戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第312話 防人たる者の矜持

オートマシンがまた出現したと響たちは出動したが、強化されたオートマシンたちに苦戦していた。

 

響「くう!?」

 

オートマシンの攻撃に響はダメージを負う。

 

響「さらに強くなってる!?」

 

クリス「クソッ、性能向上は天井知らずかよ!!」

 

性能向上が天井知らずのオートマシンに毒づく。

 

翼(この手応えは?)

 

斬撃を与えた翼は何かを感じる。

 

翼「く!?ちい!?」

 

斬撃を喰らいながらも無傷で、反撃してきたオートマシンの攻撃を紙一重で回避する。

 

翼(これは?)

 

回避したオートマシンの攻撃を見て翼はまた何かを感じる。

 

翼「くっ!一定距離を取って立て直すぞ!!」

 

強化されているオートマシンたちから距離を取り、体勢を立て直すように言う翼。

 

クリス「おい、大丈夫か!?」

 

翼の指示を聞いてクリスはフラつく響に言う。

 

響「なんとか…でも、どうしよう?」

 

クリス「毎回毎回、こう強化されちゃ、手に負えないぞ」

 

翼「しかし装甲強度や火力そのものは、前回までとそう大差なさそうだ」

 

クリス「なら、なんでここまで手こずるんだ?ガウだって今回はかなり手こずってるぞ」

 

翼「以前とは行動パターンが異なるようだ」

 

響「それって、動きが速くなってるってことですか?」

 

クリス「それだって性能向上には違いないだろ?」

 

ガウ「がう」

 

自分たちは兎も角、ガウも苦戦するのはオートマシンの強化が原因じゃないのかと言う。

 

翼「いや……そういう感じではないな。これまでは手控えていたが、今は本気でこちらを倒しに来ているような…そんな感覚が近い」

 

クリス「今まで手加減してたってのか?」

 

翼「ああ。機械相手だから殺気の有無はこそ感じられないが、攻撃が急所を的確に狙うようになってきたように思える」

 

響「なんでそんなことを?」

 

今まで手加減していたのなら何故そうしていたのかと響は聞いてきた。

 

翼(そう、なぜそんなことを?オートマシンの…いや、それを操る者の意図は、なんなのだ?オートマシンを何度も私たちの前に出現させ、そしてまたカルマノイズをい護るかのように振る舞っていた。そんなことをして、いったい誰が得をする?私たちを窮地に追い込むため?だが、そうまでして仕留めようとはせずにいた理由とは?)

 

翼「まさか!?」

 

点と点が繋がり、線になり翼は声を上げる。

 

クリス「急に後ろで大声出すなって!!」

 

響「どうしたんですか!?」

 

急に大声を上げた翼に驚きながら聞いた。

 

翼「これまで、オートマシンはシャロンに聖遺物を使わせるために出現していたのではないのか?」

 

クリス「なんだって!?」

 

翼「そう考えればマンションの近郊ばかりに出現していたのも納得がいく」

 

翼「前にも雪音も言っていただろ、これは偶然か、と」

 

クリス「確かに言ってたけど、それじゃ……」

 

翼「ああ、それが正しいければ首謀者は」

 

響「まさか……」

 

ガウ「がう!?がうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

首謀者が誰なのか分かった矢先、オートマシンたちが攻めてきたのを見てガウは雄叫びを上げてゴジラとなり、攻めてきたオートマシンを踏み潰した。

 

響「あ、ありがとう、ガウくん」

 

ゴジラ「グルルルル……」

 

例を言われてゴジラは鳴く。

 

クリス「いまは誰が黒幕かなんて考えても仕方ないだろ!目の前のコイツらを倒せなけりゃ、こっちがやられるだけだ!!!」

 

翼「ああ。確かにな……」

 

自分たちの周囲を取り囲むオートマシンたちを見つめる。

 

翼「だが、この数を切り崩すのは容易ではないな」

 

クリス「珍しいな、先輩が弱音か?」

 

翼「客観的に分析しただけだ」

 

響「そんな計算なんて覆して見せます!!」

 

翼「ああ………人間は機械の計算を凌駕する可能性を秘めているということを証明してみせよう!!」

 

クリス「ったく。結局いつもの根性論かよ!!」

 

客観的な分析など根性で覆す『根性論』になることを呟く。

 

響「こんなのに負けてたら、シャロンちゃんを助けるなんてできやしない……絶対に勝って見せる!!!」

 

絶対にシャロンを助け出すと言った時、3人のギアがヤントラ・サルヴァスパの力で変化した。

 

響「え?な、なんで?」

 

クリス「ギアが勝手に…」

 

翼「変化した、だと?」

 

変化したギアに驚く3人。

 

ゴジラ「グルルルル!!」

 

