戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

876 / 1219
クリス、ハッピーバースデー! それゆけっ!元気100倍!!

いきなりですが、クリスが超大ピンチです。

 

クリス「いや、確かにピンチだが色々と飛ばしすぎだ!!」

 

周辺に大量のアルカ・ノイズが取り囲み、完全に逃げ場を失っているクリスが叫ぶ。

 

これまでの経緯をかいつまんでお話ししますと…。

 

クリスはリディアンから帰るときに響たち(響、未来、切歌、調)から誕生日にと特別なあんぱんを貰った。

 

本当はお祝いしたかったのだが、響と切歌が期末テストで赤点を取ってしまい、補修に備えての勉強があるため未来と調に強制連行された。

 

それでクリスは貰ったあんぱんを家で食べようと思ったのだが帰っている途中で牛乳を切らせていることに気づいて商店街に買いに来た。

 

買って帰ろうとした矢先にパヴァリア光明結社残党錬金術師(下っ端)の襲撃を受けてしまう。

 

しかも下っ端だからと高を括っていたが予想より数の多いアルカ・ノイズに物量で押されてしまい、体力が無くなりかけているのだ。

 

クリス「くそ…雑魚のくせに…」

 

体力が無くなりつつある体を鞭打って立ち上がるクリス。

 

下っ端「ふん、まだ立ち上がる力があるか。だが、これで終わりだ!!」

 

下っ端がそう言うと人型のアルカ・ノイズがクリスに接近する。

 

クリス「くそっ…っ!!」

 

迎撃しようとするクリスだが、体力が無く構えられなかった。

 

その隙をアルカ・ノイズは見逃さずに接近してクリスを攻撃する。

 

ここまでかとクリスが思った時、近くにあった袋―クリスの誕生日プレゼントとして響たちから貰ったあんぱんの入った袋が光りだした。

 

袋からふわりと光っているあんぱんが出て来たかと思ったその時だった。

 

?「アンパーンチ!!」

 

掛け声と共に光ったあんぱんから出てきたその一撃でクリスに迫っていたアルカ・ノイズを一撃で消滅させた。

 

下っ端「な、なんだ!?」

 

シンフォギアでもないのにアルカ・ノイズを倒したそれを見て下っ端は驚く。

 

そして驚いているのはクリスもだった。

 

クリス「え…は、はあぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?!?!?!?!?」

 

突如現れたそれは誰がどう見ても、一度見れば忘れられず、幼い頃のみんなならば誰でも見たであろうあのヒーローを見てクリスは驚いた。

 

そう、そのヒーローの名は…。

 

クリス「なんでお前がいるんだよ…アンパンマン!?」

 

そう、クリスの危機に現れたのはヒーローの原点にして頂点、正義の味方『アンパンマン』である。

 

アンパンマン「やあ、ぼくはアンパンマンです」

 

クリスの方を見て丁寧に自己紹介をするアンパンマン。

 

クリス「あ、私は雪音 クリスだ…じゃねぇ!なんでアンパンマンがいるんだよ!?」

 

自己紹介してきたアンパンマンにクリスは言う。

 

アンパンマン「え?どこかで会ったことありましたか?」

 

クリスに言われてアンパンマンは首を傾げて聞く。

 

クリス「えっと…それは…」

 

下っ端「くそ、奴ごとシンフォギアを殺せ!!」

 

どう説明したものかとクリスは考えていると残りのアルカ・ノイズが一斉に襲い掛かってきた。

 

クリス「話は後だ!コイツらを倒すの手伝ってくれ!!」

 

アンパンマン「よく分からないけど、分かった!」

 

クリスとアンパンマンの奇妙なコンビが結成され、迫りくるアルカ・ノイズに構える。

 

アンパンマン「あ、そうだ。クリスちゃん、これを食べて。元気が出るよ」

 

そう言ってアンパンマンは自身の顔の一部を取るとクリスに差し出した。

 

クリス「お、おう…」

 

渡してきたアンパンマンの顔の一部を受け取ると一口食べた。

 

クリス「あ、うめえ!!」

 

予想外の美味しさにクリスは感激して平らげてしまう。

 

クリス「おっしゃあ!元気出てきたぁ!!」

 

アンパンマンのあんぱんを食べて元気が出たクリスは叫ぶとアームドギアを二連装ガトリングガンに変え、さらに腰部から小型ミサイルを一斉発射した。

 

元気が出たクリスの攻撃でアルカ・ノイズは次々に吹き飛び、消滅して倒されていく。

 

アンパンマン「とう!」

 

アンパンマンもキックやパンチで次々にアルカ・ノイズを撃破していく。

 

下っ端「な、なんなんだ、あの男は!?アンパンマンとか言っていたが…」

 

