戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

892 / 1219
第678.5話 次なる脅威

宇宙大怪獣帝国銀河方面攻略軍大本営・元地球第9惑星(現:準惑星)冥王星基地『プラート』。

 

数千万隻の宇宙艦隊と数百万体の宇宙怪獣たちを支配下に納めるスペースがいる軍中心部である。

 

クレーターの上に建てられた基地の一室にて、スペースは書類仕事をしていた。

 

そこへヴィズが入ってきた。

 

ヴィズ「閣下、ゴ報告ガゴザイマス」

 

スペース「何だ?」

 

書類仕事をしながらスペースはヴィズに要件を聞く。

 

ヴィズ「先ホド、EXタイラント将軍率イル第一次降下艦隊ガ、オデッサ及ビ周辺ノ鉱工業地帯を制圧シマシタ」

 

EXタイラント率いる第一次降下艦隊がカスピ海と黒海の沿岸部であるオデッサとその周辺に点在する高工業地帯を制圧したと報告するとスペースは書類から目を離して、ヴィズを見た。

 

スペース「早いな。早くとも数日はかかると思っていたが?」

 

ヴィズ「ハッ。敵ノ戦力ハ我々ノ予想ヲ超エル脆弱サダッタト」

 

スペース「そうか。ならば奴らを休ませるな、すぐに第二次降下作戦を開始させろ!」

 

少しは粘って戦うかと思い、数日と予想していたが呆気なくオデッサが陥落し、制圧できたことに少し驚きながらも、地球側の戦力が脆弱すぎると聞き、すぐに第二次降下作戦決行を命じる。

 

ヴィズ「ハッ!!」

 

敬礼して、ヴィズは部屋から出ていく。

 

 

 

宇宙大怪獣帝国軍第1惑星水星基地『カロリス』。

 

名前とは裏腹に太陽に最も近く灼熱の星で、太陽風が吹き荒れるこの星に宇宙大怪獣帝国六王の一人『宇宙六王怪獣第二位大将』である『円盤生物 ブラックエンド』率いる艦隊は停泊していた。

 

太陽風を防ぐようにドーム状の囲いの中に水星基地・カロリスはあった。

 

カロリスの司令官用の部屋に人間形態になっているブラックエンドが壁に埋め込まれているモニターからヴィズと通信で合っていた。

 

ヴィズ『第一次降下艦隊ガ、オデッサノ制圧ヲ完了シタ。直チニ第二次降下作戦ヲ開始セヨ』

 

ブラックエンドに第一次降下作戦が成功し、すぐに第二次降下作戦を開始するように指示を出していた。

 

ブラックエンド「はっ。あの大陸の穀倉地帯を確保できれば、慣れぬ戦いもいくらか楽になるでしょう」

 

第二次降下作戦の次なる目標を言いながらブラックエンドは敬礼する。

 

ヴィズ『期待シテイルゾ』

 

そう言って、ヴィズは通信を切った。

 

ブラックエンド「私だ。ゼルト副官、すぐに来てくれ」

 

ヴィズが通信を切って暗くなった画面を見てブラックエンドはすぐに机に固定されている通信機を起動させると副官を呼び寄せた。

 

数十分後、1人の将校がブラックエンドの部屋に入ってきた。

 

デスマスクのような無表情顔という不気味な顔をしている宇宙人だった。

 

ゼルト「シャドー星人・ゼルト、参りました」

 

入ってきた宇宙人、宇宙大怪獣帝国先任参謀大佐『宇宙ゲリラ シャドー星人』の『ゼルト』はブラックエンドの前で敬礼して挨拶する。

 

ブラックエンド「よく来た、ゼルト副官。ヴィズ副総統より第二次降下作戦開始せよと命が下った」

 

ゼルト「っと言いますと、もう第一次降下作戦は成功したのですか?」

 

ブラックエンドの言葉を聞いて、ゼルトは意外そうな口調で聞いた。

 

ブラックエンド「あぁ。地球人類の兵器では我が軍の揚陸艦ですら貫通することはできなかったそうだ」

 

ゼルト「なんと。それは意外ですね」

 

ブラックエンド「まあ、相手が悪かったのだ。だが、手加減をする理由にはならんがな。それで、ゼルト副官。直ちに第一次降下作戦準備に入る。艦隊の出撃準備に取り掛かれ!準備出来次第出発だ!」

 

ゼルト「ハッ!!」

 

