ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「courage 」

ED「Over Sky 」


第86話「突きつけられる真実」

連合軍上層部

 

「どういうことです!?」

 

「将軍。それでは今回の作戦にウィッチは必要ないというのですか?」

 

宮藤たちが朝風呂を堪能している頃、ミーナや坂本さんたちは上層部の会議室にいて、目の前に机には50代くらいの将官クラスの軍人が座っていた。今回の会議の内容は今回のヴェネチア奪回作戦についてだ。そして今、出た話は『今回のウィッチ隊は作戦には参加せず後方に下がる』ということだ。すると将軍の一人が

 

「そうではない。だが、ネウロイの巣を破壊する主力はウィッチではないということだ。それにこの前のマルタ作戦でも話したように穏健派ネウロイとのコンタクトを試みたトライヤヌス作戦は過激派ネウロイの攻撃のため失敗に終わり人類と唯一共存できる可能性のあった穏健派ネウロイも貴殿らの書類に書かれていた過激派ネウロイによってほとんどがいなくなってしまった。もはや共存の道は不可能に近い。もはや残された道は破滅か戦うかの二択なのだ」

 

「そして今回の作戦の相手はヴェネチアを占領する過激派ネウロイの巣。巣が相手とならば話は別だよ。君たち501統合戦闘航空団とて直接ネウロイの巣を倒したわけではあるまい?」

 

そう言われ二人は黙ってしまう。確かにガリアでのたたかでの戦いではネウロイの巣を直接倒したわけではない。あの時は空母赤城と同化したウォーロックを倒したのと同時に巣が消滅したため彼女らは巣本隊と戦ったことは一度もないのだ

 

「確かにそうですが・・・・・しかし!」

 

「ミーナ中佐。もうこれは決定した事なのだよ。そうだな杉田艦長?」

 

「え?」

 

上層部の将軍の一人がそう言いドアの方を見る。ミーナさんたちがそこを見るとそこには大和艦長である杉田艦長がいた

 

「はい。ヴェネチア上空のネウロイの巣は、我が扶桑海軍の戦艦大和が撃破します」

 

「艦長!!たとえ大和であっても通常兵器です!空にあるネウロイの巣を撃破することはできません!!」

 

と、坂本さんがそう言うが

 

「通常兵器ではないのだよ坂本少佐。あれは・・・・戦艦大和は我々の決戦兵器なのだよ」

 

「決戦兵器だと?」

 

坂本少佐がそう言うと杉田艦長は頷き

 

「その通りです。わが扶桑海軍ではガリアでのウォーロック事件を研究した結果より安定度の高いコア・コントロールシステムを開発しました。10分と限られた時間内だが、暴走を抑えつつネウロイ化が可能です」

 

と、杉田艦長の言葉にふたりは驚く

 

「大和をネウロイ化にですって!?」

 

「血迷ったか・・・・」

 

と二人は上層部の将軍たちを睨む。だがそんなこと気にせず将軍たちは

 

「ネウロイ化の利点として、自動自己修復機能がある。それに、ネウロイを支配下に置き潰せるとなれば、迅速に作戦を進めることができるだろう。ネウロイを倒せるのはネウロイだけだ。本来なら貴殿らが保護している人型ネウロイにやらせる予定だったのだがそいつを保護している疾風大尉とウィッチ総監であるガランド少将の猛反対によりそれは中止し代わりに大和をネウロイ化させることになったのだよ」

 

と、そう言う。もしも疾風がここにいたら確実にその将軍を殴っていただろう。その思いはミーナや坂本も同じだった。アイはすでに501の家族同然な存在だったからだ。すると坂本さんが一歩前に出て

 

「ウィッチに不可能はありません!!私の真烈風斬やみんなのチームワークさえあればたとえネウロイの巣であっても勝てます!!」

 

決意に満ちた声でそう言うが上層部のお偉いさんはふぅとため息をつき

 

