戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第868話 極道だけの道理

真島「それで、神室町はどないな状況やねん?」

 

花屋「地獄そのものだな」

 

真島に聞かれて花屋はメインモニターの方を向いた。

 

花屋「神室町の約6割が感染隔離区に指定。自衛隊が必死こいて壁を設置したり、民間人を避難させようとがんばっちゃいるがゾンビやB.O.W.相手に苦戦している。んで、壁の内側に取り残された奴らは身をどこかに潜めるか、ゾンビ共に見つかって食い殺されてゾンビ共の仲間になるかだな」

 

メインモニターに映る自衛隊とゾンビやB.O.W.との攻防を見ながら花屋は神室町の現状を伝える。

 

冴島「くそ!ワシらの街をよくも!」

 

ゾンビやB.O.W.たちに占拠されつつある神室町を見て冴島は怒りを露にする。

 

レイモンド「俺たち以外のBSAAは?」

 

花屋「まだ現着していない。アンタらと別れて行動しているBSAAは今、S.O.N.G.のヘリで民間人を避難させている」

 

レイモンドに他のBSAA部隊が到着していないかと聞かれて花屋は言う。

 

クリス「宇宙大怪獣帝国軍は?」

 

花屋「動いていない。前の事件で極東方面駐留艦隊はごっそり上を取り換えたばかりだからな」

 

前回の事件で、宇宙大怪獣帝国軍地球駐留艦隊極東方面軍は日本占領計画を立てており、それを良しとしない総統スペース直々に粛清・更迭が行われ、指揮系統がまだ整っておらず、援軍はまず無理であろうという。

 

ジェシカ「つまり、強力な助っ人は無しってことね」

 

花屋「そうなるな」

 

S.O.N.G.と同じく、蛇竜を敵対関係になっている宇宙大怪獣帝国の協力が得られないことを肯定する。

 

響「でも、どうして急にゾンビたちが…」

 

花屋「街中にある東城会系の組事務所。やつらぁ、そこから現れ始めたらしい。だが、犠牲になってんのはスジもんだけじゃねぇ。……あんたら、誰を敵に回したんだ?」

 

どこからゾンビが現れだしたのかという響の問いに花屋は神室町各地で最初にゾンビが確認されたのが、東城会系の組事務所からであると言い、真島、堂島、冴島の3人に面と向かって聞く。

 

真島「賽の河原も質が落ちたのぉ。まだそんなこと言っとんのかいな」

 

花屋「情報が多すぎるんだよ。おかげで筋道つけんのに時間ばっか、食っちまってんだ」

 

真島に皮肉られた花屋は言う。

 

堂島「近江連合の、郷田龍司。ご存じですよね」

 

花屋「……ああ。半年前から都内で見かけるようになった」

 

堂島に郷田のことを聞かれ、花屋は言う。

 

堂島「そんなに前から?」

 

"半年前"から郷田が都内で見かけられていると聞いて堂島は少し意外そうにしていた。

 

花屋「ずいぶんと落ちぶれたように見えたが…」

 

付け加えるよう花屋は言う。

 

堂島「……4日前、その郷田に近江連合の二階堂という幹部が接触してきました」

 

花屋「……二階堂?聞き覚えがあるな」

 

オペレーターA「検索ヒットしました。メインモニターに出します」

 

郷田が二階堂と接触したと聞いて花屋が言うとオペレーターが真島たちが持っているのと同じ写真をメインモニターに映し出した。

 

パーカー「コイツらが今回のバイオテロの主犯か」

 

郷田と二階堂を見てパーカーは2人が神室町におけるバイオテロの主犯であると睨む。

 

堂島「ウチは、この2人がくさいと睨んでます」

 

パーカーと同じく堂島たち東城会も郷田と二階堂の2人が主犯であると言う。

 

花屋「そのバックには当然…」

 

堂島「……関西、近江連合。そして、蛇竜を名乗る輩に率いられた怪人軍団」

 

神室町におけるバイオテロの主犯と目される二階堂と郷田の背後に2人が所属する東城会と対を成す【関西近江連合】、そして数多くの怪人たちを協力させている【蛇竜】であると堂島は言う。

 

花屋「しかし、奴らこんな事して何のメリットがある?蛇竜とか言う奴の狙いは分からないが、近江連合にとっては確かに商売敵の東城会にも打撃だろうがここまでやるとは……」

 

今回のバイオテロを近江が引き起こしたとして、東城会に大打撃を与えるにしてはやり過ぎていると花屋は疑問を言う。

 

堂島「だから……俺は近江連合と話をしなきゃならない」

 

その疑問を解くために堂島は近江連合と話しをすることを伝える。

 

オペレーターB「ボス!二階堂の居場所が分かりました。神室町のバッティングセンターです!」

 

するとオペレーターの1人が神室町のバッティングセンターに二階堂を見つけたと報告する。

 

真島「郷田も一緒なんか?」

 

オペレーターB「いえ。郷田は未確認です。今、探してます」

 

真島に聞かれて二階堂は確認できたが、肝心の郷田は見つかっていないという。

 

真島「ほな、そっちは後回しやな。……バッティングセンターにはワシが行く」

 

パーカー「悪いが、俺たちも同道させてもらうぜ。主犯が見つかったんだ。バイオテロは俺たちの専門だからな」

 

郷田がいないが、先に二階堂を捕まえて聞き出せばいいと考えた真島が言うとパーカーも付いていくと言う。

 

真島「好きにせい」

 

断っても付いてきそうなパーカーを見て、真島は同道を了承する。

 

堂島「待ってください」

 

二階堂を捕まえに行こうとする真島とパーカーを堂島が止める。

 

真島「あん?」

 

パーカー「なんだよ?」

 

止められた2人はパーカーの方を向いて聞く。

 

堂島「俺が近江と話を付けるまで手出無用です。……二階堂のことは待ってもらいます」

 

パーカー「なに?」

 

真島「なんやと?」

 

堂島に言われて2人は不服そうな顔をして見る。

 

堂島「花屋さん。申し訳ないが近江連合の会長とテレビ会議がしたい……頼めますか?」

 

そんな2人を無視して堂島は花屋に近江連合の会長とテレビ会議を行うように頼む。

 

花屋「準備させよう。しばらく待っているといい」

 

頼まれた花屋はすぐに準備をさせる。

 

クリス「ちょっと待てよ!んな悠長なことしてる場合か!?」

 

近江連合の会長とテレビ会議で話をしようとする堂島にクリスは言う。

 

為朝「こんな事件引き起こした奴らと話し合いもくそもあるかよ!」

 

瀬奈「そうだよ!向こうはそっちを潰そうとしてるんだよね?話し合いに応じるとか…」

 

クリスに続くように為朝と瀬奈が言う。

 

堂島「これは俺たち極道の抗争で起きた可能性がある以上、極道同士でまずその理由を聞くのが道理です。あなた方には分からないでしょうが」

 

極道には極道にしか分からない、極道だけの道理があると言う堂島の目には固い意思が感じられたのだった。


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