デッカールームを後にして翌日、厚い雲に空が覆われて少し暗いとある海域に1体の巨大な生物ーミレニアムゴジラが泳いでいた。
デッカード「あれか」
ダークデッカード「抜き取ってきた位置情報によるとそうだな」
ミレニアムゴジラの背に乗り、マリアたちをそれぞれの肩に乗せているデッカードとダークデッカードは見えてきた島を見て言う。
マリア「上陸してみましょう。リル、お願い」
ミレニアムゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
マリアに言われてミレニアムゴジラは全速前進で島へ向かっていく。
普通の船でも数十分は掛かる距離をミレニアムゴジラは僅か2~3分の間に島へ到達。
デッカードとダークデッカードが降りて、マリアたちを降ろしたのを見てリルへと戻った。
島は長崎県の対馬の半分くらいの面積で、ジャングルのような森が海岸際まで迫っていた。
クリス「薄気味悪いな…」
翼「あぁ。まるで空気が狂気で覆われているようだ…」
島に上陸して空気中から感じる雰囲気にクリスと翼は言う。
未来「ここにジェインと勇太くんはいるんでしょうか?」
デッカード「分からない。だが、分からないからこそ確かめる必要がある」
未来の問いにデッカードは制式拳銃を出しながら答える。
横ではダークデッカードも制式拳銃を出して準備をしていた。
デッカード「よし、行くぞ!」
準備を整えて目の前に広がる森へ向かう面々。
マリア「島の入り口の時点で薄気味悪い感じはしたけど…」
切歌「森に入ると薄気味悪さが増した気がするデス」
森を進んでいてマリアと切歌は言う。
曇り空と森の薄暗さが合間って、入口よりも薄気味悪さが増していた。
ダークデッカード「止まれ」
先を歩いていたダークデッカードが何かに気付いて言う。
クリス「何だよ、急に?」
デッカード「どうしたんだ、ダーク」
急に止まるように言ってきたダークデッカードに聞く。
ダークデッカード「あれを見ろ」
聞かれたダークデッカードは少し先を指差した。
全員の視線がその指先に集まる。
ダークデッカードの指先には木があり、その木の幹に四角い箱のような物がワイヤーで巻かれて、隣にある木の幹にワイヤーが道を遮るように延びていた。
リル「かう?」
未来「これって…爆弾?」
木と木の間に設置されたワイヤー爆弾を見て呟く。
ダークデッカード「恐らくな。お前たちの情報が確かならガナード共が仕掛けたんだろう」
仕掛けられたワイヤー爆弾がガナードによるものと考えてダークデッカードは言う。
クリス「ゾンビみたいな連中なのに、こんな罠まで本当に仕掛けれるのかよ…」
ゾンビと言っても差し支えない存在であるガナードが普通の人間のように武器を使い、ワイヤー爆弾のような罠まで仕掛けることが出来ることにクリスは言う。
調「解除はできるんですか?」
ワイヤー爆弾を解除出来るかと調は聞く。
ダークデッカード「いや、下手に解除しようとして爆発でもされれば音を聞きつけてガナード共が集まってくるだろう。ここは避けて通った方が良さそうだ」
デッカード「そうしよう。出来るだけ無駄な戦闘は避けたほうが良い」
ダークデッカードの意見にデッカードが言うと全員が同意して迂回する。
しかし…。
クリス「くっそ、ここにも罠が仕掛けてあるぞ」
迂回した先にもワイヤー爆弾が仕掛けられており、迂回を重ねていた。
さらにワイヤー爆弾以外にもトラバサミも仕掛けられており足元を注意しつつ、ワイヤー爆弾にも気を配らなくてはならなくなっていた。
翼「用意周到だな」
マリア「でも、これだけ用意周到となると…」
デッカード「ここが当たりで間違いなと考えていいだろうな」
ワイヤー爆弾とトラバサミ、どちらも素人でも簡単に設置が出来る罠だが、それを併合してしようする用意周到さは逆にここにジェインたちがいるに違いないと確信へと近づけていた。