「坂本少佐。君は本来、既に現役を引退していてもおかしくない年齢ではないのか?」

 

「「っ!?」」

 

「気持ちはわからんでもない。だが、この作戦が失敗したらもはや我々はロマーニャを明け渡す以外しか選択しかないのだよ。そうなれば当然501もこのままの状態ではいられない。わかるかね?」

 

「しかし!そこを何とか!!」

 

「くどいぞ坂本少佐さっきも言った通りこれはもう決定したことだ。会議はここまで・・・「少々お待ちください」・・・何だね茅場中将?」

 

上層部の一人が会議を終わらせようとしたが一人の上昇部の将軍職である扶桑海軍の茅場昌彦中将が呼び止める。

 

「私はこの作戦に異議を唱える気はありません。ただ、彼女らウィッチーズはこれまでに大きな戦果を挙げネウロイからの侵略を獅子奮迅の活躍で防いでいます。それを戦艦の護衛だけでは今まで助けてもらった恩を仇で返すことになります。そこで彼女らにチャンスをあげたはどうですか?」

 

「チャンスだと?どういうことだ。まさかオペレーション・マルスを中止しろとそう言いたいのかね?」

 

「いいえ、予定通り大和はネウロイ化させ巣を破壊しますが、その前に少しだけ厄介なことがあるのです」

 

「厄介な事?」

 

「ええ、この前、我が扶桑海軍の高速偵察機「彩雲」3機がヴェネチアの巣に偵察したのだが、その三機中二機が撃墜され一機がボロボロになって還ってきました。生き残ったパイロットの話によるとその巣には無数の小型中型のネウロイだけはなく、その中に人型ネウロイがいて偵察機はそいつにやられたとのことです」

 

「それがどうしたというのかね?人型ネウロイとは言え所詮は小型や中型と同じくらいの能力。大した脅威ではない」

 

と。そう鼻で笑う上層部の将軍。すると茅場中将は首を横に振り

 

「問題はそこではありません。問題なのはその人型ウィッチが中将のビームだけではなく今までのウィッチたちの固有魔法の技を放つネウロイなのですよ」

 

「なんだと!?」

 

「これがその時の報告書と資料です」

 

と茅場中将はその報告書を渡し上層部の人たちがそれを見る。それを見た上昇部のお偉いさんが

 

「まさかこんなことは・・・・」

 

「あ、ありえん。ネウロイにそんな技術が・・・・・」

 

「あなたたちがどう思おうとこの資料は確かです。とにかくヴェネチアには強力なネウロイがいる。もしオペレーション・マルスで我が艦隊だけで向かえばその人型ネウロイによって全滅させられるのは自明の理。そこで私が考えたのが彼女らには大和を護衛しつつ、そのネウロイを討伐してもらいできればその巣にいるネウロイたちの殲滅をする。多少きついかもしれないがこうでもしなければ艦隊は全滅する。これでもウィッチを参加させないと言いますかな?」

 

と、茅場中将の言葉に他の上層部のお偉いさんは黙り込んでしまう。すると

 

「なるほど。確かに貴殿が言うようにこの報告書が本当だとするのなら、ウィッチの力が必要だな。茅場中将の意見を受け入れよう。明日10:00時にオペレーション・マルスを発動する。501統合戦闘航空団は敵ネウロイに突入する大和の護衛及び報告書にあったその巣を守る強力な人型ネウロイを討伐せよ。以上で会議を終わる」

 

そう言うと上層部の人たちは立ち上がり敬礼する。そしてミーナも

 

「了解しました」

 

と、そう言い返礼するが坂本さんは悔しそうな複雑そうなそんな顔をするのであった。そして二人が501基地につくと早速今回の作戦の話が始まる。そしてミーナさんが先頭に立ち

 

「持てるすべての戦力で過激派ネウロイの巣を叩き、一気に決着をつけるこれがオペレーション・マルスの内容よ」

 

