戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第678話 カスピ海・黒海戦

ある国の兵士が言った。

 

"ここは地獄だ…この世の地獄だ…"っと。

 

空から撃墜(おと)される友軍機…。

 

海へと撃沈(しず)められる友軍艦…。

 

地上から吹き飛ばされ、消える戦友たち…。

 

圧倒的戦力の前に地球連合軍は…兵士たちの魂が次々に消えていく。

 

こうなったのは今から8時間前である。

 

ロシアを主力とした10ヵ国連合軍はカスピ海と黒海に部隊を展開していた。

 

ロシア軍司令官「現在、我が連合軍はカスピ海と黒海の海岸に艦隊を配し、地上部隊の展開を急がせている」

 

10ヵ国連合軍の主力であるロシア軍の司令官が集まった各国軍の司令官たちに状況を伝える。

 

ロシア軍司令官「すでに展開率は7割が完了している。あとはS.O.N.G.と地球怪獣軍団が到着を待つばかりだ」

 

ブルガリア軍司令官「しかし、ここまで大規模な部隊を展開していいのか?」

 

ロシア軍司令官「どういう意味だ?」

 

ブルガリア軍司令官の言葉にロシア軍司令官は聞き返した。

 

アルゼンチン軍司令官「まだ敵がここを攻めると決まった訳ではないのに、部隊を展開したのは軽率ではなかったのか?」

 

ブルガリア軍司令官に代わり、アルゼンチン軍司令官が言う。

 

ロシア軍司令官「何を言うかと思えば…このカスピ海と黒海には地下資源が豊富にあり、また洋上交通の要。それを抑えられればヨーロッパ・中東地域への進行する際の足掛かりになり得る」

 

地図を指差ししながらロシア軍司令官は言う。

 

ジョージア軍司令官「そうだが、それは我々地球人が戦った場合だろう?」

 

ルーマニア軍司令官「そうだ。敵は我々よりも兵力も戦力も上なのだぞ?」

 

カザフスタン軍司令官「それに敵は宇宙人と宇宙怪獣。我々の常識が通じるとは思えんが…」

 

ジョージア、ルーマニア、カザフスタンの各軍司令官も不満を漏らしていた。

 

トルコ、ウクライナ、イラン、トルクメニスタンの軍司令官も同じような不満を顔に出していた。

 

ロシア軍司令官「今さら言われても、部隊を移動させられる訳にはいかん。それよりも敵が来るのは予想で早くても4~5日後。それまで各軍は防衛網を建設に尽力してほしい」

 

ロシア軍司令官も同じ気持ちではあるが、主力の軍であるがために言えるわけもなくジョージア、ブルガリア、トルコ、ルーマニア、ウクライナ、アルゼンチン、イラン、トルクメニスタン、カザフスタンの各国軍司令官に言う。

 

各国軍司令官が自分たちの陣地へ帰ろうとした時だ、突如爆発音と共に地面が2~3秒激しく揺れた。

 

突然の揺れに各国軍司令官たちはよろめきながらも踏ん張るか、バランスを崩して倒れた。

 

ロシア軍司令官「なんだ、今のは!?」

 

爆発音と揺れに驚いている時、1人の兵士が慌てて入ってきた。

 

ロシア軍兵士「た、大変です!!」

 

ロシア軍司令官「何があった!状況を教えろ!」

 

ロシア軍兵士「そ、それが帝国軍と思われる艦隊がカスピ海と黒海に降下!我が軍に攻撃を仕掛けてきました!!」

 

ロシア軍司令官「何だと!?」

 

兵士の報告にロシア軍司令官は声を上げ、各国軍司令官は驚愕し、目を見開いていた。

 

 

 

外では宇宙大怪獣帝国軍の艦隊(ヴァルゼーズ級宇宙戦艦、ベルバスト級宇宙重巡洋艦、バルバスファ級宇宙駆逐艦)がカスピ海と黒海に展開していた国連軍艦隊(主にロシア軍)に向かってビーム砲撃やミサイル攻撃を加えていた。

 

奇襲される形となった国連軍艦隊は混乱が大きく、まともに反撃できる艦は帝国軍のビームに船体を貫かれ轟沈する。

 

何とか反撃を試みようと砲撃している艦がいくつかあった。

 

スラヴァ級艦長「帝国軍だと!?まだ早すぎるぞ!?」

 

ロシア海軍の『スラヴァ級ミサイル巡洋艦』の艦長が攻撃している帝国軍艦隊があまりにも早く侵攻してきたことに驚く。

 

スラヴァ級艦長「えぇい、何をしている!ミサイル発射だ!!」

 

艦長の命で、スラヴァ級に装備されているSSM連装発射機から対艦ミサイルであるP-1000『ヴァルカーン』を発射される。

 

しかし、真っ直ぐ飛んでいたヴァルカーンだったが帝国軍艦隊を目の前にして狂ったかのように飛び、最終的には帝国軍艦隊間をすり抜けるように飛び、爆発した。

 

