかしその剣は鞭の様にしなりあらゆる長さに伸び縮みしている。

そこへ清姫とクー・フーリンが炎を出してアルテラに撃つ。

だがその身を空中に飛ばしアルテラは空中でバク転の様に動きながら伸びた剣を2人の間に叩きつける。

 

その瞬間大地は抉れ、衝撃が2人を襲う。

ブーディカは2人に駆け寄るとそこにアルテラの放った魔力弾が飛んだ。

しかしブーディカは自分の持っていた盾で防ぐと土煙の中からアルテラに斬りかかった。

 

「ヤアアアアァ!!!」

盾を捨て両手を使って剣に力を込める。

だがアルテラの筋力ステータスはB。

筋力ステータスCのブーディカでは少し力が足りない。

次の瞬間ブーディカは跳ね返されお互いが元の状態に戻る。

 

(まずい・・・!このままではジリ貧だ。なんとかあいつの動きを止めないとこっちが先に参ってしまう・・・・!)

 

そして立華は何か動きを止められる方法はないかと探る。

そこである事に気付いた。

 

(カルデア戦闘服・・・!)

立華は自分の腕のパネルを開いてあるコマンドを入力する。

 

カルデア戦闘服とは。

カルデアのマスター候補達に支給予定だった、戦闘時に必要な魔術を即座に発動出来る礼装である。

作ったのはもちろんダヴィンチちゃんだ。

 

(チャンスは一度!)

 

サーヴァント達は再び戦闘を行なっていた。

その動きは一般人である立華にはなかなか捉える事ができない。

(クソ・・・・・!)

 

しかし当てなければならない。

たった一発しかないだけあって構えた指先が震える。

そうして覚悟を決めて魔力を込めようとしたその瞬間

 

 

「?!!」

 

 

 

 

世界が止まった。

 

周りは、いや自分自信も動けない。

いや、動けないんじゃない。

動いてはいる。

ただしゆっくりとスローモーションの様にサーヴァント達の動きが見えた。

 

それだけではない。

わかる、解るのだ。

敵の動く先が、相手がどう動くのか予想出来る!

 

 

 

 

 

そして立華は魔力をもう一度込めて発動した。

呪いの弾丸ーーーガンドはアルテラに向かって真っ直ぐに飛んで行く。

 

 

 

しかしそんなものに当たるアルテラではない。

マシュを押し退けその弾丸を避けようとする。

失敗・・・・!そうマシュが考えた瞬間

 

 

「なに!?」

 

アルテラの足が何かに躓いた。

それはブーディカが先ほど捨てた盾だった。

そしてアルテラは後ろの方に倒れかかりーーー

 

 

 

 

「ガァ!!!」

 

呪いの弾丸に命中した。

当たった事を確認した瞬間立華はネロに呼びかける。

 

「今だ!!!」

 

「うむ!!!良くやった立華よ!!!」

 

ネロは剣に魔力を込めアルテラに斬りかかる。

しかしアルテラは動けない。

そのままネロは剣を振り上げ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美しい炎が軌道を描き、アルテラを切り裂いた。

 

 

 

「今のはいったい・・・・?」

そう藤丸は声を洩らした。

アルテラは肩から腰にかけてネロの剣で切り裂かれており、とても限界し続けるのは不可能な程の傷を負った。

 

しかし・・・

 

 

「うそ・・・でしょ・・・・」

ブーディカは思わずそう呟いた。

アルテラは自分を切り裂いた剣を掴み引き抜いていた。

脚も力が入っておらず震えている様に見える。

だがアルテラは立っていた。

 

そして自分の剣を空へと掲げた瞬間、空中に魔法陣が展開した。

展開した魔法陣の上にアルテラが乗ると、空から光の線が 降りてきてマルスの剣と接続する。

アルテラの胸の辺りには聖杯が浮いており、その力を全て攻撃に変えてローマの町ごと吹き飛ばそうとしているのだ。

 

『みんな!!!そこから離れてくれ!!!このまjmdはmgmgdmp』

「ドクター?!応答してください?!!ドクター?!!」

 

通信が安定しない。

おそらく周りの魔力がノイズとなって通信を妨害している。

しかしそんな事に気を向けている場合ではない。

あの魔法陣を放たれたらおそらく全てが台無しになってしまう!