3人の変化したギアを見てゴジラは上を見上げると喉を鳴らした。

 

クリス「見ろ!上空に、ヴィマーナが!!」

 

響「あんな巨大な船が、いつの間に頭の上に!?」

 

翼「ワープしてきたとでもいうのか」

 

ゴジラに呼ばれて見上げるとヴィマーナが真上にいた。

 

翼「ッ!?気をつけろ、撃ってくるぞ!!」

 

クリス「ちッ!」

 

響「うわあああああーーーーーーッ!?」

 

ヴィマーナの攻撃から逃れようと急いでその場を離れようとする。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

だがゴジラはその場に残り、ヴィマーナの攻撃を待ち構え、放射火炎を発射した。

 

ヴィマーナの光とゴジラの火炎が空中あっぶつかり合う。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

威力を上げてヴィマーナの光を撃ち返した。

 

翼「う、撃ち返した……」

 

クリス「アイツ、いい加減に逃げるってことも覚えさせた方が良いんじゃないのか?」

 

翼「しかし、相変わらずなんという威力、いや、死地から蘇ったから更にパワーアップしてないか?」

 

ヴィマーナの光を撃ち返したゴジラを見て言う2人。

 

ゴジラ「グルルルル?」

 

放射火炎で撃ち返したゴジラは下を見て何かを探すようにキョロキョロしていた。

 

翼「どうした、ガウ?」

 

キョロキョロしているゴジラを見て翼は聞く。

 

クリス「そういえばあのバカは?今ので吹き飛んだか?」

 

翼「いや、立花に限ってそれは……」

 

翼・クリス「「まさか!?」」

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

3人(2人と1匹)は姿がない響がまさかと思い見上げた。

 

響「くう!」

 

ファンネルのようになっている腕に乗り、ヴィマーナへ向かう響がいた。

 

クリス「あ、あのバカ、何やってんだ!?」

 

翼「変化したギアの腕に乗って、ヴィマーナに…?」

 

クリス「後先考えずに、荒技過ぎるだろ!!!」

 

荒技過ぎる響にクリスは通信で言う。

 

響「だって、シャロンちゃんに会わないと!!」

 

クリス「ったく。ああなったら、もう止められやしないか……」

 

翼「ああ……ここからでは私たちに手の出しようもない。ひとまず急いで二課に戻ろう」

 

クリス「そうだな。ほら、行くぞガウ!」

 

ゴジラ「グルルルル……」

 

無茶を押し通すと決めた響が行動を起こせば誰も止められないので3人(2人と1匹)は二課に戻るしかなかった。

 

 

 

響「これがヴィマーナの中……ぼうっとしてる場合じゃない。シャロンちゃんを捜さないとッ!!」

 

ヴィマーナの中に侵入した響はシャロンを捜すために捜索を開始した。

 

響「この部屋は……S.O.N.G.の格納庫みたいな……」

 

格納庫のような場所に行き着いた響は中を覗いた。

 

響「オートマシン!?」

 

中にはオートマシンが大量に格納されていた。

 

響「こんなに沢山……眠ってるみたいに……まさか!?」

 

格納されているオートマシンを見て(普段はバカである)響の頭にあることが浮かび上がった。

 

響「あの、天の声、駄々漏れですよ?」

 

おっと、こりゃ失礼。

 

つーか、いいから早く二課に連絡しなさいよ。

 

響「あ、そうですね。こちら響!聞こえますか!?」

 

 

 

八紘「なんだと、それは本当か!?」

 

響からの報告に八紘は驚く。

 

八紘「……わかった、また何かわかったら連絡をくれ」

 

連絡を一旦切る八紘。

 

翼「ただいま戻りました」

 

丁度、そこへ翼たちが帰って来た。

 

クリス「今の通信、まさか?」

 

ガウ「がう?」

 

八紘「ああ、立花くんからだ」

 

クリス「何があったんだ?」

 

八紘「ヴィマーナも中に、稼働前のオートマシンが大量に格納されていたそうだ」

 

翼「やはり……」

 

響からの報告を話して呟く翼。

 

クリス「それってまさか……。オートマシンはヴィマーナから送り込まれてたってことか?」

 

今までオートマシンがヴィマーナから送り込まれていたのかと聞く。

 

翼「再確認ですが、ヴィマーナは、ガスドリンカーズの資金援助の元、オズワルド氏とNEXTが起動させたのですね?」

 

クリスの問いを含めて翼は八紘に聞く。

 

八紘「ああ……恐らくは、そのハズだ」

 

翼「だとすれば、答えは明白です」

 

八紘の言葉を聞いて翼は言う。

 

八紘「すべて、オズワルドの自作自演だと……?」

 

翼「はい」

 

