カスピ海と黒海海戦における地球軍は迎撃態勢が整っていない状態であったこともあり、半日で敗北という結果になった。
帝国軍の用いる18M前後の人型兵器と多砲塔搭載戦車、さらに対空ミサイルですら迎撃不可能な速度のミサイル、光学兵装を搭載した軍艦と戦闘機の数々の前にロシアを中心とした10ヵ国連合は敗走。
カスピ海と黒海を奪われ、更に鉱工業地帯であるオデッサを喪った。
初戦を手痛い敗北を喫した地球軍は帝国軍が次なる目標であると予測した北米に戦力を結集させていた。
北米の主戦力はメキシコ・カナダ、そしてアメリカ軍である。
さらに地峡地帯(コスタリカ、パナマ、ベリーズ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア)や周辺諸島の国(バハマ諸島、大小のアンティル諸島)、一部諸島を領土としているヨーロッパの各国(オランダ、フランス、イギリス、デンマーク)も軍を派遣、加えて日本も日米同盟と日怪連合を理由に海上自衛隊の空母『いずも型空母2番艦 かが』とイージス艦3隻を派遣し、向かわせている。
加えて対米と対カナダ方面軍の怪獣たちと響たちS.O.N.G.も合流、その総戦力(日本はまだ未合流だが)は10ヵ国連合を圧倒的に超えていた。
響「ふわ~、凄い人だかり~」
S.O.N.G.のロゴが入ったテントにて、集まった各国の軍人たちを見て響は言う。
クリス「
未来「それに近くには国連本部があるニューヨークもあるから何としても守りたいんだよ」
北米大陸に集まった理由をクリスと未来は言う。
響「絶対に負けられないね」
北米大陸を絶対に奪われてはならないと聞いて響は気合いを入れる。
響「あれ、そういえば師匠は?」
気合いを入れてなんだが、弦十郎がいないことに気づいて聞く。
藤尭「司令なら今、あおいさんを連れて連合軍本部に行ってるよ。各国と防衛作戦のすり合わせにね」
響の質問に藤尭が答えた。
その頃、弦十郎は友里を連れて連合軍司令部のテントに来ていた。
米軍司令官「カスピ海と黒海における海戦で、敵の不意打ちにより我が地球軍は敗北し、鉱工業地帯は奪われている!この北アメリカ大陸を奪われれでもすれば、穀倉地帯は抑えられ、各国に対する食糧供給が滞ってしまう。何としてもそれだけは避けねばならん!!」
米国の司令官は熱弁していた。
集まっていた各国の軍司令官は拍手を送る。
しかし集まった各国は内心、弱体化している米軍をあまり戦力としては期待していなかった。
弦十郎「…………」
そんな各国の軍司令官のことを見透かしていた弦十郎は他と同じく、一応の拍手を送っていた。
米軍司令官「敵は恐らくワープにより各惑星基地から地球へ短距離かつ高速で現れているモノと思われる。NASAの無人衛星と我が軍の軍事衛星が後続部隊と思われる艦隊を火星から地球へワープするのを確認した」
帝国軍がワープによる距離の短縮を行っていることを伝える。
カナダ軍司令官「ワープ…まるでSFの話だな」
メキシコ軍司令官「だが、そうでなければカスピ海と黒海での敵の進軍での速さに説明が付かんな」
カナダとメキシコの両主力軍の司令官たちは米軍司令官の報告を聞いて信じがたかったが、カスピ海と黒海における帝国軍の異常なまでの侵攻の速さを説明できる他の理由が無いため納得する。
フランス軍司令官「では、どうする?そんなに速く攻めらられば万全に態勢を整えることなど不可能だ」
イギリス軍司令官「それに敵はレイバーに酷似した人型兵器と三門の砲塔を備えた戦車を持っているのだぞ?」
デンマーク軍司令官「それに帝国軍はこちらの迎撃ミサイルですら追いつけない速度のミサイル、高性能の戦闘機を持っていると聞いた」
オランダ軍司令官「艦船もロケット砲や対空砲を弾き返したと聞いた。あと未確認だが、いつ宇宙怪獣たちが戦線に現れるかも分からないんだ。それらについての策も考えねばなるまい」
ヨーロッパから派遣されてきたフランス、イギリス、デンマーク、オランダの各国軍は帝国軍の用いる地球外の技術で開発された武器とまだ姿を現していない宇宙怪獣たちへの対抗策を講じようと言う。
米軍司令官「宇宙怪獣に関しては地球怪獣たちが相手をしてくれるだろう。我々はできるだけ地球怪獣たちを援護することに回る。そして敵の兵器群は撃破は無理でも注意を大陸から離すことを主眼とするしかあるまい」
地球人類の兵器では宇宙怪獣に太刀打ちできないし、出来るとすれば地球怪獣たちの援護くらいしかなく、"自国こそ最強"と思っているアメリカからすれば裏方に回ることを苦々しく思い、苦々しさを顔に出しながら言った。
米軍司令官「また敵の高速ミサイルである(便宜上の名義で)高速火炎ミサイルはシンフォギア装者による迎撃を考えているが…」
弦十郎の方を見ながら米軍司令官は言う。
弦十郎「それについては各国の空軍による援護があれば可能ですが…」
見られていることに気づいた弦十郎は立ち上がって言う。
事実、迎撃ミサイルより速く飛ぶ帝国軍のミサイル、高速火炎爆破弾(地球名:高速火炎ミサイル)はシンフォギアでも迎撃が困難であると予測されていたからだ。
さらに敵艦のビーム砲撃、敵機による襲撃があるのは確実であった。
それらを掻い潜り、高速火炎爆破弾を止めることなどいくらシンフォギアでも至難の技どころか不可能だった。
それだけ帝国軍の戦力は絶大であったのだ。
各司令官たちは弦十郎が言っていることは分かっていた。
だが、自軍の軍用機よりも性能が段違いに高い戦闘機であるディノルヴァからすれば鴨に等しかった。
撃墜されることが分かりきっているのに自軍の軍用機を出すなど愚策であった。
誰もが口を閉ざしている時だ、突如外から爆発音と揺れが起きた。
米軍司令官「な、なんだ!?」
突然の爆発音と揺れに米軍司令官を始め、各国軍司令官たちや弦十郎たちは驚く。
米軍兵士「た、大変です!」
司令部のテントに米軍兵士が1人慌てて入ってきた。
米軍司令官「何があった!!」
米軍兵士「はっ、それが上空に帝国軍と思われる軍艦がかなりの数が襲来!すでに各国の地上部隊が応戦していますが、効果は無い模様!」
米軍司令官に聞かれて米軍兵士が状況を報告する。
米軍司令官「すでに第二次の部隊を送っていたか!各地上部隊に応戦させろ!すぐに周辺の州にある空軍基地に連絡、戦闘機による援護を要請だ!」
米軍兵士「はっ!」
米軍司令官の指示を聞いて米軍兵士は敬礼してテントから出ていった。
各司令官たちも自軍の指揮のために連れてきている兵士たちに指示を出す。
弦十郎「あおい、俺たちも行くぞ」
友里「はい!」
周辺の司令官たちを見て弦十郎と友里はS.O.N.G.のテントへ向かうのだった。