戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第867話 第二のラクーンの再来

その頃、カマキリ大酋長率いるゾンビの残党を全滅させた響たちは賽の河原へ到着していた。

 

ホームレスの男「ここが賽の河原です」

 

辿り着いた賽の河原をホームレスの男は言う。

 

冴島「なんや遊郭みたいな所やな」

 

賽の河原に到着して、冴島はそういう。

 

賽の河原は確かに江戸時代の遊郭のような雰囲気のある建物があり、そこには若い女性たちが多くいた。

 

ホームレスの男「一番奥の建物に花屋が待ってます。では、私はこれで」

 

堂島「案内、ご苦労だった」

 

ここまで案内してくれたホームレスの男にお礼を言って見送ると、堂島は他の面々の方を向いた。

 

堂島「それじゃあ、皆さん。行きましょう」

 

そう堂島が言うとホームレスの男が示唆した賽の河原の奥にある館に向かうのだった。

 

 

 

館に入って大きな扉を開けると社長室のような部屋に1人の秘書のような女性がお辞儀をして待っていた。

 

秘書「お待ちしておりました」

 

秘書のような女性は頭を上げて面々を見て言う。

 

秘書「花屋のところへ案内させていただきます」

 

そう秘書が言うと全員の足元が揺れたかと思いきや床が下がり始めた。

 

響「これって!?」

 

クリス「これ自体がエレベーターなのかよ!?」

 

降りていくエレベーターに、クリスは驚いていると数分の内に最下層に到達した。

 

最下層には中央に巨大なモニターがあり、その周りを小型のモニターがいくつもあり、機械を弄ってはモニターの映像を切り替えている人たちがおり、中央の巨大モニターがよく見える席に1人の男性が座っており、まるで自衛隊のオペレーター室のようなところだった。

 

モニターは破壊され炎上する車、道端に転がっている瓦礫、そしてその中を跋扈するゾンビたちの姿が映されていた。

 

真島「久しぶりやな、花屋」

 

中央にいる法被を着た男性に近づいて真島はそう呼ぶ。

 

花屋「ふん」

 

真島に呼ばれた【花屋】は鼻を鳴らしながら返事をする。

 

堂島「お噂はかねがね。ゆっくりご挨拶したいところですが……」

 

続いて堂島が言うと、花屋は椅子を動かしてこちらを向いてきた。

 

花屋「そうも言ってられん状況ですな」

 

モニター移されているゾンビたちにより作られた地獄絵図を背景にしながら花屋は真島とは違う態度で、堂島に言う。

 

パーカー「こりゃあまるで、第二のラクーン再来、だな」

 

神室町の現状を見て、パーカーはバイオテロの始まりとなった【ラクーン事件】になぞらえて言われている【テラグリジアパニック】に続く三度目のラクーンの悲劇、【第二のラクーンの再来】と言うのだった。




神室町でのバイオハザードが拡大した頃、地球から約8万4000光年彼方に赤い星があった。

星の名は【バラン星】。

地球と同盟関係にある大星間国家【宇宙大怪獣帝国】の首都星である。

バラン星には地球あるビル郡より巨大な建物がある中で、一際巨大な建物があった。

三本の長いビルで、中央が前、左右に二本あるビルが少し後ろにあり、その間を連絡橋が掛かっていた。

この建物は宇宙大怪獣帝国の総統府である。

そんな総統府の中央部の最上階の部屋にリルによく似た顔で、両肩にはクリスタルが伸び、右目を髪で隠した少年、宇宙大怪獣帝国永世総統【スペース】が書類に目を通してサインしては、判を押していた。

すると扉の奥からノックが聞こえ、青い軍服を来た女性が入って来た。

スペース「なんだ?」

女性兵士「ヴィズ副総統より緊急通信でお伝えしたいことがあると」

スペース「分かった。すぐに繋ぐと伝えろ」

帝国副総統である【宇宙超獣 トロンガー】こと【ヴィズ】からの緊急通信の知らせを聞き、スペースは言う。

女性兵士「ハッ!」

スペースの指示を聞いて女性兵士は敬礼すると部屋を出て扉を閉めた。

ヴィズ『総統!』

女性兵士が扉を閉めた後、スペースは机に備え付けられたボタンを押すと慌てた様子のヴィズがホログラムで映し出された。

スペース「どうした?そのように慌てて」

慌てた様子のヴィズに理由をスペースは聞く。

ヴィズ『先ほど、大使のヴァレルより緊急電が!地球内部にてバイオテロを確認したと!』

スペース「やはり仕掛けてきたか」

バイオテロ発生を聞いてスペースは仕掛けてきたのが蛇竜であると判断して言う。

今まで蛇竜たちはT-ウイルスをはじめ、その亜種であるG、ベロニカ、アビス、寄生生物プラーガを集めていることは知っていた。

故にいつかバイオテロが引き起こすことを予測していたのだ。

ヴィズ『地球に駐留している艦隊は先の事件によりほとんどが更迭したばかり…動かしたくとも動かくすことは…』

ヴィズもその予測は聞いていたが、焦りの原因は別にあった。

複数の世界を巻き込んだ【多次元事件】の際に、巨大疑似生命体ロボット【ベヒモス】こと【ベロニカ】が日本を襲撃時、地球に駐留させていた地球駐留帝国軍極東方面艦隊の上層部が、ベロニカにより疲弊した日本を占領を画策。

最終的にスペース自ら艦隊を率いて、並行世界の戦士と共にベロニカを撃破した。

その後、計画を知ったスペースにより極東方面艦隊の上層部はごっそり入れ換えたばかりで、指揮系統が整っておらず出撃が困難であったからだ。

スペース「ならば奴らを出撃させろ」

ヴィズ『彼らをですか!?しかし彼らはまだ…』

スペースの出撃命令を下した相手にヴィズは驚く。

スペース「切り札を使わずともザコ程度のB.O.W.ならば十分に対処できるはずだ。すぐに出撃させろ」

ヴィズ『ハハッ!』

スペースに言われて、ヴィズは敬礼して承諾すると通信を切るとホログラムが消えた。

スペース(先手を取ったつもりだろうが、対策はこちらも打っている。頼むぞ、心を持った鋼の戦士たちよ)

ヴィズのホログラムが消えた後、スペースは出撃命令を下した者たちに期待を寄せていたのだった。

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