ダークデッカード「だといいが…伏せろ!」
確信へ近づいていると思いたいダークデッカードはそう言っていると全員に伏せるように言う。
何が何か分からないが伏せていると向かっている方向からズシン…ズシン…っと言う音ともにすぐ横を巨人ープラーガ由来のB.O.W.の1体エルヒガンテが通過した。
デッカード「あれは、エルヒガンテ!?」
エルヒガンテを見てデッカードは驚く。
クリス「やっぱり量産されてたか」
レオンからエルヒガンテが量産されている可能性が的中したことにクリスは外れてほしかったことを残念がる。
翼「あぁ。だが、エルヒガンテは量産できるのに制御は難しかったのではなかったのか?」
恐らくジェインによりパトロールとして駆り出されてるだろうが、翼はそう疑問に思っていた。
エルヒガンテはプラーガ応用実験で生まれたB.O.W.であるが、強力な力と巨大化の引き換えに知性は低下し、ちょっとしたことですぐに暴走していた。
現にレオンが最初に遭遇した個体は自身を連れてきた仲間のガナードを皆殺しにしているのだ。
マリア「たぶん、その辺りをジェインが錬金術で制御してるんじゃないかしら?」
デッカード「どうやってコントロールしているかは分からないが、気付かれないように進むんだ」
エルヒガンテに気付かれないようにデッカードたちは先へ進んでいく。
そんなデッカードたちの姿を木に埋め込まれている小型カメラが捉えていた。
ジェイン「来たか、ダーク。今日こそ、貴様を私の下僕としてくれる!」
小型カメラから送られてきた映像をモニターで見ながらジェインは言う。
勇太「ダークはお前の手下なんかになるもんか!」
後ろに手を縛られている勇太が後ろで叫ぶ。
ジェイン「黙れ、小僧!」
勇太の言葉にジェインは逆上して、勇太の顔を容赦なく殴り、倒れた勇太の腹部を思いっきり蹴る。
ジェイン「あのダークは私が作ったのだ!だから私の物だ!そして、ダークによって世界は不完全な存在を全て排除し、完全な者だけの理想…」
?「やれやれ。最後のチャンスにまで、その
反撃出来ない勇太を蹴りながらジェインは自分自身の目的を話していると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
ジェイン「!?」
声に驚いて勇太を蹴るのを止めて声がした方を見るとフードの随所が赤く汚れ、ポタポタと液体を垂らす、何かを持った子供がいた。
ジェイン「なぜお前がここに!?」
子供がいることにジェインは驚いていた。
?「なぜだと?随分と意味深な発言だな、俺が来ては困ることでもあるのか?」
ジェイン「い、いや、別に…」
?「それならいいがな。てっきり、ここに入った時に武装したガナードやヴェルデューゴが俺に襲い掛かって来たのは貴様が俺を消し、玩具を奪還した後、組織を裏切る気でいるのかと思ったぞ」
持っていたモノー人間と昆虫を掛け合わせた生物、エルヒガンテと同じくB.O.W.の1体であるヴェルデューゴの首を床に落としながら言う。
ジェイン「ッ!?」
ヴェルデューゴの首を見てジェインは図星なのか焦りを見せていた。
?「もしそうだとしたら…」
それを見逃さなかった子供は落としたヴェルデューゴの首に足を乗せると…。
?「このゴミのように踏み潰すだけだ」
なんの戸惑いもなく、足に力を一気に入れて踏み潰した。
ヴェルデューゴの首にあった内部のモノが勢いよく辺りに飛び散った。
ジェイン「ひっ!?」
子供の行動にジェインは恐怖して尻餅を付いてしまう。
?「分かったか?」
ドスの効いた声で聞くとジェインは頷いた。
?「そうか、なら…せいぜい最後のチャンスに応えるんだな。あと、人質は大切にしろ。死んだら元もこもないからな」
そうジェインに言って子供は踵を返して去っていった。
勇太(アイツは…いったい………)
ジェインの暴行で朦朧とする意識の中、勇太は子供が何者のかと考えながら意識を失ったのだった。