シャウ「ここは…いったいなんだ?」
喫茶店に入って、窓側の席に座ったシャウはクリスと調に聞く。
クリス「ここは喫茶店って言ってな、えーっと…」
調「軽く食事をしたり、友人や知人の人と飲み物を飲んだりしながらゆっくりお話ししたり、小休憩したりする場所です」
喫茶店についてとりあえず自分なりの解釈を伝える。
シャウ「そうなのか…」
喫茶店について少し理解したのかシャウは周りを見る。
確かにサンドイッチやミートパイなどの軽食、紅茶や珈琲などの飲み物を飲んでいる人やそれらを飲食しながら話している人たちが目に入った。
シャウ(同じ環境の星でもそこに生きる者たちによる文化はやはり違うか)
ギャシー星には無かった喫茶店を見てシャウはそう思う。
するとお盆にあるものを乗せた店員の女性が席に来た。
「お待たせしました。イチゴパフェになります!」
そう言ってお盆からイチゴパフェを取ると机の真ん中に置いた。
「それではごゆっくり~」
お決まりの言葉を言って店員の女性は去っていく。
シャウ「………」
パフェを知らない時点で予測していたがシャウは初めて見るパフェに目をぱちくりさせていた。
シャウ「これはなんだ?」
クリス「何って…」
調「これがパフェです」
シャウ「これが、パフェ…」
初めて見るパフェにシャウはまじまじと観察する。
クリス「本当に初めてなんだな」
シャウの様子を見てクリスは言う。
シャウ「あぁ。このような物は見たことが無い…それでこのパフェとはどういう物だ?」
調「えっと一応、食べ物なんですけど」
シャウ「これが食べられるのか?」
クリス「あぁ。あ、食い方分かんねーのか。ちょっと待ってろ」
そう言ってクリスはパフェに刺さっていた長めのスプーンを抜くと生クリームをイチゴに乗せてすくうとシャウの前に出した。
クリス「ほら、食べてみろ」
クリスにそう言われてシャウは恐る恐る一口食べた。
少し季節外れではあるイチゴの酸味を生クリームの甘さが中和して美味しさを引き出していた。
シャウ「!、美味しい…!」
調「口に合ったみたいですね」
シャウ「こんな物を食べたのは初めてだ」
クリス「おいおい、こんなんで驚くなよ。ほら、今度はこっちだ」
初めて食べた味に感動と驚きを見せるシャウにクリスは別の物をすくって差し出した。
今度は臆せずシャウは食べた。
瞬間、舌に乗ったそれは冷たさと甘さを出しながら溶けていく。
シャウ「これはなんだ!?」
これまた初めての触感にシャウは驚いていた。
クリス「これはアイスって言うんだよ」
調「牛乳を使って固めた氷菓子というものです」
シャウ「牛乳?」
クリス「なんだよ、それも知らないのか?牛乳ってのは牛から採れる飲み物だよ」
シャウ「要するに家畜から採れる物を凍らせたことか?」
調「色々端折ってるけど大体合っています」
シャウ「そうか。地球にはこんな物があるのだな」
パフェを気に入ったのかシャウは少し嬉しそうな声で言う。
クリス[どうやら上手くいったみたいだな]
調[そうですね。このまま何もなければいいんですけど…]
何とかシャウの好感度を少し上げることが出来たと思い2人は小声で話すのだった。
シャウ「おい、これはいったい?」
喫茶店でパフェを食べ終わって次に訪れたのは洋服店であった。
クリス「何って洋服選びだよ。協力するしないを決めるにしてもまずは泊りの服くらい買っとかないとな」
調「それにいつも同じ服だと少し目立つので」
シャウ「これは別に汚れたりは…」
クリス「アタシたちに言っても知らない奴からしたら結構目立ってるからな。ほら、着替えた着替えた」
そう言って半ば無理矢理シャウの腕を掴んで、もう片方の手で服を持ったまま更衣室へ入っていた。
クリス「その服、脱いでこの服着てみろよ」
試着で選んだ服を手渡すクリス。
シャウ「分かった…」
郷に入っては郷に従えと言うのかシャウは少し渋々了承する。
数分後、試着室のドアが開いてシャウが出てきた。
シャウ「ど、どうだ?」
少し恥ずかしいのかシャウは赤面になりそうなのを堪えていた。
シャウ着ているのは白いワンピースに、青い薄手の上着を羽織る形で着ていた。
クリス「お、おぉ、スゲーよく似合うじゃねーか!」
調「うん。予想よりいい」
シャウ「そ、そうか…ならもう着替えて…」
クリス「何言ってんだ。1着じゃ意味ないだろ?最低でも後3着くらい買わないとな」
シャウ「なっ!?まだ着ないといけないのか!?」
調「それが地上の女子の買い物だから」
シャウ「そ、そんなの聞いて…」
クリス「今いったばかりだからな。ほら、着替えた着替えた」
そう言ってクリスと調は新たな服を持ってきてシャウに着せていった。
この時、他の人から見ればシャウがクリスと調の着せ替え人形のように見えたと言われるのだった。
スコーピス地球襲来まであと24日
その頃、リディアン音楽院では…。
先生「たーちーばーなーさーん!!!!!あーかーつーきーさーん!!!!」
響「ひーっ!!ごめんなさい、すいません、ごめんなさい、すいません!!!」
切歌「デデデデース!!!!!」
担任の先生の怒声と補習授業を受けていた響と切歌の悲鳴が木霊したのはまた別のお話。
未来「はあ…2人とも、今晩は遅くなるかな」
そんな2人を見て呆れる響の嫁である未来は呟いていたのだった。