「ちょっと待てミーナ!?戦艦をネウロイ化かさせて巣を叩くってどういう意味だ!それに今回の作戦で私たちが主力ではないって!?」

 

「そのまんまの通りよバルクホルン大尉。私たちの任務は巣を直接叩くのではなく、その巣を倒す艦隊の護衛が今作戦でのウィッチの任務よ。」

 

「もし作戦が失敗したらどうなるんだ中佐?もしかして撤退する気じゃないでしょうね?」

 

と、エミリアは鋭い視線でそう言うとミーナは動じない顔で

 

「その通りよエミリアさん。もしこの作戦が失敗したらロマーニャ全土は過激派ネウロイに明け渡すことになったわ。そしてそれと同時に501航空団も解散することになります」

 

『っ!?』

 

ミーナさんの言葉に全員が驚いた。ミーナさんの言葉からして冗談ではないことがわかる。すると

 

「501が解散!?そんな馬鹿な話があるか!!ミーナ。そんな命令に納得して帰って来たのか!?」

 

と、義姉さんが怒りだしそう言う。すると

 

「納得するわけないじゃないの!!」

 

と、ミーナさんが一喝した。義姉さんですら怯む剣幕に談話室の空気が凍りつく。

 

「私だってこんな作戦納得できるわけないじゃないの・・・・・でもこれ以上防衛線を維持し、消耗戦を続けられるだけの余力は連合にはないのよ」

 

ぐっと拳を握って声を絞り出すミーナさんからは、悔しさと無力感がありありと見て取れた。だがこれは事実なのだ。ネウロイ出現から現在に至るまで連合はもはやボロボロの状態で何とか持ちこたえている状態だ。ここでヴェネチアの過激派ネウロイと決着をつけなければ遅かれ早かれロマーニャを明け渡すしかなくなってしまう

 

「う……うわぁーーーーーーーーーーーんっ!!!!!」

 

ミーナさんの言葉を聞いてルッキーニが大泣きをする。それは当然だ。自分の故郷が無くなってしまうかもしれないのだから。すると隣にいたシャーリーがルッキーニを抱きしめ

 

「大丈夫心配するなルッキーニ。ルッキーニの故郷をあいつらに明け渡してたまるか」

 

と、頭を撫でてそう言う。するとアイも

 

「そうです!ルッキーニさんの故郷を奪わせません!私ももう一度ルッキーニさんと一緒にあの街に行きたいから!だから過激派なんかに渡すわけにはいきません!!」

 

「アイの言う通りだな。あの奇麗な街を破壊されてたまるか。要は奴らを倒して勝てばいい。」

 

「ソウダナ、疾風の言う通り勝てばいいんだ!」

 

「うん……勝とうね!」

 

「ですわね」

 

「うん。勝とう」

 

「うん絶対に勝つよ!」

 

と、みんな前向きにそう言う。するとハルトマンとエミリアが

 

「やれやれ、みんな前向きだな。これは私たちも頑張らないとなそうだろうフラウ?」

 

「そうだね~ミリア。そう言うことだよトゥルーデ。何弱気になっているのさ~」

 

「なっ!?弱気になってはいない!!必ず勝つ!勝ってばいいんだ!!ウィッチには不可能なんてないからな!!」

 

みんなの士気はかなり高まる。俺だって簡単に奴らにルッキーニの故郷を明け渡すわけにはいかない。何が何でも、あの場所を守ってやる!!そう思っていると、坂本さんが

 

「みんな士気が高まっているのはいいことだが、作戦が始める前に問題が起きた。その巣には巣を守る無数もネウロイの他にウィッチ同様の能力を持った人型ネウロイが現れたということだ。今回の私たちの任務は護衛とともにそのネウロイを倒すことだ」

 

坂本さんの言葉にみんなは不安な顔になる。

 

「人型ネウロイって・・・まさかこの前ジブリールが言っていたヤプールか?」

 

