戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第773話 似た者同士

響「今…車が一瞬止まったような…」

 

目の前で止まっている車を見て、響は呟く。

 

ツインテールの少女「そ、そうですか?」

 

響の言葉にツインテールの少女は少し焦ったように言う。

 

響「って、そんなことないよねっ!いや~、さすがに轢かれるかと…」

 

未来「リルくん」

 

リル「かーう」

 

訳:はーい

 

轢かれずに済んだと思っていた響の頭に未来に指示されたリルがどこからか出したハリセン(画用紙製)で、スパーンっと叩いた。

 

響「ぎゃふーん!」

 

叩かれた響は横断歩道から歩道に放り出された。

 

未来「さ、みんな、危ないから歩道にね」

 

リルが響を制裁して、未来が少女たち2人に言う。

 

?「……なんで…」

 

響「え?」

 

?「なんで、私のために?」

 

歩道に退避して、響に助けられた少女が聞いてきた。

 

響「なんでって、そんなの助けたかったからに決まってるよ。危なそうなところが見えて、思わず飛び出しちゃったんだよね。何かおかしい?」

 

"趣味が人助け"である響は当たり前のように言った。

 

少女「おかしいです。別に、友達でもないし、自分も一緒に轢かれるかもしれないのに…」

 

友達でもないのに自身を助けてくれた、響の行動がどうしても理解できない少女は言う。

 

響「うーん…だけど、何もしない方が後悔すると思うし…と、それより大丈夫?痛いところとか無い?足もふらついてるし、ほら、私の手をとって…」

 

少女「ッ!?」

 

ふらついている少女を助けになろうと、響が手を差し出した瞬間、少女が怯えた様子を見せ、すぐさま離れた。

 

少女「助けていただいてありがとうございました。わたしは大丈夫ですから、それじゃあ…」

 

そうお礼を言って、少女は走り去って行った。

 

響・ツインテールの少女「「………」」

 

走り去った少女を見て、響とツインテールの少女は唖然としていた。

 

響「……なんだか心配だけど、走れるってことは、怪我が無かったってことだよね。あなたはあの子のお友達?」

 

少女が走り去ったのを見て、響はツインテールの少女に聞く。

 

ツインテールの少女「い、いえ!私もあの子を見つけて、助けようと思って…でも、私は間に合わなくて。あの子が助かったのは、お姉さんのおかげです」

 

自身も響と同じように、あの少女を助けようとしていたと言う。

 

響「わたし、お姉さん!?」

 

"お姉さん"と言われて、少しテンションが上がる響。

 

ツインテールの少女「はい、ありがとうございました!」

 

響「……エヘヘ、どういたしまして」

 

未来「調子乗らない」

 

リル「かう」

 

響「はい…」

 

ツインテールの少女に"お姉さん"と言われて、嬉しかった響は照れていたが、未来とリルがツッコミを入れた。

 

金髪の少女「なのは!」

 

ショーットカットの少女「どういう状況なんやろ、これは…」

 

すると、翼によく似た声をした金髪の少女とショーットカットの少女の2人がやって来た。

 

翼「やっと追い付いた…この少女たちは立花の知り合いか?」

 

反対側から翼がようやく追い付いてきて、状況確認を求めた。

 

響「いえいえ、さっき会ったところです。えっと、順を追って説明しますと…」

 

翼に状況確認を求められた響はさっきまでの経緯を話した。

 

同時に、それぞれの自己紹介を済ませた。

 

響「なのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃんって言うんだかね。初めまして!」

 

『よろしくお願いします!』

 

ツインテールの少女『高町 なのは』、金髪の少女『フェイト・T・ハラオウン』、ショーットカットの少女『八神 はやて』が言う。

 

はやて「……なのはちゃんとちょっとはぐれてる隙に、そんなことがあったんやなぁ」

 

なのはとはぐれている間に起きたことを改めて思い出して言う。

 

フェイト「なのは以外に、人助けのためにそこまで無茶する人がいるんだね」

 

はやて「助けが必要な人を見つけたら、考える前に身体が動くなんて、確かにそっくりや」

 

響となのはの2人が人助けとなると考えるより先に、身体が動いてしまう似た者同士と分かり、2人は言う。

 

未来「なのはちゃんも人助けがモットーなんだね」

 

なのは「はい、困っている人がいて、助けてあげられる力があるなら、その時は迷っちゃいけないって」

 

聞かれたなのはは響と似たようなことを言う。

 

響「だけど、心配だよ。もしそれで怪我した…へぶ!」

 

自分達より幼いなのはが怪我でもしないかと心配している響の顔面にリルが再度ハリセンで叩いた。

 

リル「かうかうー」

 

訳&メモ:人のこと言えないでしょ

 

翼「確かにリルの言うことが正しいな」

 

未来「ナイスなツッコミ、リルくん。お姉さんって言われて、嬉しいのは分かるけど」

 

響「うっ…図星…」

 

総スカンの図星を突かれてしまい、しょげる響。

 

響「だ、だって、なのはちゃんって可愛くてッ!つい護ってあげたくなっちゃうよ」

 

しかし、挫けること無く、響は言う。

 

なのは「ふええッ!?そ、そうですか…?」

 

"可愛い"と言われて、なのはは恥ずかしがりながら言う。

 

はやて「フフ、響さんは楽しいお姉さんやね」

 

フェイト「うん、とても」

 

そんな響を見て、はやてとフェイトへ言う。

 

未来「響、それじゃ、そろそろ行こっか。なのはちゃんたちのこと、あまり長く引き留めても悪いし」

 

響 「あ、そういえば帰る途中だったッ!それじゃ、バイバイ。また会えるといいねッ!」

 

未来に言われて帰る途中であることを思い出した響はなのはたちに別れの挨拶をする。

 

なのは「はいッ!」

 

別れの挨拶を言われて、なのはたちはその場を去っていった。

 

未来「本当にいい子たちだったね」

 

翼「あぁ、立花が護ってあげたいと言うのも分かる」

 

響「はい、また会えるといいな…」

 

去っていくなのはたちを見送りながら、また会えることを願っていた。

 

リル 「かうかう」

 

訳&メモ:また会えるよ

 

響「そうだね」

 

リルに言われて響はそう思っていた。

 

しかし、彼女の中にはもう1人の少女がいた。

 

響(それともう1人の女の子も…なんだかすごく、悲しそうでいっぱいいっぱいに見えた。わたしの気のせいだったらいいんだけど、少し、気になるな)

 

助けた少女のことが、響の心の中で、気になっていた。

 

翼(ん?確かになのはたちと一緒にいたはやてという少女、たしか八神と名乗っていた気が…まさかな。同名なだけだろうな)

 

はやてが八神と名乗っていたのを思い出して、リュイと同名であり、まさか家族ではっと考えたが、気にしすぎだろうと思っていたのだった。


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