戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第685.5話 北米大陸戦敗北後

カスピ海と黒海海戦に続き、北米大陸戦で地球軍は敗北。

 

多大な犠牲を払った敗北は世界で大きな動揺を呼んでいた。

 

北米大陸戦敗北の原因となった米国の反応兵器無断発射は各国は激怒していた。

 

地球の存亡を掛けた戦いで、足並みを揃えるどころか、それを壊すような行為をしたのだから。

 

米国と友好的であるカナダですらも米国を批難した。

 

多大な犠牲を払い、相手に与えられた損害は僅かなものであったにもかかわらず、米国は帝国軍が追撃を途中で中止したのは反応兵器によるダメージであると発表し、自分たちの戦果であるとした。

 

しかし、実態はパワードゴモラが見せた忠誠心に対するブラックエンドの敬意である。

 

北米大陸から撤退することに決まり、響たちは自国の軍を迎えに来た軍艦に混じって停泊しているS.O.N.G.本部の発令室にいた。

 

弦十郎「くそ、米国め…味方を巻き込んで撃ちやがって!!」

 

普段は冷静な弦十郎も今回ばかりは堪忍袋の緒が切れており、怒りを露わにしていた。

 

響「あの、さっきの戦いでどれくらいの人が生き残ったんですか?」

 

藤尭「総戦力の半分も生き残っていなかったそうだ」

 

友里「地球怪獣軍団も相当被害が出ているみたいよ」

 

米国による被害と帝国軍との戦闘で、北米大陸に集まった地球軍は総戦力の半分以上が生き残れなかったっ藤尭と友里は言う。

 

未来「そんな…」

 

それを聞いた未来は口元を手で覆って言う。

 

クリス「くっそ!なんで味方が頑張ってんのに邪魔するんだよ!!」

 

味方が命を懸けて、守ろうとしているのに反応兵器改良型を発射した怒りを露にする。

 

弦十郎「体面だろう…今まで米国は世界のトップに君臨していた。だが、度重なる超異常現象、宇宙怪獣や宇宙人の侵略…そのせいで今まで立場が危うくなっているんだ。その体面を守るためにしたんだろう」

 

クリス「そんなのの為にかよ…」

 

アメリカの考えを言う弦十郎にクリスは怒りをさらに募らせる。

 

すると発令室のドアが開いた。

 

開いたドアに全員の視線が向くと1人の少年が立っていた。

 

リル「………」

 

発令室に入ってきたのは俯いたリルだった。

 

響「リルくん!?」

 

クリス「お前、こんな所にいていいのかよ?」

 

本来なら地球怪獣軍団の総本山である多々良島にて、全体の指揮をしているはずのリルがここにいることに驚いて聞く。

 

しかし、リルは何も言わずに響に顔を埋めるように抱きついた。

 

響「ど、どうしたの!?」

 

いきなりされて響は戸惑う。

 

リル「ひっぐ…ひっぐ…」

 

するとくぐもっているが、リルが泣いている声が聞こえてきた。

 

響「リルくん?」

 

急に泣き始めたリルに響はさらに戸惑ってしまうのだった。


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