スコーピス『ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!!』
宇宙船団の後ろから数体の甲虫のような外見をした怪獣―かつて地球へ飛来したこともある『怪獣兵器 スコーピス』が高速で追撃してきていた。
スコーピスに気づいた宇宙船団は速力を上げて逃げ始めた。
スコーピスA「ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!!!」
逃げ始めた宇宙船団を見てスコーピスの1体が頭頂部からは破壊光弾である『フラレジッドボム』を発射した。
宇宙船団は上手くフラレジッドボムを回避する。
スコーピス『ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!!!』
しかし1体目のスコーピスの攻撃を皮切りに他のスコーピスたちも一斉にフラレジッドボムを発射してきた。
流石に数が多すぎたのか宇宙船団で1番後ろを飛んでいた円盤がフラレジッドボムの餌食となって破壊された。
その後も一隻、また一隻と円盤がフラレジッドボムの餌食となって宇宙のチリとなっていく。
宇宙船団の先頭を飛んでいた円盤が宇宙空間にトンネルのような空間を開けるとその中へ入っていく。
残った円盤もトンネルへ飛び込むように入るが一隻が入る直前にフラレジッドボムを直撃を受けて爆発した。
トンネルに入った宇宙船団への追撃の手を緩めないスコーピスたちは自分たちもトンネルへ侵入、残った宇宙船団を攻撃する。
トンネル内で必死に逃げる宇宙船団だったがスコーピスの攻撃でほとんどが破壊されて残り一隻となっていた。
スコーピス「ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!!」
止めを刺そうとスコーピス一体が口から腐食光線『ポイゾニクト』を吐いた。
直撃のコース、もう駄目だと思われたその時だった。
円盤とポイゾニクトの間に光が現れるとポイゾニクトから円盤を守った。
光が消えるとそこには赤い巨人の姿があった。
赤い巨人「ジュアッ!!!!」
スコーピスたちに向かって赤い巨人は両腕を前に突き出すと光線を発射した。
スコーピス『ピキイィッ!?!?!?!?!?!?』
赤い巨人が放った光線にスコーピスたちは飲み込まれて消滅した。
スコーピスたちを倒した巨人は振り向くと生き残った最後の円盤は無事に逃げきれたを確認した。
赤い巨人「シュワッ!!!!」
円盤が逃げ切れたのを確認した赤い巨人はどこかへ飛び去って行ったのだった。
第599話 襲撃、黒い尖兵
時は流れて地球・サイパン島。
南の島であるサイパン島でバカンスを楽しむエルザとガウの姿があった。
サイパン島は元々アメリカ合衆国の自治領である北マリアナ諸島の中心的な島である。
しかし度重なる超常現象事件で米国の軍事は弱体化、本土や一部の領地以外守る力が失われてしまい現在のサイパン島には『進化怪獣 ラゴラスエヴォ』を指揮官としたサイパン防衛部隊が米軍の代わりに駐屯している。
その為、大の米国嫌いのガウも安心してサイパン島を旅行地にしていた。
実はエルザのお腹も大きくなり、今月で臨月を迎えていた。
今回のサイパン島旅行を最後にしばらくは旅行ができないらしく、いつでも帰れるように日本に近くかつガウの故郷であるラゴス島によく似た気候のサイパン島を最後の旅行先に選んだのだ。
他にもまだ理由があるが今のガウは最愛の妻であるエルザと旅行を楽しんでいた。
エルザ「風が気持ちいいであります」
砂浜に立っている木の木陰にレジャーシートを広げて海風を浴びてエルザは言う。
ガウ「そうだねぇ」
同じく木陰でレジャーシートの上であるが車いすに乗っているガウも言う。
目の前に広がる海を見て海水浴を楽しみたかったがガウは下半身が動かず、エルザは妊婦であるため泳げなかったが海は泳ぐことだけではない。
貝殻を探したり、釣りをしたりなど様々な遊びがあるのもまた海である。
2人はのんびりとゆっくり流れる時間を味わっていた。
ここ最近、日本を含めて怪獣やS.O.N.G.が出動するような事件は発生しておらず、穏やかで平和な時が2人を包んでいた。
エルザ「ふふ…」
のんびりしていると不意にエルザが笑い始めた。
ガウ「どうしたの?」
急に笑い始めたエルザにガウは聞いてきた。
エルザ「今まで戦いの中で生きてきた貴方とこうしてのんびり過ごせることが凄くうれしいのであります」
幸せいっぱいにそう答えるエルザ。
今まで人間から怪物にされ、人間に戻ろうと神の力に手を出すも完全なる怪物へ造り替えられたり、共に支え合って生きてきた大切な人たちを失った悲しみなど、多くの絶望を体験してきた彼女がここまで笑顔を見せてくれる。
それを見てガウは微笑んで頷いた。
このまま平和な日々が続いてほしい、そう心の中で思っていた。
その時だ、奴らは突如として現れた。
?『ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!!!』
上から下へ行くように鳴き声が聞こえてきたかと思いきや赤黒い光線がサイパン島の町に着弾、建物を赤い砂へ変えてしまった。
さらに赤黒い光弾が雨のようにガウとエルザにいる砂浜へ降り注がれて。
ガウ「エルザ!」
エルザ「ガウ!」
降ってくる光弾を見て2人は急いでその場を離れる。
少し遅れて光弾の一発が2人のいた木に着弾、爆発が起こる。
辛うじて直撃は免れたが爆発で起きた爆風と衝撃で2人は吹き飛ばされて地面に叩きつけられてしまう。
ガウ「え、エルザ!!」
車いすから放り出されたガウは自分の身よりも身ごもっているエルザを心配して叫んだ。
エルザ「私もお腹の子も無事であります!」
ガウに安否を心配されてエルザは立ち上がって言う。
ガウ「よかったぁ…」
また家族を失うのではないかという恐怖が一瞬過っていたガウは心の底から安心していた。
スコーピス『ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!!』
安心している間にも砂漠化した町に複数の甲虫のような外見をした怪獣―『怪獣兵器 スコーピス』が着地、赤黒い光弾であるフラレジッドボムを繰り出して周囲の建物やインフラ設備を破壊していく。
ラゴラスエヴォ「ギルシャアァァァオォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