俺がそう言うとミーナさんが首を横に振り

 

「いえ、まだはっきりしたことはわかりませんが、とにかく今回の相手は強敵です。皆さん護衛はかなり厳しいものになると思われますが、気を引き締めて取り掛かるように!!」

 

「了解!!」

 

そう言いみんな元気な声で返事をする。そして芳佳は

 

「(そうだ13人いれば絶対に勝てるんだ)」

 

そう思い宮藤は敬愛する坂本さんの方へ顔を向けるが、坂本さんはどこか浮かない顔をして

 

「・・・・・13人か」

 

と、どこか寂しそうな声を出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後の夜みんなは明日の作戦のため眠っていた。その中、格納庫に置いてあるストライカーユニットに近づく影があった。その陰の正体は坂本少佐であった。坂本さんはユニットを吐き魔法力を注ぐ

 

「今夜だ・・今夜中に真烈風斬を完成させなければ・・・まだ戦える・・・・ちゃんと回れる!!」

 

そう言い彼女は滑走路から発信する。身体がふらつき不安定ながらだんだんと上昇し始めるが滑走路の出口で一つの影が彼女の行く道を阻むかのように立っていた。

 

「なっ!?」

 

坂本さんはその人影を避けようとしたがその瞬間バランスを崩し地面に倒れてしまう。

 

「ミーナ・・・・知っていたのか?」

 

「いつかこうなることはわかっていたわ。」

 

「そうか・・・・」

 

ミーナさんの言葉に坂本さんは暗い顔をしてしゃがみ込む

 

「烈風丸・・・・・まさに諸刃の刃ね。戦場で戦える力と引き換えに大量の魔法力を消費すること・・・・あなたの烈風丸はあなたの魔法力を・・・・ウィッチとしての寿命を吸い尽くそうとしているのよ」

 

と、ミーナさんがそう言う。そう坂本さんの持っている烈風丸は坂本さんが魔力を込めて打ったまさに諸刃の剣ともいえる妖刀。烈風斬という強力な必殺技を放てる代わりにその代償として魔法力を失うということを・・・・すると今まで晴れていた夜空がいきなり雲がかかりそして雨が降り始める。そんな中、坂本さんは烈風丸を手に取り立ち上がり

 

「まだだ・・・・まだ私は戦える!!」

 

そう言い烈風丸に魔法力を注ぐ一瞬刀身が淡い輝きを放つ。がしかし、それもあっという間に消えてしまうのだった。それを見た坂本さんは一瞬顔を強張らせたがすぐにまた魔法を注ごうとすると・・・・・

 

「やめて美緒!もうやめて!!」

 

「いや、まだだ!私は必ず真烈風斬を完成させる!!」

 

「だめよ!わからないの?もう無理なのよ!!」

 

「頼む!!一度だけ!一撃だけでもいい!!私に真烈風斬を撃たせてくれ!!・・・・私を・・・・私を13人の仲間でいさせてくれえっっっっ!!!・・・・・・頼む・・・・ミーナ」

 

「美緒・・・・」

 

と涙を流しながらそう懇願し泣き崩れる坂本さんをミーナさんが抱きしめる。そして彼女は大粒の涙を流し大泣きしたその姿はもうあの凛々しく刀を振るうウィッチ、坂本美緒少佐姿ではなく一人の女性坂本美緒の姿であった。

 

 

 

 

 

 

「そんな・・・・・・坂本さん・・・・」

 

坂本さんが泣いている時、柱の後ろで宮藤は今の話を聞いて深刻そうな顔をしていた。彼女は夜目が覚め今朝のことを思い出し坂本さんに謝りに行こうと彼女の部屋を訪ねてたがその部屋にはだれもいなく、宮藤は格納庫の方へ立ち寄るとそこに坂本さんの姿がありそして今の話を聞いてしまったというわけであった。

だがその話を聞いてしまったのは宮藤だけではなかった。

 

