負けられない戦い(恋)   作:獣狩りの狩人

5 / 5
最終回です。一体彼は、誰を選ぶのか


約束

約束の時間まであと10時間

 

「着いたぜ。別荘!」

 

そう言って叫ぶ彼の様子は、どこか疲れているようにも見える。今から3日間の合宿。

 

「ごめん。ちょっと眠いから寝さしてもらっていいか?」

 

「いいわよ。部屋に案内してあげる」

 

「ありがとな。真姫」

 

「別に気にしなくていいから」

 

「それでもありがとな」

 

そう言って階段を上がっていく。5分くらいしたら真姫ちゃんが降りてきた。

 

「彼、寝たわよ」

 

「いよいよ今日ね」

 

そう。肝心の告白日は、今日だ。よって、皆どこか落ち着かない様子だった。ただ穂乃果ちゃんだけは、落ち着いていた。

 

「穂乃果。どうしてそんな落ち着いていられるのですか?」

 

海未ちゃんが聞いた。

 

「そうよ。なんでそこまで落ち着いて入れるの?」

 

絵里ちゃんも聞いた。すると、穂乃果ちゃんは何処か悲しそうに微笑み

 

「私は、彼の好きな人が分かっちゃってるから」

 

「どういうこと?」

 

「昨日、一緒のベッドで寝た時に彼、うわ言で彼女の名前を呼んだの。それが決め手だったけど、それまでも彼の彼女に対する目は私達とほんの少し違っていた。極々少しの違いだったけど彼の気持ちは私には、伝わった。それで、朝彼と話をすると本当の事を聞かせてもらった。だから、私は諦めようって。彼が選んだことだから、私は見守ろうって。でも、私は変わらない。例え彼がその人と付き合ったとしても、私が彼を愛する事に変わりはない。その人が彼と付き合っても、私はその人との大切な友達な事に変わりは無い。だから、私は見守ろうって思えたの。それに、キス‥して貰ったし」

 

穂乃果ちゃんの話を聞いていた私達は最後の言葉にフリーズした。えっえっ穂乃果ちゃんが彼とキスした‥

 

「なーんだ。キスしちゃったのか。もっと深刻な話かと‥‥‥‥‥はぁぁぁぁぁキスしたぁぁぁぁ。どういうことぉぉぉぉぉ」

 

私が問い詰めると穂乃果ちゃんは顔を真っ赤に染めながら

 

「うん。私が本当のこと聞いて大泣きしていたら彼が『なんでもいう事一つ聞いてやるから泣かないでくれ。確かに恋人にはなれないけど穂乃果の事は親友としては、ずっと居るし大好きだ』って言ってくれて、私が『じゃぁ‥抱き締めて‥キス‥して。せめてこの寝台列車の間だけは、二人っきりのこの時だけは、私を貴方の彼女でいさして、それでもう諦めるから。それが終わったらもう私は彼女になんて望まない。貴方の事が大好きな親友になるから。でも‥貴方が彼女と別れたら私が貴方を貰うからね』って言ったら、彼‥抱き締めてキスしてくれたの。勿論ディープの方でね。暖かかったし、何より気持ち良かった。身体中が悦んだみたい」

 

「ハッハラショー」

 

「先を越されました」

 

「そうだにゃー」

 

「うちが負けるとわ」

 

「なにそれイミワカンナイ」

 

「いいなぁ」

 

「ウソダドンドコドーン」

 

「そんなことよりそのキスファーストじゃないでしょうね」

 

「「「「「「「ハッ」」」」」」」

 

「うんうん。ファーストだって。私がキスしてって言った時『俺は初めてだからよくわかんないけど満足するまでやってやるから」って言ってくれてるから」

 

顔を真っ赤に言った、その言葉につい私は

 

「オンドルルギッタンディスカー」

(ことりがぶっ壊れたため復活するまで、これより三人視点になります)

 

「まってことり。なに言ってるの?イミワカンナイ」

 

「流石ね。ことり。オンドゥル語を習得したのね」

 

「絵里!?」

 

「いやーものすごくカッコよくて可愛かったからつい貞操まで奪っちゃおうかとおもったよ」

 

「穂乃果⁉︎」

 

「パンツハワタサン!」

 

「「「「「「⁉︎」」」」」」

 

そこで絵里とことりを除く全員の気持ちを代弁して凛が言った。

 

「絵里ちゃん通訳して欲しいにゃー。いやしてください」

 