 

 

 

 

 

 

ネロが立華に目を向ける。

しかし目に映る立華はそんな絶望的な状況でも一切諦めていなかった。

 

 

「・・・マシュ?宝具展開出来る?」

 

声をかけられその方向を向くマシュ。

彼女はなにを、と問おうとしてやめた。なぜならその声をかけた少年の瞳が(自分を信じろ)と語っていたからだ。

そうだ、冬木の時もそうだった。膝をつきそうな自分の隣に一緒に立って同じ表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

ならばもう心配する事はなにもない。

 

 

 

 

「はい、任せてください・・・・」

 

答えた少女のその瞳は、少年と同じように強く魔法陣を見つめていた。

 

立華はマジンガーのコックピットに座り自分の頬を叩くと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!!!!」

 

 

 

 

 

操縦桿を二つに割り中のつまみを握った。

第一の特異点では使うことの出来なかったマジンガーの武装。

今なら思う存分使う事ができる。

 

立華がレバーを引くとマジンガーの関節から光が漏れ始める。

そしてマジンガーはその頭を魔法陣の・・・・その向こうのアルテラに向けて目を輝かせ始めた。

 

 

 

マシュは宝具を展開し終えてすでにマジンガーの足元に他のサーヴァント達と避難している。

ふと、マジンガーの頭にいる立華と目があう。

自分はいつでもオーケーです。

そう伝えるがごとく眼を合わせる。

その反応に立華は親指を立てる事で答えた。

 

 

 

 

辺りに轟音が鳴り響く。

そしてついに、アルテラの魔法陣から破壊の本流が吹き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

( ティアードロップ・フォトンレイ)

涙の星、軍神の剣!

 

 

 

 

 

 

 

その光は太古の、戦闘の概念がカタチとしたもの。

軍神マルスと接続する事でその力の一端を敵に照射する対城宝具だ。

その光はローマの国にも届いており、人々はその光景に絶望する。

 

 

 

 

 

だが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光子力!!ビイイイイイイイイイイイイイイムッ!!!

 

 

 

 

 

 

その光を塗りつぶすかのごとく黄金の柱が押し返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ぐううううううううッ・・・・!!!」

 

 

コックピット内に熱がこもり始める。

そのあまりの威力にマジンガーが軋みを出し始めた。

 

・・・・・・ッ!負けるかッ・・・・・!!!

 

立華の頭の中に、様々な光景が浮かんでは消えてゆく。

 

この国の人たち

 

 

傷つき去って行った者たち

 

 

 

自分のサーヴァント

 

 

 

 

 

そして・・・色彩の少女

 

 

 

 

・・・・・ドクター達が、ネロには国の人たちが、帰りを待っているんだッ・・・・・・・!

 

俺と・・・・マジンガーの力を信じているんだ!

 

そして黄金の光が七色の光を押し返す。

 

 

 

 

 

「こんな所で・・・・・お前なんかに・・・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負けて・・・!たまるかアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」

 

 

そしてついに黄金の光は魔法陣を叩き壊し、アルテラに直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体が熱い。

自身の攻撃は押し返され、自分はその光に焼かれて消滅してゆく。

 

美しいもの・・・・・

 

アルテラの頭にかかる霧が晴れてゆく。

そして忘れていたはずのことが次々に溢れ出してゆく。

 

 

・・・・・美しい・・・者・・・・?

 

黄金の光がアルテラの目に映る。

昔、この色をどこかで見た事がある。

(人として生きろ・・・・今日からお前は自由だ・・・・)

 

そうして自分に向かって真っ直ぐに手を伸ばす大きな人影。

何故忘れていたのか。

この記憶は、どんな事があっても心から消える事はないはずなのに。

 

ああ・・・・そうか・・・・貴方はまた・・・・・

 

 

「私を・・・・自由にしてくれたのだな・・・・」

そうして眼を閉じたアルテラの瞼の裏に最後に移ったのはーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつの日か花畑で自分に手を差し伸べてくれた黄金の神様だった。

 

ーエピローグー

 

 

 




次回 エピローグ

ぶっちゃけて言おう!
最後のアルテラのシーンを書きたい為に今回のお話はつくられました!

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