では、どうぞ!
ガウ「がう…」
その日、ガウは1人で家にいた。
エルザは臨月に入ったために健康第一に考えて病院に検査に行っている。
未来、響、リルは何やら翼たちと何やら用事があるために家に居らず、珍しくガウだけ家にいるのだ。
ガウ「くわ~…」
どこかへ行きたかったが両足が動かず、車椅子無しではまともに移動することが困難になっているために家にいた。
ガウ「がうぅ…」
久しぶりにのんびりするようになってガウは車椅子に寄りかかる。
恐竜として最初に生を受け、家族と平和で穏やかな日々を暮らしてきた。
だがある日、平和で穏やかな日々は終わりを告げた。
自分たちの遥か上空で瞬いた閃光。
閃光が瞬いてすぐに熱波と衝撃波に襲われ、家族や草木は吹き飛ばされてしまった。
何もかもが燃え、灰となってしまった。
そんな中で自分も死んだ………死んだハズだった。
目が覚めたときには怪獣としての生を受けていた。
それが永遠に終わることないと思っていた戦いの始まりだった。
自分の大好きだった家族を奪った閃光ー核爆弾(今では核ミサイル)が人間によるものだと知り、憎悪が一気に当時のガウの心を支配した。
憎悪に支配されたガウは力を蓄え、人間に復讐しようと核の影響により目覚めたアンギラスたち他の怪獣たちと戦い、支配下に治め、地球最大勢力『怪獣軍団』を作り上げた。
人間への復讐の1歩として戦後、目覚ましい早さで復興したばかりの日本を配下の怪獣たちと攻め込んだ。
その過程で邪魔になりそうな存在、パヴァリア光明結社統制局長『アダム・ヴァイスハウプト』と戦い、記憶を失う。
だが再びアダムと対峙した時に記憶を取り戻し、怪獣軍団の本拠地である多々良島に集めて、人間への復讐を再開した。
しかし記憶を失っている間にガウは出会ってしまった。
失った家族と同じ温もりを。
それも自分が憎悪の対象としている人間から。
響、クリス、翼、未来、マリア、切歌、調、弦十郎、緒川、エルフナイン、友里、藤尭たちS.O.N.G.、自分の息子・リルと妻であるエルザ、並行世界の奏、セレナ、グレ響たち。
彼女たちと出会わなければ自分はいまだに人間への憎悪に心を支配され、破壊の限りを尽くしただろう。
リル「かう!」
ガウ「!」
色々なことを思い返しているといつの間にか寝ていたらしくリルの声で目が覚めた。
周りを見ると家のリビングではなく廊下にリルといた。
リル「かうかう」
訳:やっと起きた
目が覚めた父親にリルは言う。
ガウ「がう~…がうがう?」
訳:ん~…なんでリルが?
リル「かうかう、かうかうかう!」
訳:それはね、リビングに入ってからのお楽しみ!
ガウ「がうがう?」
訳:リビングに?
リル「かうかうかう~!」
訳:いいから早く早く!
ガウ「が、がうがう!!」
訳:な、なんだよもう!!
リルに催促されてガウはリビングに続くドアを開けた瞬間、"パーン!"という音ともに紙吹雪やテープが飛んできた。
響「ガウくん!」
『お誕生日、おめでとう!/デース!』
クラッカーを鳴らした響たちは一斉に祝いの言葉を言う。
ガウ「がう!?」
訳:はい!?
いきなりすぎてガウは驚いていた。
未来「驚いたみたいだね」
クリス「当たり前だろ。これだけ用意周到にしたんだからな」
翼「サプライズにしては少し物足りなかったか?」
ガウ「がうがうー。がうーがうがうがう?」
訳&メモ:凄く驚いてるよ。何、今日は誰かの誕生日?
マリア「あら、聞こえてなかったの?」
切歌「今日の誕生日はガウくんが主役デス!」
ガウ「がう?がうがうーがうがうがうー?」
訳&メモ:僕の?なんでまたこんな日に?
調「響さんが言い出したんだよ。この日にどうしてもガウくんの誕生日会をしようって」
なんで今日を自分の誕生日会をしたのかと問われて調は響の方を見て言う。
響「えへへへ、ガウくんって私たちの誕生日とか祝ってくれるけど祝われたこと無いなぁって思ってね。新堂会長さんにガウくんの生まれた日に付いて聞いてみたの、そしたら」
新堂『チビの生まれた日?そうだなぁ…確かこんな寒い日があった日だったから、11月3日かもしれないな』
響「って、いってたんだ」
ガウ「がうがうがうー」
訳:そうだったんだ
理由を聞いてガウは言う。
実は新堂の予測は的を射ており、11月3日はガウが恐竜として最初に生を受けた日であるのだ。
同時に家族を奪われた日で、初めて戦後復興を成し遂げた日本を襲撃した日でもある。
家族のことを思い出してしまうから極力思い出さないようにしていた。
悲しき過去と家族を殺された怨みと憎しみだけの日々を思い出してしまう。
だが復讐の中で生き、復讐のためだけに生きてきた自分にとって今日と言う日は忘れられない楽しい日となった。
なぜなら初めて誕生日を今の家族と過ごした日だからである。
そんなガウの中に人間への憎悪は心からいつの間にか消え、復讐を考えなくなった。
今の自分にら新しい家族がかある。
その家族を守るのが自分自身が勤めるべき責務だとガウは無意識にそう思っていたのだった。
では、最後に…
ゴジラ生誕66年、おめでとう~♪