戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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パヴァリア光明結社残党錬金術師のキム・ジェイン逮捕とテロ組織摘発の任務を受けたS.O.N.G.。

しかし、合同で動いていた陸上自衛隊空挺団の一隊が謎の敵に襲撃されて全滅してしまう。

響、翼、クリスのギアによる攻撃も効果は無く、危機的状況になっていた。

そんな時にマリア、切歌、調の3人は最初の任務を実行するために残りの空挺団と怪獣軍団と共にテロ組織のアジトを奇襲。

順調に作戦は進んでいたかに見えたがマリアがアルカ・ノイズを出してこない事に疑問を感じて"自爆"を図ってのでは考えて調と切歌と共にアジトの施設を三手に分かれて捜索。

マリアがジェインを発見するもジェインは自爆装置らしきものを作動させてしまう。

逃れようとしたマリアだったが光に飲まれてしまい気を失ってしまう。

気が付いたマリアが見たのは自然と生い茂る木々だった。

その場所がどこなのかと調と切歌は無事なのかと考えていると爆発音を聞いて町を発見する。

その町には爆発を起こしたと思われるロボットが出現した。


第637話 勇者刑事との邂逅

町ではロボットが暴れて大騒ぎになっていた。

 

しかもロボットは暴れ始めてすぐに近くを歩いていた親子連れを襲い、少女を人質を取っていた。

 

ロボットは右腕がチェーンソー、左腕が三本の指状になった手になっており、チェーンソーで建物を斬り、左手には少女を掴んでいた。

 

周囲にはすでに何台もパトカーが止まっていて行く手を阻むようにバリケードを敷いていたがロボットはそんなことおかまなしにパトカーを踏み潰し、建物を切り刻んでいく。

 

少女「うわーん、ままー!!」

 

ロボットの左手に捕らわれて泣き叫ぶ少女。

 

母親らしき女性が助けに行こうとしているのを警察官が静止していた。

 

警官A「ブレイブポリスはまだ来ないのか!?」

 

警官B「こちらに向かってきているのは確かなんですが…」

 

警官A「早くしないと被害が広がるばかりだぞ!!」

 

何かが来るのを待っているのか警官の間でそんな会話が広がる。

 

するとロボットが人質の持っている左手を思いっきり振り上げると地面に向かって振り下ろした。

 

「あやかー!!!!!!」

 

少女の悲鳴が周囲に響き渡り、母親は何とか助けに行こうとするが警官に止められて行けなかった。

 

一つの命が消えようとしたその時だった。

 

マリア「Seilien coffin airget-lamh tron…」

 

ロボットの右側のビルの屋上からマリアが飛び降りてきて起動詠唱を歌い、ギアであるアガートラームを纏う。

 

マリア「やあぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

アガートラームを纏ったマリアは聖剣型のアームドギアを抜き放ってロボットの左腕を人で言う二の腕辺りから切断。

 

さらに続けてアームドギアを蛇腹状にして少女を捕らえる指をバラバラにして解放すると空中で少女の身柄をキャッチした。

 

マリア「大丈夫?」

 

キャッチした少女にマリアは優しく聞いた。

 

少女「う、うん…」

 

混乱しているのか少女は少し戸惑いながらも頷く。

 

それを聞いて安心したマリアは地面に着地すると母親らしき女性の方へ走る。

 

マリア「この子を」

 

母親の前まで行くとマリアは少女を母親に差し出す。

 

少女「まま!!」

 

母親「あぁ、良かった…ありがとうございます!ありがとうございます!」

 

お互いに無事を確かめ合って母親はマリアに何度もお礼を言う。

 

警官C「き、君はいったい…?」

 

マリア「私のことより、この人たちを安全な場所へ!それまであのロボットは私が食い止める!」

 

警官に聞かれてマリアはそう言うとロボットの方へ駆けていく。

 

ロボットはマリアを見つけると向き直っていた。

 

マリア「さあ、アナタの相手は私よ!!!」

 

アームドギアを構えてマリアはそう言うとロボットは右腕であるチェーンソーでマリアに斬りかかる。

 

迫るチェーンソーをマリアは後ろに跳躍して回避する。

 

マリア(レイバーとは少し違うけど、有人ロボットならコックピットを狙う!)

 

すぐにロボットを止めるにはコックピットにいるパイロットを引きずり出して停止させようとマリアは着地してすぐに跳躍してロボットの肩に着地した。

 

マリア「さあ、顔を拝ませてもら…えっ!?」

 

コックピットらしく部分を覗いたマリアが見たのは無人のコックピットだった。

 

マリア「誰もいない!?じゃあ、なんで…うあっ!!!!!」

 

無人のコックピットに驚いているとロボットが切断されている右腕で殴り飛ばした。

 

殴らり飛ばされたマリアは地面に叩きつけられて勢いよく数メートルほど滑っていく。

 

マリア「あぐっ…」

 

今のが効いたのかすぐに立ち上がれなかった。

 

その間にロボットはチェーンソーを始動させてマリアへ接近する。

 

マリア(ま、まずい…早く…立たないと…)

 

なんとか立ち上がるマリア、しかしまだダメージがあるのかフラフラとしていた。

 

その間にロボットはマリアの前まで接近したその時だ。

 

