負けられない戦い(恋)   作:獣狩りの狩人

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一世一代の大勝負

私は走る。彼が居るであろう場所へ。その時に私は、思い出していた。彼の

『化け物扱いは、もう勘弁だ。』

という言葉を。おそらく彼は、あの人間離れした行為によっていじめを受けたりしたのだろう。でも、彼は分かっていない。他がそうだからといってここがそうだとは限らないのだと言うことを。

私は、階段をかけ上がる。私は、何となくだが彼のいる場所がわかっていた。私達が彼と初めてあったあの場所だ。私は、扉を思いっきり開ける。朝礼が始まるチャイムがなっているがそんなことは耳にはいらなかった。彼はそこにいた。彼は、扉が開く音がしたのに驚いたのか。こちらを振り返って言った。

 

「ことり。どうしてここに?朝礼が始まるだろう。早く戻れよ」

 

私は、そんな言葉を無視して彼にむかってかける。

 

「ことり?」

 

 

私は、彼の頬を殴った。だが、私のパンチではたいした威力は無いので、彼に痛みなんて与えられない、それでも彼は十分驚いたようで

 

「ことり!?」

 

「貴方は、分かっていない。どうして私を助けてくれたのに私が貴方を避けるなんて思うの。避けるなんて事は、あり得ないことぐらい気づいてよ‥」

 

私は、涙声になりながら言った。すると彼は、

 

「ことり。無理しなくていい。こんな拳銃の弾を手でつかめるような化け物となんていたくないだろ。普通はそうだ。俺だってそう思う。」

 

彼はこの期に及んでまだそんなことを言ってくる。その言葉に私は完全にキレた。

 

「っ‥いい加減にしてよ!無理でこんなこと言うと思ってるの!第一、ホントに貴方のことを化け物だと思っていたら授業をサボってまでこんなところにまで言いに来ないよ!」

 

「だったら、どうしてここに?」

 

「まだわからないの?私は…私は、貴方のことが、好きって言ってるの!いい加減に気づいてよ!」

 

「「「「「「「「あっ」」」」」」」」

 

扉の所で固まっている皆が居た。

 

「みんな‥いつからそこに?」

 

私がそう聞くと、

 

「ことり。無理しなくていいって所からね」

 

 

 

「私だってあなたのことがすっ好きなんですからね!」

 

 

「花陽…」

 

「りっ‥凛だって好きだよ」

 

「凛…」

 

「私も貴方のことをお慕いしていました。」

 

「海未…」

 

「にっにこと付き合いなさいよ。」

 

「にこ…」

 

「うちもお願いするで」

 

「希…」

 

「私も好きよ」

 

「絵里…」

 

「わっ私もよ」

 

「真姫…」

 

「私もだよ」

 

「穂乃果…」

 

彼は、一瞬自分を励ますために嘘をついていると思ったようだが。それも私たちの顔を見て違うと気づいたらしい。

そして、彼は

 

「はっはははははははははははははは。なるほど、全部俺の早とちりだったわけか。お前らは、本気で俺の事想っていてくれてた。それに、俺は気付かなかった。とんだ大馬鹿野郎だぜ。俺はよ。」

 

泣いていた。彼は、笑いながら泣いていた。それは、嬉し泣きだろうか。

 

「こんな事は初めてだぜ。」

 

それは、違うと思う。彼の事を好きになった人は、他にいるはずだ。彼自身が蓋をして目を逸らしていただけだ。ただ一つ彼女らと私達の違うところは、自分の気持ちに素直だったかどうかだと思う。

 

それはそうとして

 

「あの私達への返事は?」

 

ナイス花陽ちゃん。よく聞いてくれた

 

「あぁ花陽その事だが。まだ決めてないんだ。お前らが本気できてくれたからには、こっちも本気で答えなきゃいけない。だから1週間後の夏祭りそれまでに答えを出して一人一人返事をしに行く。俺は、誰も選ばないなんてことはない。必ず一人選ぶ。だから、残りの8名の人には残念なことになる、それは許してくれ。」

 

彼は、申し訳なさそうに言った。だから、私は

 

「それが君の判断なら私達は、それに従うよ。みんなもそうだと思うよ。」

 

私の言葉にみんなが頷く。

 

「私たちは、戻るけどあなたはどうするの?」

 

「俺は少しやることがある。先に行っててくれ。」

 

私たちは戻ろうとする。屋上の扉を閉めて彼が見えなくなったら全員

 

「「「「「「「「「はぁ」」」」」」」」」

 

ため息をついていた。

 

「まさか、こんな形で告白することになるとはね。」

 

「私は、ちゃんとシチュエーション考えていたのにー」

 

「まぁまぁいいんじゃない。」

 

「なにぉ、ことりちゃんはいいじゃん。」

 

「「「「「「「「そうだそうだ」」」」」」」」

 

「うぐぅ。」

 

「まぁいいわ。ちょっと部室に行かない?すこし話したいことがあるの。」

 

「私はいいよ。」

 

「「「「「「「以下同文。」」」」」」」

 

そういうわけで、私たちは部室に向かうことになった。そして私たちは、部室についた。

 

「で、絵里ちゃん話したいことって?」

 

「ええあのね。私たち全員大好きな彼に告白したわけだけど、この戦争にルールをもうけたいと思ったの。」

 

『大好き』の部分でみんながにらんだけど後半の部分で納得したようだ。

 

「それはいい考えね。では、そのルールをきめましょうか。」

 

真姫ちゃんのその言葉で会議が始まった。

 

「まず、既成事実をつくるのはなしね。」

 

「「「「「「「「異議なし。」」」」」」」」

 

「キスはあり?」

 

「そんな破廉恥なことはだめです。」

 

「えええ~。別にいいじゃん。」

 

「私はいいよ。」

 

「「「「「私は賛成。」」」」」

 

「なぜそんな積極的なのですか。わたしは、恥ずかしいです。」

 

「そりゃ、私も恥ずかしいけど。それよりも彼のことが好きで好きでたまらないんだもの。」

 

「素直になったねぇ。真姫ちゃん。」

 

「べっべつにいいじゃない。」

 

「なんですかそれ。私の彼への思いがみんなより弱いみたいじゃないですか。」

 

そこで、ため息をついた海未ちゃんは顔をあげて決意を込めた目で言った。

 

「はぁ~。そんな事は絶対にありません。彼は、私のものです。」

 

海未ちゃんの言葉に私は笑っていった。

 

「そんなことは絶対にさせない。彼は私の彼氏になるの。」

 

「ちょっと、ふたりで盛り上がらないでよ。私たちも負けないからね。」

 

「「「「「「「「「もちろん。これから私たちは親友でチームメンバーで恋敵(ライバル)だ。」」」」」」」」」

 

 


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