戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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Special Night ~ Halloween Special ~

その日、ガウはS.O.N.G.本部内を逃げ回っていた。

 

怪獣王であり、どんな強大な敵でも恐れを知らずして戦うガウが逃げ回っている。

 

ガウ「がう…がう…!」

 

走りながら時たま後ろを振り向きながら追っ手が来てないか確認するガウ。

 

走り疲れたガウは直ぐ近くの部屋に逃げ込む。

 

逃げ込んでベッドの下に潜り隠れる。

 

引きを潜め、気配を消すガウ。

 

数分後、ドアが開いて数人の影が入ってきた。

 

ガウ「……………!!」

 

影を見てガウはさらに息を潜める。

 

影の主たちは部屋を漁り始める。

 

ガウ「…………」

 

影たちに見つからないように更に奥へ隠れるガウ。

 

すると…。

 

響「み~つ~け~た~」

 

ガウ「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!」

 

吸血鬼に仮想した響が覗いてきてガウは悲鳴を上げてベッドから出て来て外へ逃げようとする。

 

響「あ、逃げた!クリスちゃん、調ちゃん、切歌ちゃん!!」

 

クリス「任しておけ!」

 

切歌「がってんデス!」

 

調「絶対に逃がさない!」

 

ゾンビに仮装したクリス、切歌。調の3人が出口を塞ぐ。

 

ガウ「みぎゃあぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!」

 

3人の姿にガウは悲鳴を上げてUターンしようとする。

 

マリア「逃がさないわよ!!」

 

翼「観念するんだな!」

 

逃げようとするガウの逃げ道を落ち武者風に仮装した翼とちょっとセクシーな魔女に仮装したマリアが塞ぐ。

 

ガウ「ほぎゃあぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!」

 

2人の姿(主に翼の)を見て悲鳴をまた上げるガウ。

 

もうお分かりだろうがガウはお化けが大の苦手なのだ。

 

響「さぁ、もうどこにも逃げ道はないよ~」

 

どこの人を殺すのが大好きで恋していて愛しているとか『拷問も大好きだよ』の言葉通り可能な限り嬲って殺すのを楽しんでいたり、人を殺すのが大好きだと公言するほどの殺人狂の女キャラの顔になっている響はガウに接近する。

 

ガウ「が、が、がぎゃうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

ガウの悲鳴が響き渡った。

 

 

 

とある会場にて沢山の人が様々な仮装をしていた。

 

響「み~く~、リルく~ん!」

 

様々な仮装をしている人々の中から響は特定の人物2人―マリアよりかは面積がある魔女の仮装した未来と小さな狼の仮装したリルを呼ぶ。

 

未来「響~」

 

リル「かうかう~♪」

 

呼ばれて響に駆け寄る。

 

未来「あ、ついに捕まえたんだ」

 

響の後ろに隠れているガウを見て未来は言う。

 

ガウ「ぐうぅぅぅぅ………」

 

まだ怖がっているのかガウは響の背中から出てこようとはしなかった。

 

クリス「ほら、隠れてないで出て来いよ」

 

ガウ「がう!!」

 

何とかガウを引っ張り出そうとするクリスだがガウは頑なに出てこようとはしない。

 

切歌「物凄く頑なになってるデス!」

 

調「そんなに怖いのかな?」

 

頑なに出てこようとはしないガウを見て切歌と調は言う。

 

翼「やはり無理矢理連れてきたのは間違いではないのか?」

 

マリア「そうよ、本人が怖がっているところに連れてくるのは…」

 

響「いくらガウくんでも怖いものがあったんじゃシャレにならないいですよ」

 

翼「そう言うものか?」

 

マリア「言ってること凄いめちゃくちゃな気がするわね…」

 

滅茶苦茶なことを言う響の勢いに翼とマリアは言う。

 

響「ほらガウくん、怖いとこなんてないよ」

 

そう言って響はガウを背中から引き剥がして前に出させる。

 

