バジリスを倒して事件がある程度終息した時、旅館の部屋に帰ってきたマリアと少女は再度眠りについていた。
マリア(ここは…)
眠っていたマリアは自然豊かな森林に立っていることに気づいた。
周囲を見回していると子供の声が聞こえてきて、その場所へ向かい始めた。
数十分くらい歩くと少女とマリアが出会った開けた場所に辿り着いた。
そこには白銀の髪をした小さなマリアに似た顔の少女唄を唄い、それを開けた場所から見渡せる山から聞いているホロボロスがいた。
マリア(あれはまさか…私?いや、白銀の髪…ってことは白銀の姫?)
自身に良く似た顔の少女を見てマリアは少し驚いていたが、すぐに白銀の髪を見て、伝説に出てくる姫であると考える。
唄が終わるとホロボロスは立ち上がり、開けた場所にまで来ると体を光らせてあの少女の姿となり、姫の前に降り立った。
マリア(やっぱりあの子は伝説の雷獣…)
ホロボロスが少女になったのを見て、あの少女こそが伝説の雷獣であると確信した。
姫は少女には驚かず、姉妹のように2人は仲良くしていた。
だが、平和はすぐに打ち砕かれた。
ある日の夜、周囲の森は燃え盛り人々の悲鳴と怒声が響き渡る。
燃え盛る森を少女は必死になって走り、開けた場所に辿り着いた。
姫「はぁ…はぁ…」
開けた場所には血が滲み出る腹部を抑えながら姫が木に寄りかかっていた。
姫を見つけた少女は急いで側によるが刀傷が深く、どうすれば良いか分からないで右往左往しかできなかった。
すると遠くから兵士の声が聞こえてきた。
少女は姫を護ろうと近づいてくる兵士たちの方を威嚇する。
しかし、体が動かないことに気づいた少女は自身の四肢に帯状の光が絡み付いていることに気付いた。
振り向くと小さな石から帯は延びて、それを操るように姫が手を光らせていた。
姫「アナタの力はこの時代では強すぎる…いつかアナタと心を通わせられる者が現れるまで眠ってほしい…」
そう言って涙を流して首を横に振る少女の訴えを聴かず、姫はあの墓石に少女を吸いとらせた。
吸いとられる少女は必死になって踏ん張りながら叫んでいたが、力及ばず吸い込まれてしまった。
姫「いずれ来る…私の…子孫が…アナタを…迎えに………」
少女が墓石に吸い込まれたのを見た姫は目を閉じると2度と開けることはなかった。
マリア「!!」
がばっと起き上がったマリアは周囲を見ると旅館の部屋であることを確認した。
マリア(今のは…もしかして…)
さっきまで見ていたのが夢なのか、もしくは少女の記憶なのかと考える。
少女「ウォウ……………」
小さな鳴き声を聞いて見ると少女が寝ながら涙を流していた。
マリア(この子はもしかしたら、私のことを白銀の姫と思っているのかもしれないわね…)
少女の目からから流れる涙を拭い、頭を優しく撫でるマリアは少女が自身をもう会えない姫と思っていた。