インフィニット・レギオン   作:NO!

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 お試しなので一部だけ執筆しました。


序章
序章


 

「これはISではない――これはインフィニット・レギオン――通称、ILだ」

「インフィニット……レギオン?」

「ああ、そしてISを遥かに凌駕し、女性には扱えず、男性にしか扱えない」

 

 ――なっ!? ――。少年は男の言葉に驚きを隠せない。ISを超える存在? 少年から見ればISを超える存在は皆無に等しい。

 超える存在は戦闘機は愚か、核兵器並みの武器なら判るがILは男性にしか扱えないのとISを超えると言う事は、この世界に革命を起こし、

男性達は怨みや怒りを吐き出す方向で暴動を起こすだろう。

 少年は困惑する中、男は右腕にあるILを少年に見せる――禍々しくもどす黒いオーラが醸し出されている。

 憎しみ、怒り――そう言った負の感情としか言えない言葉に相応しい様にも思える。

 

「これは俺の専用機、呪怨――意味は、まあ、お前なら判るだろうがお前に問う」

 

 男は少年を冷ややかに見下ろす――その眼差しは冷酷その物であり、彼に何かを試している。

 

「俺の下へ来ないか?」

「えっ? それって如何いう事、ですか?」

 

 少年は彼の言動に戸惑う。

 

「まあ判んないだろうが――俺の下に来ないか? この世界を、この腐った世界を変え、女尊男卑と言う愚かな風潮を変えたくないか?」

「変えるって――それはILを世に出す為ですか? 巫山戯るな!? それを世間に出せば暴動が起き、多くの悲劇を生むんだぞ!?」

 

 少年は戸惑いながらも怒る。彼はILを出す事に躊躇していた。幾ら彼でも、非情な行いには反対している。彼は未だ、僅かながらに優しい心が残っているからであった。

 そんな彼の言葉に、男は溜め息を吐くと、両手を腰に当てる。

 

「そう思うのは仕方ないが、ILはISを超えるが多くの悲劇は変えられない――そして女尊男卑は崩壊し、男尊女卑が生まれる――それだけではない、女共を懲らしめ、冤罪で刑務所へと入れられた男共を釈放出来る」

「っ……それじゃあ女性達はどうなっても良いのか?」

「ああ……このILを使えば女共は苦しみ、報いを受ける――男共に希望の光が灯される」

 

 男は不敵に笑う。彼は少年の盲点を突いたのだ――彼は女性達を気にし、男性達を気にしてはいなかった。

 功を奏したのか少年は言葉を詰まらせ、悔しそうに俯く。

 

「ったく、貴様はどんだけあまちゃんだよ? まあ、周りからチャホやされている姉の付属品としか見られず、弟からは心配されている様な愚兄だからな?」

 

 男の言葉に少年は瞠目し、直後に身体を震わす――恐怖、その言葉が少年の心の傷に塩を塗る様にも思える――少年は身体を震わせ続ける中、男は言葉を続ける。

 

「小僧――否、織斑一夏、今一度お前に問う――俺の下に来ないか? そこでお前を強くし、お前を見下した者共を見返したくないか? 勿論、ILも与えてやるぜ」

「なっ!? それ本気かよ!?」

 

 少年は、一夏は男の言葉に驚き顔を上げ、男を見る。男は不敵に笑っていたが左手を一夏に差し出す。

 

「俺の下に来い――お前は強い――そしてこの世界を変えたいと言う願望がある――周りから出来損ないと言われてもお前は何もしなかった――否、お前の心には闇がるからだ」

「闇……?」

 

 一夏は何も解らず少し戸惑う。自分の心に闇がある? 一夏はそれが自身にあった事に理解出来なかった。

 出来ても自分は善人である事にも気付く事は出来ない――人全てに共通する中、男は彼に問う。

 

「人は闇を抱えている――どんなに善人だろうが所詮は闇を拭いきれない――お前も例外ではない――お前は周りから出来損ないと言われたお陰で大きな闇を抱えている――それはお前自身も気付いている筈だ』

 

 男の言葉に一夏は何も解らず戸惑う――刹那、彼の脳裏に沢山の言葉がよぎる。出来損ない、愚兄、姉の七光りだけの男――悪口ばかりであった。

 一夏は脳裏に過る言葉を拭おうと頭を左右に激しく振る――しかし、言葉は消えるどころか更に悪化していく。彼の心に大きな傷を負わせ、同時に彼の心に隠れていた闇が増大させていく。

 彼はもう、一夏はもう、充分に傷付いていた――僅かな人達から与えられた温もりよりも大きい――彼の闇は、彼を絶望に包ませる。

 そんな一夏を見た男は何も言わず彼を見つめていたが、不意に止めを刺す様に彼を勧誘する。

 

「再三の問いだ――俺の下に来い、織斑一夏! ――お前はお前自身が抱えている闇を引きずり出せ! そして憎悪を姉や弟に向ける為にな!」

 

 男は少し荒れ気味で問う――彼は歪んだ笑みを一夏に向けていた――。彼が欲しい、どうしても欲しい、男自身の願望が見て取れる。

 男の言葉に一夏は首を振るのを止めると、怯えながら男を見上げる。

 彼は不敵に笑っていた――自分を見下す様にも思えるが一夏は覚えながらも強く目を閉じる。

 刹那、彼は瞼を開く――眉間に皺を寄せていたが憎悪の籠った目をしていた――そして、彼は男が差し伸ばして来てくれた左手を右手で掴む。

 従いていく――そう教えていた。そんな一夏に男はどす黒い笑みを浮かべながら深く頷くと、彼に言う。

 

「さあ行こう――この世界を、腐った世界に革命を起こし、そして女尊男卑を崩壊し、男尊女卑に変える為にもな!!」


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