エッフェル塔の如く、今にも崩れそうな雑誌の塔。
そんな塔をリルは崩さないように一冊ずつ離していく。
しかし…。
リル「!?」
グラついた瞬間、塔が崩れだした。
リル「ぎゃうぅー!!」
イスに立って雑誌の塔をおろしていたリルは雪崩に飲み込まれてしまう。
響「リルくーん!?」
未来「ちょっと、大丈夫!?」
崩れて山となった雑誌を退かして響と未来は言う。
リル「かう~…」
山からなんとか脱出したリルは酷い目にあった風になっていた。
響「よかった、無事みたい」
未来「そうだね。それより…」
無事なリルの姿を見て、未来は振り向いた。
未来「なんで前よりもさらに悪化してるんですか、翼さん?」
振り向いたのと同時にどこかの英雄伝説に出てくる魔術師と呼ばれた男の部屋のように、エッフェル塔の如く積み上がった雑誌の数々、ぐちゃぐちゃで辺りに散らかって折り畳まれていない服、床を埋め尽くしているゴミ袋、洗われていない食器の数々など、THAゴミ屋敷を体現した翼の部屋を指摘する未来。
翼「うぐっ…こ、これでもリュイが来る前までには終わらさせよとしていたんだぞ…」
グサリと心に何か刺さりながら、翼は弁解する。
リュイ「もう…きてる…よ…?」
空のペットボトルと空き缶を分別して、袋に入れながらリュイは言う。
翼「がふっ!」
リュイの一言で、翼はまた心に何かが刺さり、ダメージを負ってしまった。
本当はリュイが来る前に翼の部屋を掃除を終わらせたかったのだが、想像以上に悲惨な状態であった為に、友里に連れられて来たリュイまで手伝うことになったのだ。
翼「しかし、私も努力したんだぞ!」
リル「かうかう、かうかうー」
訳&メモ:結果これじゃ、意味ないでしょ
翼「ごふっ!」
再度弁明した翼だが、リルの一言で三度目のダメージを負ってしまう。
翼「さ、防人には片付けなど…」
未来「防人言う前に人間の常識としてアウトですよ」
翼「ぐはぁっ!!」
最終的に防人だから片付けなどいらないと言う翼に未来が止めとなる一言を発してKOしたのだった。
未来「倒れてないで、早く片付けしてください」
翼「はい…」
倒れた翼に鞭打って、未来は掃除をさせる。
響「なんだか、未来が最近容赦無い気がする…」
リル「かう~」
容赦の無い発言を続ける未来に響とリルは少し引いて小声で言う。
未来「何か言ったかな?」
小声が聞こえていたのか、2人の方を向いて未来が睨んできた。
響「さーて、お掃除お掃除~」
リル「かうかう~」
未来に睨まれた2人はそそくさと掃除を再開した。
リュイ「……?」
それを見たリュイは首を傾げながらも空のペットボトルと空き缶を分別していた。
すると通信機から着信音をならし始めた。
響「はい、こちら響」
弦十郎『緊急事態だ!例の機械獣が現れた!場所は陸上自衛隊、八王子駐屯地だ!!』
通信機を取り出して、通信に出ると弦十郎から八王子駐屯地に機械獣が現れたと言う。
響「分かりました!すぐに行きます!!」
八王子駐屯地に機械獣襲来を聞いて、響は通信を切った。
翼「出動か!」
響「はい、八王子に例の機械獣たちが出たって!」
未来「それなら、急がないと!」
リル「かうかう!」
出動を聞いて掃除を中断して、出動しようとした矢先だった。
翼「ん?」
出動しようとした矢先、翼は引っ張られて振り向いた。
リュイ「どこ…いくの…?」
不安そうな顔をしながら、翼の服をリュイが掴んで聞いてきた。
翼「あ、いや、その…」
服を引っ張られた翼はどうやって対応したら良いのか分からなかった。
翼「大丈夫だ。お前を1人にしたりしない、必ず帰って来る」
リュイと同じ視線にまで、低く姿勢をとり、翼は言う。
リュイ「ほんとう…?」
翼「あぁ、本当だ」
翼に言われて、リュイは言葉を信じて服を離した。
翼「ありがとう。みんな、行くぞ!」
リュイに服を離してもらった翼は立ち上がり、響たちに言うと一緒に部屋を出たのだった。