けたたましいサイレンと共に1台のパトカーが向かってきていた。

 

パトカーは一旦停止するとドアが開いて1人の少年が降りてきた。

 

少年が降りるとドアが閉まり、パトカーは再び走り出す。

 

?「チェーンジ!!!」

 

少年を降ろしたパトカーは速度を上げると変形して警察官の様な姿をしたロボットになった。

 

デッカード「ホールド・アーップ!ブレイブポリス、デッカードだ!!」

 

特車二課第二小隊の警察用レイバー・イングラムが使いそうな35mmリボルバーに似た形の銃を向けて警察手帳のようなものを出して面々に向かってロボット―『勇者刑事 デッカード』は名乗りを上げる。

 

マリア「ブ、ブレイブポリス?」

 

聞いたこともない単語にマリアは首を傾げているとロボットが再度チェーンソーを振り上げて襲い掛かってきた。

 

ロボットの攻撃をマリアは後ろへ跳んで回避する。

 

だがロボットは追撃を行った。

 

マリア「くっ!!」

 

追撃してきたロボットにマリアはアームドギアを構えて応戦しようとした時、"ズドーン"っと大砲の発射音の音がしてロボットの右腕に大穴を開けて破壊した。

 

デッカード「大丈夫か!!」

 

声を聴いて振り向くと先端から煙が出ているリボルバー型の武器を構えたデッカードがいた。

 

どうやらロボットの右腕を破壊したのはデッカードだった。

 

デッカード「ここからは私に任せてもらう!君は早く避難するんだ!」

 

マリアに避難するようにデッカードは言う。

 

マリア「そうしたいのは山々だけど!!」

 

デッカードに言っている途中でマリアは跳躍するとさっきまでいた所に巨大な足―さっきのロボットが態勢を立て直してマリアを踏み潰そうとしていた足が地面を踏む。

 

マリア「こいつの狙いは私みたいよ!」

 

さっきから執拗に自分自身を攻撃してくるロボットを見てマリアは言う。

 

デッカード「どうやらそのようだ。だが、これ以上一般人を危険な目には遭わせられん…っと言いたいが君からはこれまで記録されていない反応が出ている。戦えるなら手を貸してくれるか?」

 

マリア「えぇ、こっちからお願いしたいくらいよ!!!」

 

デッカードの申し出にマリアはそう言うとアームドギアを蛇腹状にしてロボットの両足に絡めた。

 

マリア「!!!!!!」

 

両足に絡んだのを見て思いっきり引っ張る。

 

アームドギアに引っ張られて両足のバランスを崩されたロボットは地面に倒れる。

 

デッカード「もらった!!!」

 

地面に倒れたロボットにデッカードは持ち武器であるリボルバー型の拳銃『制式拳銃』を発砲。

 

弾丸は一直線にロボットのコックピットを貫いた。

 

コックピットを破壊されてロボットは体中に煙を出しながら痙攣のような小刻みな動きをすると糸の切れた人形のように動かなくなった。

 

マリア「終わったみたいね」

 

動かなくなったロボットを見てマリアは言う。

 

デッカード「協力感謝する。君のおかげで被害を最小限に抑えられた」

 

マリアに向かってデッカードは感謝の言葉を言う。

 

マリア「こっちこそ、貴方が来てくれなかったら私も危なかったわ」

 

デッカードと話していると藍鉄色のくるんとした髪型と舛花色の瞳を持っているのが特徴で、服装はシューズに白のサスペンダー短パンに、赤いシャツの上に黄色のコートを着ている1人の少年が走ってきていた。

 

?「デッカード!」

 

デッカード「勇太!」

 

勇太と呼ばれる少年に呼ばれてデッカードは反応して片膝をついて姿勢を低くする。

 

勇太「デッカード、大丈夫だった?」

 

デッカード「あぁ。彼女のおかげで倒せた」

 

勇太に心配されてデッカードはマリアの方を向いて言う。

 

勇太「えっと、お姉さんは?」

 

マリア「私はマリア、マリア・カデンツァヴナ・イヴよ。貴方は?随分と彼と親しいみたいだけど…」

 

勇太に聞かれてマリアは名乗ると親しくデッカードと話している勇太のことを聞く。

 

勇太「僕は友永 勇太です」

 

デッカード「私のいるブレイブ・ポリスのボスで、階級は警部だ」

 

マリア「よろしく…ん?今、警部って言った?警部ってあの警部?警察の…」

 

勇太「はい!この通りです!」

 

さらっと聞こえた肩書にマリアが聞き返すと勇太はデッカードと同じデザインの警察手帳を見せて開くと、確かに警部と書かれた階級の上にしっかりと勇太の名前と証明写真がついていた。

 

マリア「!?」

 

これには流石のマリアも驚かざるを得なかった。

 

いくらガウとリル辺りとかで慣れていたつもりでも少年警察官で、警部という高めの階級を持っている勇太には別の意味での衝撃が走ったのだ。

 

(因みに警部と言えば、1番の有名どころではあの「とっつぁん」っと同じ階級である)

 

これが少年警察官である『友永 勇太』(階級:警部)とその部下(家族)である勇者刑事 デッカードとの最初の出会いであった。


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