戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第561話 不気味の中に生きる者

奏「う、うわぁ~…THE不気味さMAXだな…」

 

基地に侵入して中を見るなり奏は言う。

 

基地内は薄暗く、周囲は荒らされたりしたのか物が散乱したり、硝子片や血の跡があり、銃弾の後が残され、灯りの電灯はチカチカと付いたり消えたりして不気味さを増幅させていた。

 

リル「くわうぅ~…」

 

基地内の不気味さにリルは少し怖がっているらしく怯えた顔をしていた。

 

響「大丈夫だよ、リルくん。私たちがいるんだから」

 

怯えているリルを見て響は言う。

 

リル「…かう!」

 

響に言われてリルは頷いて何とか不気味さに打ち勝とうと元気を出す。

 

マシュ「先輩も大丈夫ですか?」

 

藤丸「う、うん。だ、だだだ、大丈夫…だよ?」

 

マシュに聞かれて藤丸はそう答えるが完全に怖がって、しかも体を滅茶苦茶ガタガタ震わせている。

 

それでも心配させまいと見栄をはる。

 

マリア「あまり見栄は張ると後が大変よ」

 

見栄を張っている藤丸にマリアは言う。

 

藤丸「ほ、本当に…大丈夫…です…」

 

奏「全然大丈夫じゃないぞ」

 

藤丸の姿に奏は呆れながら言う。

 

ロマニー『藤丸ちゃん。余り無理しない方が出る』

 

通信機越しにロマニーも心配する。

 

藤丸「リルくんみたいな小さい子が頑張ってるなら私も頑張りますよ!」

 

基地内の不気味さに打ち勝とうとしているリルを見て藤丸は言う。

 

ダ・ヴィンチちゃん『彼は怪獣だから藤丸ちゃんより年上じゃないかな?』

 

藤丸「え?」

 

年下と思っていたのかダ・ヴィンチちゃんに言われて藤丸はリルを見る。

 

リル「かう?」

 

見られたリルは首を傾げて藤丸を見るとマリアが藤丸の肩を叩いた。

 

マリア「年齢の話に怪獣を入れると心に傷が出来ちゃうわよ…」

 

少し悲しげな口調でマリアは言う。

 

ダ・ヴィンチちゃん『これは、かなり悲しい現実を突き付けられてしまったと見るべきのようだね』

 

悲しげな口調のマリアの声を聞いてダ・ヴィンチちゃんは少し地雷を踏んだ感で言う。

 

すると奥の方で"カラン…"っと空き缶か何かが床に落ちる音がした。

 

響「な、なに?今の…」

 

急にした音に驚く。

 

奏「い、行ってみるか?」

 

恐る恐る奏はマリアに聞く。

 

マリア「そうね。危ないかも知れないからフォーメーションを崩さないように行きましょう」

 

フォーメーションを崩さないようにマリアたちは音がした方へ足を進めていく。

 

数十M進むとL字で左側に通路が続いていた。

 

通路の先は薄暗かったが1~2M先は点滅している電灯のおかげで見えるがそこから先は暗く、よく見えなかったがマリアたちは先へ進む。

 

すると先頭を歩いていたリルが止まった。

 

リル「……グルルルル!」

 

何かの気配があるのかリルは毛を逆立て、尻尾をピンと伸ばして威嚇と警戒を意味する声を上げる。

 

マリア「2人とも!」

 

威嚇と警戒の声を上げたリルを見てマリアは中衛である奏と響に言うと2人は戦闘態勢に入る。

 

後衛であるマリアとマシュはもしもの時のためにアームドギアと盾を構える。

 

すると奥から足音が"コツン…コツン…"っと聞こえてきた。

 

冷や汗がマリアたちの頬を伝う。

 

見える範囲で、点滅している電灯の下に1人の人影が現れた。

 

頭を下に向けているために顔は分からなかったが迷彩服を来着た男性の自衛官だった。

 

響「なんだ、自衛隊の人…え?」

 

自衛官を見て警戒を緩めた響が近寄ろうとしたがそれをリルが静止した。

 

響「リルくん?」

 

静止されて響は呼んだ瞬間だった。

 

リル「ガルルルルル!ガルガアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

威嚇と警戒の声から完全な攻撃を意味する声を上げてリルは両手で床を砕くとその一部の瓦礫を自衛官に向かって投げ飛ばした。

 

自衛官は瓦礫を頭から諸に喰らい、さらに"ゴキッ"と嫌な音を出しながら倒れた。

 

響「り、リルくん!?なんで攻撃したの!?」

 

自衛官を問答無用で攻撃したリルに驚いて聞くがリルは聞こえておらず、さらに警戒を強めて自衛官を睨んで"ガルルルルル"っと喉を鳴らしていた。

 

これに流石の響でも戸惑いを隠せなかった。

 

マリア「よく見なさい!アレは人間じゃないわ!!」

 

戸惑いを見せている響にマリアが叫んで言う。

 

響「だ、だってあれはどう見ても…え!?」

 

マリアに言われてリルが攻撃した自衛官を見ると(確証はないが)音からして確実に首の骨が完全に折れているハズなのに自衛官は起き上がっていた。

 

響「う、嘘…」

 

首の骨が折れているのに起き上がった自衛官に響は驚く。

 

ロマニー『人間だったら確実に死んでいるはずなのに起き上がる…』

 

マシュ「間違いないです、あれは…」

 

自衛官を見て確証するロマニーとマシュ。

 

起き上がった自衛官は体の所々が血が出ていたり、紙ちぎられていたりしている姿はまるで腐食しているようで、肌の色は日本人などのアジア圏の人間によく見られる黄色ではなくホルマリンにつけたような青白い色、口周りは赤く汚れ、白目を向いていた。

 

藤丸「生ける屍(ゾンビ)!!」

 

自衛官いや、元々は生きていた人間だった『生ける屍(ゾンビ)』の名を藤丸は口にするのだった。


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