戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第469話 呪詛と怪獣の意味

弦十郎「月…だとぉ!?」

 

マリアたちがオペレーションシステムのエンキと出会っている頃、S.O.N.G.本部ではシンフォギア装者とガウたちが月にいることをようやく突き止めていた。

 

友里「はい…月面、おそらくは月遺跡にてギアのシグナルを検知しました」

 

メインスクリーンに月を映し出し、その一角にギアのシグナルを表す点を出しながら説明する。

 

エルフナイン「錬金術師達の転移の術式によって運ばれたとすれば…」

 

藤尭「いや、だとすれば今考えるべきは…」

 

緒川「皆さんを地球に帰還させる方法ですね」

 

テレポート・ジェムで月まで運ばれたならば帰還する方法があるだろうが敵がそれを使わせてくれるわけがないと判断して帰還方法を模索する。

 

すると本部にシンフォギアの反応がメインスクリーンに表された。

 

藤尭「再度ガングニールの反応を月遺跡にて検知!次いでイチイバルも!」

 

友里「調ちゃんと切歌ちゃんのギア反応も確認!ですがこちらからの呼びかけに応答はありません!」

 

響、クリス、調、切歌の4人のシンフォギアの反応があることを言う。

 

エルフナイン「皆さん…」

 

シンフォギアの反応があったということは生きているということ、それが分かりエルフナインは少し嬉しそうにする。

 

弦十郎「おそらくは月遺跡での交戦。そして気になるのは…」

 

緒川「翼さんとマリアさん、ガウくんの反応が見られない事…ですね」

 

響たち4人の生存はシンフォギアの反応で確認できた。

 

だが、シンフォギアの反応すら未だ無い翼とマリアたちと生命反応が月からだと遠すぎて検知できないでいるガウの安否を気にしていた。

 

弦十郎「呼びかけは続けろ!各国機関への救援要請もだ!一秒でも早く月へ向かう手はずを整えるんだ!」

 

弦十郎がそう指示を飛ばした時だった。

 

翼《こちら翼!》

 

翼の声が本部の通信に入ってきた。

 

緒川「皆さんは無事なんですね!?」

 

翼《はい!マリアとガウ、そしてリルも一緒です!》

 

リル《かう!》

 

緒川に聞かれて翼が言うとリルの声も聞こえてきた。

 

エルフナイン「リルくん!」

 

リルの声も聞こえてエルフナインは嬉しそうにした。

 

弦十郎「だが、どうやって通信を…?」

 

 

 

翼「管制室にて月遺跡と本部と電信を確立、遺跡内の防衛システムの一部と通信制御を解除しました!」

 

マリア「はぐれた仲間とも連絡を取り合い合流すべく誘導しているところよ」

 

弦十郎の問いに翼とマリアは言う。

 

弦十郎《そうか。こちらはユグドラシルの起動を確認し対策に向かっている最中だ》

 

通信が出来た理由を聞いて地球の現状を弦十郎は伝えてきた。

 

マリア「ユグドラシル…どうやらその世界樹は見た目以上にろくでもない代物みたいよ」

 

シェム・ハが出現させた“世界樹 ユグドラシル”の名を聞いてマリアは言う。

 

 

 

それはオペレーションシステムのエンキと出会ったときだった。

 

マリア「馬鹿な!それではあの時シェム・ハが私達を道具と蔑んだのは…!?」

 

エンキ『そうだ!身体機能よりもとりわけ脳を強化された人類と怪獣は惑星環境改造装置ユグドラシルシステムを制御するための生体演算端末群としてデザインされている。地球史を遡れば歴然だろう』

 

シェム・ハが言っていた“道具”の意味を語るオペレーションシステム。

 

エンキ『俺達はこの星にて命を創造し進化を促し目的に応じて改造を施してきた。人間と怪獣もまたその過程の産物…』

 

人間と怪獣の誕生した経緯を話す。

 

エンキ『だが…仲間の一人であった改造執刀医シェム・ハは権力と力を掌握すべく反乱、俺達に戦いを仕掛けてきた。自身を言語と置き換えることであらゆるシステムに潜伏するシェム・ハをする覆滅することは不可能であり俺達はやむなくシェム・ハを封印、地球の放棄を決めたのだ』

 

かつて、オリジナルのエンキたちと戦いを挑んだシェム・ハを封印したと話す。

 

翼「シェム・ハの封印…まさかあの腕輪に!?」

 

エンキ『いいや。データ断章となったシェム・ハは全人類の遺伝情報内に記憶され存在し続けている』

 

マリア「そんな!?地球人類すべてがシェム・ハのゆりかごってことなの!?」

 

人間の遺伝子情報内に記憶されたシェム・ハからすれば地球人類は自分の肉体を再生させるためだけの正に“ゆりかご”であることに驚く。

 

エンキ『何度倒そうとデータ断章から再生を果たすシェム・ハは事実上の不死身。故に俺達はネットワークジャマー・バラルによって統一言語で繋がれた人類を分断、封印に成功する。そして産物の中でも強大な力を有した怪獣たちをシェム・ハが復活した時の抑止力として残した』

 

バラルの呪詛で人類から統一言語を奪い、シェム・ハを封印し、怪獣たちをシェム・ハが復活した時の抑止力にしたと語る。

 

翼「つまり…バラルの呪詛と怪獣とは…」

 

マリア「不和の根源であると共に人類を今日まで守護し、もし復活した場合の保険ってことは…!」

 

バラルの呪詛の本当の意味ーそれは人類の遺伝子情報内に記憶されたシェム・ハを封印するための守りの要で、怪獣はシェム・ハ復活時の保険であると聞かされ驚く。

 

エンキ『あぁ。今、シェム・ハはユグドラシルシステムによる人類の改造と自らの抑止力である怪獣を使役しようと動いている。だが、イレギュラーは存在する』

 

シェム・ハの真の目的を語るオペレーションシステムだったがガウとリルを見る。

 

エンキ『彼らは我々が作り出した生命とは異なる進化を遂げている。シェム・ハのユグドラシルシステムには干渉されないはずだ』

 

ガウ「がうがう…」

 

訳:シェム・ハの奴…

 

リル「かうかう!」

 

訳:絶対許さない!

 

シェム・ハの目的と自分たちだけがユグドラシルシステムの影響を受けないと聞いて打倒シェム・ハに燃える2人。

 

 

 

マリア「蘇ったシェム・ハはバラルの呪詛を解除して人類を生体端末群としユグドラシルを使って星と命を意のままに操れる武器・怪物へと改造、後に怪獣たちも使役しようとしているの」

 

戻って現在、マリアはオペレーションシステムから聞かされたことを話していた。

 

弦十郎《やはり狙いは月遺跡の破壊…だが、それさえ阻止できれば…》

 

シェム・ハたちの狙いがバラルの呪詛の発信元である月遺跡の破壊であるとある程度は予想していた弦十郎はマリアからの話を聞いて納得していた時だった。

 

ミラアルク「へー。さすがはS.O.N.G.。あっさりつまびらかにしてくれるぜ」

 

4人『!?』

 

声の方を見るとミラアルクが来ていたのだった。


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