砲雷長「だ、ダメです!ミサイル全弾敵艦隊のジャミングにより外されました!」

 

レーダー長「敵駆逐艦、ミサイル発射を確認!数8!!」

 

スラヴァ級艦長「対空防御!フォールト、発射!」

 

8連装VLSから対空ミサイルであるS-300S『フォールト』を発射して対抗する。

 

しかしフォールトより速く、帝国軍が発射したミサイルがスラヴァ級の船体に突き刺さるように着弾、同時に先端が開きガスを噴射する。

 

兵士A「な、何だ!?」

 

兵士B「が、ガスだ!!」

 

突き刺さってきたミサイルの先端から噴射されたガスに驚き、乗員の兵士たちはその場から避難する。

 

同時にミサイルの先端からカチンと音がした瞬間、ミサイルが爆発。

 

ガスに引火した炎の熱風と熱気が逃げていた兵士たちを飲み込んだ。

 

スラヴァ級の船体に刺さっていた他のミサイル全てが爆発、スラヴァ級は炎に包まれ、青い海に沈んでしまった。

 

 

 

砲雷長「高速火炎爆破弾の爆破を確認!敵艦撃沈!!」

 

ベンゼン星人「良いぞ、地球の洋上艦など恐るるに足りず!押し潰してしまえ!!」

 

国連軍艦隊を攻撃している第一大艦隊所属の第一艦隊旗艦である金色の塗装がされたヴァルゼーズ級宇宙戦艦7911番艦『ゴルドボルム』の艦橋にてベンゼン星人が戦況を見て言う。

 

レーダー長「艦長!本艦5時の方向から敵機編隊が接近!」

 

ベンゼン星人「機動部隊に叩かせろ!!」

 

レーダー長の報告を聞いてベンゼン星人が言う。

 

 

 

ゴルドボルムの率いる攻撃艦隊から上空にバルバスファ級宇宙駆逐艦とギャラガス級宇宙軽巡洋艦に護られるように存在する

 

4段に分かれた甲板を持った空母がいた。

 

通信兵長「ヴォッグ艦長!艦隊司令より入電!接近中の敵機を落とせと!」

 

ヴォッグ「ディノルヴァを発艦させろ!!」

 

通信兵長の報告を聞き、白い体に赤く丸い者が身体中に付いた宇宙人『暗殺宇宙人 ナックル星人・ヴォッグ』は言う。

 

4段に甲板が分かれた空母『ラブベアー級多層式宇宙空母』の上から1~3段目からF35に似た姿をしているが、主翼がデルタ翼になっている戦闘機『空間艦上戦闘機UDF120 ディノルヴァ』が発艦する。

 

戦場へ急いで向かうのはロシア軍主力戦闘機『Su-57』の編隊が向かっていた。

 

僚機『ベレンコ中尉!10時の方向から敵機!』

 

ベレンコ「全機散開!」

 

ディノルヴァを発見した僚機からの報告で編隊隊長であるベレンコ中尉は指示を出す。

 

しかし、Su-57が散開するまえにディノルヴァの機首に備えられた2門の30ミリ陽電子ビーム機関砲が貫き、何機か撃墜し、ぶつからないように交差した。

 

ベレンコ「は、速い!全機気を付けろ!敵機は我々より速…」

 

ディノルヴァが自軍の主力戦闘機(Su-57)より速いことを見てベレンコは指示を出していたが、真上から機体が灰色に塗られたディノルヴァによりコックピットごと撃ち抜かれて撃墜された。

 

僚機『流石です、ヴェルダ中尉!』

 

ヴェルダ「これくらいで誉めるな。それにしても遅いな、地球軍の戦闘機は…。残りのハエを叩き落すぞ!」

 

僚機『ハッ!』

 

ベレンコ機を落とした灰色に塗られたディノルヴァを操る人物『ヴェルダ』はヘルメットを被り、紺色のバイザーを下ろしており素顔は見えなかったが着ているパイロットスーツには胸のパッドが付いていた。

 

隊長機を失ったSu-57の編隊は混乱し、次々にディノルヴァにより撃墜された。

 

 

 

通信兵長「艦長、戦闘機隊より入電!敵機を全て撃墜!」

 

ベンゼン星人「よし!」

 

通信兵長の報告を聞いてベンゼン星人は言う。

 

レーダー長「艦長!敵艦隊の陣形乱れました!!」

 

ベンゼン星人「よおし!ポルタヴィオンに暗号打電!!」

 

陣形が乱れたと聞いたベンゼン星人は指示を出す。

 

ゴルドボルムを中心とした攻撃艦隊から少し離れた上空にバルバスファ級宇宙駆逐艦とギャラガス級宇宙軽巡洋艦に護られるように存在する艦が1000隻ほどあった。

 

空母の飛行甲板のように平たい甲板の上には艦首部分が肥大化したカプセル状の小型艦が十数隻乗せていた。

 

通信兵長「ヴィギル艦長!攻撃艦隊司令のベンゼンより暗号入電!"巨像を放て"!」

 