アンパンマンを知らないのか下っ端はクリスと共にアルカ・ノイズを倒していくアンパンマンを見て驚愕していた。

 

(※『アンパンマン』は台湾や韓国、香港など一部アジア諸国を除く日本国外では人気が低く、ヨーロッパなどではその知名度はほとんどゼロに近い。これには文化的違いがあり、アンパンマンが自分の顔を食べさせる行為がカニバリズムを連想させるため嫌悪されているからである。因みにアンパンマンの元である『あんぱん』自体は日本生まれのパンで、アジア諸国では親しまれているが欧米では一般的ではない(←美味しいのに…)。あと銀の魂の終わる終わる詐欺してる某ジャンプ作品のモブが好きだけど、今回は忘れるように。え?モブじゃない?)

 

クリス「残るは…」

 

アンパンマン「君だけだ!」

 

銃と拳を向けてクリスとアンパンマンは言う。

 

下っ端「くっ!?これでも喰らえ!!」

 

やけくそで水を放つ下っ端。

 

クリス「今さらそんなの…」

 

アンパンマン「か、顔が濡れて力が出ない…」

 

ただの水を受けたくらいでは目眩ましにもならないと思っていたクリスだったがアンパンマンは両目を×にして倒れしまった。

 

クリス「しまった!?」

 

実はアンパンマンは顔が濡れたり、カビたりして汚れると力が抜けて弱ってしまうのだ。

 

下っ端「なんだか分からないが、チャンスだ!」

 

アンパンマンが弱ってしまったのを見て下っ端は体勢を建て直そうとする。

 

クリス(くそ、このままじゃ…)

 

どうするかとクリスが考えているとあんぱんが入っていた袋がまた輝きだしたかと思いきや中からアンパンマンの顔が出てきた。

 

クリス「アンパンマン、新しい顔だぁ!!!!!」

 

それを見たクリスはアンパンマンの新しい顔を掴むと思いっきり投げた。

 

投げられた顔は濡れた顔を吹き飛ばして体にくっついた。

 

アンパンマン「元気100倍!アンパンマン!!」

 

顔が新しいのに変わってアンパンマンが復活した。

 

下っ端「なんだと!?」

 

これに下っ端は驚いてしまう。

 

アンパンマン「行くよ、クリスちゃん!」

 

クリス「おう!」

 

アンパンマンが言うとクリスは同時にジャンプした。

 

「「ダブル・アンパーンチ!!!!!!」」

 

アンパンマンは右、クリスは左腕を後ろに引いて力を溜め、そこから渾身のパンチーダブルアンパンチを放った。

 

下っ端「ばいばいきーん!!」

 

ダブルアンパンチを喰らって下っ端は遠くへ翔んでいってしまい、空にキラリーンっと星が1つ輝いた。

 

クリス「ありがとうな。アンパンマン」

 

下っ端を倒してクリスはアンパンマンに言う。

 

アンパンマン「ううん。ぼくだけじゃ、あの人には勝てなかったよ。勝てたのクリスちゃんのお陰だよ」

 

クリス「そ、そんなこと…」

 

アンパンマンに言われてクリスは口ごもる。

 

アンパンマンが来てくれるまで最大のピンチであったから自分のお陰で勝てたよって言われてもイマイチだったからだ。

 

クリス「私はアンパンマンが来てくれるまで、かなりヤバかったし…」

 

アンパンマン「それでもクリスちゃんは逃げずに勇気を出して戦った。戦えない人たちを守るために。それはとっても凄いことだと思うよ」

 

クリス「アンパンマン…」

 

アンパンマンに言われてクリスはハッとした。

 

確かにあの時、心のどこかに恐怖や逃げ出したい気持ちがあった。

 

しかし、自分が逃げれば戦えない多くの人たちの命が奪われてしまう。

 

そうなれば自分のような存在の子供たちが出来てしまう。

 

それはクリスにとって死よりも辛いことであったのだ。

 

だが、自分は逃げなかった。

 

無意識に勇気を出して立ち向かおうとしていたと感じたからだ。

 

アンパンマン「それじゃあ、ぼくは帰るね」

 

クリスの顔を見てアンパンマンは満足すると飛翔して、夕焼けに向かって翔んでいく。

 

クリス「アンパンマーン!ありがとなー!!」

 

翔んでいくアンパンマンにクリスは心の底からお礼を言うとアンパンマンもそれに答えるように手を降り、消えていったのだった。

 

戦いが終わって後の事を合流した響たちに任せて、クリスは袋を回収して家に帰った。

 

リビングで袋の中を見るとアンパンマンの顔の形をしたパンが入っていたのだった。

 

これを見てクリスは笑って一口食べて言った。

 

クリス「元気100倍、アンパンマン」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。