テレスドン「ガアァァァァァオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
デットン「ブガアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
チャンドラー「ガルガアァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
レギーラ「グギャアァァァオォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
町を破壊するスコーピスたちの前にラゴラスエヴォ率いるサイパン島防衛部隊が出現した。
ラゴラスエヴォ「ギルシャアァァァオォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
スコーピスを見るなりラゴラスエヴォは口から冷凍光線を発射する。
スコーピス「ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!」
冷凍光線を発射したラゴラスエヴォにスコーピスの一体がポイゾニクトを発射して対抗する。
両者の攻撃は互角で相殺し、爆発が空中で起きる。
それを皮切りにラゴラスエヴォを先頭にサイパン島防衛部隊がスコーピスたちに突撃を開始した。
スコーピス「「ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!!」」
突撃してきたラゴラスエヴォたちに2体のスコーピスが羽を出して羽ばたかせると飛翔した。
チャンドラー「ガルガアァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
レギーラ「グギャアァァァオォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
飛翔した2体を追ってチャンドラーとレギーラが飛翔した。
サイパン島の陸と空で防衛線戦闘が勃発した。
エルザ「早くここから離れるであります!」
車いすを起こしてガウにそう言うエルザ。
ガウ「うん!」
エルザに言われて自力で車いすに乗ると急いでその場を離れる。
テレスドン「ガアァァァァァオォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
口からマグマエネルギーを含む『デプス火炎』を発射する。
スコーピス「ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!!!」
デプス火炎に対してスコーピスはポイゾニクトを発射して対抗する。
ポイゾニクトがデプス火炎と接触した瞬間、デプス火炎がポイゾニクトに腐食されて一方的に消滅、テレスドンに命中した。
テレスドン「ガアァァァァァオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
ポイゾニクトを喰らいテレスドンは倒れてしまう。
しかもポイゾニクトを受けた肉体の一部が腐食し始めていた。
デットン「ブガアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
兄であるテレスドンが倒れたのを見て弟であるデットンがスコーピスに突進する。
スコーピス「ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!!」
突進してきたデットンに別のスコーピスが現れてデットンを受け止めた。
デットン「ブガアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
目的のスコーピスではなかったがデットンはスコーピスの体に両腕を回すと自慢の怪力で締め始めた。
スコーピス「ビギャアァーーーーーーーーーーッ!!!、ビギャアァーーーーーーーーーー!!!!」
流石のスコーピスはこの攻撃は耐えられないのか悲鳴のような声を上げる。
スコーピス「「ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!」」
デットンに締め上げられる個体を救おうとスコーピス2体がフラレジッドボムを発射する。
ラゴラスエヴォ「ギルシャアァァァオォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!」
そうはさせまいとラゴラスエヴォが胸部のマグマコアからの火炎弾と口から冷凍光線と同時に発射して、相手に急激な温度差を発生させる技『超温差光線』を繰り出してスコーピス2体のフラレジッドボムを打ち消した。
スコーピス「「ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!!」」
ラゴラスエヴォの超温差光線の余波でスコーピス2体は転倒する。
ラゴラスエヴォ「ギルシャアァァァオォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
転倒したスコーピス2体にラゴラスエヴォは胸部のマグマコアから火炎弾を発射した。
スコーピス「「ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー………………!!!!!!」」
ラゴラスエヴォの火炎弾を喰らいスコーピス2体は断末魔を上げながら燃やされた。
同時に"ゴシャッ"っと何かが潰された音がするとデットンの怪力で潰されたスコーピスがいた。
ラゴラスエヴォ「ギルシャアァァァオォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
スコーピスを潰したデットンにラゴラスエヴォは"その調子だ"っと鼓舞した。
その時だった。
2体の前に2つの影が落下してきた。
チャンドラー「ガ、ガルガアァァァァ……………」
レギーラ「グ、グギャアァァァ………………」
落ちてきたのは空中へ2体のスコーピスを追っていったはずのチャンドラーとレギーラであった。
2体とも体のどこかに腐食した部分があった。
スコーピス『ピキイィィィィィィィィシャアァァァァーーーーーーーーー!!!!!!!』
けたたましいくらいに聞こえるスコーピスの雄たけびを聞いて見上げるとそこには10倍近くはいるであろうスコーピスの大群が飛翔していたのだった。