ブラックエンドに出撃準備をするように指示を受けたゼルトは敬礼して部屋を後にした。

 

 

 

その頃、宇宙大怪獣帝国軍第5惑星木星基地『ズピスト』。

 

太陽系の中で大きさ、質量ともに最大の惑星で、ガスを主成分とするこの惑星に宇宙大怪獣帝国六王の一人『宇宙六王怪獣第五位大将』である『凶獣 ルガノーガー』率いる艦隊が停泊していた。

 

ガスを主成分としている惑星であるガス惑星の木星の中に緑豊かで、広大な土地が浮遊していた。

 

その土地に迷彩をを施された建造物、木星基地・ズピストはあった。

 

ズピストの司令官室には人間形態のルガノーガーがいるのだが、現在彼女は泡を大量に湯船に出した泡風呂に入っていた。

 

ルガノーガー「~♪~♪」

 

鼻歌を歌いながらルガノーガーは湯船に浸かっていた。

 

?「ルガノーガー将軍」

 

湯船に浸かっているルガノーガーのバスルーム前に1人の女性が来てルガノーガーを呼ぶ。

 

ルガノーガー「何かしら?ディミア」

 

鼻歌を止めて、ルガノーガーは副官であり、宇宙大怪獣帝国軍先任参謀・大佐『侵略宇宙人 サロメ星人』の『ディミア』に聞く。

 

ディミア「ブラックエンド将軍から通信が入っております」

 

ルガノーガー「え~、今お風呂タイムって言って断っといて~」

 

ブラックエンド『そう言うと思っていたわ、小娘!!』

 

ディミアからブラックエンドから通信が来たと聞いて、ルガノーガーは嫌そうな顔をして断りをいれるように言った矢先、ブラックエンドが目の前に通信を開いて怒声を上げる。

 

ルガノーガー「きゃっ!いきなり繋がないでよ、変態!!」

 

いきなり現れたブラックエンドにルガノーガーは体を泡で隠しながら言う。

 

ブラックエンド『何が変態だ!!それより、お前も早く艦隊の出撃準備をせんか!!』

 

ルガノーガー「はあ?まだEXが行ったばっかりじゃん。まだ戦争は始まったばかりだし、弱いとは言え、地球人もそれなりに抵抗するでしょうし、あと数日はゆっくりしてていいで…」

 

ゆっくりしたいと言いかけたときだった。

 

ブラックエンド『すでに第一次降下作戦は完遂されておる!』

 

ルガノーガー「え…早くない!?」

 

予想外の返答にルガノーガーは驚いてしまった。

 

ブラックエンド『それだけ地球軍の戦力は脆弱であったと言わざるを得ない。分かったらさっさと出撃せんか!先に合流ポイントに行っておるぞ!!』

 

そう言ってブラックエンドは通信を一方的に切った。

 

ルガノーガー「はあ…もうちょっと頑張りなさいよね、地球人…」

 

脆弱過ぎる地球軍の戦力を聞いてルガノーガーは不満そうな顔をして立ち上がった。

 

ルガノーガー「ディミア!艦隊と地上部隊に出撃準備をさせて!出来次第出発よ!!」

 

湯船から上がり、ルガノーガーはディミアにそう指示を出した。

 

ディミア「はっ!」

 

ルガノーガーの指示を聞いてディミアは敬礼する。

 

 

 

ルガノーガーが準備に入った頃、水星から約100万の艦隊が浮上していた。

 

ブラックエンド率いる第二次降下作戦参加艦隊である。

 

ブラックエンド「全く、あの小娘…指揮官としての自覚が無さ過ぎじゃ」

 

第二次降下艦隊総旗艦『ギルヴァスター級弩級宇宙戦艦2番艦 メッサースター』の艦橋で、ブラックエンドはブツブツ言う。

 

ゼルト「将軍、そこまでにしといてください。間もなく全艦ワープ位置に到着します」

 

ブツブツ言うブラックエンドに、同艦艦長である副官のゼルトは言う。

 

ブラックエンド「‥……そうだな。全艦隊、ジャンプ準備!目標、北米大陸!!」

 

ブラックエンドが第二次降下作戦の目標を伝えると全艦が第一次降下作戦参加の艦隊と同様に宇宙艦艇の艦尾に光る部分―機関部分が黄色い色から紫色に変わると速度が上がり、前方の空間に穴のようなものを空けると中へ突入して、その(空間)から消えたのだった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。