ガウ「ぎゃひっ!?」

 

前に出されたガウが見たのはゾンビや死神(死神代行はいない)などのホラー系の仮装をした人々だった。

 

ガウ「~~~~~!?」

 

もはや声にならない状態になりガウは涙目になってしまう。

 

もう怪獣王の名が廃りまくっていた。

 

クリス「無茶苦茶泣いてるぞ」

 

響「大丈夫だよ、ね?」

 

ガウ「が、がうぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーー!!」

 

恐怖心の限界が来てしまったのかガウは悲鳴を上げると暴れて逃げていく。

 

響「あ、ちょっ、ガウくん!?」

 

逃げていくガウに響は叫ぶが既に遠くへ逃げてしまっていた。

 

響「行っちゃった…」

 

リル「かう~…」

 

走り去って逃げて行くガウを見て唖然とする。

 

未来「もう、ガウくんを無理矢理連れてきたならちゃんとしないとダメじゃない」

 

響「ご、ごめん…まさかあんなに暴れるなんて…」

 

クリス「とにかく捜しに行くぞ」

 

マリア「この人混みで見失ったら大変よ」

 

調「あの…それが…」

 

切歌「もう見えなくなっちゃったデス…」

 

『え…』

 

ガウを捜しに行こうとしたらもう見えなくなってしまったと聞いて響たちの空気が凍る。

 

 

 

ガウ「がう、がう、がう、がう」

 

一方でガウは完全に天パってしまい無我夢中で走っていた。

 

周りは仮装した人々ばかりで余計天パっていた。

 

その時だった。

 

ガウ「がう?」

 

無我夢中で走っていたガウは走っていた足を止めて突然我に還り、辺りを見回した。

 

いつの間にか霧が立ち込める見知らぬ林にいた。

 

ガウ「がう…?」

 

いつの間にやらこんな場所に来てしまったのかとガウはキョロキョロする。

 

無我夢中で走ったばっかりに来た道が分からないほどになっていた。

 

とにかくテクテクと歩いていくガウ。

 

ガウ「がう?」

 

歩き続けて少ししてガウの前に古びた洋館が現れた。

 

ガウ「がう~…」

 

ちょっと前に観たホラー映画で似たような洋館にガウは少しびくびくしていた。

 

ガウ「がう…」

 

引き返そうと振り向いたガウ…。

 

?「ダ・ダ~!」

 

引き返そうと振り向いたガウの前におかっぱ頭をした白と黒の怪人がいた。

 

ガウ「ぎいぃぃぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!がふ…………………」

 

怪人を見たガウは悲鳴を上げた後、白目を向いて泡を吹きながら倒れ、気絶してしまった。

 

 

 

ガウ「がう~…」

 

額に冷たいモノを感じてガウは目を覚ました。

 

中は洋館なのかソファーに寝かされていて、額には濡れたタオルが乗せられていた。

 

ガウ「がう?」

 

タオルを取って起き上がるガウ。

 

?「きゅいきゅい~♪」

 

?「おっ、起きたみたいダダ」

 

起き上がったガウにおかっぱ頭をした白と黒の怪人に加えて赤くユーモラスで愛らしいその見た目の怪獣が顔を覗かせた。

 

ガウ「ぎいぃぃぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

怪人を見て再びあの恐怖がフラッシュバックしたガウは悲鳴を上げる。

 

ブースカ「ちょっとダダくん、ピグモンくん!何驚かせちゃってるの?」

 

ダダ「も、申し訳ありませんブースカ様!」

 

ピグモン「きゅ~…」

 

ガウの悲鳴を聞いてガウと怪人がいる部屋が開いてユーモラスな顔とずんぐりした体が特徴的な怪獣…じゃない『快獣 ブースカ』が怪人『三面怪人 ダダ』と怪獣『友好珍獣 ピグモン』に注意する。

 

ブースカ「ごめんね。彼も悪気があったわけじゃないんだ、許してくれるよね?」

 

ガウ「がう…がう~」

 

