シャロン「……」
ガウ「がうがう~」
響がシャロンとガウに文字を教え始めて数日後、2人は大分文字が書けるようになっていた。
響「わあ、凄いね、シャロンちゃん、ガウくん。もうこんなに文字を書けるようになったんだ」
響たちが普段使っている文字の量とほとんど変わらないだけの文字を書いている2人を見て言う。
響「ふんふん、なるほどー」
シャロン「………」
響「へー!姉妹もいるんだ。え、そんなにたくさん?賑やかそうでいいなぁ。私、1人っ子だったから、そういうのあこがれるなー」
シャロン「………」
シャロンの書いた文字を見て響はシャロンの事情を少し知れて言う。
クリス「どうだ、調子は?」
響「うん。もう大分、文字をお話しできるようになったよ」
クリス「ま、元々こっちが話してる言葉もわかってそうだったし、文字が書けるようになって良かったな」
響「私の教え方が上手いからってことは?」
クリス「そりゃないな、そいつとガウが優秀なだけだ」
響「そんなー……」
ガウ「がう」
色々と否定されてしまう響にガウは『ひごろのおこない』っと書いたノートを見せる。
響「ガウくん…それ、フォローになってない…」
クリス「それで、何か分かったのか?」
ショックで膝を着く響をよそに、クリスは聞く。
響「うん。シャロンちゃんね、米国にいた時、ずっとお父さんの研究をお手伝いしていたんだって」
クリス「手伝い、ねぇ…」
オズワルドがシャロンにしているかもしれないことを思い、クリスは言う。
響「うん。それでね、姉妹もたくさんいるんだって」
クリス「……まだ他にもいるのか。そいつは…心配だな」
シャロン「………」
姉妹がいることを聞いたクリスが言うとシャロンは暗い顔になる。
響「シャロンちゃん、クリスちゃんのこともあんまり怖がらなくなったみただね」
クリス「そうか?大して変わってないだろ?」
いつもならクリスを見て直ぐに逃げるはずのシャロンが逃げてしまわないことを話す。
響「連絡?翼さんからだ。なんだろう…はい、こちら響です」
通信機の受信音を聞いて響は出た。
翼『すまない、立花。直ぐにガウと二課まで来てくれないか?』
響「えーっと……」
翼『シャロンのことについて聞きたいことがあるそうだ。手短に済ます、とは言っているが』
響「わかりました、直ぐに行きます。ごめんね、シャロンちゃん。ガウくんと少し出かけるけど、クリスちゃんと良い子にお留守番しててくれるかな?」
シャロン「………」
クリス「お、おい。アタシに子守なんか無理だぞ?」
突然の招集に呼び出された響に頼まれたクリスは言う。
響「クリスちゃんなら大丈夫!お願い!!」
ガウ「がうがう!」
響に続くようにガウは『クリス、おねがい!』っと書く。
響「それじゃ、直ぐに帰ってくるから!行くよ、ガウくん!」
ガウ「がうがう!」
一方的に言ってガウと響は二課へ向かってしまった。
クリス「ちょっと待て……行っちまった。直ぐ帰るって言ってもな……」
さっさと行ってしまった2人を見送ってクリスはチラッとシャロンを見る。
シャロン「………」
少し、不安の表情を見せていた。
クリス「やれやれ。仕方ない、大人しく待ってるとするか」
頼まれてしまったかには大人しく留守番するしかないと思い、クリスが移動しようとした時だった。
シャロンがクリスの服を掴んだ。
クリス「なッ…なに服掴んでんだ!あのバカと間違えてないか?」
シャロン「………」
急に掴んできたシャロンに驚くクリス。
クリス「あ、アタシでいいのかよ?」
シャロン「……(こく)」
確認したクリスにシャロンは頷いた。
クリス「なんだよ、しょうがないなあ……留守番中、何かやりたいことあるか?」
シャロン「……(ふるふる)」
なにも無いのかシャロンは首を横に振った。
クリス「じゃあ文字の続き、一緒にやるか。英語でもいいぞ?」
シャロン「……(こく)」
勉強をするかと聞かれてシャロンは頷いたのだった。