戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第611話 相反する意思

サイパン島海底。

 

太陽の日差しが届かぬ海底は静かで、深海の生物たちが平和に暮らしている。

 

彼らが来るまでは…。

 

海底スレスレを巨大な影―ミレニアムゴジラは泳いでいた。

 

少し深度を上げたところには怪獣軍団海軍の怪獣たちが泳いでいる。

 

怪獣たちの姿に魚たちは怯えて隠れてしまっていた。

 

そんな魚たちを無視して彼らの目的は戦いの途中でいなくなったレイジャたちと行方不明になってしまったS.O.N.G.の本部を探し出そうとしているのだ。

 

しかしあれから1時間以上泳ぎ回っているのにS.O.N.G.の行方どころかレイジャたちの陰すら発見できずにいた。

 

ミレニアムゴジラ「グルルルルル………」

 

焦りを積もらせるミレニアムゴジラ。

 

家族とそれに親しい人物たちが一辺に行方不明となってしまったのだ。

 

力や能力などはゴジラと同じだが、まだまだ心は未だに子供のままである。

 

父であるガウと母である響とエルザ、そして親しい仲であるクリスたちが心配で仕方なかった。

 

ミレニアムゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

雄叫びを上げて周囲にいる怪獣たちに指示を送る。

 

指示を聞いた怪獣たちは2~3匹の小隊規模に分かれると散会する。

 

固まって捜すより周辺をくまなく捜す方がいいと判断したのだ。

 

ミレニアムゴジラも2~3匹の怪獣たちを引き連れて捜索を再開したのである。

 

 

 

ミレニアムゴジラが海底を泳いで捜索を行っている頃、ブルーエリアにある"生命の根源"を研究しているプラントではシャウが外の様子を見ていた。

 

シャウ(怪獣たち、何故地球人と手を取り合う?奴らはお前たちの住みかを奪う兵器を何の躊躇いも無く使うのに…。自分達が無事ならそれでいい奴らなのに…)

 

必死になって捜索する怪獣たちを見てシャウは不思議そうに見ていた。

 

本来、地球人と怪獣は相反する存在である。

 

それは互いに互いを殺し合い、どちらかの種族が滅ぼすほどである。

 

シャウたちがこの地球に来て様々なことを学んだ。

 

今の地球人は古代に地球を支配していた恐竜が絶滅滅したあとに進化を続け、文明を築き地球の生態系の中で最も栄えた種族となった。

 

だが、それは数多の動植物などの元来より地球に存在していた自然を犠牲にしていた。

 

大半は地球の変わりゆく自然環境に適応できずに絶滅した、だが一部の動植物たちは地球人の身勝手な理由で絶滅していた。

 

オオカミなどの肉食動物は地球人が飼っている家畜を食べるので駆除されて絶滅した。

 

カワウソなどの肉食じゃない動物は地球人が冬を過ごすために毛皮目当てに狩られ絶滅している。

 

他にもまだ多くの種が地球人の身勝手な理由で絶滅・絶滅寸前まで追い込まれとしまっている。

 

怪獣たちも変わりゆく地球自然に適応するために進化した存在でもある。

 

その大半は急な環境変化に適応出来なかったために環境ぐ変わりにくい地底などで長き眠り付いていた。

 

しかしそれも地球人の身勝手な行為がきっかけで目を覚ますことになった。

 

だが、地球人たちは自分達で怪獣の眠りを妨げておきながら自分達に害をなす危険な生物として排除しようとする。

 

初代怪獣王 ゴジラも地球人の作り出した兵器である"核兵器"の影響で家族を奪われ、本来の姿とはかけ離れた姿となった。

 

なのに何故地球人たちと手を取り合い、共存する道を選んだのか、シャウはそれが不思議でならなかった。

 

?「あ、いたいた」

 

シャウ「!?」

 

怪獣たちを不思議におもい考えていると声に驚いて慌てて外の様子が映っている映像を消して、振り向くと響が歩いてきていた。

 

シャウ「お前は…」

 

響「私、立花 響。貴女は確かにシャウさんですよね」

 

名前を聞かれてシャウは頷く。

 

シャウ「私に何か用か?」

 

響「はい。力を貸して欲しいんです」

 

シャウ「力を?何のためだ?」

 

響「スコーピスたちからこの星を守るためにです」

 

シャウ「なんだと?」

 

響に力を貸して欲しい理由を聞いてシャウは冷静を装っているが驚いた様子でいた。

 

響「あのですね。今、地球を包めるほどのバリアを張れる装置を作ってるんです」

 

対宇宙侵略防衛用防壁を製造していると伝える。

 

響「だけどそれにはどうしても足りないものがあって…。それがシャウさんたちギャシー星人のK2電波っていうのが必要なんです!」

 

シャウ「私たちのK2電波が?」

 

響「はい!協力してくれませんか?シャウさんたちを含めたこの星を守るために」

 

シャウ「……」

 

響に頼まれてシャウの中で迷いが起きた。

 

最初に響から手を取り合える、分かり合えると言われて"それが本当に出来るのでは"と考えたのだ。

 

たった1度…。

 

たった1度言われただけで響の言葉が現実になると信じられたからだ。

 

心が揺れるシャウ。

 

その時だった。

 

?「利己的な生物たちの戯れ言などに耳を傾けるな!!」

 

「「!?」」

 

男性の怒った声が響いて振り向くとジーンがそこに立っていた。

 

シャウ「ジーン…」

 

ジーン「騙されるなシャウ!地球人は俺たちを地球から追い出し、スコーピスたちから逃れるつもりだ!!」

 

響「そんなこと…」

 

ジーン「黙れ!」

 

根も葉もないこと言うジーンは反論しようとする響の言葉を遮る。

 

ジーン「お前たち地球人は自分達さえ無事ならば他はどうなっても構わない残忍で狡猾、そして利己的な生物だ!そんな奴らの言葉など信じられるか!!」

 

響「ッ!?」

 

ジーンの言葉が響の心に突き刺さる。

 

だが引き下がるわけにはいかなかった。

 

響「確かに地球人は残忍で狡猾、そして利己的かもしれない…。でも、それは一部の人たちだけで多く人は他がどうなろうとどうでもいいなんて思ってたりしない!」

 

ジーン「それはお前の戯れ言だ!」

 

響「戯れ言なんかじゃない!私は誰かが困ってたり悲しくしていたりしたら見過ごせない!私に出来ることならその人を助けたい、助けになりたいって思ってる!!」

 

ジーン「詭弁だ!お前も内心は自分だけ助かればいいと思っているんだろ!!」

 

響「そんなこと、1度だって思ったこと無い!!」

 

激しく言い争う両者。

 

地球人は信じられないジーンと誰とだって手を取り合い分かり合えると信じている響。

 

相反する意思を持つ2人をシャウはただ見守ることしか出来ないでいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スコーピス地球襲来まであと27日。


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