クリス「自作自演?なんだってそんなことする必要が?」

 

八紘「途中破棄されたヴィマーナ計画の存続の為、だろうな」

 

翼「人類の脅威を自ら演出することで、ヴィマーナの存在を正当化させるため……といったところでしょうか」

 

ガウ「がうがう!?」

 

クリス「マッチポンプかよ!そのために何人死んだんだ!?」

 

ヴィマーナの存在を正当化させるためだけにオートマシンを放ち、人を傷付け、命を奪ったオズワルドのやり方に驚く。

 

八紘「しかし、あの少女がこちらの庇護下にある時にもオートマシンは来襲した。それ何故だ?」

 

翼「確かに現状では全ての疑問が解消できたわけではなく、断定とまではいかないかもしれません。……古いご友人を信じたい気持ちもわかります。ですが……現状を省みれば、彼の関与は明白です。ここしばらくの近隣でのオートマシンの襲撃多発も、彼の意図があったものだと思われます」

 

八紘「意図だと?」

 

翼「ヴィマーナ起動に足るまでヤントラ・サルヴァスパを励起させるべく、シャロンに力を使わせようとしていた……そう考えれば、今までのオートマシンの出現の偏重も、不可解な行動も。辻褄が合います」

 

八紘「あの少女は、装者である立花くんに懐いていた……無理矢理ではなく、自ら力を使わせるように仕向けたと。しかし、オズワルドが、自らの娘を……」

 

翼の推理を聞いて八紘は思い出した、あの時、オズワルドが言っていた意味を。

 

オズワルド『おかげで全ての素材が揃った。これで始めることができる』

 

八紘『まさか……あの子が鍵だったのか……?』

 

オズワルド『そうだ。ヤントラ・サルヴァスパの力を引き出せし、それと同化することで、あらゆる機械を自在に操らせる……そう、ヴィマーナにはその力が必要だった』

 

ヴィマーナを起動させるためにヤントラ・サルヴァスパを実の娘に埋め込み、あらゆる機械を操れるようになるまで泳がせたうえで自らヤントラ・サルヴァスパの力を使わせたオズワルドに八紘は何とも言えない憤りを感じた。

 

クリス「アタシらまで利用されてたっていうのかよ?」

 

ガウ「がうがう、がう」

 

自分たちがヤントラ・サルヴァスパ覚醒のためのだしに利用されたことにクリスとガウは言う。

 

クリス「それなら、オートマシンがカルマノイズを護ったのはなんでだ?」

 

カルマノイズを護っていたオートマシンたちのことを言う。

 

八紘「あの黒いノイズは、我々の世界における最大の脅威だった。それを倒せる力となれば、政界の者なら彼に賛同するだろう」

 

カルマノイズと知らなかったとは言えオートマシンはこの世界の脅威だった存在。

 

その中でカルマノイズはそれ以上の脅威だった。

 

そんなカルマノイズを一撃で屠ることはヴィマーナ…いや、オズワルドにとって格好のデモンストレーションだった。

 

クリス「つまりそれも自演のためってわけか……、カルマノイズをぶっ倒して力を示すための」

 

ガウ「グルルルル……」

 

ヴィマーナが倒すためにカルマノイズをわざと野放しにしたオズワルドのやり方にクリスとガウは憤りを感じた。

 

八紘「ああ、そういう筋書きだろう」

 

八紘(オズワルド……、私は、そう考えたくなかった……)

 

最悪の状況を想定はしていた。

 

だが友人として八紘はオズワルドを信じていた、それは見事に裏切られてしまったが…。

 

翼「今まさに1人の少女が、偽りの大義名分のために犠牲になろうとしているのです。それを黙って見ているなど、防人の……風鳴の血を引く者としてありえません!!」

 

八紘「翼……」

 

八紘(弦……お前がここにいれば、同じことを言うのだろうな……)

 

翼に弦十郎を垣間見た八紘の心が動いた。

 

八紘「……そうだな。それこそが風鳴の者…、防人たる者の矜持であったな」

 

翼「はい……」

 

八紘「2人とも、至急ヴィマーナへ向かってくれ!足はこちらで手配する」

 

翼「それでは!?」

 

八紘「うむ。特異災害対策機動部二課司令としてS.O.N.G.の装者と怪獣王 ゴジラに、正式にシャロンの救出作戦の遂行をようせいする!」

 

翼「謹んで受諾いたします!」

 

ガウ「がう!」

 

クリス「ったく。これだから石頭親子は、いちいち手間がかかる。そんなもん、頼まれなくたってやってやる!待ってろよ、今すぐ飛んで行くからな!!」

 

二課、S.O.N.G.、怪獣王による1人の少女を…シャロンを救う戦いが幕を上げるのだった。


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