「(やっぱり、あの刀はそういう意味だったのか・・・・)」

 

滑走路の扉の裏で疾風がその話を聞いていたのだ。疾風は今作戦の話を聞いた後、いつものように紫電改の整備をしようと立ち寄ったのだがそこへ宮藤と同じく坂本さんやミーナさんの姿を見てそのまま立ち聞きしていたのだ。

 

「(坂本さんには時間が残されていない・・・・いつ烈風丸に残りの魔力を吸い尽くされるか・・・・・いや、それは俺も同じことだな・・・・俺にも時間があまり残されていない)」

 

俺はそう言い自分の右手を見る。先ほど透けていた手は元に戻っているがまたいつ何時透け始めるのはわからない。もう時間が本当に残されていないのだ。そう、疾風は作戦会議が終わった後、誰もいないときにとある人物へスマホで電話を掛けたのだ。というよりこの世界でスマホで電話できるなんて思わなかったが・・・・すると

 

『もしもし?そろそろ電話を掛けてくると思いましたわよ疾風大尉』

 

と、電話から女性の声が聞こえる

 

「ああ、俺もまさかお前に電話を掛けるとは思わなかったよジブリール」

 

『で、要件はなんでしょう?まあ、大体は想像はついています。あなたの体のことですね?』

 

ジブリールの言葉に俺は少しだけ固まる。これは聞いてもいいのだろうか。もしも最悪の答えが出たらと思うとし正直言って怖いが俺は意を決してジブリールに訊いてみた。

 

「ああ・・・・・ジブリール。俺はこのまま消えるのか?」

 

そう訊くとジブリールは

 

『先ほども言ったようにあなたは異世界人です。本来ならばこの世界にはいてはいけない存在なのですよ。それに異世界の住人が別の場所にいる場合にはその地に留まるため莫大なエネルギーが必要となります。あなたと同じ異世界人であるエミリア・ハルトマンはその留まるだけのエネルギーがあるのですが残念ながら大尉にはそのエネルギーが無いに等しいです。普通に暮らしている限りではこの世界にいることが出来ますが・・・・・・あなたの場合、ガリアやグリゴーリにトライヤヌスなど数々の激戦を戦いを続けあなたのエネルギーがかなり消費しました。そして極めつけはマルタ島であなあなたが放った・・・・』

 

「二刀流・・・・・それが引き金になったのか?」

 

『ええ、大尉。恐らく次に激しい戦いをすればあなたの体はこの世界から追い出されます』

 

「そうか・・・・・すまないな変なことを聞いて・・・・」

 

『いえ、別に問題ありませんんわ。それと大尉。これだけは言っておきましょう』

 

「なんだ?」

 

『『相手を心の奥底から想う信念は何物にも勝る』っとだけ言っておきますわ。それでは・・・・』

 

そう言い電話が切れるのであった。その言葉に疾風はただ首をかしげるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻り、あの後、自分のベットに座る俺は隣のベットを見るとアイがすやすやと寝ていた。俺はそっとアイの頭を撫でて微笑む。するとドアからノックの音がした。すると

 

「疾風?起きてるか?」

 

「・・・・エイラか?開いているぞ」

 

俺がそう言うとエイラが入って来た。

 

「どうしたんだ?こんな夜中に?」

 

俺がそう言うとエイラは俺の隣に座り

 

「なあ、疾風・・・・・この戦い勝てると思うか?」

 

と、真剣な顔をしそう言うエイラ

 

「わからない・・・・勝負って言うのは常に劣勢であるものが負けるとは限らないし予測不能だ。たとえ弾道予測という予測能力の固有魔法であってもそれは無理さ。ただ、かなり厳しい戦いになるという事だけはわかる。もしかしたら最悪の場合は・・・・」

 

「言っとくけど二刀流は絶対にだめだカンナ!!」

 

「エイラ?」

 