空母のような艦の艦橋にて通信兵長が昆虫のような外見の宇宙人ー『宇宙商人 マーキンド星人・ヴィギル』に言う。

 

ヴィギル「ようやくか。ポルタヴィオン艦隊、降下ぁ!!」

 

暗号を聞いたヴィギルは自らが指揮する艦『ポルタヴィオン級揚陸母艦』の1番艦(ネームシップ)『ポルタヴィオン』を含めたポルタヴィオン級1000隻を降下させる。

 

降下したポルタヴィオンは帝国軍の攻撃艦隊と連合軍艦隊が戦っている戦場に降り立った。

 

レーダー長「敵艦隊の位置を確認!揚陸艦、全艦発艦準備完了!」

 

ヴィギル「全艦発艦!!」

 

ヴィギルの指示でポルタヴィオン級の甲板に乗せられた小型艦『ガルシア級強襲揚陸艦』が甲板より浮上。

 

メインエンジンを始動させるとミサイルのように高速で発進する。

 

 

 

連合軍兵「敵艦が突っ込んできた!」

 

連合軍隊長「迎撃だ!対空防御!」

 

突っ込んでくるガルシア級を見て連合軍はロシアの122mm自走多連装ロケット砲BM-21『グラート』、トルコの自走対空砲『M42ダスター自走高射機関砲』などが火を吹いて近付けさせないようにする。

 

だがガルシア級はそれらを弾いて突っ込み、海岸に着地する。

 

着陸したガルシア級は艦首部分が開き中から1つ目のような光が見えた。

 

同時にビームがマシンガンの弾のように飛び出してグラート、ダスターを破壊した。

 

グラートとダスターを破壊した何かは揚陸艦から降りてきた。

 

一つ目の頭部に、スラリとしたスレンダーな体型をした18M前後の人型ロボットが現れた。

 

連合軍兵A「な、なんだ!?」

 

連合軍兵B「ひ、人型ロボットだぁ!!」

 

現れた人型ロボットに驚き、生身の兵士たちは慌てて逃げ始める。

 

反対にロシア軍の55口径125 mm滑腔砲2A46M-5を主砲で備えた戦車『T-90』(愛称:"ヴラジーミル/ウラジーミル")の隊列が前に出てきた。

 

T-90を見つけたロボットは持っていたマシンガンを向けると発砲した。

 

マシンガンから短く細いビームが連射で放たれ、近付いているT-90を蜂の巣にする。

 

他の機体もマシンガンを発砲し、T-90を蜂の巣にして撃破する。

 

T-90も負けてられないと言うように125mm滑腔砲を発射するが、ロボットたちは体を捻り回避するとマシンガンを発射して撃破する。

 

T-90を次々に撃破するロボットたちの後ろからは三連装の砲塔を備えた戦車がガルシア級から降りてきた。

 

降りてきた三連装砲塔戦車はロボットたちから逃げ始めたT-90に向かってビーム砲撃を開始した。

 

三連装砲塔戦車のビームによりT-90は撃ち抜かれて撃破される。

 

T-90をある程度撃破すると三連装砲塔戦車は生身の兵士立ち向かって砲撃して吹き飛ばしていく。

 

通信兵長「艦長!陸上部隊より入電!友軍の揚陸艦撃沈無し!SBF大隊とSBR-5大隊による地上侵攻開始されました!」

 

ベンゼン星人「ふん、当然だ。ガルシア級の装甲はギルヴァスター級の490mmか、ガルバスターの500mmでなければ撃ち抜けんからな。全艦隊に伝えろ、これより陸上部隊への支援艦砲射撃に切り替えろ!」

 

ガルシア級から降りてきた一つ目のロボット『SBF(スペースバトルファイター)』の『SBF-08-J スペルグフJ型』と三連装砲塔戦車『SBR-5(サヴァール5型)』による地上侵攻が開始されたことを聞き、ベンゼン星人は言う。

 

一方的にやられる友軍を見てある1人の連合軍兵は言ったのだった。

 

連合軍兵「ここは…地獄だ…この世の地獄だ…!」




弦十郎「それで、帝国軍はどこに降下しようと?」

カスピ海へ向かっていたS.O.N.G.の本部発令室にて弦十郎は中井に聞く。

中井『当初の予測通り、敵はカスピ海及び黒海へ降下しました』

弦十郎「では、我々も急いで…」

中井『いえ、S.O.N.G.は急いで北米へ向かっていただきたい』

クリス「なんでだよ!?」

中井の言葉に耳を疑い、聞き返すクリス。

中井『すでに…すでにカスピ海及び黒海は陥落。黒海に面した港湾都市 オデッサとその周辺の鉱工業地帯は敵の手に墜ちました!』

響「ま、まだ1日も経ってないのに…」

未来「敵の手に重要拠点が…」

すでにカスピ海及び黒海、そして黒海に面した黒海に面した港湾都市 オデッサが墜とされたと聞いて響たちは戦慄したのだった。

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