「仕方ないわね。1回目が『本当に裏切ったんですか』で2回目が『そいつは渡さん』って言ってるのよ」

 

「ああ。なるほど‥って分かるか!」

 

「私も理解するのに時間がかかったわ。作者だって『ウソダドンドコドーン』がオンドゥル語だって知るの最近だったそうよ。『ウソダドンドコドーン』の存在は随分前から知っていたそうだけど」

 

「絵里ちゃんメタイにゃー」

 

「あら、ごめんなさい」

 

「?『ウソダドンドコドーン』はなんて言ってるの?」

 

「『嘘だ。そんなこと』よ」

 

「ああ、そういう事」

 

「まぁ取り敢えずあの二人止めない?彼が起きちゃうし」

 

希がそう言って指差す方では穂乃果とことりが自分がどれだけ知っているか勝負をしていた。

 

「そうね。止めましょうか」

 

そう言って絵里が二人を止めようと近づいて声を掛ける。

 

「はい。二人共そろそろ終わりに‥」

 

「「はぁ‼︎」」

 

「いえ。なんでもないです」

 

すごすごとみんなのもとに戻ってくる絵里。

 

「ごめん。無理」

 

「しょうがないわね。次は私が‥」

 

にこが繰り出そうとするがそれを

 

「いえ。それをしなくてもこうすれば止まります」

 

花陽が止めた。

 

「どうするの?」

 

「こうします」

 

そう言って花陽は軽く息を吸い

 

「あーあ。今、上の部屋で彼が寝てるのになぁ。うるさくすると彼が起きちゃうなぁ」

 

「「ピク」」

 

「止まったわ」

 

「おお」

 

一時的に停止ている二人に向けて花陽の言葉を続ける。

 

「寝てたらその横に潜り込む事ができるのになぁ。起きちゃったらそれもできないなぁ。それかお昼ご飯を作ったら彼に手料理食べさせてあげられるのになぁ」

 

「「ダッ!」」(二人が駆け出そうとする音)

 

「あっでも、布団に潜り込むならちゃんと妥協したほうが彼が喜ぶと思うんだけどなあ」

 

「「ピタ」」(二人が立ち止まって向かい合った音)

 

「「ガシ」」(二人が手を握る音)

 

「「タッタッタ」」(二人が早歩きで階段を上がる音)

 

10秒後

 

「行ったわね」

 

「行ったね」

 

「行ったにゃー」

 

「流石ね。花陽」

 

「策士ですね」

 

「うーん。嬉しいんだけど、複雑かなぁ。私も一緒に寝たかったぁ」

 

「なら、料理は、にこがしといてあげるから花陽は行ってきなさいよ」

 

「いいの⁉︎」

 

「いいわよ。あれを止めた功績よ」

 

「しょうがない。ウチも手伝おか。ほらエリチも」

 

「えっ⁉︎」

 

「『え⁉︎』じゃないわよ。行くわよ」

 

「私も一緒に寝たかった」

 

そうやって引きずられていく絵里を見ながら一年生組は

 

「私たちどうしましょうか?」

 

「私は彼のベッド直行」

 

「凛はどうするの?」

 

「凛は近くを散策してくるにゃー」

 

「じゃ、私は曲作ってきましょうかね」

 

そう言って別々にわかれた。

 

約束の時間まであと7時間

 

 

 

ーーーーキングクリムゾンーーーーーー

 

 

ーーーーことり目線ーーーーー

 

やっと戻ったよ。私目線。全くなんで三人視点になったんだか。えっ、私のせい。知らんな。

 

「さて、約束の時間が刻一刻と近づいております」

 

「絵里ちゃんなんで実況者風?」

 

「なんとなく!」

 

「もうダメだ!この生徒会長‼︎」

 

うん。私もそう思うよ。穂乃果ちゃん。っと、彼と真姫ちゃんが何か話してる。何話してるんだろう?

