戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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特別番外編 リルのお友達 前編

リル「かうかう~♪」

 

その日、リルは潮が満ち引きする砂浜を1人で歩いていた。

 

現在、リルは怪獣島に10個点在する小島の離島の1つに1人で留守番しているのだ。

 

理由はガウと響は別の場所にて任務に向かっていて家にいない。

 

何やら綾香市の町のど真ん中に『大害獣 ハヌマーン』が出現、町で大暴れしていた。

 

だがそこへ続けて赤の2本角を持った巨人と青の1本角を持った巨人の2体の巨人が出現し、大暴れしていたハヌマーンと交戦中とのことで、これ以上被害が出ないようにS.O.N.G.(主にガウことゴジラ)に出動要請が来たのである。

 

因みに未来は親戚のお祖母さんがまた怪我したらしく、そのお祖母さんの家に行っているので寮にはリル1人しかいないのだ。

 

それならと1人で寮にいるより、人も容易に近付くことは出来ない安全な怪獣島の近くにある離島の1つであるこの無人島で留守番しているのだ。

 

ここならリルの身に何かあれば怪獣たちが直ぐに駆け付けることが出来るのだ。

 

リル「かうかう~♪…かう?」

 

砂浜をテクテク歩いていたリルは波打ち際に倒れている人影を見つけた。

 

足早に向かっていくと倒れていた人影は響や未来たちと同じくらいの女子高生であることが分かった。

 

身近な人と余り会ったことのないリルは恐る恐る近付いて尻尾の先で女子高生をツンツンとつついた。

 

?「うぅ…」

 

まだ生きているらしく、つつかれた女子高生は短く呻き声を上げる。

 

リル「かう!かう~…」

 

このまま放置していたら様子を見に来たチタノザウルスが率いる水生怪獣かアンギラス率いる地上怪獣たち、ラドン率いる空中怪獣たちのいずれかに殺されてしまうかもしれない。

 

リル「かうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

リトルゴジラ「かおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーー!!」

 

それが嫌なリルは咆哮を上げて本当の姿―『リトルゴジラ』になった。

 

リトルゴジラ「キュルルルルル……」

 

他の怪獣たちが来る前にリトルゴジラは女子高生を拾い上げるように救い上げると急いでその場を離れた。

 

女子高生が落ちないようにかつ握り潰したりしないように注意しながらである。

 

それにリトルゴジラは女子高生から響と同じ匂い…優しく、暖かな太陽のような匂いがしていた。

 

だから死なせたくないと本能で判断したのだ。

 

急いでその場を離れて行くリトルゴジラの様子を海底からユラリと見つめる影があることには本人や見廻りをしていた他の怪獣たちも気付いていなかったのだった。


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