いつもと違うエイラの剣幕に俺は驚くそしてエイラは俺の袖をぎゅっと握りしめ

 

「もう・・・・疾風が苦しむ姿・・・・死にかける姿をもう見たくないんダ・・・・・・もう嫌なんだ・・・・あんな辛い思いをするのはもう嫌なんだ・・・・」

 

と、身体を震わせそう言うエイラ。疾風が二刀流を使い、重傷を負って危うく死にかけたことはエイラにとっては生々しい記憶だ。だから彼女はもう疾風が苦しむ姿を見るのは嫌だったのだ。すると疾風はエイラを抱きしめる。

 

「・・・・すまないエイラ。わかっているよ二刀流は絶対に使わない約束する。それに俺もエイラとは死に別れしたくないしな」

 

俺がそう言うとエイラは俺に額に自分の額をつけて

 

「疾風・・・・・約束ダカンナ」

 

「ああ、約束だ。それとエイラ・・・・・お前とアイだけは、俺が守ってみせる」

 

「サーニャは守ってくれないのか?」

 

「それはエイラが守れ。俺はサポートだ」

 

「そうか・・・じゃあ、私は疾風がみんなを守るのをサポートをしようかな」

 

「……できるのか?」

 

「やってみせるさ」

 

「………ありがとうなエイラ」

 

「ナンテコトナイッテ・・・・・・村正///」

 

と、しばらく二人はこの状態が続いたのだった。この時俺は誓った。たとえ俺の存在が消えそうになったとしても足掻いてやる・・・・・たとえ消えてももう一度この世界に戻ってエイラやアイに会うことを・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ヴェネチアの過激派ネウロイの巣では

 

「ふっ・・・・・劣等な人間どもめ・・・・・まだ私に反抗する力が残っていたとはわな。まあ、どんなにあがいても人間どもには我々を倒すことはできない。私には究極の決戦兵器『ウィッチキラー』があるのだ」

 

 

と、巣の中、一人の人型ネウロイがそう呟くと、背後から一人のひと型ネウロイが現れる

 

「随分とご余裕ですのねヤプール?いえ今は少将でしたっけ?」

 

「貴様はジブリールか?何の用だ?なぜ貴様がここにいる貴様はカールスラントにいるはずだ?」

 

「これはホログラム映像ですわヤプール。それにしてもあなた随分と余裕ですわね。もうすぐ人類軍があなたの所へ総攻撃をするのに?」

 

と、そう言うとヤプールと呼ばれたネウロイは鼻で笑うようなしぐさをし

 

「はっ!わたしはあんな弱者共がいくら来ようと我らヴェネチア軍団に勝ってこない。たとえ奴らの秘密兵器ウィッチが来てもそれは同じだ」

 

「あまり自分の力を過信していますといずれ痛い目にあいますわよヤプール」

 

「黙れ。それにしてもあなたも落ちたものよね。ネウロイ軍四強の一人のあなたたかが地球人二人と穏健派の馬鹿どもが作りだしたガラクタに敗れたなんてね。そんな奴に貴様に説教をされるいわれはないわ。それに私には対抗計画がちゃんとある。たかが劣等種に負けはしない」

 

と、ヤプールがそう言うとジブリールは少し黙り

 

「なるほど ・・・作戦ですか。ですがヤプールこれだけは忠告しときますわ・・・・・・人類はあなたが思っていたほど柔な生き物ではないわ。人間の可能性と絆の強さを見くびらないことね。」

 

そう言いジブリールは消えるのであった。そしてヤプールはというと

 

「人間の可能性と絆の強さっね・・・・じゃあ、見せてもらおうじゃないのその力というのをね・・・・・・」

 

とヤプールの目が赤くランランと光り彼女の胸にある赤いコアが怪しく光るのであった。

 

 

 

 

そして翌日、ロマーニャ公国を救うためウィッチたちの最大にして最後の大決戦オペレーション・マルスが始まるのであった。


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