ブースカに聞かれてガウはちょっと戸惑っていたが頷いた。

 

ブースカ「バラサ、バラサ~♪」

 

ガウの頷きを見てブースカは独特の言葉、『ブースカ語』を言って喜ぶ。

 

『バラサ、バラサ』はブースカ語では嬉しい時に言うのだ。

 

ブースカ「お詫びとは言ってはなんだけど、今この館でパーティーを開いてるんだ。君も参加しない?」

 

ガウ「がうがう」

 

パーティーなら参加しても良いかなと思いガウは了承する。

 

ブースカ「それじゃあ、さっそく行こう!」

 

ガウのを手を取ってブースカは部屋を出る。

 

部屋を出て少し通路を通るとシャンデリアがある大広間には数多くの料理や飲み物のグラスを持った宇宙人たちがいた。

 

ブースカ「さぁさぁ、パーティーを楽しもう♪」

 

ガウにジュースの入ったコップを渡しながらブースカは言う。

 

ガウ「がう~♪」

 

ブースカに言われてガウは頷いた。

 

ブースカ「それでは皆~!」

 

ガウが頷いてブースカは声を上げると全員の注目を浴びる。

 

ブースカ「今年もこんな日を迎えれて僕も嬉しい。でも中にはシオシオの、パァ~の人もいるかもしれないけど今日だけはそれを忘れてハッピーになろう!ハッピーハロウィーン!!」

 

パーティー参加者『ハッピーハロウィーン!!』

 

ブースカの挨拶で全員がグラスやコップを掲げて言うのだった。

 

ガウ「がう~!!」

 

とりあえずガウもコップを掲げて鳴く。

 

ブースカの挨拶で幕を上げた銀河にいる宇宙人たちの『大慰労会』。

 

全宇宙の平和とバランスを保とうとする光の超人と永きにわたり争い続けた宇宙人たちが年に一度だけ争いを全部止めて労を労う行事である。

 

発案者はブースカである。

 

ハロウィンの日にしたのは宇宙人たちが堂々と町中を歩ける、要は宇宙人たちの姿を仮装と間違えるためだ。

 

ブースカ「どう?パーティー楽しんでる?」

 

ガウ「がう~♪」

 

ブースカに聞かれてガウは笑う。

 

ガウ「がうがう…がう~…」

 

笑っていたガウだが直ぐに困った表情になってブースカに何かを言う。

 

ブースカ「え?もう遅くなるから帰りたいの?」

 

ガウ「がう、がうがうがう」

 

ブースカ「なるほど、大切な家族が心配してるかもしれないんだ…分かった。でも待っててお土産沢山持って帰って行ってほしいんだ~♪」

 

ガウ「がう~♪」

 

ブースカの提案にガウは大いに喜んだのだった。




響「ガウくん、起きて!ガウくん!」

ガウ「がう~…がう?」

響の声を聞いてガウは目を覚ますといつの間にやらベンチに寝ていた。

周りには響たちが心配そうにしていた。

クリス「ったく、怖いからって急に走り出すなよな」

翼「しかし無事で良かった」

マリア「ところで、その袋はなんなの?」

ガウのいるベンチの後ろにはパンパンに膨らんだ袋が置かれていた。

切歌と調、リル、未来が中身を確認しようと開ける。

切歌「およ~!中身は大量のお菓子デスよ!」

未来「お菓子に混じって袋ラーメンが入ってる…」

調「いったいいつこんなに貰ったの?」

ガウ「がう~…?」

3人に聞かれてガウはよく覚えていなかった。

リル「かうかう」

考え込むガウにリルは1枚のカードを渡してきた。

ガウ「!」

リルから渡されたカードを見てガウは思い出して察した。

これらの送り主が誰なのか。

カードには『またパーティーで会おうね~♪』っとかかれていたのだった。

因みに中身にあった大量のお菓子と袋ラーメンは全員でも余るので弦十郎たちにもお裾分けしたのだった。

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