ケルベロス作戦に対抗して繰り出したS.O.N.G.、地球怪獣軍団、レジスタンスの帝国軍の不意を突いた作戦が失敗して数週間後、マリアは1人で日本政府の呼び出しで日本へ戻っていた。
切歌と調の看病していたかったが、呼び出された理由を聞いて来ることにした。
マリアが来る理由となったのは先の日本国大陸州北京市攻防戦にてマリアが捕らえた(という名の保護)した帝国の士官の少女についてであった。
空港について、マリアは黒服にサングラスをかけた女性のエージェントに連れられて、自衛隊の病院へ向かった。
マリア(あの日以来ね…)
今から遭う少女は撃沈寸前のムルファシス級宇宙戦艦空母2199番艦 ランバルミの艦橋にて出会ったことを思い出した。
その時は自害した姉をマリアが殺したと思い、憎んでいた。
その少女の名は『アメリ・リンケ』(階級:中尉)。
途中で憎まれていたり、敵対関係にある相手とは言え、見舞いの品を持っていかないのはどうかと思い、花屋が見えて止めてもらい、花束を買って向かった。
到着した頃は昼の12時を過ぎていた。
車から降りて、あらかじめエージェントから聞いていたアメリのいる病室へ向かう。
病室の前には自衛官2人が立っていた。
自衛官「すみません、こちらは…」
病室の前で止まったマリアに自衛官が言うとマリアはS.O.N.G.の証明を見せた。
自衛官「失礼しました!」
証明を見てマリアに敬礼する自衛官。
通してもらい、マリアは病室のドアを開けて中に入った。
中はかなり荒らされており、薬品らしき液体や医療器具が床に散乱していた。
ベッドには頭から毛布を被って大きな膨らみになっているアメリがいた。
話によると怪我をしているのに一向に手当をさせてくれず、病院の医師や看護師が逆に怪我をさせられているとのこと。
アメリ「なんだ、また手当か…地球人の手当など…!?」
そう言いながら顔を出してマリアを見ると目を見開いた。
アメリ「お前は!!」
毛布を蹴り飛ばして立ち上がるとマリアに構えるが…。
アメリ「ぐっ…!!」
構えた瞬間、全身に痛みが走り、膝をついて倒れた。
マリア「大丈夫!?」
倒れたアメリにマリアは花束を置いて近寄る。
アメリ「触るな!」
痛みに耐えながらもアメリは触れようとしたマリアに言う。
アメリ「私はアンタを…お姉ちゃんの仇を…」
苦しそうにながらもマリアへの憎しみの眼差しを向けて言う。
マリア「なら、今ここで殺ってみなさい」
アメリ「!?」
憎しみの眼差しを向けている相手に言ったマリアの一言にアメリは驚いた。
アメリ「う、うわぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!!!」
驚きながらもアメリは怒りを爆発させてマリアに飛びかかり、馬乗りなっるなり、首を両手で掴んだ。
マリア「ぐっ!!」
飛びかかられてマリアは馬乗りにされた際に頭を床に打ち付けてしまった。
騒ぎを聞いて自衛官2人が扉を開けて状況を確認するなり、マリアを助けようと身構えた。
マリア「待って!!」
身構えた自衛官たちをマリアが制止する。
マリア「さあ、殺りなさい!今なら抵抗しないであげるわ!」
アメリに向かってマリアは言う。
アメリ「このっ!!」
マリア「ぐっ!!」
言われてアメリはマリアの首を締め付ける。
マリア「でも、一つだけ言わせてもらうわ。貴女のお姉さんは軍人として立派に責務を果たしたわ」
アメリ「!!」
その一言を聞いてアメリは我に返った。
捕まってから時間をもて余すようになったアメリはあの日のことを思い返していた。
本当に姉であるレネディをマリアが殺したのか。
不可解な点がいくつもあった。
マリアは利き手である右手に剣(聖剣型のアームドギア)を持っていて、反対の左手でレネディの銃を持っていた。
両利きではない限りレネディから銃を奪い、射殺するのは難しいハズだった。
それに剣を持っているならわざわざ銃を奪う理由はない。
殺りようには剣は銃より強いからだ。
そう考えれば、レネディは敗北を悟り自害したのではないのかと考え始めていた。
アメリ「あ…あぁ…」
推測の考えとマリアの一言で、レネディは軍人としての責務を守り、マリアはその軍人としての名誉を見届けた証人だと分かり、アメリはマリアから降りてベッド前まで下がった。
アメリ「ごめんなさい…ごめんなさい…」
軍人としての責務を全うした姉を貶し、姉の名誉を見届けた証人だを殺害しようとした過ちに気付き、頭を抱え、今にも泣きそうな声で謝罪する。
マリア「私も、貴女のお姉さんを救えなくてごめんなさい…」
そんなアメリに近づき、マリアは自身に引き寄せて、抱き締めながら言う。
アメリ「うぅ…あぁ…うわあぁぁぁ!!」
マリアに言われて唯一の肉親だった姉を喪った悲しみがアメリを襲い、彼女に大粒の涙を流した。
その頃、地球へ降り立った宇宙大怪獣帝国二大猛将の1人地上軍総司令官・恐竜戦士 ザウラーがいる帝国の支配下に置かれたロシア首都・モスクワ基地に設置されたワープ装置から次々と帝国軍地上部隊が送り込まれていた。
黄色に全体を塗装され、T時の形をした船体に、正面に固定砲2門、左右の突き出たデッキ部分2基、後方の艦尾に1基の三連装砲塔3基9門を持ち、船体側面や艦橋付近には対空砲が鎮座し、キャタピラで前進する艦-『ベルク級地上制圧戦艦』がモスクワ基地に集結していた。
レフト「閣下。第一次の出撃準備が整いました」
モスクワ基地の会議室にてレフトがザウラーに報告する。
ザウラー「ヨシ、第一次地上艦隊ハ日本国大陸方面トノ国境付近マデ前進。明朝、攻撃ヲ開始サセロ」
レフト「ハッ!」
ザウラーの指示を聞いてレフトは敬礼して会議室を出ていった。
ザウラー(先ズハ、小手調ベダ。精々楽シマテクレヨ、シンフォギア)
レフトが出ていったのを見て、ザウラーはそう思っていた。
しばらくして、ベルク級1隻と数千のSRV-5がモスクワ基地から発進したのだった。