 

「ちょっとちょっと。真姫」

 

「何よ?一応一人一部屋あるよな?」

 

「ええあるわよ」

 

「じゃぁ、みんなに自室に戻るように言ってくれないか?」

 

「どうしてよ?」

 

「約束の時間に俺がその人の部屋を開けに行くからさ」

 

「そういう事ね。いいわよ。って貴方何その顔?」

 

「?どんな顔してる」

 

「まるで死にに行く兵士のような顔」

 

「ああ‥真姫なら話してもいいか」

 

「何よ」

 

「正直な話。聞いただろ。好きな人はいるんだ」

 

「ッ。ええ」

 

「でもな、俺がその人と付き合うことによってこのμ'sが壊れるのが怖い。その人と付き合うことによって俺がもう仲間と見てくれないかもしれない。それが怖いんだ」

 

「ふふふ」

 

うふふふふふ。彼がそんなことで悩んでいたなんて。今から思う事と同じ事真姫ちゃんいうだろうな。

 

「なんで笑ってるんだ?」

 

「何を気にしてるかと思ったらそんな事」

 

何を気にしてるかと思ったらそんな事

 

「そんな事って‥」

 

「周り見てみなさいよ」

 

周り見てごらんよ

 

「エッ⁉︎あ‥」

 

「皆そんなことしないわよ」

 

皆そんなことしないよ

 

「だって‥私達は」

 

だって‥私達は

 

「「「「「「「「「貴方のことが大好きだから」」」」」」」」」

 

「確かに貴方が私と違う人を選んだら悲しいけど、それはきっとその人の方が私よりも貴方のことをずっと助けたからだと思うの。だから、私は別に貴方のことを嫌いになったりなんかならない」

 

確かに貴方が私と違う人を選んだら悲しいけど、それはきっとその人の方が私よりも貴方のことをずっと助けたからだと思うの。だから、私は別に貴方のことを嫌いになったりなんかしない。

 

「はははは‥穂乃果」

 

「うん」

 

「お前の言った通りだった。俺は、本当に幸せな人みたいだ。こんな素晴らしい人達に好きになってもらって‥」

 

「うん‥うん!おいで」

 

穂乃果ちゃんがそう言った途端彼は、穂乃果ちゃんに抱き付いて泣き出した。いいなぁ。いいなぁ。うらやましいなぁ。

 

「ほら。言いに行くんでしょ。皆に部屋に入ってもらわないと」

 

「うん」

 

何⁉︎なんなの、あのしおらしい態度。めっちゃ可愛いんだけど。あれもう人殺せるよ。

 

「じゃ、皆というか穂乃果以外は部屋に戻ってくれるかな。約束の時間まであと10分ないし。約束の時間ぴったりに俺が部屋を開けに行く。ちゃんと扉の前に名前書いとけよ。じゃないと入ったけど人違いでしたになるから」

 

「それは嫌ね」

 

1分後(ここから彼目線です)

 

「全員入ったよ」

 

穂乃果がそう言いに来てくれる。

 

「ああ、ありがとう」

 

「大丈夫?」

 

「ああ‥大丈夫だ」

 

大丈夫だ。もう心は、勝利の法則は決まった。

 

「それじゃあ‥いってらっしゃい」

 

「ああ‥行ってくる」

 

そう言って、穂乃果から離れ彼女の部屋に向かう。

 

「ここからは‥俺のステージだ‼︎」

 

小声でそう宣言し、彼女の部屋の前まで歩いていく。時計を見る。

約束の時間まであと10秒

 

9‥俺は彼女部屋を見つける。

 

8‥部屋の前に立つ

 

7‥大きく息を吸う

 

6‥大きく吐き出す(完全防音すげぇな)

 

5‥手をゆっくりゆっくり近づけていく

 

4‥手を近づける(もうちょい‥もうちょい!)

 

3‥手がドアノブに触れしっかりドアノブを掴む

 

2‥ゆっくりとドアノブをひねっていく。(流石。金持ちが持つ家なだけはある。ドアノブ回しても音が鳴らない)

 

1‥ゆっくりドアを開けていく。

 

0‥「なんで、そんな泣きそうな顔してんだ。俺はお前の笑ってる顔が大好きなんだ」

 

なに?こんな私でいいのかって?

 

「当たり前だ。俺はお前のことがこの世で一番大好きだからな。お前が言っただろ愛するのに理屈とかいらねぇんだよ」

 

そして、駆け寄ってきた彼女をしっかりと抱きしめる。

 

「大好きだぞ。ことり」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




短いですがこれで『ラブライブ 南ことりの恋物語』を終了とさせていただきます。これまでお付き合いいただき、ありがとうございました。私は、他にもどんどんゆっくりながらも投稿していこうかなと思いますので私の別作品もよろしくお願い申し上げます。

また、別作品でお会いできることを願いまして筆を置かせていただきます。
ご愛読ありがとうございました。


あっ、もしかしたらこの後の大人になった後の話書くかもしれません。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。